黒歴典〜悶えながら頑張る人〜   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

9 / 23
第九頁、諦めるなって言うのは、諦めた時に言うセリフです

私は御門君を蛇人間から助けました。

それで逃げようと思ったら、御門君が何か唱え始めるし、そしたら今度は襲ってきた蛇人間は動かなくなるし、ホッとして御門君の方を見ると御門君は壁に頭を打ち付けて気絶しちゃうし、もうどうなってんのよ。

 

『おーい、お主、聞こえているかー』

 

「っ!!誰?!」

 

『あー、えっと、プリチーな老人じゃ』

 

「…………」

 

『あー、すまん、そっちの状況がネタにしか見えなくての』

 

私はその声の主に質問をしようとしたが、電柱の影に隠れていた弟の直人が出てきた。

 

「姉ちゃん…………」

 

「あっ…………」

 

『じゃあ、お主の頭の中に地図インプットしておいたから、二人抱えてくるのじゃぞ』

 

「あっ、ちょっと!!」

 

ブツッとという音と共に、おじいさんの声は聞こえなくなった。

 

「姉ちゃん、本当に良かったの?」

 

直人が私の方を見て、悲しそうな顔をしている。

 

「ん?なにが?」

 

私は直人に笑顔で答えるが、

 

「なにじゃねぇよ!!」

 

直人の顔は今までに見たことのないくらいに怒っていた。

そして、それは私のために怒ってくれているのであろう。

 

「姉ちゃんは!!

俺のためとか、他の人のためとか、そんな事ばっかだ!!

でも、それだけで良かったんだよ!!

なのに、なのに姉ちゃんは!!」

 

「…………いいんだよ」

 

私は直人を抱きしめる。

 

「いいんだよ。

私がこういう性格なのは分かってる。

でも、私はこの性格を嫌だとは思わない。

それを直人が嫌だと言うのなら、直人は私の行動を全てこの性格のせいにすればいいの」

 

私は直人を抱きしめる力を強めるが、

 

「うるせぇ!!!!」

 

直人は私を突き飛ばす。

私は尻餅をついてしまい、直人を見上げると、

 

バサッ

 

直人は、私の使う翼……『呪い』を使うが、その色はいつもの黒とは違い、禍々しい黒だった。

 

「俺は、姉ちゃんの性格を直す。

そのために俺は、少しばかり無茶をするけど、姉ちゃんは決して俺のことを助けるな」

 

直人は私には背を向け、飛び立った。

 

「直人!!」

 

私は直人を追いかけようと呪いを使うが、

 

「!!」

 

私はここに近づいてくる、恐ろしいほどの呪いを持った者の存在に気づいた。

 

「は、早くしなきゃ!!」

 

私は御門君と蛇人間の手を引き、逃げようとするが、女一人の力で同年代の男二人を運べるわけがない。

私はあたりを見渡すと、

 

「あった!!」

 

そこにあったのは台車。

私はなぜこんなところに台車があったのかは気に留めず、台車に二人を乗せて、一目散に逃げた。

私は脇目も振らずに走った。

そして辿り着いたのは、見たこともない家だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、起きろ」

 

う、うるさいですね。

円周率全部数え終わったら起きますよ。

 

「できることはできるけど、お主の寿命終わるぞ、その間ずっと眠っていれば」

 

でも、あともう少し寝ていたいです。

 

「じゃあ、これはどうじゃ?」

 

『我に害を与える物のみに「ヌォォォ!!」

 

ガシャン!!

 

私は飛び起き、私を苦しめる音を出す物質を壁に向かって思い切り投げました。

そこで分かったのですが、私が寝ていたのは、我が家の寝室でした。

 

「か、かなり効果的じゃの……」

 

世神じいちゃんは、私の行動に引いていましたが、そんなことは今関係ありません。

 

「世神じいちゃん、死にますか?」

 

「いやいやいや、なんでお主の黒歴史公開s「はい、アウトォォ!!」そういう物なのかの?」

 

「そういう物なんです」

 

「じゃあ、もう一回「オイクソジジイ」なんじゃ?」

 

「なんじゃじゃないですよ!!

人の話聞いてましたか?!

てか、そのラジカセどこから出したんですか?!」

 

「人の話を聞いての上で嫌がらせをしようとしているのじゃ。

それくらいも分からんのか」

 

「え、鬼ですか?」

 

「いえ、神ですけど」

 

私はこんなやり取りにため息をついて、

 

「で、今の状況を教えてください」

 

「えー、もうちょっと遊びたかったがの」

 

「私が疲れますからいい加減やめましょうよ。

はいはい、これからはシリアスムードで行きますよ」

 

私は手を叩きながら声を掛けます。

 

「おうおう、そんなに責めることないじゃろ。

まぁ、説明してやらんこともないがの」

 

と言って、世神じいちゃんはどこからか眼鏡を取り出して掛けると、

 

「じゃあ、お主の頭の中にインプットしてやろう」

 

「え、眼鏡の意味は?!」

 

「ない」

 

「あ、認めるんですかそうですか」

 

と言いながら私は世神じいちゃんに頭を向けます。

世神じいちゃんは私の頭の上に手を置くと、私の頭には世神じいちゃんが私と杉岡さんを台車につんで運んだ八木橋さんを家に招き入れた映像が流れる。

 

「まぁ、あらかたのことは分かりました。

それて、他の人たちはどうしたんですか?」

 

「えーと、リビングで待ってもらっとるぞ」

 

「じゃあ、こっちの部屋の会話筒抜けじゃないですか?」

 

「あ、ちなみに起こすところのくだりからしっかり、時を止めておいてやったわい」

 

「やっぱり無駄スペックな…………」

 

「あ、それとじゃな」

 

世神じいちゃんは私と握手をした。

 

「?」

 

私が不思議に思っていると、

 

「いやー、お主戦うじゃろ。

その時になんやかんや傷つけられても困るからの、これを渡しておこうと思っての」

 

「どれですかそれ?」

 

私は握手した手を見つめますが、そこには何もなく、転生してから見慣れた私の手がありました。

 

「あ、お主が戦いそうになったら自動的に発動する御都合主義結界じゃ」

 

「えーと、効果はどんな物なんですか?」

 

「いや、そこは特に考えない方がいいじゃろ。

お主(常識人)から考えればありえないものじゃからかの」

 

「いや、そうですよね、その通りです」

 

私は立ち上がり、寝室を出ようとしますが、世神じいちゃんに止められます。

 

「お主、余計なことはするなよ」

 

そこにあったのはいつになく真剣な世神じいちゃんの顔。

 

「なーに言ってるんですか。

この(常識人)が世界を変えることができるわけありませんって」

 

私が寝室を出ると、世界は進み始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は御門君の保護者と名乗るおじいさんの家で休んでいる。

 

それは、台車で二人を運んだ後は「あ、三鷹は寝室で寝かせて置くから、そっちの人お願いするの」と言われた。

 

そして、御門君を寝かしつけたおじいさんに、私はありのままに話した。

蛇人間が襲ってきたこと、御門君が助けてくれたこと、私が逃げてきたこと。

まぁ、私の『呪い』については話さなかったけどね。

 

そんなこんなで私はおじいさんの言われた通り蛇人間を見ていた。

 

「ほんと、どうなってるのかしらね」

 

私が蛇人間の皮膚を触ると、その感触はリアルな蛇そのもの。

 

「はぁ、なんでこんなことに巻き込まれたのかしら」

 

そのセリフの直後、寝室への扉が開かれ、そこには元気な御門君の姿があった。

 

「御門君!!」

 

私が御門君に近寄ると御門君はニコッと微笑み、蛇人間に向かって何かを話し始めた。

それは小声で分かりづらかったけど、

 

害を外に(キュアー)

 

そう言うと、蛇人間の体が光り、次第にそれは人間の姿に変わって行った。

 

「んっ、俺は……」

 

すると、元蛇人間は起きて、周りを見渡す。

 

「やぁ、起きましたか?」

 

御門君は元蛇人間に恐れを抱かずに話しかける。

 

「お、お前は誰だ」

 

それに驚いた元蛇人間は、立ち上がり後ずさりするが、御門君はそんなことどうでもいいと言うように、

 

「一つ、質問です。

なぜあなたは石の力を借りようとしたのですか?」

 

元蛇人間はその言葉に警戒を抱く。

 

「お前、何を知っている」

 

「いや、ただ知りたいだけですよ。

あなたがここまでする理由が」

 

元蛇人間は警戒したままだったけど、話し始める。

 

「俺は……俺は何事にも一生懸命に取り組んできた。

それは、例え学校の小さな係り活動でも、人助けでも。

だけど、それにはこの体質を治さなきゃならなかった。

ただそれだけだ」

 

「そうですか…………そうなんですか」

 

「それの何が悪い」

 

元蛇人間は逃げ道を探すかのように視線を動かしている。

私は逃げなれないように逃げ道を塞いでおく。

 

「いえ、何も悪くありませんよ。

…………まぁ、最後に一つ聞きましょうか」

 

そう言って御門君は人差し指を元蛇人間に向ける。

 

「あなたには、力がありません。

それでも、人を助けたいです。

どうしますか?」

 

それは、まるで私にも言っているようだった。

私の、この、性格に。

 

「俺は、どんな時でも、自分自身に諦めるなと言い続け、悔いのない人生を送る」

 

「戯言はやめてください」

 

その声は部屋に響き渡る。

 

「人間は自分の命が一番ですし、力がないのに人を助けるなんて戯言です」

 

そして、御門君は一息おき、

 

「しかも、諦めるなって言うのは、諦めた時に言うセリフです。

人助けをする人は、決して諦めないと思いますけどね」

 

「お前の勝手な思い込みだ、そんなものは」

 

そう言って元蛇人間は、姿勢を低くし、逃げの体制になる、

 

「でも、力がない人はそんな思い込みすら話せないですけどね」

 

「っ!!テメェ!!」

 

逃げようとしていた元蛇人間は一変して、御門君に殴りかかった。

 

「御門君!!」

 

私は、御門君は不思議な力を使うので、今度も大丈夫だと思っていたが、

 

バキッ

 

「え?」

 

私は御門君がすんなり殴られたことに驚いてしまった。

御門君は殴られて、そのまま倒れてしまい、私はより一層困惑した。

 

「え、ちょ、御門君?!」

 

私が御門君に近寄ると、

 

「あー、痛いですよ。

めちゃくちゃ痛いです。

どうしようもないくらい痛いです」

 

唸っていた。

それもかなり恨みがこもっていて、本当に怖い。

え、なにこれ怖い、近寄りたくないよコレ。

私がそんなことを思っていると、

 

「くっ、なんだこれ?!」

 

元蛇人間の声。

そこには、奇妙にウネウネと動く木の枝に絡みつかれている元蛇人間がいた。

 

「私は、常識人です」

 

すると、御門君は立ち上がり、話し始める。

 

「だから、私は他人の命より自分の命が大事です。

でも、今の私には不本意ながら力があります。

だから、自分のできる限りで人を助けたいです」

 

御門君は枝によって宙に浮いている元蛇人間の胸ぐらを掴み、

 

「だけど、力がないやつが助かろうと頑張らないと、助かる物も助からないんですよっ!!」

 

バキッ

 

御門君は身動きの取れない元蛇人間を殴った。

 

「一発食らったら一発返すのが常識ですが」

 

御門君は握り拳を作り、

 

「今までのクソジジイ(ニート野郎)への恨みも晴らしておきましょうか」

 

「え、八つ当たり?!」

 

 

 

私の新たな人生の九頁、喧嘩友達(という名のサンドバック)ができました。




八木橋さんを普通の人にするか悩み中な今。

それと、誤字等のご報告よろしくお願いします。

あと、どんな些細なことでも良いので感想ください。

例えば、厨二ワードとか厨二ワードとか厨二ワードとか……

厨二ワードのバリエーションをください!!

それによって三鷹は強くなる!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。