あんさんぶるガールズ!〜あんガルな日常〜   作:銀の鈴

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今回はそら先輩の登場です。


第6話「世界の真理」

「ふぅ〜、ふぅ〜、はい、飲み頃だよ」

 

わたしが差し出したお茶を彼が美味しそうに飲み干す。

 

うふふ、どうやら彼の口に合ったみたい。

 

「いや、お前なあ。なに当たり前のように時国にフーフーしてもらってんだよ」

 

アホの姉のほうが彼に絡みだす。

 

どうやら彼女もお茶が熱いらしい。

 

まったく、子供じゃないのだから自分で何とかしてほしいと思う。

 

「はい、これでいい?」

 

――ボチャン。

 

わたしはアホの姉のほうの湯呑みに氷を落とす。

 

「アチいっ!? 時国っ、勢いよく氷を落とさないでくれる!」

 

「はいはい、次からは自分で入れてね」

 

子供の相手は本当に疲れる。でも、これも彼との子供の予行練しゅ……は、恥ずかしいからこれ以上、考えるのは止めよう。

 

「そら先輩、お代わり貰えますか?」

 

「うふふ、もう淹れてあるよ。はい、どうぞ♪」

 

彼はいつも立て続けに2杯飲むことが多いから、一杯目と同時に淹れておいた。おかげで一杯目と違い、わたしが冷まさないでも飲み頃になっている。

 

「あ、うん。ありがとう」

 

「……?」

 

なぜか彼の反応が変だ。どうしたのだろう?

 

どこか残念がっているようにも見える。

 

「あ〜、時国〜、そいつはお前にフーフーして貰いたかっただけだから気にすんな」

 

首を傾げるわたしに気付いてアホの姉のほうがよく分からないことを言う。

 

わたしにフーフー?

 

ああ、なるほど。分かったわ。

 

「お茶がまだ熱かったんだね。お姉さんが気付いてあげられなくてごめんね」

 

いや、その、と顔を赤らめて遠慮をする彼。

 

うふふ、わたしの方がお姉さんなのだから遠慮なんてしなくていいんだよ。

 

「ふぅ〜、ふぅ〜、はい、もう大丈夫だよ」

 

彼が手にする湯呑みに顔を寄せてフーフーをして冷ましてあげる。

 

「う、うん。ありがとう、そら先輩」

 

顔を赤らめたまま、彼はゆっくりと味わうようにお茶を飲む。

 

あれ?

 

まだ、顔が赤い?

 

そういえば、さっきは遠慮のせいで顔が赤いのかと思ったけど、よく考えてみれば遠慮で顔は赤くならないよね。

 

はっ!?

 

この瞬間、わたしは恐ろしい予想に身を震わせる。

 

「もしかして、熱があるの!?」

 

慌ててわたしは、彼のおでこに自分のおでこを合わせる。

 

至近距離で彼と目が合う。

 

彼の頰の赤みが増した気がした。そして、彼のおでこはというと。

 

――とても熱い。

 

その結果は、わたしの恐ろしい予想通りのものだった。

 

どうしてこんな時だけ、わたしの予想は当たるのだろう。

 

外れて欲しかった。

 

彼に苦しんで欲しくなかった。

 

そして、どうしてもっと早く気付いてあげれなかったのだろう。

 

彼は優しすぎるせいで、自分の体調が悪くても周りの人達に気を使わせまいと黙っている人だと分かっていたのに。

 

お姉さんのわたしがちゃんと見ててあげなきゃいけなかったのに。

 

わたしは自分の愚かさに絶望しそうになるけど、今は耐えなきゃいけない。

 

彼を救えるのは、この場にわたししか居ないのだから!

 

アホの姉のほうは、アホだから当てに出来ないのだから!

 

「…なんか突然、嫌な波動を感じたんだけど?」

 

アホの姉のほうが何かブツブツと言っている。挙動不審だわ。やっぱり、アホは当てに出来ないと確信する。

 

「大丈夫だからね、お姉さんに任せておいてね」

 

わたしは彼を安心させるために敢えて穏やかな笑みを浮かべる。

 

本当は今すぐにでも救急車を呼びたい気持ちを抑えつける。

 

きっと救急車を呼んだりしたら騒動になってしまう。控えめな彼は目立ちたくない筈だから、その気持ちを無下にはできない。

 

もちろん、彼の身が一番だからこれ以上悪化するようなら躊躇なく冷静に救急車を呼ぶつもりだ。

 

でも、今はまだお茶を飲む余裕もあるし、目立ちたくないという彼の意向を汲むべきだ。

 

あれ、色々と考えている間にも彼の顔が益々赤くなってきた。

 

ど、どうしよう!?

 

救急車を呼ぶべきかしら!?

 

「時国〜、いつまで転校生とおでこを引っ付けてんだ? 転校生の奴が照れて真っ赤になってんぞ」

 

「はうっ!? ご、ごめんね! 嫌だったよね!」

 

わたしは慌てて彼から離れる。

 

どうしよう!? 彼に嫌われてしまったかも!?

 

「い、いえ、良い匂いもして気持ち良かったですから!」

 

「転校生、お前なに言ってんだ?」

 

「あ、あはは…☆」

 

「笑って誤魔化すな、このスケベめ」

 

よ、良かった。

 

どうやら彼に気持ち悪がられてはいないみたい。

 

それにしてもアホの姉のほうめ、彼に対してスケベだなんて、なんて酷いことを言うの。

 

「お仕置きチョップ…☆」

 

ポコン…☆

 

「な、なんでチョップするんだ!?」

 

「それが世界の真理だから?」

 

「なんだそれは!? 意味不明だけどせめて疑問形じゃなく言い切れよな!」

 

「頭は大丈夫ですか? アホの姉のほうの先輩」

 

「転校生っ、チョップされた頭は大丈夫ですかって聞け! さっきのだとわたしの頭の中身が大丈夫かって聞かれているみたいで不愉快だぞ! それとお前がアホの姉のほうとか言うな!!」

 

優しすぎる彼は、しなくてもいいのにアホの姉のほうの頭を撫でている。

 

…すごく羨ましい。

 

もう少し、強くチョップすべきだったかな?

 

 

 

 

 

 

 

 




あんガルな日常は時系列を気にしていません。ご注意下さい。
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