美城家の子供に転生!?   作:お菓子

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第23話 ドームライブ開演

 一度は自分の楽屋に戻ってきたが、メイクや衣装に着替えるには時間はまだあるし、何よりもやらなくてはいけないことがある。

 何かと聞かれれば恒例の楽屋めぐりである、いつ来るか待ってるよりも、相手の楽屋に押しかけるのが僕のスタイル。

 

 まずは以外に時間に厳しくしっかり者のジュピターの楽屋に挨拶に行こう。 数少ない男友達、もはや緊張もなくノックしてドアを開ける。

 

 「やっほー、遊びに来たよ」

 明るく中に入れば、冬馬達ジュピターが寛いでいたが残念ながら黒井社長は席を外してるみたいだ。

 

 「やっほー、ユキ君ってその格好」

 手を上げて挨拶してくれる、天真爛漫な翔太

 

 「チャオ☆ ユキ、刺激的な格好だね」

 二本指でお決まりのキメポーズをする、アイドル王子な北斗

 

 「ユキか、おっさんならいねぇ…何って格好してるんだよ!」

 ダルそうに振り返ったと思ったら、驚いて椅子から落ちそうになった、俺様キャラな冬馬。

 

 ちなみに今の僕はまだ着替えてないので冬馬コスまま、今のリアクションを見るかぎり、やはり着替えなくて正解だったと、心の中でガッツポーズ。

 

 「ジュピターのリーダー、アマガセ ユキマだ」

 冬馬のライブでのマネをして決めポーズを作ってみる。

 

 「あははは、今日のライブ一緒に頑張ろうね、ユキマ君」

 

 「翔太と俺そしてユキマがいれば完璧さ」

 

 「あぁ、僕達ジュピター三人揃えば怖いものなどない!」

 

 「ふっざけんな、お前らーー!!」

 三人でポーズを決めたところで、真っ赤な顔をして立ち上がった冬馬の怒った顔を見てまた大爆笑。

 初めて会った時はここまで仲良くなれると思わなかったけど、翔太も北斗も良い奴だし、冬馬も話してみれば悪い奴じゃなかった。

 

 もう少しからかいたいけど笑いも収まったし、本題へ移らないと

 「あー、面白かった。 いや、今日のライブ舞さんに負けないように頑張ろうって話と黒井社長に会いに来たんだよ」

 

 「おっさんなら、さっき言った通りいないぞ。 何か急いで迎えに行かなきゃいけない奴がいるんだと、ったくライブ前だっていうのに」

 

 「そうだね、ライブまでには間に合うって言ってたけど、黒ちゃんがあそこまで急ぐのもめずらしいよ」

 

 確かに予想通りなら今頃、「日高舞を倒してついでに美城幸高も倒せ、魔王エンジェルなどジュピターの敵ではない。 ここで日本のトップに立つのだ」ぐらい言ってるかと思ったんだけど。

 

 屋内ホールステージで346プロのスタッフからの報告だと、特に765プロに妨害工作してないみたいだし、何を狙ってるんだろう。

 

 「いないのならしょうがない、黒井社長によろしく伝えといて。 後ライブ負けないから、よろしく」

 

 「ふん、俺達の実力で日高舞もユキもねじふせてやるぜ」

 

 「お手柔らかにお願いね♪」

 

 「ユキの女性ファンを俺のプリンセスにされないように気をつけなよ」

 

 やっぱりジュピターは面白いな、黒井社長がいなかったのは残念だけどしかたがない。

 次は行きたいような、行きたくないような微妙な心持になる舞さんの楽屋へ。

 

 ドキドキしながらノックして楽屋へ入ってみれば、舞さん一人かと思っていたら、愛ちゃんも椅子に座りながら苺牛乳を飲んでいる。

 

 「こんにちは、挨拶に来ましたよ舞さん、それとさっきぶりだね愛ちゃん、ライブ見てたよ」

 

 「あら、私も愛のライブ見に行ってて、ちょうどその話をしてたのよ」

 

 「うぅ、ユキさんも見てたんですか、私失敗しちゃって恥ずかしい」

 赤くなって顔を背けてるところがかわいいな、それに比べて舞さんは楽しそうだ。

 

 「うふふ、今の実力がわかっただけでも収穫はあったわね」

 

 「今の私じゃあんな大きな会場で歌うとか無理だったんだよ、だから帰ってから倒れるまでレッスンやるもん」

 愛ちゃんは自分の思い通りにライブ出来なくて少し落ち込んじゃってるな。

 

 「そんなに落ち込むことはないよ。 石川社長もディアリースターズに経験を積ませる意味で出場させたんだと思うし、僕から見ても愛ちゃんは頑張れば伸びるから大丈夫。 後、倒れるまでレッスンやったら駄目だからね」

 頭を撫でながらやさしく言ったら、少し元気が戻ってきたみたいだ。

 

 「はい、次のライブ見て下さい、もっと実力をつけて頑張ります!」

 

 「大変ね、私は失敗したことないからイマイチわからないけど」

 少し元気になった娘の心を折にくる舞さんマジパネェっす。

 

 「ママ、ずるい…」

 

 「でもね、実力って言うけど、高いレベルになると、最後の最後に決め手になるのは実力なんかじゃないわ」

 

 「えっ、何が決め手になるの?」

 親子の真面目な会話を遮るのは無粋だし、僕もこれは聞いておきたい。

 

 「決まってるじゃない自信よ」

 

 「自信?」

 

 なるほど、愛ちゃんはイマイチわかってなさそうだけど、確かに負けると始めから思ってライブしたことはないな。 デビュー当時の頃の自信は曲のおかげだけど。

 

 「そっどこまで自分が信じられるかが一番大事、それがトップアイドルの条件よ。 ユキ君だって今日、私に負けるだなんて考えてないでしょ?」

 

 「勿論です、今の僕は皆のライブ見てボルテージ上がってますから、舞さんにも負けませんよ。 それに一緒にライブする、ジュピターに魔王エンジェルも僕にも舞さんにも勝つって言ってましたよ」

 

 「面白いわね、私とユキ君だけの勝負って聞いてたのだけど、まぁいいわ。 私から見ればまだヒヨっ子だもんね、まとめて相手してあげるわ」

 

 「自信か…いつか私も、それ持ちたい!」

 

 お互いに火花散らすなか、愛ちゃんがやる気の声を出してきた、どうやら今日のことも吹っ切れたみたい。 それじゃ挨拶も済んだしそろそろ戻らないと。

 

 「そろそろ、僕は楽屋へ戻ります、続きはステージで。 それと愛ちゃん、僕達のドームライブをディアリースターズ三人でよく見ててね、きっと良い勉強になるから」

 

 「えぇ、後でねユキ君」

 

 「はい! ママに負けないで頑張ってください。」

 

 まさかの言葉に最後に笑わせてもらった。 舞さんに頬を引っ張られてる姿を見ながらドアを閉めた、さて楽屋に戻らないと、メイクさんや衣装さんも待ってるだろうし。

 

 

 「お待たせしました、和久井さん」

 

 楽屋の中では今日の忙しい人トップテンに入るであろう和久井さんが待っていた。

 なんせ僕が麗華と遊んでる間もドームで行われる全体の流れから資材のチェックと朝から休む間もなく働いてる上に、僕からの我侭で黒井社長が765プロに何か妨害工作をしないかと見張りの手配もしてくれたのだ。

 

 「遅いわよ、挨拶の方は終わった?」

 

 「はい、黒井社長には会えなかったけどジュピターと舞さんには挨拶できましたよ。 魔王エンジェルは麗華によろしくと伝えてますし、大丈夫です」

 

 「わかったわ、それじゃ準備を始めて。 後、黒井社長は最後まで765プロに何もしてないと報告が来たわ」

 

 「ありがとうございます。 やっぱり346プロのお膝元では動けなかったみたいですね」

 少しの嫌がらせの為に、346プロ主催のライブに泥を塗るようなことはできなかっただのだろう、下手をすると敵対行動に見られるしリスクが大きすぎる。

 

 さて、少し予定より遅れちゃったけど、まだ問題ない時間だから大丈夫。 さっそく衣装さんとメイクさんに準備してもらった。

 冬馬衣装も面白かったけど、やっぱりステージ衣装の方が好きだな。 鏡で見ても特におかしなところはない、後はステージ歌うだけだ。

 

 

 目を閉じて集中していく。 開演時間が刻々と迫ってくる、いよいよ日高舞と勝負するのか。

 765プロ・ジュピター・魔王エンジェルと戦うとは思っていたけど、正直、舞さんと戦うのは当初の考えではなかった。

 

 始めは、美城家に生まれたことに気づいて、勝ち組確定と思った。

 折角のアイドルマスターの世界ならアイドルになろう、美城家の力と前世の音楽でトップアイドルになれると簡単に考えたんだよな。

 

 結果は曲は良くても僕の実力不足でなかなかトップアイドルになれず、苦労したし悩みもしたけど、346プロの皆がいてやっぱり楽しかったから頑張れた。

 

 いざトップアイドルになってみれば、また欲が出て今度はこの世界の人にもっと前世の曲を知ってほしいと思うし、僕が歌うよりも本人達が歌えばもっと凄いのに、それに少しでも近づかなくてはいけない、これが今の僕の欲だ。

 

 …大丈夫、曲では負けてないんだ。 僕も成長してるし、346プロの皆も支えてくれる、舞さんにもジュピターにも魔王エンジェルにも負けない。

 集中も終わり、静かに目を開けたら和久井さんがニコニコしながら僕を見ていた。

 

 「機嫌良さそうですが何かありました?」

 

 「フフ、ユキ君も成長したなって思って、デビュー当時は必ず緊張してるから、何とかリラックスさせようと色々考えてたのよ」

 

 「小学生の頃のように抱きしめてもらえれば一発ですよ」

 あわよくば抱きしめてくれないかなと笑顔で答える。

 

 「そうね、将来ユキ君が私と結婚してくれるなら、毎日抱きしめてあげるわよ」

 

 「高校生に何を言ってるんですか」

 

 「フフ、冗談よ。いずれかは考えるけど今は、「今」を楽しみたいの」

 

 苦笑して答えれば、余裕で答えてくる。さすが趣味仕事と言う人だ、本心で仕事を楽しんでいるみたいだ。

 

 「さっ、そろそろ移動しましょう」

 

 もうそんな時間か、さすが和久井さんだ。移動開始前ぎりぎりまで僕に変な力が入らないように面白い会話をしてくるとは、もうプロデューサーランクAの敏腕プロデューサーになってると思う。

 

 ただ、プロデュースするのが僕一人だからランクSの売れっ子プロデューサーにはなれないんだろうな。

 

 「わかりました行きましょう。ドームも満員なんですよね?」

 

 「そうよ、満員どころかドームチケットが手に入らなかった人の為に、屋外ドーム前ステージの巨大モニターにドームライブが映るようになってるわ」

 

 ありがたい舞さんのファンにジュピターのファン・魔王エンジェルのファン、色々な人達がいるけど最高のライブをして、皆を僕のファンになってもらうつもりでやろう。

 

 「もう遅いにゃ、ユキさん。皆待ちくたびれたにゃ」

 

 「ヒーローは遅れて登場するのね、わかるわ」

 

 「フヒッ、親友待ってたぞ」

 

 「遅刻してないよ、ちゃんと時間通りだよ」

 どうやら、今日のステージを終了させたアイドルと、これからドームライブやるアイドル全員が僕を待っていてくれたらしい。

 

 「それだけ皆ユキさんと話したいんですよ、私だってライブでの話をしたかったですし」

 卯月が素敵な笑顔でダブルピースしてくれる。ライブが本当に楽しかったんだろうな。

 

 「皆さん、そろそろ円陣を組んで、エンジンをかけましょう…ふふっ」

 

 楓さんのダジャレをスルーして皆、手を繋いで円陣を作る、人数が多いからドームで歌うメンバーを内側・外側には激励に来てくれたアイドルを。

 

 全員の顔を見渡せば、不安な顔をしてるのは一人もいない。皆、僕が舞さんに勝利して、このライブが大成功すると信じてる目だ…期待に答えるのがトップアイドルだ。

 

 「僕達346プロが伝説のアイドル日高舞を倒す。 そして全員で新たな伝説を作るぞ!」

 

 『オーーーーー!!』

 

 周りにいたスタッフもアイドルも全員が気持ちを一つにして手を上にあげた。

 

 最高の状態だ、ジュピターも魔王エンジェルも日高舞もまとめてかかって来るがいい!

 僕達346プロのドームライブ開演だ!

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