やはり彼に研究は向いていない   作:かんごりん

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第8話

 何故だろう、一瞬時間が止まった気がした。

 目の前では困惑したように少し顔を赤らめたパレートがいる。

 

 「?」

 

 「・・・ひ、比企谷?」

 

 パレートが何故そんな表情をしているのか分からず俺が首を傾げると、パレートは恐る恐ると言った感じで声をかけて来た。

 

 「どうした?」

 

 「い、いや、今のは一体どういう意味だ?」

 

 パレートにしては珍しく動揺しながら俺に問いかけてくる。

 

 「今の?」

 

 「い、今比企谷が言ったことだ。 そ、それはやはりそういう意味なのか?」

 

 「そういう、意味?」

 

 そのパレートの言葉を聞き、俺は疑問を抱きながらも自分がさっき言った言葉を思い出す。

 

 ーーーそんなことないぞ。 俺はパレートが一番だ。

 

 (ん?)

 

 今、自分の言葉の何かがおかしかったような気がした。

 

 ーーーそんなことないぞ。

 

 違うここじゃない。

 

 ーーーが一番だ。

 

 少し足りない。

 

 ーーー俺はパレートが一番だ。

 

 (これだ!)

 

 自分の言葉のおかしな部分を見つけ出し、満足気に俺は頷く。

 だが、満足すると同時にどこがおかしかったのかについて気づく。

 

 (こ、告白みたいになってんじゃねえかぁぁぁ!!!)

 

 そのことに気づいた瞬間、俺は頭を抱えて蹲った。

 咄嗟に叫ばなかったのはファインプレーとしか言いようがないが、これでパレートが動揺をしているのにも納得がいった。

 

 (そりゃそうだよなぁ、いきなり俺みたいな奴にこんなこと言われたら何言ってんだこいつってなるよなぁ)

 

 俺はよく人から目が死んでいると言われるし、容姿が良いとは思えない。

 そんな奴にいきなり告白紛いのことをされても、迷惑なだけだろう。

 そう考えた俺は慌てて頭を下げ、謝罪をする。

 

 「すまないパレート!」

 

 「えっ?」

 

 「どうやら勘違いをさせちしまったらしい」

 

 「勘違い?」

 

 未だパレードは若干理解できてないようで戸惑っている。

 俺はそんなパレートに事情を説明した。

 

 「そ、そうだったのか。 ・・・すまない、こちらの理解能力不足だったな」

 

 すると、それを聞いたパレートはそう言って申し訳なさそうにこちらに頭を下げてくる。

 それを見た俺がいやいや俺の方が悪い、と言うと負けじとパレートもいや私が悪い、などと謙遜しあい、

 

 「・・・ま、まあ。 何が言いたいかっていうとパレートの武器は使いやすいってことだ」

 

 「・・・そ、そうか。 比企谷程の使い手にそう言ってもらえるならそれはありがたいことだ」

 

 結局、息切れするまで言い合ってからこのように言いたかったことを言ってこの話は終わった。

 

 「そうだ、比企谷。 お前に一つ言っておこうと思ったことがあったんだ」

 

 「何だ?」

 

 「最近、エルネスタの奴はお前と同じく転入してきた“天霧綾斗”に対して興味を持ったらしいぞ」

 

 俺はそれを聞いた瞬間、苦い記憶が蘇った。

 

 「おいおい、本当なのかそれ?」

 

 「ああ、なんでも『星導館学園』にいるスパイに渡していた自作の《擬似人形(パペット)》を全部壊されたらしい」

 

 それを聞いた俺は驚きを隠せなかった。

 エルネスタの《擬似人形》はとんでもなく精巧に作られているので壊すのは容易じゃないし、壊す以前にそこそこの実力がないと勝てないレベルの強さを誇ってる。

 そのスパイとやらにどんなタイプの擬似人形を渡したのか知らないが、高性能であることに間違いはないはず。

 

 (それを全部壊す、か。 一体どうやったんだ?)

 

 俺の時とは違って転入生が強いってのは確定しているだろうが、その転入生がどんな奴かは気になる。

 

 

 「パレート」

 

 「天霧綾斗について聞きたいんだな?」

 

 「・・・あ、ああ」

 

 まだ何も言っていないのに一瞬でこちらの意図を理解したパレートのどこが理解力不足なのか真剣にその瞬間考えたが、答えはいつまで経ってもでない気がした。

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