青の魔剣士   作:フワワ

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遅くなってすいません。
戦闘描写が上手く描けず四苦八苦してました。
それでも微妙だと思いますが。

それと、今更ですが感想ありがとうございました。とても励みになります。


魔具

「ん?」

それは、悪魔の気配を追って施設内を探索しながら悪魔を始末している途中に偶然発見した。屍を切り殺した時にその屍がたまたま落としたもので、元はここの職員と思わしき悪魔の一体が手記を持っていたのだ。それに気づいた燐はもしかしたら、何かがわかるかもしれないと手記の内容を確認する。

 

「職員の日記か。」

 

内容を確認しようにもほとんどが血で汚れていて虫食い状態になっている。だが、その中にも所々読める部分は存在した。それはどうやら日記のようだ。燐はすぐさまその内容を読み進めていく。書かれている事はその日の研究成果の事がほとんどで、役に立つような情報ではなかった。しかしその日記の最後ページ、そこに興味深い事が書かれていた。

 

 

 

○月○日

今日は魔具の実験を行う。人間に高位の悪魔を憑依させる目論見はその全てが失敗に終わった。憑依させようとする悪魔が強ければ強いほど、憑依体に必要な素養は跳ね上がっていく。ましてや憑依させた人間側に肉体の支配権を持たせようとすればなおさらだ。理論上は可能だが、それだけの素体を集めるのは不可能だ。そこで魔具だ。悪魔が封印された強力な武器、これを量産する。本来ならこの手の武器は封印されている悪魔と使用者の間で契約を交わす必要がある。だが、人工的に作られた悪魔ならどうか。質は大きく低下するだろう。しかし莫大な数を揃えることができる。問題は魔具そのものが希少なものであるためデータがほとんどなかったことだが、スポンサーからぜひ使ってくれと、サンプルとして強力な魔具も渡されている。かなり高位の悪魔が封印されているとか。これだけのものを渡されて失敗するわけにはいかない。それにこれが成功すれば、安定した戦力の供給も可能となる筈だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「スポンサーに魔具か・・・」

 

これで確定だ。この研究所のバックにはかなり巨大な組織がいた。魔具なんてものをポンと渡せるような連中など、かなり限られてくる。騎士団以外にそんな事ができる連中など数えるほどしかいないのだから。

 

「行くか」

 

燐は日記を自らの炎で燃やすと進みはじめる。

すでに、強大な悪魔の気配のすぐ近くにまで来ていた。

 

 

☆★☆★

研究所の最奥には、まるでコロシアムのように巨大な施設があった。その中心には円状の台座が有り、周りからいくつものケーブルが伸びている。その台座の上には獣の手足の様な漆黒の具足が置いてあった。

 

燐がそこに足を踏み入れた時、光の弾丸がまるで絨毯爆撃のように降り注いだ。一発一発が凄まじい速度と熱量を持って襲いかかり光弾が着弾した地面は大きく抉れ溶け始めている。その光弾を放った本人は天井に張り付きながらそれを見ていた。トサカを持った黒い獣のような姿には不釣り合いな、まるで天使の様な二対四枚の光る翼を持っている。

 

(あれ?こいつベオウルフじゃね?)

そう、燐が見たその悪魔はデビルメイクライに登場するボスキャラ、ベオウルフそのものだったのである。

燐がその姿を視界に収めながら光弾を横に躱し幻影剣をいくつも飛ばす。しかしベオウルフはその巨体に似つかわしく無い俊敏さで回避しながら地上に降り立ち、お返しとばかりに翼から部屋を埋め尽くすほど光弾を放ち、爆撃による面制圧を行う。これを燐は躱さず倶利伽羅を抜き自分に迫る光弾だけを切り伏せる事で迎撃する。その隙にベオウルフは高速で燐に接近しその勢いのまま巨大な腕で殴りつけた。予想以上の速さに回避出来ず、勢いに逆らわずに自分から飛ぶ事でダメージを最小限に止める。衝撃と痛みが燐を襲い動きを止めようとするが、燐は無理矢理それらをねじ伏せて即座に駆け出す。次の瞬間には燐がいた場所が凄まじい音を立てて爆発した。なんてことはない、ベオウルフが驚異的な速度で突っ込んで来たのである。それを見た燐はそこへ次元斬を放つ、がしかしベオウルフは上空へ跳び上がることでそれを回避し光弾を放つ、燐もそれに合わせて幻影剣を放つ事で迎撃する。次々に爆発音が響き周辺を溶かし、吹き飛ばし、破壊し瓦礫の山に変えていく。

 

(このままでは埒があかない。)

 

そう判断した燐は自分から攻めようとする。エアトリックで駆け抜けて、疾走居合で斬りつけるが浅い擦り傷程度のダメージしか与えられず、次元斬を放とうとしても即座に跳び上がり天井へ張り付き離脱される。あれを確実に仕留められるのは次元斬だけだが、次元斬を放つには一瞬の溜めがいる。普段は気にならない程度の僅かな隙だが、あの機動力ではその一瞬の隙を突かれて先程の様に回避されてしまうだろう。さらに此処は広いとはいえ密閉された地下施設、壁や天井に張り付くことで三次元的な動きを行いその機動力を存分に活かせるベオウルフに有利なフィールドだった。

ーーー強いな、と胸中で呟くと同時に口角が上がる。今まで燐が戦って来た悪魔の中でもかなりの強さだ。そもそもこれ程の上級悪魔と巡り合う事自体が稀なのだが、燐は知っている。この悪魔より上の存在を、自分の実父を始めとした悪魔の権力者達の存在を。だがそれらと出会う機会自体が極めて稀だ。燐だってまだ一度も出会った事がない。そして、それらの存在は目の前の相手よりはるかに強大な力を持っている。

故に、この程度の相手に苦戦する訳にはいかないーーー。

そう決めて鞘に収めたままの倶利伽羅を強く握りしめ(ちから)を込め、居合の構えを取る。それを見てベオウルフは燐に向けて再び光弾を放つ。それを見て燐は躱すことなどせずそのまま抜刀し次元斬を放つ。抜刀する前から莫大な炎を込めたそれは今までとは比べものにならないほどの破壊力だった。青い斬撃は天井に巨大な傷跡を作り出しその周辺には亀裂が入っている。咄嗟に横にかわしたベオウルフも、脆くなった天井がベオウルフの体重を支えきれずに軋み始める。そこへ幻影剣を飛ばし爆破する事でベオウルフのいた場所が破壊されそのままベオウルフも落下する。ベオウルフも即座に空中で体制を整え着地しようとするが、

 

「ーーーそこだ!」

 

ベオウルフが着地するタイミングを狙いエアトリックで接近する。それを見てベオウルフは腕を振り上げて落ちてくる勢いをそのままに叩き潰そうとするも燐は至近距離から事前に用意していた次元斬を放つ事で正面からそれを迎え撃った。

獣の腕が宙を舞う。それだけでなく背中の翼も片方の二枚が半ばから切断され不恰好な姿と化したベオウルフが絶叫をあげる。怒り狂ったベオウルフはすぐに自分の腕を切り落とした男を残った腕で潰そうとするが、その時目に激痛が走った。怒りに飲まれたベオウルフの隙をついて眼に向かって神速の居合斬りを繰り出したのである。いかに頑強な外殻を持つベオウルフでも眼球まではそうはいかない。思わぬ痛みに後ずさるベオウルフ。

 

「これで終わりだ」

 

そう言って燐は再び至近距離から次元斬をベオウルフの首へ向かって繰り出した。

 

カチン、と刀が鞘に収められた音が鳴り響いた時、首の無い悪魔の死体から血が雨の様に吹き出し倒れ、やがて光の粒子となって中央の具足へと吸い込まれた。

 

 

 

 

 

 

☆★☆★

いや〜ベオウルフは強敵でしたね!

まさかこの世界でベオウルフに会えるとは思いもしなかったよ。

さて、それでは調査を再開するとしますか。

倒した悪魔は本来、消え去るだけなのだがベオウルフは消えるのではなくあの具足にまるで吸収された様だった。

ベオウルフを倒した後中央の具足を調べようと俺が近づくとその具足が光となって俺の手足にまとわり付いた後、元の形を取り戻す。獣の手足の様な漆黒の具足は、最初の漆黒とは違い光の様なラインが輝いていた。予想通りといえば予想通りだったが、どうやらこいつが日記を書かれていた強力な魔具で、ベオウルフを倒した俺は正式な契約者として認められた様だ。ーーー完全にデビルメイクライのベオウルフですね。

憧れの武器パート2を手に入れて心の中で狂喜乱舞していた俺だったのだが、パチパチパチとその場に似つかわしくない拍手の音が聞こえた。

 

振り向くと、其処にそれはいた。

 

ベオウルフとは比較にならない強大な存在感に冷や汗が止まらなくなる。

なぜ、今まで気づかなかった?

俺はそいつを前世の知識から知っていた。

軍服の様なデザインの服を着て仮面を被っている。その後ろからは悪魔の弱点の一つである尻尾が覗き、人でない事が丸わかりだ。

 

「お見事ですね。流石と言った所でしょうか。」

 

啓明結社イルミナティ総帥

 

虚無界の実質的な最高権力者

 

光の王ルシフェルが、其処にいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は出来るだけ早く投稿したいです。
出来れば一週間以内に。

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