美城家の子供に転生!?   作:お菓子

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第25話 決着

 楓さんと川島さんのMCも終盤、投票方法の説明に入ってる。

 

 「ライブ開始前に練習で投票してもらいましたが、椅子の横にあるボタンで投票を行って下さい。 キャンセルボタンはないので間違って押さないように注意が必要ですよー」

 

 「これで説明は終了、皆わかったかなー?」

 

 返事の歓声が聞こえてくる、今までのライブで気分が高まってるみたいだ。

 こっちも準備は出来ている346プロ主催だから最後のトリを決めるのは舞さんじゃなくて僕になるんだが、正直今のボルテージなら最初でもいいぐらいだ。

 

 「いよいよ、このお祭りの最後のイベント! 伝説のトップアイドル日高舞を越えられるのか!? それともこの時代のトップアイドルを以ってしても伝説を越えられないか!? 」

 

 「「新・旧トップアイドル決定戦スタートです!!」」

 

 二人の掛け声と同時にステージが暗くなり、厳かな音楽が鳴り響き徐々に照明も明るくなっていく中、貫禄のある魔王エンジェルが見えてくる、音楽に合わせ魔王エンジェルのダンスが始まった。

 

 センターの麗華・右にともみ・左にりん、一糸乱れない動きで見ているだけで威圧感が来る。 音楽はどんどん激しくなる、それに合わせてダンスも激しくなっていき、ついに麗華達が歌い始める。

 

 曲は魔王の名に相応しい厳かな曲だが、ダンスは始めの激しさから、かわいさと妖艶さに変わっている。

 表情でも麗華の自信に溢れた顔をし、ともみは無表情の中に表情があり稀に切なさそうな顔を見せる、のあさんのワンランク上といった感じだ。

 そして何より、りんの表現が凄い、挑みかかるような表情の中で色気とかわいさが一つに纏まっている。

 

 さすがだな、今日は色々なステージを見ているがレベルの違いがはっきりとわかってしまう。

 

 一曲目が終わり大歓声が起こるが、そのまま二曲目へセンターがともみに変わり静かに歌い始める。

 りんと麗華が優雅に踊りともみを支え、サビの部分で力強い歌声になり観客を引き込んでいく、他の二人にはない重量感のある音を出せるのが魔王エンジェルのともみのすごさだ。

 

 三曲目にはセンターにりんが来る、今までの曲から一変しキュートでポップな音楽が流れ始める。

 「みんなー! 行っくよー☆」

 

 さっきまでの妖艶さはなくなり、りんの無邪気さとかわいさが際立つ明るい歌を歌い始める。 ともみと麗華のダンスはりんを輝かせる踊りになり、二人もかわいさをアピールしている。

 

 サビの部分では、ともみも麗華も笑顔がキュートな女の子になり、見事にりんの世界を表現した。

 

 りんはとてもかわいい女の子だ、しかしそれだけじゃなく幼さの中にも色気があり、無邪気な中にも冷静さがある、さらに演技もでき計算もできる。

 魔王エンジェルの参謀、強いのは麗華、実力があるのはともみ、甘く見ては駄目なのがりん。 よく346プロのアイドルに聞かれたらそう答えている。

 

 最後の四曲目は再び麗華がセンターに戻り、曲がさわやかでカッコイイ曲になる。 一人ひとりが独立したダンスを踊っているように見えて、しっかりと合わせてきている。

 

 素直にかっこいいと思ってしまう、センターに来た麗華を見てると、やはり魔王エンジェルのリーダーだと思うし、ともみとりんのパートになると、センターが絶妙なタイミングで変わっていく。

 実力があるのはわかっていたけど、ここまで凄いとは…違うな、ここに来てまた成長したと言うべきだな。

 

 曲が終わり大歓声が来た。 魔王エンジェルの強みである誰がセンターに来ても主役になれる上に、どんな曲でも歌える幅の広さをアピール、完璧だった。

 

 これが初代アイドルマスター最強のライバル、何度も765プロを退けた魔王エンジェルだと思いだした。

 

 舞台袖へ戻ってきた三人は輝いており、笑顔で僕に向けてピースサインや手を振ってくる、本人達も満足な出来栄えだったのだろう、まだ僕の番が終わってないから話かけないが、見事だったと拍手を送った。

 

 

 次はジュピターの番だ、アニメのニュージェネのようにステージ下から特殊効果と共に飛び出し派手に登場、ジュピターらしい盛り上げる演出だ。

 

 「まずは俺からいくぜ、しっかりついて来い!」

 冬馬の叫び声で最初から女性からの黄色い声援が響く、まずは冬馬がソロで歌う曲BANG×BANG

 

 リズムを取りながらダンスが始まり冬馬の歌声が響いてく、左右では翔太と北斗がダンスを合わせ冬馬をかっこよく見せている。

 

 相変わらずこの曲は明るくて歌詞がいい、奇をてらわないストレートな歌は冬馬によく合っている。

 

 「次は僕の番、皆いっくよー♪」

 そのまま翔太が歌うソロに入る、曲はOn Sunday

 

 翔太らしいさわやかな曲で、ダンスも曲に合わせてかっこいいよりもかわいいを優先して魅せている。

 男でありながら庇護欲が思わず出てしまうくらいに翔太の魅力が伝わってくる曲だ。

 

 「お待たせ俺のプリンセス達、君達に最高の夢を送ろう」

 

 北斗らしいキザなセリフから始まる三曲目のソロ曲、結晶~Crystal Dust~

 美声が会場中に響渡り、冬馬も翔太も乱れずシックに踊っている。

 

 会場の女性がうっとりと聞き惚れている、見事に王子様を演じきっている姿を見てると、その姿を見てると僕にはまだ足りない所があるとはっきりわかってくる。

 

 最後の曲でジュピター三人がついに揃って歌う。

 「最後の曲だ、お前らの本気をぶつけてこい! Alice or Guilty」

 

 今までの三曲にはない純粋なかっこよさ、何より魔王エンジェルを越えるダンスの素晴らしさ思わず見入ってしまう。

 やはりソロより三人揃ってこそジュピターは強いと思う、それだけに今回の選曲がわからない。

 

 本気で勝ちに来るなら、ソロ曲ではなく四曲ともトリオユニットで歌い、ジュピターの爆発力で一気に魔王エンジェルや舞さん、そして僕を倒しにくるはずだ。

 

 魔王エンジェルを意識した? それなら僕や舞さんへの対応が疎かになる感じがする、黒井社長の真意がわからないな、勝ちに来ずジュピターを宣伝に使ってるみたいだ。

 

 黄色い歓声が鳴り響くなか、ジュピターが舞台袖へ戻ってきた。

 歌いきり満足した表情をしている、ひょっとしたら今回は冬馬達のリクエストでこの選曲になったのかな?

 

 「俺達一人ひとりの実力で勝ってみせる!」とか言いそうだしな、あれで以外に真っ直ぐなところがあるからな、それなら納得できる黒井社長が許したことが驚きだが、これ以上考えてもしかたない、次はいよいよ舞さんだ集中しないと。

 

 

 ジュピターが作った熱気が収まるのを待つように静かな時間が経つが、観客からざわめきが聞こえてこない。 このドームにいる全員が待っているのだ、伝説の日高舞を…。

 

 照明が点いた瞬間に観客席から大歓声が広がる、ステージ中央にいる舞さんを見ると昔を思い出し存在だけで感動してしまいそうな凄みがある。

 

 音楽が鳴り響き、バックダンサーが踊りだすが舞さんは動かない。

 曲調が明るく変わったところで踊り始める、簡単なステップから音楽に合わせ徐々に激しさが増していきながら、ついに歌い出した。

 

 声がドーム中に響き渡る、表情も声もブランクを感じられない。

 いや、若い頃にはなかった音程をさらにが加わり音楽も少しだけ変えている、これは今の舞さんに合わせているのか、小さい頃よく聴いた曲なのにまったく違う印象すらある。

 

 間奏でのダンスも激しさを増し、現役のプロのバックダンサーが四人付いているのにも関わらず舞さんの圧倒的ダンスの前に霞んでしまっている。

 

 そうだ、これが日高舞だ。 昔のライブ映像などで勉強したけど、やはり同じ空間にいると全然違うから嫌になる。

 最後までかっこよく歌いきったが、息も整えず流れに乗ったまま二曲目が始める。 

 

 「ワン、トゥー、ワン、トゥー、スリー、イエー!」

 合図と共にフラッシュの特殊効果と音楽が鳴り響いていく、二曲目は明るく楽しいアイドル曲だ、観客も音に引っ張られボルテージはどんどん上がってきている。

 

 歌ってる最中も歌詞に合わせて表情がコロコロ変わっていき、思わず恋してしまいそうになるぐらいかわいい。

 イタズラっぽい顔から困っているような顔、そして挑発的な笑顔。 年の差なんて関係ない、愛ちゃんのパパになってもいいと思ってしまうぐらい引き込まれてしまう。

 

 危ない危ない、舞さんの世界に引き込まれていた、意識してこれなんだからファンには最高のライブだろう。

 最後まで勢いは止まらず二曲目も終わるが、最後に舌を少し出しながら、かわいくウィンクしたところが特に魅力的だった。

 

 「会場の皆、ひさしぶりー! 帰ってきたよー!」

 会場を揺るがす程の大歓声が響いてくる。

 

 「若い子に負けるつもりないから、応援よろしくねー!」

 歓声のなか三曲目が始まる、ダンスもキレがるしバックダンサーも引っ張られながらも、舞さんの天性のリズムに慣れてきてる。

 

 大人っぽいバラード曲になり、若かった色気が大人の色気に変わり、何というかエロイ。 美波さんよりもエロイ、けしからん、実にけしからん。

 

 最後の曲は勿論、代表曲ALIVE

 三曲目の如何わしい感情が浄化されていく。

 キラキラと輝きとても綺麗だ、今のこ瞬間を目に焼き付け曲が終わった。

 

 ここまで強いとは、魔王エンジェルよりもジュピターよりも上とは思ってたけど、今日は驚きの連続だ。

 新人とは思えない皆の凄さを見て楽しんだら、その上には安定して見れる中堅・ベテランのアイドル達。

 そしてそれを越えるトップにいる僕達、舞さんにも追いついたつもりだったのに、まだ上にいたか。

 

 戻ってきた舞さんの自信に溢れた表情、勝てるものなら勝ってみなさいと言われてるみたいだ。

 

 僕よりも上なのはわかった、でもまだ負けてない。

 舞さんにはない物が僕にはある! 朝から346プロのアイドル全員がバトンを引継ぎながら、ここまで来ているんだ、負けられない。

 まだ曲がないアイドルもイベントショーに出て全力でステージをやり遂げ、新人デビューしたトライアドプリムス・まだ小さいのに頑張ってたL.M.B.G(リトル・マーチング・バンド・ガールズ)・自分の殻を破った卯月と美嘉。

 

 舞さんは持ってない、皆の思いが詰まっているバトンを僕は持ってる。

 後ろにはバックダンサーをしてくれる皆がいるが、舞さんの歌を聴いても動揺せず笑顔すら浮かべて僕を見ている、僕の方が上だと信じてるからだ。

 当然、僕も不安な顔なぞ見せず自信満々な笑顔で返す。

 

 暗くなってるステージに一人進み静かに大きく呼吸する。 大丈夫、僕は負けないここで舞さんを越えてみせる!

 

 

 僕だけにライトが当たり、静かに曲が流れ始める。 最初の曲は{藤井〇ミヤ}Another 〇rion

 

 静かにささやくように歌い始め、徐々に僕の世界を会場にいるファンに広げていく。

 最愛の人を思いながら感情を乗せ、力強くそしてやさしく歌っていく。 間奏のダンスは切なさ、そしてそれでも上を見上げる強さを表現し、最後はこの曲の全てを出し切り曲が終わる。

 

 大きな拍手が鳴り響く中、拍手が終わる前に速やかに後ろにバックダンサーが揃う、メンバーは東郷あい・高峯のあ・ヘレンの○A PUMPのバックダンサーをしてくれたメンバーに加えて、アナスタシアが入った四人。

 

 二曲目は{KinKi Kid〇}硝子の少〇

 全員がキレのあるダンスが一糸乱れず踊れている、ドームの奥まで一人ひとりの顔を見るように、音を届けるように歌っていく。

 

 最前列にいるのは世代交代しても、やっぱりいつも必ずいてくれるメイド隊。

 リーダーは僕を赤ちゃんの頃から世話してくれて、今は寿退社した元専属のメイドさんだ。

 どんな時でも味方で支えてくれる安心感に助けられる。

 

 バックダンサーに何の不安もない、信じてた通り最後を完璧に終わらせることができた。

 

 「ドームにいる皆、そして外でモニターを見て応援してくれてる皆! 今日はこのビッグイベントに来てくれて本当にありがとう! これ程、大きなイベントを皆と過ごせて最高だよ、ラストが近づいてきたけど最後まで全力で行くよー!」

 豪華な今までのアイドル達の競演で、観客のボルテージはすでに最高潮からまったく落ちない。

 

 MCの間にバックダンサーも交代、次のメンバーは十時愛梨・椎名法子・今井加奈そして自らバックダンサーになりたいと志願した島村卯月。

 

 僕を中心に三角形になり歌う三曲目は勿論、{あら〇}スマイ〇

 最初の二曲にはない明るい歌詞と陽気なリズム、卯月の時とは違い会場全体に、笑顔よ届けと歌っていく。

 

 僕に出来る最高の笑顔を、一緒に踊る愛梨さんに法子・加奈に卯月、全員が自分達にできる最高の笑顔でドームの観客も外にいるモニター前の観客にも魅せていく。

 

 皆が歌を聴きながら笑顔になっていくのを見るとどんどん楽しく歌えてしまう、楽しさが弾けて思いっきり踊り、最後まで僕の笑顔が途切れることはなかった。

 

 息を整えながら前の観客も後ろの観客も皆が笑顔で溢れている、もう止められないし止まるつもりもない。

 このままの勢いで最後の曲に入る、曲は{SMA〇} 世界に一つだけ〇花

 

 最後のバックダンサーは日下部若葉に岡崎泰葉・及川雫に乙倉悠貴

 

 言葉の一つひとつに気持ちを込めながら歌っていく、女性だけじゃなく、観客だけじゃなく、346プロ・765プロその他の各アイドルだけじゃなく、今も一生懸命働いてるスタッフだけじゃなく、ここにいる全ての人の為に歌う。

 

 リズムに乗り、やさしさを表現しながら踊り、若葉さんに泰葉・雫・悠貴と一緒に指先を高く掲げて想いを伝えていく。

 

 キラキラ輝いてるのを通り越し、世界が広がってるのを感じながら歌い終わった、ドームを揺るがすような大歓声のなか全てを出し切った満足感に溢れていた。

 

 

 ふたたび楓さんと川島さんがステージ上に戻ってきてMCを行い、気づけばジュピター・魔王エンジェル・舞さんもいた。

 現実感のない夢心地なまま集計が行われ、結果がついに出た…。

 

 何万人の投票の中、魔王エンジェルとジュピターを離し僅差で舞さんに勝り、僕が勝った……大歓声を受けている時に、舞さんが笑顔で「おめでとう」と背中を叩いてくれて、やっと現実に戻ってこれた。

 

 舞さんには僕がどんな状態だったのかわかってたみたいで、笑いながら背中を押され、一歩前に出たところで川島さんから差し出されたマイクを受け取った。

 

 左後方を見れば満面の笑みを浮かべたりんと穏やかな笑顔の麗華とともみが、右後方を見れば口をとがらせ不満げな冬馬と笑顔で祝福してくれる翔太と北斗。

 

 危ない全てを出し切った満足感で素の美城幸高になってた、ステージではアイドルの美城幸高へ、最後まで魅せよう。




 本当でしたらこの話で一気に終わらせたかったのですが、一万字を越えて長くなってしまったので二つに分けます。
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