【艦これ×SCP】SCP-5038-HM-EX及びSCP-5039-HM関連資料集 作:宮園レイン
SCP-5038-HM-EX - 深海棲艦
アイテム番号: SCP-5038-HM-EX
オブジェクトクラス: Keter Explained
特別収容プロトコル: SCP-5038-HMはその性質上、全個体の完全な収容は不可能であると断定されました。SCP-5038-HMによる破壊行為と地域の支配が進行した場合、GH-クラス:"デッドグリーンハウス"シナリオ、SK-クラス:支配シフトシナリオ、XK-クラス:世界終焉シナリオなどの複数のKクラスシナリオに繋がる可能性が指摘されています。これを未然防止する為、O5評議会はSCP-5038-HMの破壊を許可しました。
この決定に基づき、財団は自衛隊を含む各国軍と連係し、収容作戦計画-5038-HM「"鎮魂の海"作戦」を展開中です。本作戦には各支部から複数の部隊・部門が参加しており、日本支部管轄下の部隊では、第614特別収容任務部隊(SCTF-614)"蒐集者"及び機動部隊ゆ-12"聯合艦隊"が参加しています。
SCP-5038-HMのいずれかの個体の捕獲に成功した場合、適切な設備のあるサイトまで直ちに移送します。日本支部管轄のサイトでは、サイト81██が収容先として指定されています。武装は可能であれば解除させ、財団標準の人型実体用拘束具によって拘束した状態で特別生物収容ユニットに収容します。
説明: SCP-5038-HMは、人型または非人間型の実体群です。現在までに██種もの種類が確認されていますが、いずれの種も体色が黒と白のみである点は共通しています。明確な出現地点は不明であり、少なくとも海面下4000m以下の深海から浮上して海上に出現することのみが確認されています。実体群は海上で活動する艦艇型と、陸上で活動する陸上型に分けられます。
艦艇型は、身体の各所に火砲、機銃、魚雷発射管、対潜爆雷、飛行甲板などの軍用艦艇の一部に見える部位を保持または内蔵しており、一部の種を除いて第二次世界大戦当時の軍用艦艇と概ね同等の能力を有していると推測されます。
陸上型は、歩兵型と車両型が大半を占めています。これらは艦艇型と同様、第二次世界大戦当時に実在したものに酷似した部位や装備を有しており、能力も実物相当であると思われます。
これら実体群には状況や保有戦力を鑑みた戦略・戦術的判断によるものと推測される行動が散見されることから、一定の知性を有していると考えられます。
収容会議議事録-5038-HM-2013/04/27より抜粋
奴らはこちらの海上戦力の排除より、各国の主要都市の破壊と運河や資源地帯への進出を優先する傾向がある。もし奴らが、ある種の現実改変/歪曲型SCiPであるのなら、そんなまどろっこしいことはせず"現実"を歪めて好きなだけ物資を作り出せばいいし、それができるのなら世界中の海を自分たちの仲間で埋め尽くし、名実ともに人類を物量で"圧殺"することも可能だろう。
しかし、実際のところ奴らはそんな動向は見せていない。確かに奴らの出現で海は以前に増してずっと危険になったが、決して物理的に通行不能になったわけではない。
私が思うに、こちらが資源や人材の都合で行動が縛られるように、奴らの"軍事行動"にも資源などの元手が必要であり、仲間を増やすには資源が足りないのか、もしくは仲間を増やすことで補給が追いつかなくなることを危惧しているのではないか?
SCP-5038-HM実体は物理的破壊に対して高い耐性を持ちます。財団あるいは各国軍の既存戦力によって完全な破壊あるいは無力化に至った事例は██件に留まり、現行兵器による攻撃の効果は限定的であると実証されています。しかし、2013年4月25日のSCP-5039-HM-011を用いた実験中に発生した"事件-5039-HM-1"において、SCP-5038-HMの体組織はSCP-5039-HMが装備する各種兵装によって十分に破壊可能であることが判明しています(詳細はSCP-5039-HMを参照)。
対象の体組織が損傷した場合、損傷箇所から青紫の体液が流出します。この体液は可燃性であり、"腐敗臭と石油の臭いが混ざったような臭い"と表現される臭気を放ちます。この体液を採取し解析した結果、船舶用の重油とヘモシアニン*1の混合物である事が判明しています。
SCP-5038-HMの全長は、人型の場合は通常の人間と同等か、非人間型であっても体長は最大約4m程度*2であり、レーダーやアクティブソナーが対象を捉えにくい直接的な原因であると思われます。また、航行時にも関わらずパッシブソナーが航行音を捉えられなかったことから、対象は高い静粛性を持っていると推測されます。
しかしその一方で、通常の物体と同様に赤外線を放出し、レーザー光を反射することから、赤外線センサーやレーザー目標指示装置によって捕捉可能であることも判明しています。
終端誘導に画像認識誘導や赤外線誘導、そしてレーザー誘導のいずれかの誘導方式を採用したミサイルであれば、SCP-5038-HMを攻撃するのは理論上では可能だろう。
しかしミサイルというのは、言うなれば使い捨ての精密機器だ。SCP-5038-HMを1体無力化するのに何十億円分のミサイルが必要になるかを想像し、その上でSCP-5038-HMの個体総数について考えてみるといい。
私なら、SCP-5038-HMの収容方法が確立する前に財団の物資と資金が底を突く方に賭けるね。
SCP-5038-HMによって制圧された地域では、制圧から約██日が経過した時点で当該地域の海・河川・湖沼などの水が赤く変色し、当該地域全体に原因不明の磁気嵐の発生が確認されました。*3磁気嵐の影響によって全ての観測機器及び通信機器が破壊あるいは無力化された為、調査は事実上頓挫しました。
補遺-2013/05/28: 機動部隊ゆ-12によるSCP-5038-HM-EX支配海域への突入作戦が2013年5月17日に実施され、土壌及び海水サンプルの回収と支配地域の現状確認に成功しました。
SCP-5038-HM-EX支配地域内では、当該地域内に存在していた生態系は消失し、陸地にはSCP-5038-HM-EXの拠点と推測される泊地施設と複数の沿岸砲と見られる構造物が確認されました。これらの地上構造物を構成する物質は、SCP-5038-HM-EXの一部種類に見られる黒い甲殻状の部位の物質と外見的に類似していることから、それらは同一の物質で構成されていると思われます。また、沿岸砲は砲撃によって機動部隊ゆ-12所属のSCP-5039-HM-███及び███を大破させています。以上の事実から、これら地上構造物群もSCP-5038-HM-EXと同一の存在であると推測されます。
採取されたサンプルを解析した結果、通常であれば発見されるはずの微生物を含む生物の全てが発見されませんでした。また、海水サンプルはヒトの血液に近い成分で構成されていることが判明しました。
また、SCP-5038-HM-EX支配地域であった████島は、今回の突入作戦によって島に存在する泊地設備及び沿岸砲をほぼ完全に破壊したことで異常性が消失しました。それに伴い、財団は機動部隊ゆ-12に████島の調査を命じました。
本調査により、当該地域内の消失した動物・植物・微生物を含む生態系の全てが、異常性が取り除かれた後も完全に消失していることが判明しました。また、地上構造物から通路で繋がる地下空間の存在が確認されており、地下███m地点に存在した広間では、非活性状態のSCP-5038-HM-EX新種*4が発見されました。財団は対象の回収を試みましたが、発見から約1時間後に対象の実体は消失し、回収は失敗しました。
発見経緯: SCP-5038-HMは、民間船舶の連続的な行方不明事件に財団が注目したことで発見されました。SCP-5038-HMに関連すると思われる記録は、2012年6月9日に発生した北太平洋上(N██°██′██″ W███°██′██″地点を中心とした半径100km以内)における民間船の行方不明事件が最も古いものであると思われます。2012年6月30日までに██隻の民間船が行方不明になっています。
2012年6月15日、アメリカ政府は海軍及び沿岸警備隊に対して領海内の警戒監視の強化と行方不明船舶の捜索を命じました。
2012年6月26日には、アメリカ海軍艦籍を持つ財団保有艦艇であるミサイルフリゲート4隻で編成された第605特別収容任務部隊(SCTF-605)"ピークォド"*5が当該海域へ派遣されました。当時の編成は下記の通りです。
SCTF-605 "ピークォド"
旗艦 SCPSエイハブ (USS█████████)
SCPSイシュメイル (USS████████)
SCPSスターバック (USS██████)
SCPSクイークェグ (USS████████)
当該海域で調査艦隊の対水上レーダーやソナーは異常を示しませんでしたが、 海上に浮かぶSCP-5038-HM個体*6がSCPSスターバック乗組員の目視によって発見されました。
調査艦隊はSCP-5038-HM個体の確保を試みましたが、対象より砲煙らしき煙の発生が確認され、数秒後には球体状の飛翔体が艦隊に飛来し、艦隊旗艦であったSCPSエイハブの船体右舷側に"着弾"しました。これによってエイハブは中破、乗組員██名が死亡し、██名が負傷しました。後にエイハブの船体を調査したところ、右舷側に破孔が確認されました。映像記録を分析した結果、飛翔体は直径約30mmの砲弾状の物体であると推測されましたが、エイハブの損傷規模から、飛翔体は5インチ(12.7cm)砲弾とほぼ同等の威力を持っていると思われます。
補遺-2012/12/09:
事件記録-5038-HM-1
現地時間2012年12月7日午前7時55分(日本標準時2012年12月08日午前3時25分)、ハワイ諸島オアフ島の上空に正体不明の飛行物体群*7が飛来しました。飛行物体は、オアフ島の各アメリカ軍基地と真珠湾に停泊中のアメリカ太平洋艦隊に対して航空攻撃*8を行いました。アメリカ軍はこの飛行物体群の飛来を事前に察知することができませんでした。*9
本件の発生によってSCP-5038-HMの存在が一般に広く知れ渡った為、オブジェクトクラスがKeterからExplainedへ変更されました。
O5-1による訓示
遺憾ながら、O5評議会は2012年12月24日を以てSCP-5038-HMをExplainedに再指定すると同時に、SCP-5038-HM実体群の破壊を許可することを宣言する。これは財団としては例外中の例外に当たる措置である。我々の理念があくまで"確保" "収容" "保護"であることは変わらず、SCP-5038-HM個体についても、収容方法の確立に成功すれば収容施設にて保護することとなる。
しかし、現状は厳しい。SCP-5038-HM実体群によってハワイ諸島はほんの数日のうちに占領されてしまった。そして現在、SCP-5038-HM実体群は北アメリカ大陸西海岸に上陸し、破壊の限りを尽くしている。頻発する民間船の撃沈やアメリカ合衆国都市部への攻撃・占領行為をカバーストーリーを用いて処理することはもはや不可能であり、財団による各メディアへの情報統制も限界に達しつつある。特に、民間人がネット上にアップロードした目撃情報は確認できた範囲でも1万件を超えており、もはやフィールドエージェントによる情報隠蔽も不可能である。これがKクラスシナリオの序章であることは疑う余地もない。
だが、我々が怖気づくことは許されない。どのような恐怖を前にしても、大多数の人類が正常に生きてゆける世界を取り戻さなければならない。世界は完全に死んだわけではない。まだ生きているのだ。
我々は、世界が闇に覆われることを許容しない。
我々は、世界が無駄死にすることを許容しない。
財団の全職員に告ぐ。
確保し、収容し、保護せよ。
脚注
*1 カニ・エビ等の節足動物、貝やイカ・タコ等の軟体動物の血液中に存在する呼吸色素です。
*2 現在、人型・準人型・非人間型を問わず捕獲に成功した例はなく、正確な測定データは存在しません。この数値は目撃証言や映像記録から推測されたものであることに留意してください。
*3 通常、地磁気の1日の変化は数十nT(ナノテスラ。磁束密度の単位)程度ですが、SCP-5038-HM-EX支配地域内では1日に数百nTの変化がありました。これは太陽フレアの影響によって発生する磁気嵐とほぼ同等の強さです。
*4 後にSCP-5038-HMの分類の細分化が行われた結果、現在では「SCP-5038-HM-EX-AP」通称"泊地棲姫"に分類されています。
*5 一般には米海軍による行方不明民間船捜索の第三次捜索隊として編成された艦隊であると認識されています。"ピークォド"は財団側呼称であり、アメリカ海軍は公式には当該部隊を██████████と呼称しています。
*6 この時確認された種は「SCP-5038-HM-EX-イ」通称"駆逐イ級"に分類されました。
*7 飛行物体についても後に細分化が行われ、この時出現した飛行物体群は下記の三種です。
艦上戦闘機型「SCP-5038-HM-EX-1-A」
艦上攻撃機型「SCP-5038-HM-EX-1-B」
艦上爆撃機型「SCP-5038-HM-EX-1-C」
*8 無誘導航空爆弾及び航空魚雷による攻撃。ミサイル等の誘導兵器らしきものは確認されませんでした。
*9 後に記録された映像から、飛行物体の全長は30cm程度であることが判明しました。その小ささから防空レーダーには探知されなかったものと思われます。