ウォーシップガンナー艦これ  白鉄の艦隊   作:タオモン3

5 / 18
戦闘シーンはむずい。それだけです。


戦闘

『現在……メーヴェⅠ(アインス)……高度7000を……130キロで飛行中。不明艦隊……進路変わらず……約20ノットで……本艦に接近中……です』

「ありがとう、船務――」

『――こちらメーヴェⅠ! センサーカメラの視認距離に入りました。報告します。不明艦群は深海棲艦。繰り返します深海棲艦です!』

 

航空機長からの通信を聞いていた全員に緊張が走る。

 

「間違いはない?」

『はい! 空母1、戦艦2、駆逐艦3隻の空母戦闘群です!』

「航空機長、センサーカメラの表示画面の情報を私に送って」

『了解、センサーカメラデータ送信』

「っ!」

 

送られてきたメーヴェⅠのセンサーカメラは遥か眼下に点在する6つの物体を捉えていた。

魚類のような形をした異形の生物3匹を先頭に、幽霊船のような外見をした戦艦と空母が後に続く。

すぐさまシュヴァンフヴィードは艦種の特定を始めた。

――データ照合中…………完了。

先頭を行く生物は駆逐イ級、前部に2門、後部に1門の3連装砲を積んでいるノースカロイナ級戦艦は戦艦ル級。中央に守られているヨークタウン級空母は空母ヲ級と断定された。

 

「総員戦闘配置」

「はっ! 総員戦闘配置! これより我が艦は深海棲艦戦闘群と戦闘に入る!」

『CIC……了解。全システム戦闘モードに移行。砲雷長、ウェポンチェックを』

『了解であります。主砲、副砲、準備より。両用砲装填。ガトリング砲スピンアップ、異常無し、装弾完了。VLS発射回路接続――戦闘準備完了』

『機関室、ダメージコントロール要員準備よし』

『見張り員準備良し』

「かんちょー、戦闘準備完了です」

 

戦闘態勢にシュヴァンフヴィードは入った。

 

 

 

時同じくして、機動戦闘群の旗艦ヲ級は、寮艦ル級が水上レーダーで不明艦船を捉えたと知らせを受ける。この海域は自分たちの庭であるが、単艦での出撃をした船舶の情報はなかった。

不審に感じながら、彼我の距離50000まで近づいたあたりでル級から再び通信が入る。

 

『不明艦ハ艦娘! 間違イナイ! 戦艦クラスダ!』

 

聞いたヲ級は困惑。なぜ自分たちの領海内に敵が居るのか。しかもこんな深くに単艦。

 

(ナゼコンナトコロ二? シカモ一隻デ……)

 

謎が謎を呼び込み、思考が混乱するが(コレハチャンスダ!)と

考えた。

相手は1隻、空母航空機もない丸裸。こちらは圧倒的有利な航空戦力と戦艦2隻と護衛の駆逐艦が3隻。これを沈めれば、自身の名声と上位の深海棲艦からの恩賞があるかもしれない。

そう思いついたヲ級は不敵に笑う。

 

 

「了解。旗艦ハ艦載機ヲ飛バシテ後方二待機スル。戦艦ト駆逐艦ハ前進ダ」

『『了解』』

 

ル級とイ級は速度を上げ、突き進み、ヲ級は小回りに風上へ艦首を向ける。

 

『艦載機発艦シロ!』

 

カンっと手にしたステッキで床を叩く。

すると、甲板上から黒いヘドロが浮き出、艦載機の形を成していく。しかし、それは飛行機とは名ばかりの黒い物体に機銃と1門と爆装を2発つけている。異常なことに翼がなく、上顎のような白い歯と舌が見える。

 

『イケ! 艦娘ヲ水底二沈メテコイ!』

 

異形の艦載機はエンジンもなく浮遊し、シュヴァンフヴィードに向け飛び立った。恨むなら単艦でアルフォンシーノ方面に来たことを呪えと。

しかし、ヲ級は軽率であった。

自分たちの常識を遥かに超えた存在に弓を引いてしまったのだから。

 

 

 

 

メーヴェⅠのセンサーカメラからは艦載機が次々飛び立たち、シュヴァンフヴィードに向けていく様子が映し出される。

 

『彼我の相対距離……約45000――っ! 敵艦隊……から艦載機……発艦…………数30……約8分でくる』

 

瞬間、対空レーダーには小さな光点が表示された。

 

「VLSで空母を叩き、砲撃戦で残りを殲滅する。対空戦闘用意。主砲、キャニスター弾装填。VLS発射管扉開放、弾頭多目的、ミサイル3本連続発射用意」

『主砲対空キャニスター弾装填了解でありますが、ミサイルは3本でよろしいのですか? 重力電磁障壁は最低でも対艦ミサイル10発以上の飽和攻撃が必要かと具申いたします』

 

砲雷長の意見にも一理あった。重力電磁障壁は最低の出力の物でミサイル1、2発を防ぐことが可能である。

生前、ウィルキア反乱戦争が終結してからは駆逐艦にも装備され、ロングレンジからの殲滅戦は容易ではなかった。

特に空母は戦術的重要性から高出力の重力電磁障壁は発生装置を搭載されていた。

だが、この程度の戦力にミサイル10本以上を使用するまでもなく、艤装の戦闘に慣らすことをシュヴァンフヴィードは優先した。

 

「わかっている。けど、この程度の戦力に本気を出すまでもない。逃げるのなら逃がして」

『了解。VLS発射管扉開放! 一番から三番ミサイル装填――ロックオン』

「発射」

「発射了解!」

 

砲雷長は発射スイッチを押す。

ゴォオオオオッ!!

前部に搭載されたミサイルサイロから3発の多目的弾頭ミサイルは噴煙上げ、放たれた。

艦橋が発射の衝風でガタガタと揺れ、まぶしい光が差し込み、白煙が巻き上がる。ミサイルは950キロまで加速し、目標に向け飛翔する。

 

 

 

 

前進していたル級の戦隊は、主砲16インチ砲の射程まで迫っていたが、航空機隊の攻撃を待っていた。

自分たちは航空機隊が沈め損ねた手負いを沈めることが役割であった。

 

「シカシ、ナントイウ艦ナンダ」

 

近づいて行き、その全体がはっきり見えた時に、シュヴァンフヴィードの白銀に輝く船体にル級1は言葉を漏らす。

その時、船尾方向から上空に3つの飛翔物が打ち上げられた。

飛翔物は真っすぐこちらに向かってくる。

 

「ナンダアレハ?!」

 

飛翔体のあまりの速さに驚きながらすぐに対空砲火を張る、が飛翔体は戦隊の頭上を通り越していく。その方向は旗艦がいる方向だった。嫌な予感がル級1の脳裏をよぎる。

 

「コチラル級1! ヲ級旗艦、謎ノ飛行隊ガ其方二向カッテイマス!」

『ナニ? レーダー二ハ――』

 

ぶちっと通信が切れ、ノイズだけが響きル級は血の気が引いた。

防空艦橋に出て後方を見ると、薄っすらと黒煙が伸びていた。

――間違いない。アレにやられたんだ。

言い知れない恐怖がル級1の心臓を鷲掴みにした。

 

『ネエサン……ヲ級旗艦は……』

 

妹のル級2のはっと声に我に返る。

 

「……恐ラク、サッキノ奴等二ヤラレタンダ」

『タッタ3ツノ飛翔体デ空母ガ撃沈?!』

「通信ガ途絶エタンダ……其レ以外二何ガアル!」

 

ル級1は怒鳴った。

自分でも信じられないが空母が沈んだのは事実だ。敵は我々が知らない、未知の兵器を搭載している。

そう確信した。

旗艦が沈んだことにより恐らく指揮権は自分に委譲する。

僚艦を従え戦闘を継続するかするか、あるいは……逃げるか。

ル級1は意を決し決断した。

 

「ル級1ヨリ全艦ヘ、ヲ級旗艦ノ弔イ合戦ヲスル! 全艦最大船速! 我二続ケ!!」

 

 

 

 

『こちらメーヴェⅠ。敵空母にミサイル全弾命中。空母は炎上し機能は停止した』

「了解、メーヴェⅠ。引き続き敵の索敵行動を続けて」

『メーヴェⅠ了解!』

『こちら防空艦長、敵航空機群接近! 右舷0―1―0、高度6000、距離12000! 』

「了解」

 

シュヴァンフヴィードは取り舵をして横腹を敵機にさらす。

 

「主砲1、2番右旋回」

『了解、主砲旋回。射撃レーダー、敵編隊を補足。仰角15、散布角3――』

 

そして、

 

「――撃て」

『主砲一斉射――撃ぇええっ!!』

 

51センチ砲が轟音を発した。凄まじい反動が巨大な艤装をやや傾斜させる。

6発の砲弾は一直線に敵機に突き進み、半径15メートルに入ると近接信管が作動、破裂し爆風で砲弾内の1000以上の小砲弾が四散して降り注ぐ。

敵機は胴体に数十の小砲弾が殺到し、ハチの巣にされ、搭載された機銃の弾薬と爆装が誘爆を起こす。

たったの一斉射で全体の6割を撃墜した。

 

「ひゃっはー最高だぜー!! 12.7センチ両用砲の追撃を食らえ蚊トンボども!」

 

ハイテンションになった砲雷長はトリガーを引いた。

両用砲の追撃が敵機に襲い掛かる。砲弾は無論、近接信管内蔵である。

 

「砲雷長……もっと……考えて撃って」

「弾をばらまくのもセオリーだ! 撃って撃って撃ちまくれ!!」

「アイマム!」

 

船務長の静止をはねのけて、部下と共に射撃トリガーを引きまくる。

その度に、敵機は木の葉の様に爆風に揉まれたように撃墜されていった。

 

 

 

『航空機部隊ガ全滅シタ?!』

「アレヲフ普通ノ戦艦ト思ウナ! 駆逐艦ハ突撃! ワタシトル級2ハ旋回シテ前後砲デ攻撃スル!」

『リョ、了解』

 

 

 

『敵航空機群……全滅を確認。敵艦……駆逐艦……イ級3隻が突出……してきます。戦艦ル級は……28000で右へ回頭』

「砲雷長、主砲1,2番徹甲弾装填」

『了解! 徹甲弾装填――』

『敵艦発砲!』

「機関長、重力電磁障壁発生装置起動」

『了解だ!』

 

シュヴァンフヴィードの艤装全体を不可視の膜が包み、16インチ砲の直撃弾を防ぐ。

 

『フィールド消耗率8パーセント。想定内の数値だ』

 

黒煙の切り裂き、シュヴァンフヴィードの主砲はル級に向けられる。

 

「目標先頭のル級戦艦、主砲斉射、撃て」

『撃ぇえええ!!』

 

51センチ砲が放たれ、4発の砲弾は前後部それぞれ2発ずつ全弾命中、装甲を易々と貫通して内部で破壊の限りを尽くす。

前部の主砲2基が破壊され炎上、後部に命中によって機関が損傷した。

最早、戦闘能力は失われた。

攻撃がル級に向けられている間に、駆逐イ級は背に付けられた5インチ連装砲で砲撃を敢行するが、シュヴァンフヴィードの重力電磁障壁を破ることはできない。

 

「砲雷長、両用砲で駆逐艦を一掃して」

 

冷ややかな声が砲雷長に届く。

 

『了解。副砲、両用砲撃ち方よーい――撃ぇええ!』

 

叩き込まれる10門の砲火に、駆逐イ級3隻は黒青い体液をまき散らして爆散した。

残ったのは大破炎上中のル級と無傷の、同じくル級のみ。

しかし、無傷のル級は砲撃を止めて、もう一隻に並行した。

 

「変ですね。撃ってきません」

「…………メーヴェⅠ、上空から何か見える?」

『はっ! 敵艦はどうやら味方を救助している模様です』

「なら……いい。私たちは先を行く。メーヴェⅠを回収後、海域より離脱する」

 

その時、大破したノースカロライナが大爆発を起こし、並行していた艦も巻き込まれ誘爆して沈んでいく。

 

「なんと…………」

 

あまりの光景に副長は言葉を失う。

敵であるが、悲惨な最期を遂げた瞬間は皆同じく後味が悪いものだ。

しかし、

 

『メーヴェⅠ! ル級と思われる2名の深海棲艦を海上に確認した』

「……かんちょーいかがします?」

「…………救助に向かう。内火艇を下して」

「かんちょー……はっ! 直ちに!」

「医療班の準備も」

「了解!」

 

こうしてシュヴァンフヴィードの海戦は終わった。

撃沈は空母1、戦艦1、駆逐3。撃墜は航空機30機。

そして捕虜を2名であった。

 




感想誤字脱字なんでもまってます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。