黒歴典〜悶えながら頑張る人〜   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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すいません、マジで。

2ヶ月も休んでしまうとは…………

本当にごめんなさい。

でも、これからは投稿を再開したいと思います。


第十頁、あなたは、何者ですか?

「いい、分かった?

 これからは、二人とも喧嘩しない。

 もしも、絶対にないとも思うけど、しなければならない時が来たら、私に許可もらってからね」

 

「「はい」」

 

ただいま絶賛説教中です。

 

まぁ、私が能力使って杉岡さんをタコ殴りにしようとしたからですかね。

 

でも、あの後なんか杉岡さんが不思議な力使って私の能力から逃げたんですよ。

 

そしてその後はただの殴り合いに……といえところで、八木橋さんの静止が入りました。

 

「いや、俺は全てを一生懸命にやる人間だ。

 だから、喧嘩をする時がきたら俺は許可を取らずにやってしまう」

 

セリフが大仰なのに正座して縮こまりながら話す杉岡さん。

 

でも、それもそうですよ。

 

なんたって、八木橋さんの顔がねぇ…………

 

八木橋さんの顔がねぇ…………

 

大事なことだから二回言いました。

 

もうこれは言葉という物では説明ができません。

まさに『なんも言えねぇ』状態です。

 

「は?何言ってんの?」

 

八木橋さんは杉岡さんを睨む。

杉岡さんはヒッ、と少し悲鳴を上げたが八木橋さんは気にせずに説教を続ける。

 

「あんたさ、気持ち悪いのよ。

 分かる?

 本当にさ、何言ってんの?

 もう一回言うよ、何言ってんの?

 あ、あれ?熱血漢アピール?

 バカじゃない?

 今のそういうのを求めてるとかじゃなくて、暑苦しいのとか個人的に嫌なんだ。

 まぁ、今更性格が云々行っても仕方が無いよね」

 

そこで少し杉岡さんから安堵の様子が感じ取れた。

まぁ、ここで性格がーーって話を始めたらきっとこの説教は終わりを迎えなかったでしょうね。

何気に私も杉岡さんの隣で正座させられているから、説教が続くのが嫌なんですよ。

 

「じゃあ、私があなたたちに約束してもらいたいのは、さっきも言ったように、無断での喧嘩の禁止。

 それだけだからさ、守ってくれるよね?」

 

「「はい」」

 

いや、これは約束というより、命令では?

 

きっと私と杉岡さんの思いは全く同じだったしょう。

さっきとは打って変わって優しい顔をしている八木橋さん。

でも、その顔は笑っていませんでした。

 

いや、笑っていない、とは表情のことではなく、その表情に込められた感情の事でした。

 

それはまるで…………

 

ハッ!!

 

「のぅ、八木橋さんとやら」

 

き、来てしまった。

我らが神様(またの名を堕落しきったニート野郎とも言う)が、よりにもよってこのタイミングで八木橋さんに話しかけました。

 

ここで頭をよぎったのは、世神じいちゃんの無駄スペック。

 

ということは…………

 

止めなければ、命はない。

 

でも、ここで私が世神じいちゃんを止めようものなら、他の2人の反応はどうでしょうか?

 

世神じいちゃんの話によると、杉岡さんと世神じいちゃんは面識がないそうです。

 

ということは、私以外の2人の世神じいちゃんへのイメージは、

 

『家に招いてくれた優しい老人であり、御門君の親族である』

 

この様な感じですよね。

 

そして、私が今ここで世神じいちゃんを止めると、明らかに八木橋さんは、というか2人は世神じいちゃん側に着くでしょうね。

 

そして、八木橋さんは思うはずです。

 

え、御門君って身内の人だとそんなキャラなの?と。

 

そして、やがて私が弁解しようと力ずくでない限り、やがて噂は広まり、私の今まで培ってきた好感度は…………

 

 

え?好感度より命の方が大事じゃないか、ですって?

 

 

馬鹿言うんじゃありません!!

 

私は前世で身を持って知りました。

 

命は好感度に変えられない、と。

 

 

え?好感度だったら下がった後にまた上げればいい?

 

 

馬鹿を言わないでください!!(涙目

 

 

そんな事をするのに一体どれくらいの月日がかかると思っているんですか!!

友人の喧嘩だって2、3日は仲直りするのにかかると言うのに…………

 

それが数百人だなんて…………

 

しかも噂だから、それプラス変な噂も取り付いてきますよね…………

 

 

 

私は命より好感度を優先します!!

 

 

「…………」ニヤニヤ

 

「…………?」

 

なぜでしょう、なぜか世神じいちゃんがこちらを見てニヤニヤしています。

 

「…………」ニヤニヤ

 

「…………?」

 

なぜでしょう、世神じいちゃんがこちらを見t…………

 

……読まれて、しまいました…………

 

先ほどまで覚えていたと言うのに。

 

忌々しいですね、世神じいちゃんの無駄スペック…………

 

でも、これは非常にやばいです。

これで世神じいちゃんが言う言葉により、私の好感度も、命も、未来が決定してしまいます。

 

それなのに、二人と言ったら…………

 

もう先生の話を聞くみたいな感じになってるじゃないですか!!

 

騙されないでください!!そいつは見た目が温厚そうなだけで、中身は堕落しきったニート野郎ですからね!!

 

私は少しでも世神じいちゃんが心変わりしてくれる様に、世神じいちゃんを凝視します。

 

「…………」

 

「…………」ジーーーーーー

 

余計な事言わないでください余計な事言わないでください余計な事言わないでください余計な事言わないでください余計な事言わないでください…………

 

「…………」ポッ

 

世神じいちゃんは頬を赤…………

 

「なぜですか?!」

 

私がツッコミをすると、世神じいちゃんは照れ臭そうに、

 

「いや、あなたが見つめてくるから…………」

 

「セリフだけ聞くと恋する乙女だけど、外見を考えてください!!」

 

「いや、だって儂も純真な頃に戻りたいと言うか、なんと言うか」

 

「だから、外見を考えてください!!

 

 というか、これ以上私にツッコミをさせないでください!!」

 

「えー、なんでじゃよ」

 

「いや、周りを見ましょうよ。

 お客様、分かりますか?お客様?

 そして今そのお客様がポカンとしていますよ!!」

 

「いや、それは儂等のやり取りについていけないような感じに見えるようじゃがの」

 

「…………」

 

否定、できませんでした。

 

私は自分がいつの間にか世神じいちゃんのペースに載せられていた事に後悔していると、

 

「まぁ、こんなふざけたやり取りも一旦中断して、真面目な話に取り掛かろうとするかの」

 

世神じいちゃんがそう言うと、今までポカンとしていた二人は我に帰り、世神じいちゃんの話を聞こうとしています。

 

「お主ら、ずばり、人間じゃないじゃろ」

 

世神じいちゃんは杉岡さんと八木橋さんの2人を指差して言いました。

 

…………え?

 

「「……………………」」

 

私の声に出なかった驚きの声と、2人の沈黙は重なって、部屋は一気に静まり返ります。

 

「うーーーん、まぁ、儂も人間じゃないから分かるのじゃがの」

 

アハハハハ、と笑う世神じいちゃん。

私は世神じいちゃんが作り出したこの空間にいるのが少々耐えられなくなってきました。

 

「なんで、あなたは分かったんですか?」

 

杉岡さんがゆっくりと口を開く。

 

 

だって、神ですから。

 

 

私の口からは思わずそのフレーズが出てしまいそうになります。

 

でも、事実ですから、どういうのでしょうか、世神じいちゃんは?

 

「いや、それはあれじゃよ」

 

一瞬の間。

 

あ、時間止めて考えてきましたね。

 

今の一瞬の間で微妙に座っている位置がずれていることに私は気づきました。

 

「儂には、とある不思議な力が宿っていてな、それの応用じゃよ」

 

答え方が適当すぎませんか?

 

私はまたもツッコミしてしまいそうになったが、喉元でギリギリ抑えます。

 

すると、今度は世神じいちゃんの不思議な力使える宣言を聞いて、八木橋さんが手を上げる。

 

「その不思議な力って、どんな物なんですか?」

 

あれ?いつの間にか世神じいちゃんが質問されてる?

私は変わってしまった質問者と回答者を交互に見るが、お互いに全く気づいていない様子でした。

 

 

まぁ、さすがに世神じいちゃんは気づいていると思うけど…………

 

「いや、その力は世間一般では『魔力』と呼ばれていての。

 んーーーー、話すより見せる方が早いの」

 

世神じいちゃんは自身少し長めの髭を触った後、軽く指を振る。

 

すると、世神じいちゃんの周りには幾つもの白色の光の球が出てきた。

 

「これって…………」

 

八木橋さんは世神じいちゃんの出した光の球を見ると、思わず声が漏れ出てしまった。

 

「あぁ、そうじゃよ、君の持っている力はこれじゃよ」

 

「これが、魔力…………」

 

「ま、儂にはこれくらいしかできないがの、三鷹の坊主だったら魔力の使い方に詳しいぞ」

 

『おい、三鷹、聞こえておるか?』

 

世神じいちゃんは私を指差しながらそう言ったが、それと同時に念話?でしたっけ?

それで違うことを話してきました。

 

「え、御門君…………あ、そっか、おじいちゃんも御門さんだったよね。

 えっと、じゃあ三鷹君、も魔力が使えるの?」

 

『一応使えることにしておいて』

 

「まぁ、ほどほどですけどね」

 

私はいやいや、と手で表す。

 

『とりあえず、今の所の設定は、いつの間にか魔力が使えるようになっていた。

 そして、お主は儂よりも魔力の扱いが上手い。

 どちらかと言うと儂はサポート系の人間、ということにして置く』

 

『拒否権は?』

 

『お主も冗談がうまいんじゃの』

 

世神じいちゃんの笑い声が頭の中で響きます。

 

はぁ、なんでこんなことになったんでしょうね。

 

私は誰にも聞かれないようにこっそりため息をつき、話に戻ります。

 

「じゃあ…………私の力を、少し見てくれないかな?」

 

八木橋さんは、少し躊躇いましたが、立ち上がり、私に背を向けます。

 

 

バサァ

 

 

すると、八木橋さんの背中からは杉岡さんと戦っていた時にも見た、ガラスでできたかのような透明な翼が生えてきた。

 

 

静まり返るリビング。

 

 

私は悩むフリをします。

 

そう、あくまでフリです。

 

…………だって、だって、

 

そんな魔力とか厨二感溢れる物を持っていたら、厨二が爆発しそうじゃないですか!!

 

 

…………コホン。

まぁ、そんな魔力なる物への愚痴?は後にして、かなり私は困っています。

 

いやね、本当は能力使おうかと思っていましたが、何にせよ静まり返ってしまいましたからね。

 

ひっそり使おうにも声を出せば一気に注目の的じゃないですか

 

……困りましたね…………

 

「はぁ」

 

「やっぱり、分からない、かな?」

 

八木橋さんは私のため息を聞いて、どうやら私には分からない、と判断したようだった。

 

私は少し助かった、と思いながら八木橋さんの顔を見ると、八木橋さんの顔は、どこか悲しそうでした。

 

「いえ、今すぐはできませんが、何回か調べれば分かりますよ」

 

いつの間にかいつもの口調で嘘を話していました。

 

「え!!そうなの!!」

 

八木橋さんは私の言葉に身を乗り出してきた。

かなり八木橋さんとの距離が近くなったところで、八木橋さんは恥ずかしくなったのか、顔を赤くしながら自分の座っていた場所にチョコンと座りました。

 

「じゃあ、次はお主の番かの」

 

世神じいちゃんは、話が終わったのを見計らって、杉岡さんに話を投げかけた。

 

「あぁ、分かっ!!」

 

杉岡さんがあぁ、と言った瞬間、周りの景色が灰色になる。

 

「なんとなくお主は胡散臭いからの、八木橋さんとやらには悪いが結界を張らせてもらったよ」

 

世神じいちゃんの表情はそれとなく真剣な物に変わっていて、自体がどんな物か分かる。

 

それに気づいた杉岡さんも、さっきよりも真剣な表情になる。

 

「まぁまぁ、二人ともそんなピリピリしないで…………」

 

私はいつもの感じで二人を止めようとする。

 

本来なら、ここで私も真剣な表情をするところなのですが……

 

『ねぇねぇ、三鷹の坊主、マジ儂の演技パナくね?』

 

少し念話で一人盛り上がっちゃってる年齢不詳の老人がうるさいため、少し場を和ませようとします。

 

「はぁ、仕方が無いの」

 

世神じいちゃんがそう言うと、表情はいつもの物になります。

 

『世神じいちゃん。

 私の事は説明すればいいんですかね?』

 

私はうるさくなくなった念話で世神じいちゃんに聞いてみる。

 

『まぁ、儂が指示するから、その通りに話してくれんかの」

 

そうですよね、この世界に一番詳しいですもんね。

私はそう思いながら、杉岡さんに一つ質問する。

 

「あなたは、何者ですか?」

 

 

私の新たな人生の十頁、厨二病(不治の病)が再発しそうになりました。




投稿は、週1のペースになると思います。
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