美城家の子供に転生!? 作:お菓子
観客席からの大歓声が聞こえる、僕のファンは勿論、舞さんのファン・ジュピターのファン・魔王エンジェルのファンも皆が拍手と歓声をしてくれる、こんな気持ちのいいファンの人達にせめてものお返しがしたい。 最高の笑顔と張りのある声を出してく。
「皆の応援のおかげでここまで来れました、本当にありがとうございます! でもこれで終わりではありません、今日の色々なライブを見てわかってると思いますが、新人アイドルから上位にいる全てのアイドル、そして僕も魔王エンジェルもジュピターもまだまだ成長していきます。
これからどんどん、この世界が面白くなっていきますので、各アイドルの応援をよろしくお願いします!」
大声援の中、もう一つ大事な事を伝える。
「今日は僕達アイドルの憧れであり目標だった、舞さんがせっかく来てくれたのでアンコールの意味を含めて最後にもう一曲歌います」
喜びの大歓声が観客席から沸き起こる中、発表される曲は。
「ジュピター・魔王エンジェル・美城幸高・そして日高舞でALIVE」
最後に全員で歌うのは始めから計画されていた。 舞さんが勝ったら、舞さんを先頭で僕達は後方で歌い。 それ以外の場合は勝ったアイドルが舞さんと真ん中に並び、負けたアイドルが左右に立ちALIVEを歌うと。
僕と舞さんが真ん中へ来て、僕の横には冬馬達が舞さんの横には麗華達が、全員でハモリながらALIVEを歌っていく。
全員で一度も合わせていないのにも拘わらず、このメンバーだけあって音程も振付も完璧だ。
ジュピターと僕は女性達の歌を引き立たせ、舞さんと魔王エンジェルが伸びやかに歌い、そしてサビの部分を全員で歌っていく。
横を見ればジュピター・舞さん・魔王エンジェルがいる、キラキラ光る二度とないであろう、最高に楽しいをステージを最高の形で終わらせることができた、万来の拍手の中暗くなりステージの終わりを告げた。
舞台袖へ戻れば感動して泣きそうな和久井さんが抱きしめてくれた。
「おめでとうユキ君、やったわね」
すぐに離れてライブの汗をやさしく拭いてくれる。
「おめでとうございます、幸高さん。お見事でした」
「おめでとう、幸高君。あの幸高君がここまで大きくなるなんて、今日この瞬間に立ち会えたことを誇りに思うよ」
武内Pと涙ぐんでる今西部長も祝福の言葉を送ってくれる。
「今回は譲るけど、すぐに奪いに行くからね」
「ユキ君、歌ってる姿かっこよかったよー」
「うん、おめでとうユキ」
楽しそうに祝福してくれる魔王エンジェル。
「ちっ、だせぇな俺。 次は負けねぇぞユキ」
「おめでとう、ユキ君。 今日のライブ最高に楽しかったよね」
「ユキの新たな魅力を発見したし、これから楽しみだね☆」
相変わらず、いい奴らのジュピター。
「フン、ひとまずおめでとうと言っておこう、幸高君」
「ありがとうございます。今日は勝たせてもらいましたよ、黒井社長」
僕の大好き黒井社長だ、相変わらずキザで有能なのに小物っぽい。 さすがに美城財閥に敵対するのはリスクが高いと思っているのか比較的に友好関係を築いている。
「今回ジュピターは勝つことよりも成長することを優先したまでのことだ気にしないさ、日高舞のような過去のロートルアイドルに勝ったぐらいで調子に乗らない方が良い、本物のトップアイドルを紹介しよう。 新しく961プロに入った本物のオーバーランクアイドルの玲音ちゃんだ」
「やぁ! 始めましてカミイズミ玲音だ、よろしくね」
…嘘だろ、伝説のランクSアイドルである舞さんの試練を乗り越えたら直ぐにオーバーランクが来るとか、海外から日本に帰ってきてたのか。
「ライブ見てたよ、本当に凄かった! アタシも体が熱くなってしまって飛び入りで参加したかったんだけど、キミのところの部長さんやプロデューサーさんに駄目だと止められてね、次の機会まで我慢することにしたよ」
今西部長と武内Pありがとう、体を張って止めてくれたんだろうな、っといけない挨拶しないと。
「始めまして美城幸高です、美城の苗字だと色々あるので、名前のユキかユキタカで呼んでください。 冬馬達も人が悪い、知ってたんなら教えてほしかったよ」
かなりジト目で見たが、ジュピターの三人も混乱してるみたいだ。
「いや、俺達もおっさんから何も聞いてないしな」
冷や汗を出してうろたえてる冬馬に横で頷いてる翔太と北斗を見てるかぎり本当に知らなかったらしい、黒井社長もなんてサプライズしてくるのか。
「あはははは、ドッキリ成功だね。 でも嬉しいんだ、本気でアツい勝負が出来るアイドルがまだまだ日本にいるなんて楽しみだよ」
魔王エンジェルと僕の方を見てくる。 ジュピターは同じ事務所だから入っていないみたいだけど、負けてないのが麗華達の魔王エンジェルだ。 話に入ってこそ来ないが受けて立つと言わんばかりに堂々こちらを見つめている。
そんな姿を見てると魔王エンジェルと舞さんに勝った僕がうろたえてちゃ駄目だよな。
「そうだね楽しみだ、まだランクAだけど必ず追いついて、そして追い越すよ。
後ここにいる僕達だけじゃなくて、今日デビューしたアイドルそして346プロのアイドルもチェックしてみるといい。 玲音を楽しませてくれるアイドルがどんどん出て来てるよ」
「へぇそうなのか、そこまで言うなら見てみるよ。 黒井社長が時間を気にしているみたいだし、そろそろ行くよ、それじゃ!」
「次は負けねぇぞ、ユキ」
「またね、ユキ君」
「チャオ☆ ユキ」
961プロに玲音が入ったか、なかなか本当の意味でのトップアイドルになれないものだ。
でも楽しくはなりそうかな。
「ふぅん、あれがオーバーランク玲音ね、なかなか面白くなってきたわね。 私達も帰って今日の反省会をするわ」
「今日は麗華に譲ったけど、今度二人で遊びにいこうね♪」
「またね」
魔王エンジェルも帰っていったか、しかし舞さんの姿がさっきから見えないな。 過去のロートルアイドル扱いした時点で、黒井社長死んだと思ったのに。
「和久井さん、舞さんはどこへ行ったかわかります?」
「彼女なら、ライブが終わってすぐに楽屋の方に戻って行ったわ。 ユキ君も疲れたでしょ、私達も自分の楽屋へ戻りましょう」
やさしく労ってくれる和久井さんには悪いけど、舞さんにどうしても伝えたいことがある。 少し我が侭を言わせてもらおう。
「舞さんに今日のライブのことで話したいことがあるので、先に楽屋で待っててください。 終わったらすぐに戻ります」
「あっ、ちょ…」
返事も聞かずにダッシュで舞さんの楽屋に向かう、急いだ甲斐がありまだ帰ってないみたいだ。 楽屋では、着替えも終わり静かにお茶を飲んでたみたいだ。
「いらっしゃい、ユキ君。 遅かったわね、いつ来るのかと思ったわ」
「待っていてくれたんですか、961プロに新たに玲音が加わって少し話をしてましてね」
「あぁ、あの子ね、できれば私が現役の時に現れてほしかったわ。 そんな事より立ってないで座ったら?」
やさしく微笑んでいる、どうやら結果に満足してるみたいだけど、なんで納得してるのか、悔しくないのか僕には理解できない。
「舞さん、一つ聞きたいのですけど、悔しくないんですか? さっきのライブ僕のホームだったから、僕のファンばかりだから勝てましたけど、もしオーディションみたいに互角の条件なら舞さんが勝っていたのに…」
舞さんを見れず足元を見てしまう、自分の全てを出し切り、満足感から現実感のない夢見心地だったけど、確かに僕が負けたと思ったんだ。
舞さんが立ち上がり、僕の頭をやさしく撫でてくれる、顔を上げて見るとやさしく微笑んでくれていた。
「バカね、ユキ君だってわかってるはずよ、たとえ自分に不利なステージでも最後は本物が勝つのよ、負けたなら力が足りないだけ。
ユキ君も不利なステージでも負けないでここまで上がってきて、私だって不利なステージでも誰にも負けないで頂点に立ったわ。
あそこにいたユキ君のファンを私のファンにできなかったから私の負け。 自分のファンを守りきったからユキ君の勝ち、だから堂々と胸を張りなさい。
私に勝ったのに下を向くのは許さないわよ」
舞さんの顔はまるで母親のようにやさしく魅力的で、自然に引き込まれるように抱きしめた。
「ちょっ」
驚いてるような声を上げたが、今は離さない。 今日のライブを通して沢山のことを教えてもらった、最初は無茶苦茶な人だと思ったけど、今は感謝しかない。
「はぁ、しょうがないわね」
やさしく僕の背中を二回叩き、静かに離れる。
「まったく、私に旦那が居た時なら大変だったわよ。 狙ってるのは愛じゃなくて私だったのかしら?」
「そんな気もゼロではありませんけど、今のは感謝です。 今日はありがとうございました」
感謝で自然に頭が下がる。
「いいのよ、楽しかったし。 今決めたわ、愛との結婚を許してあげましょう、私の息子になりなさい」
…どうして、そうなった?
「なんでやねん、愛ちゃんと僕が結婚したらお姉ちゃんとも義理の家族になりますよ?」
笑いながら話せば、見る見るうちに苦虫を噛んだ顔になる。
「やっぱりキャンセルにしましょう」
お互いに顔を合わせ笑いが起こる、凄い大きな人だ。 オーバーランクと言われる玲音でもこの大きさはない、僕も346プロの皆を導けるぐらいに大きな人間になりたい。
「話せてすっきりしました、色々勉強させていただきました」
最後にも一度だけ礼をした。
「そう、良かったわ。 私も久しぶりに楽しめたし、愛にも家で少しはレッスンしてあげることにしたわ。 愛のこともよろしくね、あの子そそっかしいところがあるから、何かあったら助けてあげてね」
「任せてください、今回876プロとも友好関係を築けましたし、愛ちゃんも僕だけじゃなくて、346プロのアイドルにも友好関係でいくように伝えます。 同い年の子もいますし、いい友人やライバルになってお互い磨き合うかもしれませんしね」
「よろしくね」
挨拶も終わり笑顔で部屋から出たが、次に会う時が楽しみになるぐらい、舞さんは魅力に溢れたアイドルだった。
今回のイベントは楽しかったし何より自分自身、成長出来たと思う。
舞さんにも善戦出来たことが、いずれ戦うであろう玲音との勝負の時に大きな心の支えになってくれるだろう、将来に思いをめぐらせながら自分の楽屋に戻ってきた。
「おかえりなさい、早く着替えて打ち上げ会場に向かいましょう。 皆もう移動してるし、そろそろ始まる時間よ」
「そうですね、皆を待たせたら悪いですしね」
東豪寺プロや765プロとか友好的な各プロダクション呼んで打ち上げ出来たら楽しいのだが、他会社だから色々と無理なのが残念だ。
着替えも終わり打ち上げ会場に到着したが、パーティーはすでに始まっており、熱気がすごいことになっている。
アイドル全員が一人残らず出演していただけに皆が主役なのだ、食事をしながら初めてステージに立った感想や上手く歌えた・楽しかったと色々なテーブルで話が盛り上がっている、年長組はすでにお酒を飲み始めているし楽しそうに今回のイベントの成功を喜んでいる。
「うふ、ユキさん待ってましたよ、さっ飲み物どうぞ。 今日のライブ凄かったです。まゆ見ていて、もう胸が…」
真っ先に僕が来たことに気づいて近づいてくるまゆに、他のアイドルもどんどん集まってくる。
「あっ、ユキさん来た! あれー?テンション低くなーい?アゲてこーぜー!いえーい♪」
「うっきゃー! ユキちゃん、今日のステージとっっても、きゅんきゅんしちゃったにぃ☆」
「ユキさん、一緒にステージで踊れて最高でした! 思い出しただけでも暑くなっちゃって、上着脱いじゃいますね」
「ユキは今日、ブラックシンデレラの一員なんだから離れるなよ…最後までなッ!」
「大人っぽい、アタシもセクシーだったでしょ★」
「……ユキ…」
うーん、一気に集まってきて、全員で喋ってる聖徳太子の気分だ。
「ユキさんが到着しましたので、もう一度皆さんで乾杯しましょう。ユキさんステージへどうぞ!」
周りの皆からくる大きな拍手に誘われてステージへ移動したが、上から見た皆の笑顔を見て幸せな気持ちになってくる。
「もう乾杯してるみたいなので一言だけ、今日のイベントの大成功は346プロスタッフもアイドルも一人ひとりが団結した結果だと思う、まだまだ強敵はいるけど僕達、皆がいるかぎり346プロは負けない。 今後の346プロと皆の未来に乾杯!」
『かんぱーーーーい!!!!』
アイドルもスタッフもすでに酔っ払ってる人も皆が笑顔で杯を掲げている、手にある飲み物を飲み干したら今日一日よく動いてた為か、一気にお腹が空いてきた。
「ユキさん、白いご飯どうぞ!!」
「中華料理持ってきたヨー」
「やっぱアイドルは肉だよな肉! 折角アタシが持ってきてやったんだから感謝しろよ!」
「い、今の私はシカさん。 プロデューサーから渡された生野菜だって美味しく食べられ…ユキさん、食べてください!」
「スシ!オオトロ!イクラ!ナットーマキ! 全部あるヨ!」
「ドーナツ盛り合わせです♪」
皆のやさしさで料理を取りに行かなくてもよさそうだ。ただ…
「ユキ君、寂しいから、お姉さん達の席来てー!」
「ライブ後のワインは格別よ」
「ユキ君もお酒飲みたいのね、わかるわ。でもまだ駄目よ、二十歳になったら一緒に飲みましょ♪」
「酒は酔うから避けようかな、フフッ♪」
酔っ払いはいらないです、和久井さんを犠牲にして何とか切り抜けることに成功。
和久井さんだって愚痴とかもあるだろうしそのまま年長組の席で楽しんでくれれば嬉しい。
ステージ上ではカラオケ大会が始まっており、仲の良いアイドル同士でユニットを組んで楽しそうに歌っている。
プロデューサー達は立場があるので羽目をはずさないで、基本的にアイドルを見守ってるし、各アイドル思い思いの楽しみ方でパーティーを堪能している。
長かった舞さんとの対決も終わって一息と言いたいけど、新人でライブデビューした765プロ、長年のライバルの魔王エンジェルにジュピター、そして何より961プロの玲音…。
最近の346プロの快進撃もそろそろ終わり、ここからは仕事の取り合いが始まる。 僕一人なら勝ち目はないが346プロには沢山のアイドルがいる、実力だって決して引けを取らない。
これからどんな事が起こるかわからないけど、皆と乗り越えて勝利を掴もう。