ぬら孫じゃないの!? 作:パズゥ〜
我らが総大将の登場です!
それではどうぞ!!
「いやーここが京ですかい…華やかですなぁ」
「江戸もいいが、京も趣きがありいいですな総大将」
「そうじゃろう?妖怪に生まれたなら一度は来ないとってな!」
ワシの名はぬらりひょん。いつか、魑魅魍魎の主になるべくワシの最強の百鬼夜行を作っている。今回は部下たちの慰労と日ノ本で最も強いと言われる羽衣狐に会いに京へと来た。
「しっかし、せっかく京に来たというのに人っ子一人いないなんて変じゃないですか総大将?」
「夜ではあるが全く人がいないとは確かに変じゃな…」
古参の納豆小僧がワシに不思議そうに聞いてきた。
この京の都は、妖怪ならだれもが一度は憧れの地。大妖怪、羽衣狐が陰から治めていることもあり、人と妖怪が一緒に暮らしている珍しい町じゃ。しかし、納豆小僧が言ったように、人が驚くほどいない…
今が夜ということもあるが、それでも憧れの地がこんなに寂れた様子であるという事実にワシらは驚きを隠せない…
「総大将」
「何じゃ牛鬼?」
先行して情報収集に出ていた牛鬼が帰ってきた。
何やら険しい顔をしているが…
「どうやら、京の都は今生き肝信仰なるものが広まっているそうです」
「生き肝信仰だぁ?」
「はい。何でも、赤子や貴き者も生き肝を喰うことでより強靭な力を得ることが出来るということらしく、全国各地から、ここ京へと妖怪たちが生き肝を求めて集まっているそうです」
「?生き肝ならわざわざ京に来なくても手に入れるじゃねぇか。何で集まっているんだ?」
「先ほど言ったように京の都は公家、所謂貴き者が沢山います。そのため京やその周辺に集まった方が、効率よく生き肝を集めることが出来ると考えているようです」
なるほどな…どうにで、人いないわけだ。日が暮れたら
しかし、妙だな…
「羽衣狐はどうしたんだ?奴なら、この騒動に対して何らかの対策をしていると思うだが…」
「はい。そのことについては京妖怪側に連絡を取るため、使者を送っていまs」
「キャアアアアア!!!」
「「!!??」」
「…牛鬼よ。この話はいったん後じゃ」
「そうですな。急ぎ声がした方に行った方がよいですな」
「おめぇら!!付いてきなぁ!!奴良組の京でのお披露目じゃあ!!!」
「「「うおおおおおおっ!!」」」
◇◆◇◆
「何じゃ…大したことのない奴だらけじゃな…」
「た、助けてい、ただきありがとうございました」
悲鳴が聞こえたところに向かうと複数の妖怪に襲われている一人の娘がおった。
ひ弱な、女子によってかかって襲うとは妖怪の風上にも置けない奴じゃと、挑発をして戦ったは良かったんじゃが、予想以上に手ごたえが無くて驚いてしまった。
「これに懲りたら、一人で外をうろつくんじゃねぇぞ?…しかし、なぜこんな夜更けに一人でいたのじゃ?」
ワシはそう言って、今さっき助けたばかりのまだ若い娘を見る。
「はい…実は父が病に倒れまして、急ぎ薬師様のもとに向かう最中でございました。本当にありがとうございました」
「なるほど、親父のためにか…なら、こんなところで、道草食ってちゃいけねえな?ワシの部下を付けてやるから早々に行きな…烏に雪麗頼む」
「わかりました。では、拙者は空からお守り申す。雪女は一緒に歩きで頼むぞ」
「勝手に仕切るんじゃないよ…しょうがないわね…ありがたく思いなさい人間?奴良組の幹部二人も護衛に着くのだから」
「え?あ、はい。ありがとうございます。…で、でも、お侍様方もよ、妖怪なのですか?」
何じゃ…気付かなかったのかこの娘は?
ならちゃんと名乗らねばのう…
「おう!ワシの名はぬらりひょん。ゆくゆくは魑魅魍魎の主となる妖怪の名じゃ!!よく覚えておくといい!!」
「ぬ、ぬらりひょん。では、あなたも私の生き肝を!?」
娘はワシらが妖怪と分かった途端に身構えるが
「いらん、いらん。そんな外道な方法で手に入れた力なんぞ欲しておらん。男なら、テメェの力だけで魑魅魍魎の主にならんとな!!」
それに、せっかく観光に来てんのにそのような粋じゃないことはせんわ!!
「まあ、ワシらはお主に何もせんよ。早いとこ行きな。まだまだ、日が昇るまで時間があるからnっ!? 伏せろ!!」
咄嗟に、娘の頭を掴み、伏せる。
すると、ワシらの頭があった位置に火の玉が通り過ぎて行った。
「いきなりじゃねぇか?人が話している時に攻撃するたぁ…何者だ?」
「人じゃなく、君は妖でしょうに…」
声が聞こえた方向を見ると、闇の中から
「そこまでだ人に仇なす妖たちよ。僕の名は土御門泰忠。陰陽師です」
「へぇ…」
なるほど、陰陽師か…そうじゃったな、こ奴らも京の守護をしているんじゃったな。
「さあ、そこの娘さんを放してくれないかい?素直に応じてくれば僕も手荒な事はしない。しかし、そうじゃないと…」
そう言って、陰陽師は袖から札を5枚取り出し、構える。
先ほどの攻撃はあの札のものか?
陰陽術なぞ、江戸では見れぬから少し興味が沸くんじゃが…
よく見るとあ奴震えているように見えるんじゃが…
「…なあ、陰陽師」
「な、なんだ?妖よ」
「お前、震えてないか?」
ビクッ!?といったように奴の体が面白いように跳ねた。
「な、なにを言っているんだ!?僕は別に怖くないぞ!?初の実戦だからって怖くなんかない!!」
「…怖がっているじゃない」
ワシの後ろで雪麗がボソッと言っているが、やめてやれ。意外と男は女の何気ない一言が傷つくんじゃぞ?
「京の都が一大事な時に僕だけ戦わないなんて僕の矜持が許さない!!土御門の跡取りとして人に仇なす者を見過ごすわけにいかないんだ!!」
ほぉ…なかなか根性あるじゃねぇか?
両足がガクガク震えてなければな…
しかし、なぜかワシらが悪でそれに立ち向かう勇気ある若者的な図式になってねぇか?
「行くぞ!妖よ!!」
「っ総大将!!お下がりください!!」
ワシを守るように雪女、牛鬼、一つ目といった幹部達が構える。
もはや、戦闘は止む無しかと思われたんじゃが、
「泰忠。この人らは悪う妖やない。札を下すんや」
「「…え?」」
奇しくも、ワシと陰陽師は揃ってポカンとしてしまった。
仕方ないじゃろう?
助けた娘がいつの間にか際どい着物を着た遊女みたいな姿になってたんじゃから…
「は?…え!?」
陰陽師の方は何かに気付いたのか顔色がみるみる青くなっていく。
「お、おい!!お前大丈夫か!?」
「しゅ」
「しゅ?」
「酒吞童子殿!?」
「「「ハァァ!?」」」
酒吞童子じゃと!?
羽衣狐の右腕じゃねぇか!?
「何でそんな大物が町娘に化けてんだ?」
「そらぁ、生き肝を狙ってくる妖怪を誘ってたんよ
「ぬ、ぬらちゃん?」
「せや、ぬらちゃんたちもそんな輩かと思ってたんやけど、違ったみたいで良かったなぁ」
「ちなみに、違わなくワシらが襲ったらどうしたんだ?」
ワシが言った瞬間に今まで経験のしたことのない悪寒が走った!!
「そんなん…」
「潰すだけや?」
ゾクゾクッ!!?
「…よかったぜ。襲わなくてな…」
これが、数百年を生きる鬼の棟梁か…
妖怪としての格が違うと肌で分かっちまう…
知らず知らず、ワシは冷や汗をかいていた。
「そんなに、怖がんでもええやない?うち、悲しいわぁ…」
オロオロ目元を抑えて泣いたふりをしているが、何が悲しいだ…
よく見れば、こいつの目は何か新しいおもちゃを見つけたかのように輝いていやがる。
ワシが、呆れた目をして酒吞童子を見れば、流石に空気を読んだのか
「ちょーとした冗談や、冗談。本題はここからや?」
「本題だぁ?」
「二条城に来ない?」
ちょっと飲みに行かないか?みたいな感じで聞いてきやがった…
「しゅ、酒吞童子殿!?」
「何や泰忠?」
「二条の城に連れて行く気ですか!?今は非常事態です!!よくわからない輩を入れては…」
「構わへん。直にぬらちゃんたちと接してみてそんなことする子や無いってわかるんや。それに、見知った顔もおるしなぁ…」
そう言って、酒吞童子はワシの前で構えている牛鬼をちらりと見て微笑んでいる。
牛鬼を知っているのか?
「…」
牛鬼は黙ったままだが、明らかに酒吞童子の顔を見ないように視線を外している。
何だってんだぁ?
「まあ、ええから、ええから。うちについてき?」
まさか、京観光初日からいきなり京妖怪の本拠地に行くなんぞ誰が予想したんじゃろうか?
「京に来る時期を間違えたかもしれんのう…」
ワシは夜空を見上げながら、誰にも聞こえないような小声でそっと呟いたのじゃった。
読了ありがとうございました。
第7話にちょっとだけ登場した土御門泰忠さんが再登場しました!
7話では落ち着いた物腰でしたが今回はまだ、若かりし頃ということもあり、実力派あるのだけど自信が持てないヘタレっぽい感じにしてみました。
また、やっとこぬらりひょんを登場させることが出来ました。しかし、紅葉と言葉遣いが似ている部分があるので口調がマジで大変でした…
もし、言葉遣いで変な部分がありましたら教えてくれると幸いです。
連続はこれで一旦終わりです。
少し間が空くかもしれませんが、次回をお楽しみ〜!