思いつきシリーズ   作:ベンジャー

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乃木若葉は勇者である 流星の章 その3

この「樹海」の中で動くことが出来るのはこっそりと若葉の様子を伺っていた一郎を除けば神樹によって選ばれた勇者達のみ。

 

つまり、今この世界にいるのは若葉、珠子、杏、友奈、千景の5人であり、友奈、千景、球子、杏は若葉に合流。

 

「それにしても、これが樹海化か……。 この結界で四国は守られてるんだよな?」

 

全員揃ったことと球子の言葉を聞き、若葉は念のために改めてこの樹海という世界はどういったものなのかを一同に説明する。

 

「だが、忘れないでほしい。 その防御は絶対じゃない。 樹海化は諸刃の剣だ」

 

若葉が言うにはこの樹海はあくまで現実世界での被害を「最小限」に抑えるための手段であり、樹海が過度の損傷を受ければその分だけ現実世界で災害や事故の形でフィードバックされてしまうし、それだけではなく長時間の樹海化で神樹の霊力が枯渇すると霊力による恵みで自給自足している人々が生活できなくなってしまう。

 

ただ基本的にバーデックスやエレメントはこの世界を破壊することが目的ではあるが、樹海を攻撃するようなことはしないらしく、基本的には人間を優先的に襲ってくる。

 

「だからみんなで協力して迅速に敵を打ち倒すんだ」

 

若葉は一同に向かってそう言い放つのだが……。

 

「みんなって……戦えない人もいるんじゃないの?」

 

チラリと千景はこの中でも最も大人しく、最も戦うことを恐れている杏を見ながら言い、そんな千景の発言に杏はビクっと肩を震わせる。

 

「そんな体たらくで戦闘なんて……」

「郡さん! 言い過ぎです!!」

 

そこで若葉に注意され、黙り込む千景。

 

「伊予島も……怖いのは分かるがもうちょっと……」

 

また若葉は杏にも注意するように言うのだが、そんな杏を庇うように球子が前に立つ。

 

「もういいだろう!! 無理強いするなよ!!」

 

その瞬間、若葉は一郎に「真面目が過ぎる」という言葉を思い出し、彼女は「またやってしまった」と思いすぐに「すまない」と謝罪。

 

しかし、そんな彼女に千景からのキツめの言葉が届く。

 

「兵の土気高揚指揮官の努め、リーダーの資質が足りてないのではないかしら?」

 

そんな重い空気を止めるかのように友奈が一言声をかけた。

 

「みんな! 仲良しなのは良いけど、話し合いは後にしようよ!」

「「「はぁ? 仲良し!?」」」

 

友奈の言葉に若葉、千景、球子が驚いたような表情を浮かべ、友奈は「だって喧嘩するほど仲が良いって……」と言うのだが、それを聞いて若葉達は「違う!!」と否定。

 

「で、でもさ! 喧嘩の原因(バーデックス)がそこまで来てる! 喧嘩するならアイツ等だよ!!」

 

その言葉に、若葉達は「確かに友奈の言う通りだ」と一同は納得し、若葉以外の4人は変身するためにスマホを取り出す。

 

「じゃあみんな? 準備はいい? みんなで仲良く勇者になーる!!」

 

そして彼女等は勇者に変身するためのアプリを起動させ、千景、友奈、球子はそれぞれ変身を完了させるのだが……。

 

ただ1人、臆病なところのある杏だけは戦うことへの恐怖心から変身することができないでいた。

 

「ご、ごめんなさい……!」

「気にすんな、タマ達だけで十分だ!!」

 

そんな杏に珠子は自分の胸を叩いてそう強く言い放つ。

 

(やはり、戦う覚悟がないと変身は難しいか……。 だが、戦えない者がいても構わない、リーダーとしてその分も私が戦うだけだ!!)

 

すると若葉は突然千景に「さっきはすいません」と謝罪する。

 

「言葉で示すべきではありませんでした。 だから私は今から……行動で示そうと思います!!」

 

若葉は千景にそう言い放ちながら彼女は先陣を切って迫り来る大量の小型のバーデックス、「星屑」達に突撃し、接近すると彼女は一気に生大刀を振るって切り裂く。

 

「勇者達よ!! 私に続け!!」

 

若葉の言葉に従うように、友奈と球子も戦闘を開始する。

 

友奈は拳で星屑を「天ノ逆手拳」という手甲型武器を装備した拳で貫き、球子は旋刃盤型の武器「神屋楯比売」に刃を展開し、ワイヤーを伸ばして星屑達を切り裂いていく。

 

(しかし、バーデックスはそれなりの数がいるが……エレメントらしき個体は見当たらないな……)

 

若葉はどこかにエレメントらしき怪物がいないか辺りを見回しながら敵を倒して行くのだが、未だにそれらしき個体は見当たらない。

 

そんな時だ、エレメントを探している途中……球子の背後からかつて若葉の前に現れたあのミミズの怪物が地中から出現したのは……。

 

「土井さん!! 後ろだ!! クソ!! まさかまたこいつだとは……!!」

「っ!?」

 

ミミズの怪物は彼女の手から武器が離れる隙を狙い、その大きな口を開けて彼女を飲み込もうとチャンスを地中から伺っていたのだ。

 

ミミズはそのまま一直線に球子を丸呑みにしようと向かって行くのだが……。

 

しかし、その時……ミミズの怪物はどこからか放たれた「金弓箭」と呼ばれる矢が次々に突き刺さり、そこにはクロスボウを持った勇者に変身した杏の姿があるのだった。

 

「タマっち先輩を助けないとって思ったら、変身……できちゃった……」

「あんず……よーし!! タマが前に立つから援護してくれ!!」

「うん!!」

 

照れ臭そうに話す杏だったが、珠子はそれを嬉しく思い、彼女等は共に星屑達に立ち向かう。

 

だが、ミミズの怪物は一体だけではない。

 

地中からはさらに次々と新たなミミズの怪物達が現れ、その数はざっと12体ほどである。

 

「お、おい! 若葉、こいつ等お構いなしに樹海の地面から次々出てきて穴ぼこにしちまってるけど……これ元の世界大丈夫なのか!?」

「くっ、恐らく被害は出ているだろう……! やはりこいつは厄介だな……!! 一体何匹いるんだ!?」

 

しかも、ミミズは基本地面の中にいるのでは迂闊に手を出すことができない。

 

ミミズが明けた穴を通って地中で戦うという手もあるが……それはあまりにもリスクが大きすぎる。

 

その為、若葉はどうやればなるべく樹海を傷つけず、尚且つミミズを全て倒す方法を考える。

 

「兎に角!! 今はこのミミズ共やバーデックスを倒すしかない!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……遠く離れた位置で千景は……何も出来ず、動けないでいた。

 

別に敵になにかされた訳ではない、だが……彼女は「恐怖心」故に、動けないでいたのだ。

 

(伊予島さんだって戦っているのに……。 あんなに責めてしまったのに、どうして……どうして身体が動かないの……!)

 

千景は先ほど、臆病な杏に対して「戦えない人もいるんじゃないの?」と嘲笑気味に言ってしまったことを後悔した。

 

今となっては自分の方が恐怖心で動けなくなってしまったのだから当然だろう。

 

そんな彼女を心配してか、千景の元に友奈が駆け寄る。

 

「ぐんちゃん! どうかしたの?」

「高嶋……さん……。 ごめんなさい、私、偉そうなこと言ったのに……なのに……!」

 

友奈は千景がカタカタと身体を震わせていることに気づき、彼女は心配そうな視線を千景に送るが……すぐに笑みを浮かべて左手で千景の右手を握る。

 

「大丈夫だよ! 私が側にいる! 一緒に行こっ!!」

 

そう言いながら友奈は千景の手を握ったまま2人で一緒にジャンプし、真っ直ぐベ巨大ミミズに向かって行く。

 

「た、高嶋さん前に敵!! しかもあんな大きいの……!」

 

するとミミズも友奈達に気づき、牙を向き出しにして襲いかかろうとするのだが……友奈はそれを足を振り上げてミミズの顔を弾き、一度地面に着地してから再びジャンプ。

 

そしてそのまま真っ直ぐ向かって行き、拳をミミズに叩き込む。

 

「勇者パーンチ!!」

「グギャアア!!?」

 

それを喰らってミミズは倒れ込み、さらに続けざまに友奈は星屑の1体もオマケ感覚に拳一発で貫いて倒す。

 

「こんな奴等に私達は負けない! ぐんちゃんも自分の力を信じて!!」

「……っ」

 

友奈の言葉を受け、千景は自信を取り戻し、地面に着地すると同時にそこにいた星屑の1体を「大葉刈」という大鎌で真っ二つに切り裂く。

 

「……私にもできた……」

「その調子!! どんどん行こう!!」

 

友奈に励まされ、笑みを浮かべる千景は「うん」と頷くのだが……その時、千景の目に星屑達やミミズ達と戦っている若葉の姿が映る。

 

「凄いよね若葉ちゃん。 戦闘で敵を引きつけて1番多くの敵と戦ってる。 認めてあげても良いんじゃ無いかな?」

「……そう、だね……」

 

千景は今までどこかしら若葉に反発していた傾向があった。

 

しかし、今の友奈の言葉を受けて彼女は少しだけ、若葉の力を認めようかと思うのだった。

 

「はぁ、はぁ……おい! あの丸っこい奴等はほぼ倒せて来たけど、あのミミズ全然数が減ってねえぞ!?」

 

球子の言うように、若葉達は()()()()1()2()()()()()筈なのに()()()()()()()1()2()()おり、あのミミズ達は最初と全く数を減らしていないのだ。

 

「もしかしたら……」

「どうしたんですか?」

 

そんな彼女の様子に気づいてか、隣に立つ杏が若葉に問いかけると若葉は杏にある1つの可能性を説明する。

 

「私達は今まであのエレメントは1体1体が独立した存在だと思っていたのだが……もしかしたらあのミミズは『身体の一部』なのかもしれない」

「えっ? どういうことですか?」

 

つまり、若葉が言うにはこのミミズ達は独立した怪物ではなく、1体の怪物……つまり、本体があるのではないかと予想したのだ。

 

さらに言えばあのミミズはその本体がある限り再生可能だが、もしかすれば本体を叩けばこのミミズ達を倒せるかもしれないと若葉は考えた。

 

「一理あるわね。 確かに、この手の化け物にはゲームでもありがちね。 あながち間違ってないんじゃないかしら?」

 

ミミズの1体を鎌で真っ二つにしながら千景は少し癪な気持ちもあるが若葉に同意するように頷く。

 

「でも本体って言ってもどうやって……」

 

友奈が疑問を若葉にぶけようとした瞬間、友奈の足下からミミズが地面を突き破って出現し、友奈を軽く吹き飛ばしてしまう。

 

「うわああ~!!?」

「高嶋さん!!」

 

さらに、吹き飛ばされた彼女を喰らおうと別のミミズが空中で無防備になった友奈に喰らいつこうとするのだが……。

 

そのミミズを突如現れた眩い光がミミズを吹き飛ばし、落下する友奈をその光の中から現れた両手がしっかりと受け止める。

 

そして、やがて光は徐々に人型になっていき……、それは生死不明となっていた若葉がかつて見た胸にY字のクリスタルを持つ、「アンファンス」と呼ばれる形態の銀色の巨人……「ウルトラマン」がそこにいたのだ。

 

ウルトラマンはゆっくりと友奈を地面に降ろし、そんな彼女の元に真っ先に千景が駆け寄る。

 

「高嶋さん!! 大丈夫だった!?」

「う、うん……。 それよりも……」

 

友奈は振り返って千景と一緒にウルトラマンを見上げ、またそんな2人と同じように若葉、球子、杏も唖然とした様子でウルトラマンを見上げていた。

 

「生きて……いたのか? ウルトラマン……!」

 

若葉はかつて自分とひなたを助けてくれたウルトラマンが生きていてくれたことを喜び、ウルトラマンは頷くとミミズ達へと振り返り、ウルトラマンは立ち向かっていく。

 

『シェア!!』

 

ウルトラマンはミミズに向かって駈け出し、2体のミミズを両手で捕まえるとそのまま肘にある刃「エルボーエッジ」を振るって切り裂く。

 

しかし、やはり2体倒してもミミズはまた新たに2体のミミズが現れ、ウルトラマンは今度はそのミミズ達に向かって駈け出すのだが……。

 

今度は別のミミズが地面から現れてウルトラマンの足に絡みつき、ウルトラマンは躓いて倒れ込んでしまう。

 

『グアッ!!?』

 

ウルトラマンはすぐさま自分の足に絡みついたミミズを引き千切り、立ち上がるのだがまた新たなミミズが三方向から出現し、ウルトラマンの首、両手を拘束して動きを封じてしまう。

 

『グッ……!!』

「ウルトラマン……!! 危ない!!」

 

そこで杏がクロスボウから矢を放ってウルトラマンの首を締め付けていたミミズを撃ち抜き、また若葉と千景が刀と鎌でそれぞれウルトラマンの両手を拘束しているミミズを切り裂く。

 

「ウルトラマン!! このミミズ共は恐らく独立した生物じゃない!! こいつ等は多分身体の一部、本体が地中にいるんだ!!」

 

若葉のその言葉を聞き、ウルトラマンは頷くと襲いかかって来たミミズ3体を素早く両手で纏めて掴みあげ、一気に引っ張り上げる。

 

「ちょっと!! 地面から本体を引っ張り出すつもり!!?」

「そんなことしたら、地面が抉れて現実世界にも影響が……!?」

 

千景と杏はウルトラマンのその行動を見て現実にも悪影響が及ぶのではないかと危惧するが、ウルトラマンは一瞬動きを止めて2人を見つめながら……まるで「自分を信じろ」とでも言うように頷く。

 

「ここは、彼を信じてみよう」

 

若葉の言葉に杏は「は、はい」と戸惑いつつも頷き、現状引っ張り出すくらいしか敵を倒す打開策はないため、千景も渋々それに承知する。

 

そしてウルトラマンは一気に力を入れてミミズを地中から引っ張り上げると思った通り……地面を抉り、ミミズよりも巨大な……タコのような形をしているが、顔はまるでドラゴンのようにも怪物が現れたのだ。

 

「グルアアアアア!!!!」

 

どうやらあのミミズ達はあのドラゴンのような顔をした怪物の……タコに当たる足の部分らしく、若葉の予想は当たっていたのだ。

 

「やはりな……!!」

 

ドラゴンの顔に、足はミミズのようになっているタコ型のエレメント……「ワームタイプエレメント グリーガス」は地面から引っ張り出されて怒ったのか、12本の触手のミミズを伸ばしながらウルトラマンに攻撃を仕掛け、ウルトラマンはそれらをどうにか弾き飛ばす。

 

しかし、12本同時は多すぎたのか、全てを弾くことはできず、両手両足を拘束されてしまう。

 

「伊予島さん!! 私達が残りのミミズを引きつけるからその隙にあのエレメントの本体を!!」

 

若葉の指示を受け、杏は頷き、若葉、千景、友奈、球子はウルトラマンを拘束しているミミズ以外のグリーガルの足のミミズ達を相手に戦って引きつけ、その間に杏がクロスボウでグリーガルを撃ち抜こうとするのだが……。

 

グリーガルと杏の間に割り込むように、突然進化体の板のようなバーデックス……「キャンサー・バーデックス」が出現し、杏の矢はキャンサーに直撃したが、身体が反射板のようになっているキャンサーには攻撃が効かず、矢は弾かれてしまう。

 

「なら私が!! 勇者ぁ!! パーンチ!!」

 

そこで友奈が跳び上がってキャンサーを殴りつけるが、それでもキャンサーの身体は傷1つつかず、弾かれてしまう。

 

「私の拳も効かない!!?」

「それならばウルトラマンを拘束しているあのミミズを……!!」

 

若葉は先ず先にウルトラマンを拘束しているミミズを刀で切り裂こうとするのだが、それを防ぐようにキャンサーが素早い動きで前に立ち塞がり、若葉の振るった刀も弾いてしまった。

 

「くっ!! 邪魔だな……!!」

 

また、ウルトラマンもどうにか拘束を解こうとするのだが……中々振りほどくことができず、別のグリーガスのミミズがウルトラマンの左の肩に噛みつき、そのショルダー部分を食い千切る。

 

『ウグアアアア!!!!!?』

 

肩から火花を散らし、膝を突くウルトラマン。

 

さらにウルトラマンの胸のY字のクリスタル、「エナジーコア」が心臓の鼓動のような音を立てながら点滅を始める。

 

(マズいな、ここは私が『切り札』を使って……)

 

若葉の言う「切り札」とは神樹に蓄積された無数の概念記録にアクセスして抽出した力を自らに顕現させる力のことであり、若葉はその力を使おうとする。

 

しかし……それよりも速く、グリーガスの本体に向かって友奈が動いた。

 

「1回で効かないなら何百回だって千回だって叩き続ければ良い!!」

「友奈!?」

 

当然、邪魔はさせまえとキャンサーが友奈の前に立つが……。

 

友奈は伊勢の多度大社に伝わる一つ目の神、爆風を具現化した精霊……「一目連」の力を使い、彼女の戦闘力が大幅に上昇。

 

「千回ぃぃ……!! 連続勇者ぁ!! パーンチ!!!!」

 

それによって何発も何十発も何千発も拳をキャンサーに叩き込み、キャンサーの身体は粉々に砕け、そのまま真っ直ぐグリーガスに向かって突き進む。

 

無論、触手のミミズ達は本体を守ろうとするが……友奈はパンチや蹴りでそれらを全て弾き飛ばし、グリーガスの本体に到達するとグリーガス本体にもキャンサーと同じように連続の勇者パンチを叩きこむ。

 

「もういっちょぉ!! 千回ぃぃ……!! 連続勇者ぁ!! パーンチ!!!!」

 

友奈によって顔をボコボコに殴られたグリーガスはそこから大量の火花を散らして吹き飛び、その瞬間ウルトラマンの拘束も解かれる。

 

そして吹き飛ばされたグリーガスだが、やはり若葉の予想通り……本体である顔の傷はミミズとは違って再生はせず、友奈の攻撃を受けてグリーガスは耐えきれず倒れ爆発したのだった。

 

それを友奈はウルトラマンの方へと振り返ってVサインを見せ、それにウルトラマンは「ありがとう」でも言うように頷いた。

 

「友奈のやつ……」

 

また、その様子を見て若葉は苦笑するのだが……。

 

「若葉!! 危ない!!」

 

そこに、生き残っていた星屑の1体が大きな口を開けて彼女に噛みつこうとしていた。

 

だが……。

 

「マズいな。 食えたものではない」

 

若葉はあっさりと星屑を真っ二つに切り裂いた上に、星屑の身体の一部を逆に食い千切ってしまうのだった。

 

「逆にかじりやがった……。 タマ、これからは若葉を怒らせないようにする……」

「私も……」

 

尚、その光景を見て球子と杏は彼女に若干の恐怖を覚えていたとか。

 

これで全ての敵の殲滅は完了、そしてウルトラマンはフラつきながらもなんとか立ち上がり、最後の力を振り絞って両腕を胸の前で交差した後、両手を広げるとそこから光の粒子のようなものを降り注がせる。

 

するとグリーガスによって穴ぼこにされていた地面や、グリーガスが出現した穴が修復される。

 

「おぉ……! 成程、これがあるからウルトラマンはあの怪物を引っ張りだしたんだな!!」

 

そして敵を全て倒し、樹海も修復されたことにより、やがて樹海化は解け……それと同時にウルトラマンもその場から姿を消し去るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから戦闘は終了し、彼女達は無事初陣を大勝利で飾ることができたのだったが……。

 

食堂にて……。

 

「若葉ちゃん!! 変なもの(バーデックス)食べちゃダメでしょ!! お腹壊したらどうするんですか!!?」

「む、昔友達を食ったあいつ等に報いを……すまない……」

 

若葉が星屑を食べたという話を聞き、ひなたは彼女に激怒、若葉は申し訳無さそうにひなたに頭を下げて謝っていた。

 

「若葉、ちょっと良いか?」

 

そこでひなたの説教が一通り終わると珠子が若葉に話しかけ、若葉は「なんだ?」と首を傾げる。

 

「戦闘の後にみんなで話し合ったんだ。 今まで大社が勝手に決めてたけどさ……。 これからもみんなのリーダーをお願いしても良いか?」

 

球子のその言葉を聞き、若葉はバッと千景の方に「良いのか!?」と自分がリーダーだったことに最も懐疑的だった千景に視線を向ける。

 

「どうして私を見るの?」

「いや、でも……!」

「高嶋さんもそう言うし、活躍してたし、反論はないわ」

 

照れ臭そうにしつつも、千景も若葉がリーダーということを認め、若葉は「ありがとうございます、郡さん……」と言いかけようとするが……そこで球子が「コラコラ」と一度止めに入る。

 

「さっき決めただろ、やり直し」

「……そうだな」

 

球子に言われ、若葉は一度咳払いした後……。

 

「友奈、ひなた、千景、球子、杏、みんなありがとうこれからもよろしく頼む」

 

若葉は笑顔を向けてみんなにそう声をかけるのだった。




ワームタイプエレメント グリーガス
タコに似た姿をしているが、足は12本あり、顔はドラゴンのようになっており、足に当たる部分は全てミミズのような姿をした怪物。
普段は本体である顔は地中に潜み、地上での戦闘や人間を捕食したりする時は自分の足であるミミズを使って行う。
この足のミミズ達は倒しても倒しても再生するため、まともに戦っても普通に勝ち目はない。
しかし、再生能力があるのは足のミミズだけであり、本体である顔が弱点。
ちなみにとあるモンスター映画に登場する怪物がモチーフ。

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