黒歴典〜悶えながら頑張る人〜 作:ぬー(旧名:菊の花の様に)
「とりあえず、連絡を取って、アポをとって、直談判までいければいいですね」
私は全力でやると言ったけれど、あまり能力を使った強引な手段は使わずに、常識的な手段で管理局について知ろうとしました。
「まずは連絡ですか…………」
なのはちゃんへの対応から、管理局はそんなに悪い組織ではないと感じた私は、連絡をとろうとしますが、能力を使おうとして、一瞬考えます。
「いや、これもいわば私の主観での考えですね。
必要なのは客観的な視点。
しかも常識人の」
私は少しつぶやいた後で、世神じいちゃんから持たされている携帯を取り出し、ある人物に連絡しました。
『はいもしもし、吉木です』
『あ、吉木さんですか?
御門と言いますが『え?!み、み、三鷹?!、い、いきなりどうして僕の家に電話なんかを?!』……あー、いや、えっと、少し用事があってですね……』
私がかけたのは、吉木君のお宅へ出した。
生憎と言っていいのか悪いのか、私の周りには私と違って、常識人ではない人たちばかりが集まります。
世神じいちゃん然り、熱血バカ然り、腐女子然り…………
だがしかし、私が思う私の次に常識人である人は、なんと、吉木君だったのです。
今までの私の拒否している雰囲気から、まるで吉木君は非常識人筆頭とも言えるように感じますが、実は吉木君は、同性愛の部分を除いて、常識人だったのです。
そう、同性愛の部分を除いて……。
『とりあえず落ち着いてください。
それで、私の用事というのは、吉木君という客観的な視点からのアドバイスが欲しいからなんです』
『…………あぁ、分かった、三鷹に頼りにされるなんてなかなかないから、嬉しいな』
声を女の子にするだけでなんとも可愛いセリフなんですが、いかんせん聞こえてくるのは少年の声であり、私はそんなことを考え始めている自分に戦慄して、私は泣き始めました。
そして私は、泣きながらも、声には出さないようにして、今までの事情を、魔法という部分を除いて説明しました。
『うーん、僕がどうこう言える立場じゃないけど、率直に言わせてもらうなら、三鷹、安全を取りすぎじゃないかい?』
『私が…………安全を取りすぎている……』
『あぁ、そうだよ。
そりゃ、人は誰だって失敗する。
俺だってバスケがうまくならなくて泣いた日だってあるよ。
だけどさ、それだって必要なんじゃないかな?
失敗は怖い、だめだ、しちゃいけない。
そうかもしれないけど、そうかもしれないけど、たまには挑戦したっていんじゃないかな?
幸い、三鷹の本気は失敗したところで、そんなものちっとも痛くも痒くもないだろ?
ならさ、もっといろいろやってもいんじゃないかや?』
『あ、そうですよね、そうですよね、はい』
私は、いろいろな人に助けられているのだと感じる、この瞬間がなんともいえない良さを持っていると思います。
私は、安全に生きすぎてる。
たしかにその通りです。
だって、私は皆さんよりも人生経験も、失敗も腐るほどしてきました。
でも、それでも、
『やってみなきゃ、はじまんない』
『…………ありがとうございます』
私はそう言って、詠唱を考え始めます。
『あ、じゃあ今度お礼になんかおごってくれよな』
『えぇ、もちろんですとも』
私は携帯の通話を切りました。
ちょうど泣き終わりもしました。
それでは、
「我が紡ぎは
能力の詳細
「我の望みは、空間の結合」
ベースの設定
「象徴するは、扉」
節稼ぎ
「扉は現れ、我が手をかけるのを待つ」
能力の詳細
「扉の先には人がいる」
節稼ぎ
「扉を開きしその時に」
節稼ぎ
「我は思わず尋ねるだろう」
節稼ぎ
「ここはどこ、あなたはだれ」
節稼ぎ
「そんな問に浴びせられるのは」
節稼ぎ
「嘲笑なのであろうか」
節稼ぎ
「はたまた愚弄であるのかもしれない」
節稼ぎ
「しかしながら、我の望みは変わらない」
目的の設定
「答えへの邂逅を望み」
目的の設定
「未知との対話を望み」
目的の設定
「己の理解を求める我の、その望みは」
節稼ぎ
「我の前に道理は不要」
再度設定の確認
「逢いたくば己で道を繋ぐのみ」
最後へと
「扉の先に待つのが」
敵がなるべくいないように
「鬼であろうと、蛇であろうと」
お祈り程度だけれど
「我の瞳に敵として映るものなし」
『
『それはあかんやつじゃ!!!!』
うるさいですね
そして、私の前に現れたのは、ピンク色のドア……ではなく、木製の、どこにでもあるような普通のドアです。
私は泣きながらも、そのドアノブに手をかけ、押します。
しかし、
「あれ?開かない?」
もしや失敗?と思い、私はドアノブをガチャガチャと動かします。
すると、
ガラガラ
「あ、引き戸だったんですね」
私はドアをスライドして、中に入っていきます。
すると、そこにいたのは、
「へ?三鷹さん?」
金髪の外国人の美少年でした。
『………………あ、ツッコミ……』
結果として、私は運が良かったようでした。
金髪の外国人の美少年君は、事もあろうに、あのなのはちゃんのペットであるユーノ君だったのです。
あ、いましたね、そんな人。
『…………人?』
場所は管理局の支部の拠点である、空間を旅する船という、名をアースラというものの1室でした。
そして、私の出した扉は、運良くユーノ君が与えられた一室の、タンスに繋がっていたのです。
そこで、ユーノ君が服をかけている時に、突然扉が現れて、スライドして出てきたのが、私だった、ということです。
そんな話を聞いて、私は自分の詠唱に泣き、そして誰がこんな痛いものを作ったんだと思い、現実逃避をはじめて、ユーノ君を困らせてしまいましたが、流石にそれだと話が続かないので、無理矢理にでも納得し、ユーノ君へ弁解をさせていただきました。
おそらくこの次に非常識的なことがあるのならば、私は自分で自分を殴り殺せる、そう確信しました。
そして、私はなのはちゃんから聞いた話を、ユーノ君にして、確認をとっていると、
「すいません、リンディです」
突然のノックとともに、外から声をかけられました。
私は声が出そうになりましたが、それをぐっとこらえ、ユーノ君に対して念話を実行します。
『これはどういうことでしょうか』
『おそらくだけど、気付かれたんでしょう。
ちなみにですけど、今声をかけている人が、この船の最高権力者の人ですよ』
『これは、不味いですかね?』
『…………いえ、むしろ好機なのかもしれませんよ』
そう念話で伝えたユーノ君は、身構えていたのですが、それをやめ、スタスタとドアの方へ歩いていきました。
私はそれに対してユーノ君の裏切り、という可能性が頭をよぎりましたが、こんなドアを出した時点で私に退く、という選択肢はないに等しかったので、黙って信じることにしました。
「リンディ艦長、僕からもお話があります」
「えぇ、そうでしょうね」
私はその間に、開けっ放しになっているタンスを閉めて、ドアが見えないようにしました。
一応ドアは、帰るために残しておきました。
「それでは、入るわよ」
自動ドアなのか、シュッと開いたそのドアの向こうに立っていたのは、スーツを着た、ロングヘアーの、緑色の髪の女性でした……
スパンッ
あれ?視界が……暗く…………
「大丈夫ですか?!」
「な、なんで自分で自分のことを殴って……」
「それよりも早く回復を!」
「あ、あぁ、そうよね」
そんな声とともに、暖かい光が見え、私は意識を絶ちました。
私の新たな人生の第二十一頁、暗いです……。
次回『第二十二頁、そんなことがあってたまりますか!』