黒歴典〜悶えながら頑張る人〜   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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第二十二頁、そんなことがあってたまりますか!

「あ…………ここは…………」

 

ここ最近、似たような状況があったので、私は、その一言で今までのことを思い出しました。

 

そう、私は、厨二に塗れて…………。

 

「気を失っていたんですよ」

 

そこに来たのは、意識を失う原因になった緑色のロングヘアーの、軍服のような姿をしている大人の女性……リンディさんその人がお盆におかゆを乗せて持ってきていました。

そこで、私はそのおかゆで、自分がベットの上で寝ていたのに気づきました。

私は、処理落ちしそうになる脳を、救済すべく、一時的に無になり、すべてから目を背けることにしました。

 

「あらあら、若いのにそんな目をしていると、将来ろくなことに合わないわよ」

 

といい、ふふふ、と笑いながら、私が寝ているベットの隣にある椅子に腰をかけました。

 

「ま、そんな目を出来るほど元気ならおかゆくらい自分で食べれるわね」

 

と、私はおかゆの乗ったお盆を渡されました。

 

「でも、いきなり自分の顔を殴るなんて、私びっくりしたわよ」

 

リンディさんは渡した後に、リンディさんは大人な対応で、私に聞いてきました。

本当だったらドン引きものなのに……、私はリンディさんの大人な対応に少しの感激を覚え、

 

「いえ、リンディさんのような髪の色の人は、この世界には珍しくて、思わず夢なのではないかと思い、確かめるために殴ったら、ちょうどいいところに当たってしまい……」

 

私が苦笑いをしながら言うと、リンディさんはそうだったの、と優しく微笑んでくれました。

その後、リンディさんがどうやら私の足元を指さしていました。

私は不思議に思いながら、足元に視線を向けると、

 

寝息を立てて寝ているユーノくんの姿がありました。

 

「彼必死だったのよ。

 『この人は……僕にとって大切な人なんだ!生きてなきゃいけないんだ!絶対に死なせない!』なんて、大袈裟なことを言いながら一生懸命治療してたわよ」

 

「そんなことを言っていたんですかユーノ君……」

 

ユーノ君、ちょっと大袈裟過ぎですねぇ、と私はしみじみ思っていましたが、

 

「案外、ユーノ君もその気があるんじゃないの?」

 

またもうふふ、と笑いながら言いましたが、私はその一言で、私の表情は凍ったのでしょう。

 

リンディさんは私のそんな顔に気づいたのか、

 

「あら?もしかして図星?」

 

ここいらで勘違いしてしまうあたりが、違う世界の人なのだな、と実感させられます。

 

「いえ、そういうことは別の世界ではありえるのかな、と思いまして」

 

「あ、この世界はそうなのね。

 こちらの世界では様々な文化がいり混ざっているせいで同性同士の愛などに偏見はないのよ。

 むしろ同種族間だったら男同士でも子を作れるようになったから、特に問題もないのよ」

 

いや、そんなことを言われてもですね…………

 

『右には正統派爽やかイケメン、左には金髪童顔イケメン…………まさに両手には『そんなことがあってたまりますか!』』

 

私は世神じいちゃんの一言を黙らせ、これから訪れないであろう考えを振り払います。

 

「ま、まぁ、そんな話は置いといて、今回、私はあなたに相談があるんです」

 

「えぇ、知ってるわよ、この世界で数少ない魔法使いさん」

 

リンディさんは間髪入れずに言ってきたが、私は特に驚かず、

 

「それはちなみに、誰からでしょうか?」

 

「いえ、この世界は管理局の管轄から外れた、いわゆる管轄外世界、というものの一種で、私たちはこの世界のことについては何も知らないのだけれど、一応魔法を使える人は届出を出さなければいけなくてね。

 この世界にいる少数の魔法使いの人たちは、私達管理局に届出を出していて、存在のみは管理局に知られているのよ」

 

だから知っていたの、とリンディさんは結んでいましたが、私はその言葉で冷や汗をかきます。

 

『ヘルプ、世神じいちゃん』

 

『そして、2人は唇を交わした…………、と。

 お、どうしたんじゃ三鷹さんよ』

 

『いえいえ、私自分の設定について知らないので、世神じいちゃんにご助力をと思いまして』

 

『あぁ、そうじゃったのう。

 じゃあ、ほれ』

 

と、その瞬間に、私の頭の中には、私の魔法使いとしての設定が浮かび上がりました。

 

『ありがとうございました。

 それと、家に帰ったらその小説、消し炭にしますから』

 

『や、辞めるのじゃ!!

 これが我が家の資金源なのだぞ!

 これがなければ儂達は食っていけぬのだぞ!』

 

『あらあら、何をしてるのかと思ったら、こんな茶番をしていたの?』

 

すると、突如世神じいちゃんとの念話に割り込んできたのは、女の人の声。

私は思わず目の前の女の人……リンディさんを見てしまいました。

 

私は前世今世含め、女関係には全く縁がなかったのですが、今この瞬間、思わず、女の人、というものに恐怖を抱きました。

 

こんなことをしても、無表情とは……私は今後見習っていきたいな、と思いました。

 

『じゃあの』

 

「あ、ちょっと」

 

世神じいちゃんは逃げるように去っていくのを、私は止めようとしましたが、声が出た時には時既に遅し、というもので、念話は切れて、私とリンディさんの間には、沈黙が流れていました。

 

「あー、すいません、お見苦しいところをお聞かせしてしまって」

 

「いえ、そんなことありませんよ、こちらだって、人のお話を盗み聞くような真似をしてしまったわけですし」

 

久しぶりな大人な会話に私はうまく出来るかどうか不安でした。

純粋な子供の素晴らしさを改めて感じながら、私は本題を切り出しました。

 

「えっと、今回私がここに来たのは、あなたと話がしたかったからです」

 

「えぁ、私もちょうどあなたにお話があったから良かったわ」

 

リンディさんの顔から笑顔はまだ取れない。

怖さを感じさせるくらいです。

 

「では、私の方からでいいですか?」

 

リンディさんが頷いてくれたので、私は話を切り出します。

 

「あなたも知ってのとおり、私たちはこの世界では珍しく、魔法というものを認識し、それが使えます。

 だがしかし、私たちはあえてそれを表の世界でも、裏の世界でも使わず、ひっそりと生きていました。

 それが最近、なのはちゃんたちが引き起こしてしまった事件のせいで私たちは危機を感じたのです。

 このままでは、私たちの世界が壊れてしまう、と。

 そして、私とおじいちゃんのふたりで、捜査にのりだしたところ、なのはちゃんとの接触にまでたどり着き、今では、アドバイザーとしてなのはちゃんの力にならせてもらっています」

 

リンディさんは、一部を会えて話さないようにした真実であり、先ほど世神じいちゃんから承った設定を織り交ぜ、あと本の少しの嘘を交えた私の話を聞いて、顎に手を当て、考え始めました。

 

そして、少しの静寂のあと、

 

「えぇ、分かったけど、その話について、二三点、質問をさせてもらってもいいかしら」

 

「どうぞ」

 

私は、ここで、能力を使って、リンディさんの本性を調べようかと考えましたが、それはやめておきました。

 

ついさきほど、失敗を恐れない、と言ったばかりでしたが、ここで能力を使ってしまい、バレる可能性が高く、リスクも高すぎるので、私は使わないようにしました。

 

なんせ、人との電話のようなものである、念話に割り込んでくるような人物です。

 

きっと私の能力にもすぐ気づくのでしょう、と私はビクビクしながら、質問を聞きます。

 

「まず一つ、今現在いる魔法使いは、あなたとあなたのおじいさんの2人だけ?」

 

「いえ、もう少しいるそうですが、私たちはお互いに干渉しないようにしているので、知らないです」

 

そこで私は、KY部のふたりを思い出しますが、その話をすると、話がこじれそうなので、頭の隅に追いやりました。

 

「うん、それは本当のようね。

 それじゃあもう一つ目。

 ほかの魔法使いの人たちは?」

 

私はその質問をされて、図星を突かれた、と思いました。

まぁ、普通に考えればそうなんですが、あいにく私は、

 

「先程も言ったとおりに、お互い相互不干渉なので、知りません」

 

「この世界が滅ぶかもしれないというのに?」

 

「えぇ」

 

「……………………まぁ、この件に関しては後日調べさせてもらいます」

 

とりあえず今はこれで納得してもらうしかないようなので、私はホッとしました。

 

そして、リンディさんはしっかりと私の顔を見て、

 

「それじゃあ、最後の質問ね。

 なぜアドバイザーという立場なの?

 共に戦ったり、あの子を守ってあげようという選択肢はなかったの?」

 

と、ここで、リンディさんの口調が強めになったように感じました。

 

ここで私は、少し、ほんとに怖いですけれど、リンディさんというものを知るために、試してみようと思いました。

 

「いやいや、そんな怖いもの、私には到底できませんよ。

 それに比べたら、なのはちゃんは私より魔力もあるし、戦闘もできます。

 私たちが共に戦ってもなのはちゃんの邪魔になるだろうし、無駄死にしてしまいそうなので」

 

あくまで淡々と話すように心がけて、言葉を発すると、

 

バンっ!!

 

「あなた、本気でそんなことを言うのだったら、私はあなたを許さないわよ」

 

その表情は私の貧相な語彙で言わせてもらうのならば、正に般若の表情でした。

 

「……なぜでしょうか?」

 

「あなたは姿は小さいけれど、話している感じからして、なのはちゃんより年上…………しかも、そんな丁寧な話し方はこの世界で成人しているように見えますし、あなたから見てのおじいさんということは、こちらも同様に、なのはちゃんより年上だということが推測されます。

 それなのに、年上だというのに、あなた達は年下であるなのはちゃんに戦いを任せていていいと思っているのですか?!」

 

私は自分が成人しているように見えたことに驚き、そして、リンディさんの本性を垣間見たような気がしました。

 

「……………………ふぅ、すいません」

 

「……え?」

 

リンディさんはいきなり私が誤ったことに対して、ぽかんとしていました。

 

「いえ、私は先程の話に嘘を織り交ぜていました。

 私はアドバイザーをしていた訳ではありません。

 本当は、私はつい最近になって、なのはちゃんが魔法使いであることや、ジュエルシードのことなど、いろいろと真実を知ることができ、今から動き出そうとしていたところだったんです」

 

「え、じゃあ、なんで嘘なんか……」

 

リンディさんは私に怪しむような視線を向けてきました。

 

「なのはちゃんの一先輩、としてですね」

 

「先輩?」

 

「えぇ、こう見えても、なのはちゃんの3つ上ですよ」

 

こう見えても、と言っても、どう見てもそのくらいにしか見えないはずなんですけど……とは言わないでおきました。

 

「え、えぇ?!」

 

だがしかし、リンディさんは驚き、

 

「も、もしかして、この世界の子ってあなたぐらいの歳になるとそんなしゃべり方をするの?」

 

「あ、いえ、私だけだと思いますよ」

 

と言うと、リンディさんはへぇ、と言いながら頷きました。

それに対して、私は、話を続けていきます。

 

「私は、この魔法関係云々の前に、なのはちゃんと面識があって、仲良くさせてもらっていたので、今回なのはちゃんが危険な目に遭わないかどうかを、確かめさせてもらいました、すいません」

 

私はベットに座りながらでしたけど、深く頭を下げて、謝りました。

 

「…………こちらも、強く言い過ぎたわ。

 なんでこんな小さな子供にあんな危険物と戦わせているのか、って思っちゃって、それが息子に重なって、ついね」

 

と、リンディさんは言っていましたが、私はそんなことより、リンディさんに子供がいたことに驚きました。

でもまぁ、まだそんなに大きな子供ではないのだろうな、と思っていましたが、

 

「それにしても、立派な考え方に丁寧なしゃべり方。

 うちの息子よりも年下なのにこれとは、見習わせたいわ」

 

「え?」

 

「……どうしたの?」

 

「あ、いえ、私より大きいお子さんがいると言っていらしたので……」

 

「えぇ、この船で私の側近として働いてもらっているわ」

 

「はぁ…………」

 

明らかに三十歳前後と思われる外見なのに、私より大きいお子さんがいるとは…………。

 

これは、世代間ギャップならぬ、世界間ギャップなのですかね?と1人よくわからないことを思いつつ、

 

『世界間ギャップってっ……ククッ、世界間ギャップって……クッ……………………』

 

いつの間にか戻ってきた世神じいちゃんが笑いのツボに入っているのを無視して、

 

「それで、お願いがあるんです」

 

「…………もしかして、私がお願いしたいことと一緒なのかな、それは」

 

「おそらくそうかと」

 

私は怖い思いをしてよかった、としみじみと思いながら、

 

「なのはちゃんを、どのような手を使っても危険な目に遭わせないようにしてください」

 

リンディさんは、にっこりと微笑みました。

 

 

 

 

 

私の新たな人生の第二十三頁、大人って、怖いです。




外見年齢ではなく、精神年齢によって推定年齢は決まるようなものだと思うのです、別世界では。

次回『第二十三頁、黙っていて下さい』
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