それは夏の暑さが身を焦がし、アスファルトから陽炎が立ち上るそんな昼下がり。
湾岸に併設された特殊化学薬品工場群で事故が起こった。
ただの小さなミスから起きた本来ならば小規模で終わるはずの事故だった。だが不運にも、いやまるで呪いにでも掛かったかのように、事故は大規模化し、このままでは湾岸の一部の地図を改める必要と、特殊化学薬品が海や大気に流出し、生態系にも大きなダメージを負わせることになる。
施設の職員たちは決死の想いで、この事故の終息に注力したが、やはり人の手に負える場面というモノはとうの昔に通り過ぎていた。そして、職員の逃げる退路すら化学薬品の煙に断たれてしまい、もう諦めが職員の心の中に蔓延っていた。そして、もう駄目だと覚悟を決めた職員の1人が
「……
そう呟くと、他の職員も一斉に顔を上げ、何処からか聞こえ始めた歌が徐々に大きくなる。
「あ、ありえない!この周囲の通れる通路は全て神経系の毒煙が充満してるんだぞ!!」
そう叫ぶ職員の男にも、その歌は力強く聞こえ始めた。
「ま、まさか、S.O.N.G.?」
職員の女性の1人がそう呟いた。S.O.N.G.とは超常災害対策機動部タスクフォース(Squad of Nexus Guardians)の略称であり、本来は『とある物品』や『特異な災害』に関して対応している組織であり、ただ実際に活動している姿はあまり喧伝も目撃もされていない組織であった為、眉唾の噂や一種の都市伝説と化していた。
それに拍車をかけたのが、構成メンバーが不明、活動報告の無さ、ネット上の情報の無さ、そしてS.O.N.G.が現れると『被災地に聴こえる歌』と『少女たちの姿』という噂がまことしやかに囁かれ、それを題材にしたと思われるフィクション作品も人気を博しており、現実なのかフィクション作品の広告なのか、判らなくしていたのも事実だが、なにより歌と少女の姿に災害現場というのが場違いすぎたせいかもしれない。
「だ、だが、もし災害救助をするとしても、化学薬品を外に出す訳にはいかないだろ。それにこの部屋に通じる通路には毒煙が充満していて私達が吸いこんだら良くて一生ベット生活、悪けりゃ呼吸不全で苦しみ抜きながら逝くことになるんだぞ」
悲観的な事を言い、頭を抱える職員の男の声に、まさかの答える声が、その声は高く、まるで少女の様なモノで、でも力強く
「生きることを諦めないでッッ!!」
そう、聞こえたと共に爆音が響いた。そして、煙が消えると、そこには明るい茶髪、もしくはハニーイエローとも言える短髪をたなびかせた。手足に手甲の様なモノや目元のバイザーの様なメカメカしくも、それは少女だった。
職員は息をのんだ、いや、たなびかせている事実が風の通りがある事を物語り、また予想外の場所から少女が現れたからだろう。
そこは本来は壁であり、その先は厚いコンクリートと鉄板が何重かになっていたはずの場所である。
そんな非常識な場所に穴が開いていることに職員の全員が絶句している中、少女は耳元に手を当てどこかに通信をしているようだ。
「師匠、要救助者、8名を確認しました。衰弱者はいないみたいです、指示を」
『解った、こちらでも確認できていた残留職員の数とも合致する。だが無茶をするんじゃないぞ、響君』
「このくらい、へいき、へっちゃらですよ」
『そう言う意味では……拙いぞ響君、要救助者はすぐさま移動可能か』
「へっ?い、いえ、どうかしたんですか」
何処か慌てた様な雰囲気が少女より漂うが、通信先から衝撃の言葉が
『その部屋の圧力が下がった影響で化学薬品の充満した通路との気密性が著しく低下したようだ。間もなくその部屋に化学薬品が流れ込んでしまう。全員を運べないか』
少女は息をのんだ。確かに自分がこの穴をあけなければ、まだこの部屋に化学薬品の煙が流れ込むことは無かった筈で、職員たちの危険度はまだマシだったはず。
だがそんなことが頭を過った時、
『立花!迷い後悔するより目の前の人々を見ろ、お前が助けないで誰がその人たちの手を取るんだ!!』
怒声だろうか、イヤホンの辺りから漏れぎこえる声はまた少女の様な声が聞こえた。
その声を聴いた後、少女の瞳には強い光が灯り
「皆さん、話は後です、すぐさまここから脱出します、動けない人は、私が運びます、動ける方は私に続いてください」
そうして、少女は煙を吸い込み手足がしびれている職員を3人抱えて穴が続く通路へと他の職員を引き連れて走っていく。
何枚もの壁が破壊されている様子に驚きっぱなしの職員たちだったが、それよりも大人3人を抱えながら先行して足を進めている少女にも驚かされる。
そして通路の赤い光から外の熱そうな風と日の暖かな光が見えた時、
『拙い響君、もうは君たちの背後にまで煙が迫っている、このままじゃ』
「ごめんなさい、少し痛いかもしれませんが、投げます」
そう言うと少女は抱えていた2人を外の方に投げ飛ばし、背負っていた職員はそのまま、背後の職員たちの方に振り返り、走り去った職員たちをしり目に、一気に足を踏み込むと
「せえぇぇっいぃぃぃぃっっ!!」
掌底を通ってきた通路の方に撃ち込んだ。空気が破裂するような音が響き、通路の奥に一気に空気が流れ込んで行った。
『化学薬品の煙、一気に先程の部屋の方まで押し込めました。濃度は安全域です』
『すぐさま出るんだ響君、バックアップがスタンばってるぞ』
「はいっ!!」
そうして少女は外へと走り抜け、目の前に倒れている職員に手を貸しながらもこちらを気にしつつ離れていく職員の姿と
「クリスちゃん、お願い」
「任せな立花、いくぜ MEGA DETH QUARTET」
少女と似たような恰好だが異質なのは両手のガトリングや脚部に展開されてる小型ミサイル、肩から出ている大型ミサイルが4本、そして発言とともに一気にそれらを少女が出てきた穴へと掃射した。
爆音とともに、煙が辺りに充満し、そして煙が晴れた先では穴は完全に瓦礫で塞がり、封じ込めが出来たと確信させた。
「ふぅ、任務完了ってところか」
「ありがとう、クリスちゃん、助かったよ、でもなんでここに?そっちは終わったの?」
「あのな、元はと言えばお前が考えもなしに突っ込んだから私が出張る事になったんだろうが、ちったぁ、反省しろってんだ。それに、アタシはパーフェクトな奴だからな、無事に終えてきたぜ」
『二人とも談笑してるところ悪いんだけど、早く現場から撤退なさい、メディカルチェックを二人とも受けて貰いますからね』
「「了解です」」
そうしてこの、湾岸化学工場群薬品漏洩事故は終息をした。
そして、海中500mの場所の特殊な潜水艦の中で
「はぁ~、やっと終わった」
「いやはやなれねえなこのチェックもよ」
「両者ともに異常な負荷や身体的負傷が無い事が解ってよかったじゃない」
少女二人が何やら草臥れた様子なのをしり目にタブレット端末で何かの情報を見ている女性がそう発言した。
「あおいさん、全身のメディカルチェック受けてから言ってくださいよ」
「ああ、慣れる慣れないの問題じゃなくて、ありゃ、退屈が過ぎるぜ、自分の身体は自分自身がよく判ってらぁ」
その言葉にあおいと呼ばれた女性はタブレットから目を離さず、ただ若干空気が冷たくなって
「ええ、そうなの?じゃあクリスちゃん最近、後輩の切歌ちゃんや調ちゃんに奢りで食事に連れてってたようだけど、重くなったんじゃない?体重」
「うぐ、そ、そりゃあ、成長期だかんなアタシ達は」
「成長期、確かにサイズは見直した方がいいかもしれないわね」
「へ?何のですか」
「ちょ、立花あえて聞くか」
慌てるクリスをしり目に、あおいさんに疑問をぶつける響だが、青いは端的に
「バストサイズ、計測誤差って訳じゃない程度にはね。まあ全身肉付きは良くなってはいるんだけどね」
あおいの言葉の前半で響は思わずクリスの患者衣を押し上げる形で主張しているモノを見てしまう。そしてクリスも慌てる様子で掻き抱く。形を変形させ余計に主張が激しさを増していることを、この少女は知らないのか。
そんな二人をしり目にあおいと呼ばれた女性は、
「言っておくけど響ちゃんもよ」
「ふぇ?」
思わず間抜けな声を出してしまう響きだったが今度はクリスのニヤニヤした顔と視線が気になったのか
「も、もう、あおいさん個人情報ペラペラ喋りすぎですってば」
「おいおい、立花、具合が悪くなったからって逃亡は許されないんじゃないのか」
「はいはい、お互いに煽らない」
『あおい・友里さんにだけは言われたくないっ!!』
そう思わず二人の声がこだました。
そして、着替えを済ませた三人は潜水艦の通路を進み、扉をくぐり広い空間に出た。
そこには巨大なモニターが全面に並んでおり、様々なウィンドウが表示されており、今なお消えては現れを繰り返していた。
そしてそのモニターの前には
「お疲れ様、でも随分遅かったようだけど?」
「女の子はね、結構時間がかかるモノよ、藤尭君、ねえエルフナインちゃん」
藤尭と呼ばれた男性に返答を返しながら一瞥をくれ、その後、他の操作卓にちょこんと座る形で行儀よくしている人物に同意を求めた。
「あはは……ボクに同意を求められても、参考にはならないんじゃないかな?」
「あら?貴方今は正真正銘の女の子でしょ?前と違って」
「そ、それはそうですけど、まだ慣れないというか、キャロルの身体はその」
返答に困っているというか、たじたじな様子に、三人が入ってきた出入り口付近から長身の筋肉質な男性が姿を現しながら
「こらこら、困らせたらダメだろう、あおい君」
「ですが司令、同意を求めてもいいじゃないですか」
「エルフナイン君は今の身体になってまだ日が浅いんだ、変な拒絶反応が起こらんとも限らん、ゆっくりと意識と身体を馴染ませないといけない、そう言う結論になっていただろう」
「はい、申し訳ありません」
「それはそうと、響君、クリス君、任務ご苦労だったな、あおい君からメディカルチェックグリーンの報告を受けて安心したよ」
「はい、無茶をして申し訳ありませんでした、師匠」
「へっ、カバーする身にもなって欲しいぜ」
「クリス君、カバーするにしてもあそこまで負担がかかる技を使う必要はなかったんじゃないのかい」
「っぐ、そ、そりゃ」
「君はただでさえ前の現場からの連続だったんだ、無茶は二人ともだ」
「あ、それで、師匠、切歌ちゃんと調ちゃんの方はどうなったんですか?まだ終息してないとか?」
「ああ、それは」
「大丈夫だったデース、先輩」
「……ブイ」
司令と呼ばれていた男が響の問いに返答しようとするとその後ろから、元気なセミロングの金髪の少女と静かな腰まであろう黒髪の少女がピョイッと姿を現した。
「ああなんだ、師匠の裏に隠れてたんだ、お帰り、切歌ちゃん、調ちゃん」
「ただいまデス、先輩」
「切ちゃんと私にかかればあんなものサックリ」
「んん?本当か二人とも、それにしてはいつもみたいな騒がしさが無いと思うぜ」
「な、先輩酷いデス」
「それじゃあいつも私達が騒がしいみたい、私は静か」
「な、調~、それじゃあ私が煩いみたいデスよ」
そこで司令や師匠と呼ばれていた男が手をパンパンと叩き
「それでは、これより今回の災害に関する報告を開始する。各自何か思うことがあったら都度発言するように」
「ではまずはクリス君のものだが」
そう言うと先程まで忙しなく変わっていたモニターの表示が変わり、幾つかのカメラ映像が現れたが、一番大きく映されているのが衛星写真と思われるモノと、戦闘機のような乗り物の全体図だった。
「これは今から7時間前に宇宙衛星軌道上から撮影された画像だ、ここに写っている機影は、今横の画像の無人戦闘機、Gespenstの試作機Gespenst-nullだと開発国のお偉いさんから連絡があった。試験運用というか、稼働実験も大詰めの辺りで、突如プログラムに無い動きと、コードを吐いて一切の命令が効かなくなり暴走。しかも兵装もしっかりと積み込んでいたため、可及的速やかな無力化を行おうとしたが尽く失敗。我々に白羽の矢が立つことになった訳だ。そこで遠距離を主体としたクリス君を起用。1時間強の空中戦の後、撃墜。現在残骸はこちらで回収できる分は回収を実施中だ」
「師匠開発国とは」
「悪いがこれは政治的問題が大きく絡む、ただ欧州連合体の一国とだけ言っておこう」
「じゃあ残骸は全て返還処理か?こっちで調べられないんだろ、それじゃ」
「……回収作業中に調べる分にはセーフの段階だ、エルフナイン君が一応捜査中だ」
「はい、任せてください」
「それでは次に行くぞ」
そう言って、モニター表示がまた変わって、衛星画像と思われる数枚の画像が映し出された。
それは密林の様な画像であり、全ての画像が同じ場所を映しているのが周辺状況で判る。ただ違う場所は画像中心部の森林地帯が燃えているか、焼失しているかだけだった。
「今から4時間前、密林地帯の一部で火災が発生。初めは小規模だったが、何故か消えなかった。異常現象として焼失が無視出来ない処に来てから我々に通達が来た。焼失が止められないようなら、切ってしまうことを承認。担当を切歌君、調君にしてしまった。すまなかった。」
「あん?何でオッサンが謝ってんだ、それに別におかしい事でもねえだろ、イガリマやシュルシャガナなら」
「違うデス、クリス先輩」
「そう、アレは私達のミスだった。司令は何も悪くない」
「?何がちげえってんだ」
「切歌君、調君の二人は炎に関して嫌な思い出があったのを忘れていただなんてOTONA失格だ」
「まだセレナさんの事を?そうなの、切歌ちゃん、調ちゃん」
「………」
「………」
二人は無言だったが、それが答えだった。
「で、でも無事鎮圧できたんですよね、焼け跡の画像があるんですし」
「ああ、そこは完全に鎮圧したと思われるが、原因は未だ不明、警戒は実施中だ」
「そして次で最後だが」
そう、変な空気を破る司令の言葉でモニター上の画像が入れ替わる、響にとっては先ほどの化学工場群の外形画像とそこで作られていたであろう、何かの薬品の化学式と現物の画像だった。
「今から2時間前、湾岸化学工場群で事故が発生した。初めは小さなものだったようだが、不幸が続いたのか、今回我々が出る必要が出てきた。漏れ出ていたのはホログスティンという薬品をつくるうえで原料となるもので、曝露、つまり薬品に曝されると神経系に甚大な負担を掛けるものだった。本来は原液を薄めた状態で工場内では使用されていたんだが、その原液自体が漏れ出て、そのままになってしまったのが今回の事件だ。何がどうなってそうなってしまったのかは現在も調査中、というか、中の薬品濃度が治まらない限り、防護服を着た状態で調査する事になると思われる」
「何でそんな危険なモンが湾岸域にあんだよ、アブねえだろ色々と」
「それに関しては同意見だが工場を稼働させるうえで大量の水が必要だったのと、ホログスティン自体は有用な薬品で大量生産と輸送を必要だったからだと聞いている」
「工場の方々は無事だったんでしょうか」
「ああ、若干の後遺症者も出たものの、死者はゼロだ」
そんな報告を終え、一息入れたころに司令と呼ばれている男、名を風鳴 弦十郎、が
「さて、いずれも無事終息してくれてよかったのだが、ここで皆にはいくつか知らせておきたい事がある」
全員が弦十郎に目を向けると
「まず一つが、エルフナイン君、例の画像を」
そう言われて操作卓についていたエルフナインは、画面にあるアンプルを映し出した。
「師匠、これは」
「ああ、改良型LiNKERの試作品、ウェル博士が遺したメモリーカードの中に入っていた改良案などを盛り込んだものだ」
「おお、完成したんデスか」
「切ちゃん切ちゃん、多分だけど」
「何デス、調?」
「調君には何と無く解ったみたいだが、今回の出動に際して二人にはこちらの改良品を渡していた。もちろん、人体負担は随時モニタリングを欠かさなかったが、結果、バックファイアの軽減、適合率の向上、ギア使用時の動きの向上が見られた。今後問題が無いようであればこちらをベースに使用していくと思う」
「次にウェル博士のメモリーカードについてだが、まだまだ謎が多い。」
「はい、今回の改良型LiNKERだけでも、メモリー情報の1%にも満たないみたいで、全体がまだまだ見えないんです。ロックや特定のキーが無いと解読できなかったり、複数のファイルで情報が共有されているみたいで、全容は未だ不明です」
「そう言う事だ、あの男は有用な情報を我々に与えてくれたが、同時に厄介な代物を託しているみたいだ。まあもしかしたら奴なりに我々の困った顔でも見たかったのかもしれんが」
そう言われて、みんな一様に唸ってしまった。あのウェル博士ならやりかねないという思いがあったからだろうか。
「そしてこれが最後の情報だが、翼とマリア君の全世界ツアーが9月から開催されることになった」
「本当ですか」
全員から大体大きな反応があった後、弦十郎は続けて
「前回のライブはロンドン、つまりはイギリスからだったわけだが、今回はイギリスをはじめ、フランスやドイツ、ロシア、中国、オーストラリア、カナダ、アメリカ、そして日本の9か国を巡る予定だそうだ」
「ア、アメリカですか」
「やはりそこがネックだと自分も思うが下手に除くわけにもいかんのだろう、いくら『あの件』があったとしても」
「でも、日本にも来るんですね」
「ああ、もちろん全ての会場のライブ映像は今回も配信される。」
「………何故でしょう、期待もありますが、不安があるのデス」
「二度ある事は三度ある」
「ちょ、調ちゃん、不吉だよそんなこと」
「でもよ、案外平和に終わるんじゃねえかと私は思うんだがな、いくらなんでもそう立て続けに起きる訳が」
「じゃあ、賭けをするのデス、雪音先輩」
「もし、何かライブツアー中に問題が起きて、私達が必要な事になったら、ファミレスで好きなモノを奢ってもらう」
「ちょ、卑怯じゃねえか、それ」
「どこが」
「今の出動状況から見て、アイツらのライブ中も私達は引っ張りだこになる可能性が高いだろうが」
「じゃあ、あの二人に関係したらってことにするデス、良いデスね、先輩」
「ちょっと待て、私が賭けに勝った場合はどうするんだ」
「そんなの決まってるデス」
「マリアや翼さんを含めてお疲れ様会を開く」
「……はぁ、たくよ~、良いぜ、その賭け受けてやろうじゃねえか」
「まあ、四の五の言ってないで、君達は本来の生活に戻るんだ、まだまだ夏は始まったばかりだぞ」
そうしてこの話は一旦終わる事になる。
そして、この後に起きる事件、それが私達に大きな波紋を与える事になる事にまだ気づきもしていなく、また今回の事故やその前やその後に頻発した事件事故が、まさか妙な繋がりがあったなんてことにも気づきもしなかった。
この時の私達は、夏を大きく満喫し、来たるライブに胸を躍らせているだけだった。