ぬら孫じゃないの!?   作:パズゥ〜

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やっと書けたよ…




第10話 覚醒

どうも、鯉影です。

4歳になりました!!

最近では、家ではなくお祖母様の治療院にいることが多くなりました。

初めて、治療院に遊びに行ったときに治療院を手伝ってくれている人や患者の人から可愛いと評判が良かったらしく、ぜひ今度も連れてきて欲しいと言われてしまったんだよね…

まあ、いい人たちばかりなので僕としてもお菓子を貰えるから問題はない!!

気分は動物園のパンダみたいだけど…

 

「鯉影?おいて行っちゃうわよ?」

 

「あっ待って!!母様!!」

 

はい。今日は母様と買い物に来ています。夕飯の買い出しをするためです。流石に前世の日本みたく「はじめてのおつかい」的な事は江戸ではまず無理だからね…

今日だって、母様と二人っきりだと思いきや、

 

「乙女様!!若!!勝手に行かないでくれ!!」

 

おっと、うるさい首無がやって来た!

最初と比べると大分うちの組に溶け込んできたように見える。流石に、原作ほどの丁寧な話し方はしてないけどね。

でも、素の首無って感じで僕は今の方が好きかな。

ちなみに、あれから首無と毛倡妓は僕の側近的なポジションになった。

当初は守ることなんてできない!!って言ってたけど、絡新婦の糸に毛倡妓の髪で作った紐を用いた技は守るのに意外と効果的だった。

父様にも言われていたけど首無は守ることに向いてるんじゃないかな?

まあ、本人はまだ認めていないけどね…

デレるのも時間の問題だな…

 

そんなわけで、首無と毛倡妓は護衛として計4人で買い出しです!!…そんなにいるかな?

 

「まずは、お野菜の大根に…」

 

「しかし、たかが買い物に俺たちが護衛する必要があるのか?乙女様も「畏」を使えるわけだし…」

 

「こら! 首無、あんた何のんきな事言っているの!!私たちは乙女様たちの護衛というよりは若が勝手な事をしないように見張ることの方が重要なんだからしっかりしないと!!」

 

「…そうだな。若は目を離すと何をしでかすかわからないからな…鯉伴とは違う意味で面倒だ…」

 

えぇ…ひどいなぁ父様と同じだって?そ、そんなことはないと思うな…

僕の場合はお茶目な感じだし!!

 

「若…酷く心外みたいな顔をしていらっしゃいますが、先日風呂敷に付喪神を憑依させて勝手にどこかに行ってしまわれましたよね?」

 

「え!? あ、あれはつっくん(宝船の分霊)が出かけたそうな顔をしていたから主として、一緒に出掛けてあげようと思ったんだよ?」

 

「出かけるのは結構ですが、人間がいるところで飛ばないで下さい!!途中で、迷子になった挙句カラス天狗様に運ばれてきたじゃないですか!あのあと江戸中が空飛ぶ風呂敷やその風呂敷を運ぶカラスについての噂話で大変だったんですよ!」

 

「ご、ごめんなさい…」

 

いや~、あの時はつっくんが大分育ってきたからいけるかな?って思ったんだけど、流石に4歳児の体重に耐えられなかったみたいでフラフラしちゃったんだよね…しかも、その揺れで僕が酔ってしまってカラスが迎えに来てくれた時なんてグロッキーになってて思わず、カラスの顔面にリバースをしてしまった…

そこは、奴良組の幹部だからか、顔面に受けてもしっかりと僕たちを屋敷まで運んでくれたからありがたかったね。

ちなみに、最近僕は親しい妖怪たちを「さん」付けではなく呼び捨てやあだ名で呼んでいる。首無や毛倡妓を呼び捨てで呼んでいたら他のみんなが他人行儀な感じがするから呼び捨てで呼んで欲しいと言われたんだ。

そのお願いをしに来た妖怪たちのリーダーはまさかの牛鬼だった。あとから聞いた話だと、僕が首無や毛倡妓を呼び捨てで呼んでいるところを物凄く羨ましそうな顔で凝視していたらしい…

そう言うことで、一部の例外を除き仲良くなった人には呼び捨てで呼ぶようにしています。

 

「全く、鯉伴に若も自由過ぎてこっちが大変だ…」

 

「あら?首無、しょうがないわよ?だってぬらりひょんの息子と孫ですもの!」

 

「乙女様…何でそんなに嬉しそうなんだ…」

 

母様が嬉しそうに体をくねくねしている横で首無が疲れたように項垂れています。

 

「首無元気出して!!今度は上手くやるから心配しないで!!」

 

「……やること前提なんだな…はぁ…」

 

あれぇ~余計に元気が無くなっちゃったような?

でも、しょうがないよね!!段々と体力がついてきたので色々な事をしたくなっちゃうんだもん!!

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

さて、買い物も順調に終わり、帰りに近くの茶屋で一休みしていくことになりました。

 

「疲れたわね鯉影、首無に毛倡妓、今日はありがとうね?」

 

「いや、俺たちは護衛だから問題ないですよ乙女様」

 

「そうですよ、首無が言う通り仕事なので平気です。若も乙女様と一緒ですと大人しくしてくれますからね…」

 

まだ、言うの!!毛倡妓!!

少しは、自重するよ…たぶん…

 

「フフフ…最近は鯉影があの人に似てきて嬉しいわね」

 

「そんなに似ている?父様に」

 

「えぇ…お義母様とこの前話したら小さい時のあの人にそっくりだと言ってたのよ?」

 

そうなんだ…なんか父様に似ていると言われると不思議と嫌な気分はしないな。

まだまだ、憧れの背中は大きいし遠いけど、いつかは追い付き、追い越したいな…

 

 

 

そんな感じで、半刻ほど茶屋で談笑していました。

 

「そろそろ、帰りましょうか?夕飯の準備をしないとね?」

 

「うん!!首無たちもいい?…ってあれ?」

 

僕たちの隣の縁台に座って護衛をしていた首無たちが声をかけようとして振り向いたら居なくなっていました…

いつの間にいなくなったんだ?

片方が席を外すならわかるけど、2人一緒で何も言わずに居なくなることなんて今までなかったのに…って

 

「うわっ!!」

 

「鯉影!!お母さんの近くに!!」

 

不思議に思って眺めていたら突然母様に引っ張られました。

 

「どうしたの母様?」

 

「あんなにいた人がいなくなっているわ…明らかに妖怪の仕業ね。鯉影、離れないでね?」

 

母様が言う通り賑わっていた通りにはいつの間にか僕と母様しかいなくなっていました。

しかも、妖怪!?今は夕方に近いからと言ってまだまだ日は登っています。しかも、人通りが多い通りで妖怪が堂々と出るの?

僕が混乱している横で母様は懐から脇差を取り出し抜いて構えます。って母様そんなもの持ってたの!?驚いている僕を見て母様は「任侠妖怪一家の嫁が武器ぐらい持っていないとね」と言ってきました。

 

「鯉影も覚醒に「畏」の修行をしているならわかるはずよ?集中して…相手の妖気を感じるの」

 

首無に指摘されたあの日から僕は覚醒と「畏」の修行をしてきました。修行と言っても「畏」を直に感じれば自ずと覚醒するのではないかと父様が考え、うちの組の妖怪たちに代わる代わる「畏」を発動してもらい、時には直接受けるということもしました。覚醒は出来なかったけど、修行のおかげか妖気を感じることが出来るようになりました。

 

爺様と父様に言われた明鏡止水の心で、感じる…集中して…この世非ざる者の気配を…見つけた!!

 

「向かい側の家の屋根の上!!」

 

感じた妖気の発生場所を指さします。

 

「流石はぬらりひょんの血を引く者だな…その歳で我らの妖気を感じることが出来るとは…」

 

すると、何もない空間から波打ったような模様が出現し、着物を着た巨大なネズミと蛇に似ていて、赤いひげに(たてがみ)を持った妖怪が現れた。

 

「奴良組二代目の奥方、奴良乙女とその息子、奴良鯉影だな?」

 

「何のようかしら?このような事をされる覚えは無いのですが…」

 

「我が名は鉄鼠(てっそ)。お前たちには恨みはないが奴良鯉伴の嫁と息子ならばその命いただく!!」

 

「「!!?」」

 

鉄鼠と名乗った巨大なネズミはその体格からは想像できないほどの速さで僕たちに突撃してきます!!

 

「私たちとしても、黙ってやられるわけにはいけないの!!『山春黄(やまはるき)』!!」

 

「っ何!? これは山吹の花? っく!!」

 

僕を守るように母様が「畏」を発動します。

山春黄(やまはるき) 山吹の花を咲かせて相手を幻術にかける技。鉄鼠は母様の幻術にかかり、動けなくなった。

 

「くそっこれは幻術か!?どこにいやがる!!」

 

相手が動けないうちに対策を練らないと!!

父様に恨みを持つ妖怪なのか?

相手は2人でこっちは戦えるのは母様のみ、母様自身戦いに特化している「畏」を持っているわけではないので、首無したちが来てくれるまで時間を稼ぐしかない…

 

「しゃらくせぇ!!(しん)!!やれぇ!!」

 

「……はい」

 

鉄鼠とは別に無表情で後ろに待機していた(しん)と呼ばれた妖怪から妖気が一段階増幅するのを感じた。

これは…「畏」の発動!?

 

「…『霧蛟(きりみずち)』」

 

ぽつりとつぶやくように声を発した蜃、直後に蜃を中心に濃い霧が発生していく。

 

「蜃の「畏」はなぁ発生した霧に覆われた空間を隔離する結界を作ることが出来る!!これをあらかじめ使ってお前らと護衛を引き離したのよ!!」

 

なるほど…いくら待っても蜃を倒さないと逃げ出すことも出来ないし、助けを呼ぶことも出来ないってことか。

 

「そしてぇ!!こいつの「畏」はもう一つ能力がある。それはよぉっ!!」

 

鉄鼠はいきなり母様に向けてその長い爪で攻撃をしてきた!

 

「きゃあっ!!」

 

!!何で攻撃が出来るんだ!?今まで母様の幻術にかかっていたのに!!

 

「結界を張った空間にいる生き物を自由に操ることが出来ることだ!!まあ、短時間しか操れないし自分より強い相手には効かないが、お前ら程度であれば幻術なんぞ簡単に解除することが出来る」

 

くそっ!!母様は戦うことに向かない妖怪だからこの蜃とは相性が悪すぎる!!

鉄鼠は母様があまり戦いなれていないことに気付いたのか次々と攻撃を放ってくる。

 

「そら!!そら!!どうしたぁ!!お前たちを殺して奴良組との開戦の狼煙とする!!」

 

「なぜそんなことをするの!!奴良組に恨みを持っているの!?」

 

「そうだ!!奴良組が江戸を仕切ってると困るんだよ!!俺たちの人間(エサ)を食べられなくてなぁ!!『頼豪鼠(らいごうねずみ)』!!」

 

鉄鼠が増えていく?

一匹二匹の問題じゃない!?何十何百っていう鉄鼠が生まれてきた。

 

「これが俺の「畏」『頼豪鼠(らいごうねずみ)』だ!!能力は簡単、俺の分身を作ることただその数は八万四千匹だ!!」

 

「なっ八万四千匹ですって…」

 

「絶望するには早いぜ言った通り分身だから俺の動きをそのままに再現する。つまり、八万四千匹の突進を躱せるかなぁ!!!」

 

鉄鼠たちが一斉に攻撃をしてくる。母さんも「畏」を使いながら攻撃をしているが、多勢に無勢だし、何より蜃の能力もあるから全く意味がない!!

 

「きゃああああああ!!!」

 

「母さん!!!」

 

母さんは数体の鉄鼠の体当たりをくらい僕の後ろに飛ばされた…

 

「なんだぁ?もう終わりか?しょうがねえな…お前らの首をはねて奴良鯉伴に届けてやろう。ククク、母親の方は殺す前に別嬪だから少し遊ばせてもらうかなぁ~」

 

「鯉影!!お母さんのことは良いから逃げなさい!!早く!!」

 

「いいねぇ…親子愛かい? おい!蜃やれ!!」

 

「…了解」

 

いったい何をするん…だ…?

 

「鯉影!?」

 

いつの間にか母さんが吹き飛ばされたときに落とした脇差を持っていた。

何だ?何で体が自由に動かない!?…まさか!!

 

「ハハハッ!! 麗しい親子愛を見せてもらったから奴良乙女よ、愛する息子に殺されるってのはどうだい? サイッコ~の終わり方じゃないか!!息子の方は本来なら一瞬しか動きを止められないところなんだが、妖として出来損ないなのか、簡単に操れるんだな!!」

 

クソッ!!

僕が、僕がまだ妖怪として覚醒していないから…「畏」を使えないから!!

 

「鉄鼠!! 私の事はどうなってもいい。息子には手を出さないで!!」

 

「いいねぇ…いいね!!俺は優しいからな、奴良乙女。お前が自分の息子に素直に殺されるんだったら息子の方は見逃してやってもいいぜぇ?いくら蜃の結界といえどもぬらりひょんに奴良鯉伴みたいな幹部連中が来たら破られてしまうからなぁ。」

 

マズイ!自分の意志とは関係なく母さんに近づいて行ってしまう!!

 

「か…あさ…ん」

 

「鉄鼠それは本当でしょうね」

 

「あぁもちろんさぁ!!」

 

違う!!こいつが約束を守る保証なんてない!!

 

「にげ…て…!」

 

やめろ!!やめてくれ!!折角、父さんに母さんと一緒に生きていけるんだ…こんな終わり方はありえない…

 

「鯉影…大丈夫よ…あなたは生きるのよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ちょっと!!しっかりおし!!乙女ちゃん!!

…でも最後にあの人に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フザケルナ!!

何のためにおれ、俺は生まれてきたんだ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

…ボクは、お母さんたちと生きたい。

…オレはそんな結末なんて欲しくない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから、ボク、オレは!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

「っ!!?何だぁ!?」

突如霧に包まれているこの場所で、鯉影を中心として黒い靄が渦巻くように広がる。

鯉影を包むそれはまさに闇の化粧…

 

段々と晴れていくとそこに現れたのは、

 

「…鯉影な…の?」

 

 

 

あぁ…ようやく思い出した…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待たせたな…化けネズミ…覚悟は出来ているんだろうなぁ?」

 

 

 

斯くて、闇の帝王は翼を広げる…

 

 

 

 

 

 




読了ありがとうございました。

戦闘描写が難しい…
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