黒歴典〜悶えながら頑張る人〜   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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第七頁、あー、そういうことですか

そんなこんなで日曜日になりました。

 

「つ、疲れました」

 

私はとあるカフェのテーブル席でそんなことを言っていました。

 

「昨日のスケジュールは?」

 

目の前にいるのは、同じクラスの八木橋(やぎはし)舞美(まみ)さん。

彼女は、弟さんが出ている試合で勝てるように、という名目で私と一緒にいるのです。

 

「えーと、朝から人生相談が9件で、人探し、猫探し、くらいですね」

 

「人生相談の数が多すぎじゃない?」

 

「ははは、否定できませんね」

 

そういいながら私は、コーヒーに口をつけます。

そう、私は何故か人生相談の回数が多いんです。

まぁ、精神年齢40歳の人が人生相談にお答えしているのですから、そこそこためになるとは思いますが……

人って、色々あるんですね。

 

まぁ、人生相談のお話は時間がある時に、という事で。

 

「弟さんの試合いつからでしたっけ?」

 

「それなら、はい」

 

八木橋さんは、紙をテーブルの上に置きます。

 

「えっと、なになに」

 

私はその紙を手に取り、書かれた字を読んでいきます。

 

「相手は、翠屋FC。

場所は、そう遠くありませんね。

時間は…………あと20分ですか」

 

「それでね、その翠屋FCってところがすごく強いらしいのよ」

 

「そうなんですか」

 

そこで、私の飲んでいたコーヒーがなくなりました。

 

「じゃあ、行きますか」

 

私は立ち上がり、伝票を持ってカウンターに行きます。

 

「あ、いいよ、私パフェ頼んだし」

 

「いえ、別にいいですよ、気にしなくても」

 

私はそう言って会計を済ませる。

これでも精神年齢40歳ですよ、奢れなくてどうするんですか。

 

「じゃあ、行きましょうか」

 

「あ、うん」

 

私が会計を終えると、八木橋さんは外で待っていました。

 

これが、彼女だったらな…………

 

私はつい思ってしまいます。

あ、精神年齢があれだからって、ロリコン扱いしないでくださいね。

 

私は、常識人ですから。

 

でもですよ。

こんなに紳士的な行動をとっているのに、一向に私はモテないんです。

なぜでしょうか?

それは簡単でした。

彼……吉木君のせいでした。

それは、噂に疎い私でも知っている噂。

 

"吉木君と御門君はできてるんだって"

 

という噂。

全く、この噂のせいで私はまるっきりモテないんですからね。

 

「どうしたの?早く行こう」

 

そう言って八木橋さんは進んで行きます。

 

 

〜〜移動中〜〜

 

「いや〜、広いですね」

 

私はグラウンドを見渡しながらそんなことを呟きます。

 

「えっと、うちのは……あっ、いた」

 

八木橋さんはどうやら弟を見つけたらしく、指を指してどこにいるのか教えてくれました。

 

「相手の方は…………?」

 

私は相手側のベンチと応援席をざっと見ると、そこにはなのはちゃんがいました。

一瞬声をかけそうになりましたけれど、まぁ、なのはちゃんは応援に来ているわけだから、声をかけない事にしました。

 

ピーーーーー

 

そして試合は始まって行きます。

 

今回は手を出そうとは思いませんでした。

スポーツは自分の力で勝ってなんぼなので、静かに観戦していました。

 

「あっ!!」

 

隣で驚く八木橋さん。

その視線の先には、足首を押さえている八木橋さんの弟さん。

どうやら、接触して転んで足首を捻ってしまったのでしょう。

結果は捻挫らしいですね。

八木橋さんは、しょんぼりとしながら後の試合を見ていました。

対して私はこれからの試合の展開が弟さんの負傷でどれだけ傾くのかを観察しました。

 

 

結果は翠屋FCの勝利。

 

 

八木橋さんの弟さんは、かなりの戦力だったらしく、いなくなってからというもの、得点のチャンスがめっきりなくなってしまった。

 

 

そして、試合はあっという間に終わりを迎えてしまいました。

 

「……負けちゃったね」

 

八木橋さんがグラウンドを見つめながら寂しそうに呟きます。

 

私は、この顔が一番嫌です。

 

まるで、私がこんな顔にさせたみたいで。

 

「八木橋さん。

人生は長いようで短いです。

だから、より多くの体験をする事ができた人は、後の人生が良いものになると思いますよ」

 

「それって、人生相談でも言ってるの?」

 

俯いたまま聞く八木橋さん。

 

「いえ、私は人生相談の時は、その時に一番その人に必要だと思った言葉をかけます。

これは、八木橋さんへのオリジナルですよ」

 

私はそう言って八木橋さんへ手を伸ばします。

その手の中には青い宝石があり、光を反射していて綺麗でした。

 

「これは?」

 

まだ、寂しそうな顔をしているが、八木橋さんは私に聞いてきます。

 

「落ちてた石ですよ」

 

そう言い、私は八木橋さんの手に石を握らせます。

 

「それでは、私はこれで」

 

「あ、待って」

 

私は帰ろうとしたが、八木橋さんに引きとめられました。

 

「あ、ありがとう」

 

「いえいえ、奇跡を起こせなかった代わり、とでも思ってください」

 

そう言い、私はスタスタと歩いていきます。

 

 

〜〜帰宅中〜〜

 

「ただいま帰りました」

 

「Yes」

 

「また雑誌を読んで…………いないっ?!」

 

私が世神じいちゃんの姿を見た時、驚きを隠せませんでした。

その姿とは、パソコンを弄っている世神じいちゃんの姿でした。

 

いつも紅茶を飲みながら、雑誌を読んでいるのに、き、今日はパ、パソコンですと?!

 

「動揺しすぎじゃ」

 

「こ、これで動揺しないほうがおかしいですよ」

 

私は後ずさりしながら世神じいちゃんの顔を見るが、その顔は平然としていて、何事もないというような姿でした。

 

堕落しきったニート野郎(この世の神)を焼き尽くせ、粛清の炎」

 

粛清の焼却(ダストファイア)

 

すると、世神じいちゃんの周りを囲むように炎が現れ、世神じいちゃんの姿はたちまち見えなくなりました。

 

だが、その炎はすぐに消え去り、そこには、先ほどと同じようにパソコンを弄っている世神じいちゃんの姿がありました。

 

「良かった、本物でしたね」

 

「はぁ、ようやく分かってくれたかの…………ってなんで泣いとるのじゃ?!」

 

世神じいちゃんは振り向いて私の顔を見るなり、泣いている事に驚いていていました。

 

「あ、これは、あの、持病みたいなものです」

 

「いや、それならなおさら心配なのじゃが」

 

私は涙を拭い、世神じいちゃんが弄っていたパソコンを覗き込みます。

 

「これは…………」

 

そこに写っていたのは、海鳴市の地図。

そして、そこには赤い点が12個あり、うち2個が同位置にあり、3個が違う位置に同じくあります。

 

「これは?」

 

「あ、それはジュエルシードの行方じゃよ」

 

「ジュエルシード?」

 

「そうじゃな、お主は知らなかったのじゃな」

 

「じゃあ、一言で説明してください」

 

「うーんと、危険なものじゃな」

 

「あー、そういうことですか」

 

私は世神じいちゃんの言う危険の度合いが分からないため、適当に返事をしますが、

 

「えーと、そんなリアクションで住むものじゃないぞ」

 

世神じいちゃんの顔はいつもより真剣で、私の不安を煽ります。

 

「と、とりあえず、そのジュエルシードと言うものの形は?」

 

「お主が前に10個集めたとか言っていた宝石じゃよ」

 

その言葉に私は、冷汗をかきます。

 

「それって、持ってるだけで危ない代物なんですか?」

 

「いや、人、物問わず寄生して、ジュエルシードの中にある力によって、思考が持つ物には願いを叶えさせる。

そして、思考を持たない物は、その道具がもつ本来の力を何倍にも膨れ上がり、ただただ暴れる」

 

「いってきます!!」

 

「いってらっしゃい」

 

世神じいちゃんは持ち前の無駄スペックで私が急いでいる理由を察してくれたため、止めませんでした。

 

私は家を飛び出して、ひたすらに走ります。

 

幸い、世神じいちゃんが私が探したいジュエルシードの位置を頭にインプットしてくれたおかげで、かなり早くつきそうです。

 

「思いっきり私のせいじゃないですか!!」

 

そう、全て私のせいでした。

今日渡した石は、グラウンドにくる途中で拾ったものですし、そもそも、私が拾った物なんか渡さなかったら…………

 

「それより、急ぐしかないでしょう!!」

 

私は不安を振り払うように無我夢中で走ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、今日は散々だったよ」

 

八木橋の弟は、ため息をつきながら姉の隣を歩いている。

だが、その姿は松葉杖を持って、足首を包帯でグルグル巻にされていて、なんとも痛々しい姿だった。

 

「まぁ、仕方がないよ」

 

「あれ、今日はどうしたの姉ちゃん?」

 

「ん?なにが?」

 

「いや、いつもだったら俺が負けた後は相手のチームの悪口ばっか言ってるからさ」

 

「あれ?そうだっけ?」

 

「そうだよ」

 

なんとも普通……常識的な姉弟の姿。

だが、そんな常識が、非常識に変わる。

 

「あ、そうだ、これ」

 

舞美は、ポケットの中から石を取り出す。

 

「なにこれ?」

 

弟は姉が突然出した石を不思議そうに見つめる。

 

「これはね、願いが叶う石なんだよ」

 

「へぇー」

 

「うわ、信じてないって顔だな」

 

「だってそうだろ、こんなので願いが叶うなら、苦労しないって」

 

「ま、持っときなさいよ」

 

そう言って舞美は弟にジュエルシードを投げ渡す。

弟はそれをキャッチしようとしたが、弟の前に一人の少年が現れる。

 

「ギリギリセーうわっ!!」

 

少年は、弟の前にでてジュエルシードを掴もうとしたが、その手前で躓いてしまった。

そのため、ジュエルシードは手の中に入らず、

 

 

 

ゴクッ

 

 

 

ズザァッ

 

「「「……………………」」」

 

流れる沈黙。

少年は立ち上がり、自分がやってしまった事に自分自身で驚いていたが、

 

ピカッ

 

少年の体は突如発光し、あたり一帯が青い光に包まれる。




KY部入部希望者求ム


……冗談です、気にしないでください。

次回『第八頁、諦めるな!!』
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