思いつきシリーズ   作:ベンジャー

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僕たち、ツインテールになります。 その1

「ツインテールって……いいよね」

「突然なんですか……」

 

制服を着て学校帰りの2人の男女……1人は温和な顔つきに、穏やかな表情を浮かべる青年「風上(かざかみ) 光(ひかり)」は「ツインテールがいい」なんてことを幼馴染で少し髪が長い親友の少女である「海原(うみはら) 奈々(なな)」へと話しかけた。

 

「いや、なんか知らないけど……最近ツインテールがいいなぁって思ってさ。 結構可愛いじゃないか、ツインテールって」

「えぇー? アレ可愛いですか? ツインテールなんてみんななんかやる気なさそうな目してるじゃないですか」

「いや、そんなことないでしょ? それぞれそれは違うと思うけどなぁ……」

 

しかし、奈々は一向に光に同意する気はなく、「いやいや、ツインテールってみんな私たちから見れば同じ顔にしか見えませんよ殆ど」と返されてしまい、光は首を傾げて奈々を見つめる。

 

どうも、先ほどから話が噛み合っていないような気がするからだ。

 

「ねえ、奈々……一応言っておくけどツインテールって髪型のことだからね?」

「えぇ!? ツインテールって髪型なんですか!!? てっきりあのMATに目を潰されたやつかと」

「いや、全然違う。 髪を左右に結んだ感じの髪型のことだから」

 

光はそんな奈々にクスクスと笑みを浮かべて彼女の髪へとそっと触れると突然のことに奈々は目を見開いて驚き、顔を真っ赤にする。

 

「ひ、光! なにを!?////」

「奈々ってさ。 ツインテール似合いそうだよね」

「えっ!? そ、そうですかね……」

「うん、絶対に似合うよ! 長いのは無理かもしれないけど、小さいツインテールならできそうだし。 僕が保証する」

 

彼女は顔を赤くしたまま「ひ、光がそう言うのなら……」と答えて明日から髪型をツインテールにするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから3、4年後……今現在、奈々と光は喫茶『アドレシェンツァ』という店で2人が通う初等部から大学部まで一貫進学が可能な超エスカレーター校の「私立陽月学園高等」の中等部からの付き合いである同級生2人と一緒に食事をとっていた。

 

「なんか、ごめんね? 僕達まで御馳走になっちゃって」

「あぁ、別に気にしなくてもいいわよ。 そーじの奢りだしね♪」

 

光はこの店の主人の息子である赤い髪の少年「観束(みつか) 総二(そうじ)」に謝罪するが……当の本人なにかほっこりとした笑顔で考え事をしているため返事がなく、代わりに彼の幼馴染である青いツインテールの髪をした少女「津辺(つわべ) 愛香(あいか)」が総二の代わりに答えた。

 

「はあああ……やっぱりツインテールはいいよなぁ~」

 

そんなことをボソッと呟く総二に呆れたように「また言ってる」と呆れたような目で総二を見つめる愛香、しかし、そんな彼の隣に奈々が素早く座り込み「ですよね!!」と目をキラキラさせながら総二に同意した。

 

「特に金髪のツインテールとか小柄のツインテールは最高だと思うんですよ!! 特に……幼女とか!!」

「奈々、その発言はなんか君が言うと危ない発言に聞こえるんだけど……?」

 

苦笑しながらツッコミを入れる光だが、奈々は特に気にした様子はない。

 

「いや、俺の場合ツインテールの良さはその人がどれくらい上手くツインテールにしてるかによるかなぁ……」

「まあ、私もかんわいい美少女なら誰でもいいんですけどね。 でもそんな人がいたら持ち帰りたい!! 持ち帰って……うへへへ……」

「奈々ぁ!! 女の子がしちゃいけない顔してるよ!?」

 

光が慌てて奈々に変な想像をしているのをやめさせようとするが奈々は「邪魔しないでください光!!」と逆に光を怒鳴りつけ……「妄想の中でくら色々なプレイくらいさせてくれてもいいじゃないですか!!」となにかとんでもないことを叫んだ。

 

「なにとんでもないこと言ってるの!?」

「でもあれだよなぁ、奈々! 入学早々あんな素敵なツインテールを拝めるなんて思わなかった」

「えっ? あぁ……『神堂(しんどう) 慧理那(えりな)』会長ですか……。 確かに、私も初めて見たときは誘か……頭を撫で回したい気持ちでいっぱいになりましたね」

 

それを聞いた愛香と光は「今なに言いかけた?」と冷や汗をかきながらジトーっとした目で奈々を見つめ、2人は何時か奈々が本当に誘拐とかなにかしないかどうか心配で心配で仕方がなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は遡り、入学当初……生徒会長である黄色い髪をした先端にカールがかかったツインテールの少女「神堂 慧理那」が入学式での挨拶を行っていた。

 

「入学。 おめでとうございます。 あなた達には無限の可能性があります。 わたくし、神堂 慧理那が……そして陽月学園高等部が……その輝く未来を開花させる道標となることを約束しますわ」

 

ちなみに……彼女は年齢が15の割には小さく、土台がないと前に置いてある教卓に身体の半分以上が隠れてしまうほどである。

 

さらに言えば……その土台には「会長専用」などとも書いてあった。

 

(あの娘を見ると奈々は結構暴走するからなぁ……大丈夫かな?)

 

光は流石にこの状況で奈々が暴走することはないだろうとは思ったがやはり不安なものは不安なのでこっそり隣に立つ奈々の顔を見てみると頬をほんのり赤く染めているものの至って真面目な顔をしており、「よかった、ちゃんと我慢できてる……」と胸を撫で下ろしたが……。

 

『ダラダラダラ……』

 

奈々の花からは大量の鼻血が溢れ出ており、体育館の床を汚していた。

 

(って鼻血鼻血いいいいいいいいいいい!!!!!?)

 

また奈々は自分が鼻血を出していることに全く気づいておらず、心の中では……。

 

(きゃあああああ!!!! ちっちゃくて可愛い上にツインテールがよく似あってますううううううう!!!!? 持ち帰りたいぃ、持ち帰りたいよおおおおおおおおお!!!!! 何度見ても可愛すぎて……死ぬぅ……。 いえ、あの娘の頭を撫でるまでは死ねませんね!!)

 

なんてことを考えていたりするわけである。

 

また、総二はというと……流石に奈々ほどではないが慧理那に……正確にはそのツインテールに見惚れており、その見事なツインテールに総二は唖然ともしていた。

 

(育ちの良さを窺わせるふんわりと丸まった先端。 身ぶり手ぶりが激しくなるにつれ、それに合わせて空を舞うツインテールにさながらパートナーの手を取り、ダンスフロアで舞う姫君のような……なんて高貴で……麗しいツインテール……!!)

 

ちなみに総二はそれ以降ずっと彼女のツインテールについて考えていたため、どの部活に入るかを決めるアンケートを書くのを忘れてしまい、そのせいで咄嗟に彼はアンケートに「ツインテール」と書いてしまったりしたが。

 

その結果……。

 

「あれ~? 名前が未記入のものがありますね~」

「あっ、すいません、多分俺です……。 ぼんやりしてて……」

 

総二は戸惑いつつも間の抜けた声で喋る担任の教師に謝るが……。

 

「ツインテール部? あぁ、新設希望ですね~」

「いや、俺は部活を創りたいんじゃなくて……」

「そっか~ツインテール部か~。 観束くんはツインテールが好きなんですね~」

「それはもちろん」

 

キリッとした顔で条件反射で総二はついつい答えてしまい、せっかく知らない顔ばかりで心機一転と思っていたのに……今までの学生生活通り、自分の3年間のポジションが固定されてしまった瞬間だった。

 

「それでは皆さん。 HPを終わりますが……最近この近辺で変質者が増えているそうですから、注意してくださいね♪」

 

それだけを言い残して教室を去っていく担任、だが……その発言は今言われるとまるで総二が変質者であると言っているようなものだった。

 

「今それこのタイミングで言うことか!? なあ先生ちょっと待ってくれ!! 俺は本気なんだ!! 本気でツインテールが好きなんだ!! あっ……違……その……」

 

言い訳御無用の大惨事……その発言が自ら火に油を注ぐような真似をしたせいで総二は思った、「自分の高校生活は終わった」っと……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああああああ!!!!? 余計なことまで思い出した……。 終わった、俺の高校生活」

「ちょっとそーじ、声大きい」

 

といつの間にか総二のカレーライスまで食べ始めてる愛香が大きな声を出す総二に注意するが……。

 

「いいだろ俺ん家なんだから!! っていうか何時の間にオメーは人の分のカレーまで!!」

「安心してください!! 総二さんの分のデザートのプリンは私が頂きましたから!!」

 

見事な笑顔でサムズアップする奈々に総二は「おいふざけんなあああああああああ!!!!!?」と怒鳴りあげるが……あの時のことをすぐに思い出し、総二はまた頭を抱えた。

 

「間違って変なこと書いたことより、その後のやりとりがまずかったのよ」

「分かってたならフォローしてくれよ~、友達だろ~」

 

それを聞いて愛香は「ムス」とした表情を浮かべて顔を反らした。

 

「友達、ねぇ……」

「なんだよ」

 

奈々は口元を「押さえてあらら」とクスクスと笑うが……ハッキリ言えば自分も愛香と似たような境遇であることを思い出し、奈々は光の方をチラっと見ると光はすぐに自分の視線に気づき、「どうかした?」と笑顔で問いかけてきた。

 

その笑顔に奈々は一瞬「ドキッ」と心臓が高鳴り、彼女は光から顔を背けた。

 

そして愛香はそんな鈍い総二に対して「なんでもないわよ! バーカ!」と舌をぺろっと出して「べー」っとするが……それを見た瞬間奈々の目つきが変わり、愛香へといきなり抱きついてきた。

 

「うぅ! 愛香さん今の可愛すぎますうううううううう!!!!!」

「わあ!? ちょ、ちょっと奈々!?」

「もう1回!! もう1回やってください!! やっぱりツインテール+ツンデレという定番もいいものですよね~!! あぁ、もう最高過ぎてヤヴァすぎて……泣けますねえええええええ!!!!」

「奈々、いい加減離れよう? 愛香さん困ってるから」

 

光は苦笑しつつ奈々の首根っこを引っ張って愛香からどうにか奈々を引き離すことに成功したのだが……今度は総二が「いつもの癖」で愛香のツインテールの先を指で無意識に弄っていた。

 

そのことに愛香は呆れつつも「ちょっとそーじ、また」と注意を促し、総二も「悪いな」と謝って手を離した。

 

「んまあ、友達っていうか腐れ縁というか……お前とは多分一生の付き合いになると思ってるからよろしく頼むわ」

「そーじ……」

 

ほんのりと頬が赤くなる愛香、そしてそれを見ていた奈々はあることは思っていた。

 

(今の……下手したらプロポーズですよね……?)

 

無論総二はそんなこと無意識にやっているので狙ってやった訳ではない……決して。

 

しかし、奈々や光からしてみれば総二はよくもまあ、こんなラノベ系主人公みたいな鈍感男がいたものだと悪い意味で感心するしかない。

 

(まっ、『自分に対する好意に気づかない』というのは光も同じなんですがね……)

 

再び光の方をチラッと少しだけ見つめる奈々だが……次の瞬間「ゴッ!!」という鈍い音が総二達の方から聞こえてきた慌てて視線を戻すとそこには赤く腫れた顔を押さえてのた打ち回る総二の姿があった。

 

視線を光の方に向けていた奈々は一体なにが起こったのか分からず、光に尋ねると光曰く……「総二くんが愛香さんにまたNGワード使ったんだよ」と苦笑しながら説明し、それを聞いた奈々は「あぁ、なるほど」と納得した。

 

ちなみに総二がこんなことになっているのかというと……先ほどのプロポーズをしてるかのような台詞の後に総二が……。

 

『一緒にいるとからかわれたりもするけど特に異性って感じたことないっていうかよく食うし、よく殴るし、胸も無……』

 

とこの台詞の後に愛香からの鉄拳を喰らったのだ。

 

「総二さん、流石に女の子にそれは……女性を胸でからかうのはよくないよ……」

 

苦笑しつつ光は用意周到に氷の入った袋を用意して愛香をからかったことへの注意をしながら総二の殴られた顔を冷やしていた。

 

「ぐっ……おおおお! でも光、ああやってぽんぽん殴らなければもう完ぺ……」

 

するとその時、総二は「ゾク」っとなにかの気配を感じて振り返るとそこには……新聞を読んで座っている女性客がいた。

 

総二は今は出かけている母がちゃんと店を閉めていたはずだと思っていたのだが、やはり店を閉め忘れたのだろうかと総二は考える。

 

「んっ……?」

 

総二は再度その女性を見つめるとその新聞には大きな穴がいつの間にか開けられており、「じー」とこちらの様子を伺っていた。

 

もはや怪しさほぼ100%である。

 

(す、すっげー見てる……!! いつの間にか穴があるし)

 

すると今度はその女性は新聞を投げ捨てて素早くこちらへと駆け寄り、「あの……」と総二に「だけ」声をかけてきた。

 

「っ!? 嘘、気配を感じなかったわよ……!!」

(いつも周囲の気配察知して生きてるのか……)

 

心の中で愛香の言動にツッコミを入れる総二だが、長い銀髪に巨大な胸を持つその女性は総二以外には用がないらしく、愛香や奈々、光達のことは放っておいて総二の手を握り締める。

 

「私、『トゥアール』と申します。 相席よろしいですか?」

 

にっこりとした笑顔を総二に向けるが……総二は突然のことは言葉が見つからず、あたふたとした様子を見せる。

 

「えーっと、ごめんなさい。 遠慮してもらえます? 私たち今御話し中なので……」

「っていうかガラガラですから相席いらないとも思いますけどね~」

 

愛香の言葉に同意するようなことを言う奈々が……奈々の今の顔を見た光ならばわかる……奈々は「確実にこの状況を楽しむ気だ」ということに……。

 

また、愛香の反論を聞いたトゥアールはというと、特に気にしたかのような様子もなくへかーっと笑顔を見せ……愛香に言ってはいけないことを言ってしまった。

 

「あっ、そちらの『貧乳』さんには特に用はありませんので!」

「……っ! いきなり現れてなんなの? あたしのツレでしょうが!! なに考えてんのよ、大人しそうな顔しておっぱい目立つ服を着てムカつくわね……!! 谷間に何度もストロー差すわよ!!!!」

「おい落ち着け愛香!!?」

 

一体それはどういう仕返しなのだと思う光、また奈々はというと「まるで自分の期待している展開通り!!」とでも言いたげな顔をして目をキラキラさせていた。

 

(……もう少し、ツッコミの上手い人がほしい……)

 

それは光の切なる願いだった……が、多分それは叶うことはないだろう。

 

(それにしてもよく見たら綺麗な銀髪だな……。 外国人か? それにしても愛香と同い年くらいに見えるのに歴然たる差……)

 

総二はトゥアールと愛香の胸の大きさを心の中で比較してそんなことを考え、また同時に「その煌めく銀髪ならさぞツインテールが似合うだろうに……」と。

 

トゥアールはそんな総二の考えに気づいたのか、再び総二の両手を握りしめて「ツインテール、お好きなんですね?」と問いかけると総二は即答で「そりゃもう!!」と答えた。

 

「大好……」

 

だが次の瞬間、トゥアールは怪しげな赤いブレスレットを総二の手に装着させようとし……それを素早く愛香が後ろからトゥアールの頭を掴んでテーブルの上に叩きつけた。

 

「おっぱい見せびらかしながらなにはめようとしてんのよ!? なにそれ!? ブレスレット!?」

「お、お前初対面の人に……!?」

「そうですよ愛香さん!! こんなに綺麗で可愛い顔をしてる娘になんてことしてるんですか!!? 顔はやめてください!」

「顔以外もダメだよ!!?」

 

上から愛香、総二、奈々、光がそれぞれにそれぞれそんなことを言い、愛香は「分かった!! あんた詐欺師でしょ!? 変なブレスレットをはめさせてお金いっぱい取る気よ!!」と人差し指を差してそう言い放つがトゥアールは「決して怪しい者ではない!!」と必死に否定する。

 

「まあ、ハメてほしいのは本当ですけど。 色々な意味で♡」

(怪しさしかない!!)

 

とこんな感じで目をハートにさせて口元から涎を垂らすトゥアールは奈々は兎も角全員から全く信用されておらず、逆にますます怪しさが増したのだった。

 

「えーっと、奈々のお姉さんかなにか?」

「失敬な!! 幾ら私でも下ネタは言いませんよ!?」

「あぁ、うん……否定するとこそこなんだ……」

 

どことなくトゥアールの雰囲気が奈々に近いものを感じたのでもしかして血縁者かなにかではないだろうかと思ったが、奈々自身こんな人は知らないというのだ。

 

「つけてくれないと困るんです。 お願いします、つけて……」

 

トゥアールは自身の胸を総二の腕に押し当て、それには当然幾らツインテールバカの総二でもかなり動揺するものだった。

 

「つけてくれたら……なんでも言うことを聞きますから」

 

涙目で訴えるトゥアールを見て総二は「なんでも言うことを聞く」という言葉に驚き、顔を真っ赤にして咄嗟にやらしいことを考え……ることはなく「だったらツインテールにして貰おう!!」という考えが彼の頭を過るのだった。

 

「私になにをしても構いません。 王道でもちょっと特殊な感じでも! むしろ特殊なこと大歓迎です!! はぁ、はぁ……」

 

トゥアールはなぜか顔を赤くして洗い息をし始めるが幼馴染である愛香には総二が今、なにを考えているかなど手に取るように分かった。

 

「あんた、なに考えてるか想像つくけど無駄よ。 こいつになんでもしてって言ったらツインテールにしてくれって言われるに決まってるんだから」

「えっ!? そっちですか!? 男の子なのに!!?」

 

それを聞いていた奈々は「男の子だとやっぱりエッチなこととか頼むものなんですか光?」と尋ね、光は「僕に聞かないでよ!?」と顔を少し赤くしてそう返した。

 

「まったまた~、ちょっと前金代わりにこの辺ガバーッとそちらの方にはない驚きのふんわり感……」

 

とまた胸のことを言われたことによって怒った愛香の鋼鉄ビンタがトゥアールの頬に炸裂し、頬を押さえて膝を突くトゥアール。

 

「だ、大丈夫か!? こいつたまに手加減分からなくて……。 けど、なんだってそんなに俺にソレをつけたがるんだ?」

「……だって、これを、つけないと……。 世界からツインテールが消えてなくなってしまいます!!」

「なっ!!?」

 

総二「に」とってはかなりの衝撃的なことをトゥアールの口から聞いた瞬間、総二は驚きの表情を浮かべるが……他3名は「はっ?」と訳が分からないといった顔を浮かべて首を傾げていた。

 

「それどういう!!」

 

そして総二が詳しくトゥアールから話を聞こうとした瞬間、トゥアールはその一瞬の隙を突いて「えい」とブレスレットを総二の腕に強制的に装着してしまったのだ。

 

「ふぅー、これで『奴ら』がいつ来ても安心です」

 

なぜか「これで一安心!」とでも言いたげな顔をして安堵しているトゥアールだが、愛香はトゥアールのつけたブレスレットを無理やり取り外そうとしていた。

 

しかし、なぜか無理やり押し込んだ結婚指輪のようにビクともせず、それでも愛香は諦めずにブレスレットを取り外そうと試みた。

 

「ぎゃああああああああ!!!!? 腕が、腕が千切れるううううううう!!!!?」

「ちょっ! 愛香さん!! 本当に腕が千切れるから落ち着いて!!?」

 

光が必死に愛香を総二から引き離そうとするが腕っ節は愛香の方が「当然」強いので光では愛香を引き離すことができず、逆に返り討ちになっていた。

 

「ちょっ、おま、光になにして!!?」

「今はそれよりこれを取り外すことよ!!」

 

一方で奈々は先ほどトゥアールが呟いていた言葉を聞き逃しておらず、彼女は先ほどトゥアールの言った「奴ら」について尋ねていた。

 

「あの、あなたが先ほど言っていた『奴ら』とは……?」

 

しかし……。

 

「申訳ありません!! 少し急ぎます!!」

「「「「えっ? なに?」」」」

「ポチッとな☆」

 

トゥアールはポケットからスイッチのようなものを取り出すとそれを押し、彼女と、彼女の周りにいた者達は白い光へと包まれてその場から消え去り、その場には誰もいなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして5人はというと……どこかの駐車場までワープしてきてししまうのだった。

 

「なっ!? 瞬間移動した!? どうなってんだ!?」

 

いきなりどこかの駐車場に飛ばされて当然戸惑う総二達、一方で奈々は大して驚いた様子もなく、むしろどこか感心しているようだった。

 

愛香は一体自分たちになにをしたのかとトゥアールを睨みつけるがトゥアールは全員静かにするように注意を促す。

 

「もっと早くこうするべきでした。 迎え撃つつもりが後手に回りましたね」

 

一体彼女はなにを言っているのか分からず、困惑する総二……すると、逃げ惑う様子のまだ幼い少女の前にトカゲのような……だが人の形をした「怪人」が立ち塞がり、その後ろには戦闘員らしき怪人達もいた。

 

「連れて行け」

 

トカゲの怪人「リザドギルティ」は戦闘員の「アルティロイド」達にその少女を「連れて行け」と指示するとアルティロイドは「モケー!!」と答えて少女をどこかへと連れて行った。

 

「やああああ!! ママ~!!」

 

泣きじゃくる少女だが、アルテロイドは特に気にした様子はなく、少女をどこかへと連れて行く。

 

「な、なんなんだあの怪物……」

「総二様、私からあまり離れないでください!! 『認識撹乱』の作用範囲はそんなに広くありません。 兎に角、私の傍にいる限りは安全ですから……」

「にんしき、かくらん?」

 

言っている意味は分からないが、兎に角明らかに見つかりそうなところに立っているのにリザドギルティ達がこちらに気づいていないところを見ると本当にトゥアールの傍は安全らしい。

 

するとその時、リザドギルティはアルティロイドを「者ども集まれぃ!!」と呼び掛けて一度集める。

 

「この世界に生きとし生けるツインテールを……我等の手中に収めるのだー!!!!!」

「ぶっ!?」

 

そこで愛香が「ちょっとそーじ、アンタ着ぐるみ着てなにやってんのよ」と言われてしまい、総二は当然「俺じゃねえ!!」と否定する。

 

「むっ? なんだ貴様は……?」

「なにが目的か知らないけど……小さな女の子を泣かすな……!! 早く母親の元に返せ!!」

 

いつの間にか飛び出していた光が蹴りをリザドギルティへと放つがリザドギルティは光の足首を掴んで持ち上げ、遠くへと放り投げてしまい、投げ飛ばされた光は車に激突する……寸前に、白衣を着こんだ男性が受け止め、彼を救ったのだ。

 

「光!!」

「あぁ!? いけません!!」

 

トゥアールが光の元に駆け寄る奈々を引き止めようとするがそれよりも早く奈々は光の元へと駆け寄り、彼女は慌てて光に怪我などをしていなかを尋ねる。

 

「うん、心配してくれてありがとう。 でも、僕は平気『カシャ』……カシャ?」

 

光が右腕を見るとそこには総二がトゥアールによって装着された色が違うだけで同じブレスレットがいつの間にか装着されており、いつの間にか後ろに立っていたブスレレットを装着させた男性の顔を覗き込むと男性はスマイル満開でサムズアップを見せていた。

 

「えぇーーーーー!!!!!? なにしてるんですかあなたぁ!!?」

「はっはっは!! まあまあ、そう慌てないでくれたまえ。 私はプロフェッサー・リョーガ。 とりあえずほら、変身して」

「変身って……いきなり言われても意味分かりませんよ!? そもそもあいつ等なんなんですか!?」

「いやぁ、説明してる暇はないんだがねぇ……」

 

リョーガは「ほら」と先ほどの怪物達の方へと指さすと怪物……リザドギルティは腕を組んで奈々の方を凝視するように見つめており、奈々はリザドギルティに見つめられて「うわぁ……」という声を出し、若干引き気味だった。

 

「ふむ、そこの女は中々素晴らしいツインテール属性の持ち主だな少女よ!! 幼子でないのが実に惜しい」

「なに言ってんですかこいつ」

「そーいう種族だからねー」

 

リョーガは目の前に怪物が今にも迫って来ようとしているというのに呑気に「はっはっはっは!!」と笑っており、光は血相を変えた様子で「いいから早くどうすればいいのか教えてください!!」とリョーガに尋ねる。

 

「まあ、分かりやすく言うとだね。 奴等はツインテール属性が好きでそれを他人から奪う。 奪われた人間は無気力となり、最終的にその世界は笑顔の消えた世界となる。 ちなみに私はそんな異世界から来て奴らに対抗する兵器作って君に使って貰い、彼等を撃破してほしい。 以上」

「説明簡潔すぎやしませんか!!?」

「なにをゴチャゴチャと……んっ? どうした?」

 

するとその時、アルティロイド達が慌てた様子でリザドギルティ達の元へと駆け寄り、リザドギルティは一体どうしたのかとアルティロイド達に尋ねる。

 

「なに!? 極上のツインテールだと!?」

 

リザドギルティはすぐに連れてくるようにアルティロイド達に命令するとアルティロイド達はすぐにある人物を連れてきた。

 

「えっ……!? アレって会長さん……!!?」

 

それは自分達が通っている学校の生徒会長の慧理那であり、その様子をリザドギルティが他のことに気を取られている間に急いで車の物陰に隠れて光、奈々、リョーガは伺っていた。

 

「ってちょっと、君、さっさと行って戦ってくれよ」

「いや、だからそんなこと急に言われても……」

「光になにやらせる気ですかあなた」

 

奈々からも疑いの眼差しを向けられるリョーガだが、リョーガは大して気にした様子はなく「早く行ってくれたまえ!!」と言ってグイグイと光の腕を引っ張りリザドギルティの前に放り出そうとする。

 

「ほほう、なかなかの幼子!! しかもお譲様でツインテール……。まさしく完全体に近い!!」

 

慧理那はアルティロイド達によってソファに座らされており、慧理那はリザドギルティをキッと睨みつけた。

 

「仰ってる意味がわかりませんわ!! そんなことより他の子達を解放しなさい!!」

「ゴチャゴチャ言わずに貴様はこれを持てぃ!!」

「きゃっ!?」

 

そうしてリザドギルティは慧理那に無理やりぬいぐるみを抱かせ「腕白な幼子にはやはりこれが似合う」などと呟き、じっくりぬいぐるみを抱いてソファに座る慧理那を満足げに見つめる。

 

「ツインテール・ぬいぐるみ、そしてソファに持たれかかる姿!! これこそが俺が長年の修行の末に見つけ出した黄金比よ!!」

 

訳の分からないことばかり言っているリザドギルティに光はかなり呆れたような表情を見せており、また一方で奈々は「一里ありますね」となぜかリザドギルティに同意してしまっている。

 

「いや、なに同意してるの!?」

「同意せずにいられますか……!? 合法ロリの美少女がぬいぐみを持ってソファにもたれかかる!! 滅茶苦茶抱きしめたいじゃないですか……!!」

 

なんてことを言っている間にリザドギルティは「集めたツインテールを全員輪に通せ」とアルティロイド達に命令し、突然巨大な輪が出現してリザドギルティが「始めろ」と合図を出すと慧理那が突然空中へと浮かびあがる。

 

「っ……あのリングに彼女がもしも通ったら……彼女はどうなるんですか!?」

「ツインテールが解かれるだけさ」

「えっ……?」

 

リョーガから返ってきた返答に光は頭に疑問符を浮かべ、それだけなら別に大した問題はないのではないかと思われたが……問題はその先にあった。

 

「ただし、外見はなんともなってないし、身体に異常が起きることもない。 だが……あれを通ると『なにかを愛する』という気持ち、心が殺されるも同然のことなんだ。 さっき言った笑顔のない世界とはそういう意味だよ」

「心が……殺される……?」

「ほら、迷ってる暇なんてないよ。 もうすぐあの娘がリングに通ってしまうよ? それを使えば奴等と戦える」

「っ……」

 

リョーガは光の腕に装着してあるブレスレットを指差し、光は一瞬戸惑ったが……あの怪物達がツインテールを奪い、本当にリョーガの言うとおり心を殺すのだとすれば……光には彼女たちを助ける選択肢以外なかった。

 

そしてなによりも……。

 

「ねえ、奈々……」

「はい?」

「奈々は僕のためにツインテールにしてくれたんだよね?」

「あっ、えぇ……まあ……」

 

奈々は少し頬を赤く染めながら顔を俯かせつつそう答えると、光は彼女に笑みを向けた。

 

「じゃあ、奈々のツインテールと心も守らないとね!」

「光……」

「よっし! じゃあ光くん、『変身!!』と叫んでくれたまえ」

 

光はリョーガの言葉に頷くとブレスを胸の前で掲げ、叫ぶ。

 

「変身!!」

『テイルチェンジ・セイヴァー』

 

そんな電子音声が聞こえ、光はその身体に輝く光を身に纏いリザドギルティ達に向かって駆け出して行く。

 

そして……慧理那がリングを通ろうとしたその時、光が彼女を抱きかかえてリングから遠ざけ、気を失っている慧理那をゆっくりと地面へと降ろした。

 

「ぬうう、何奴だ!!?」

『光くん、聞こえるね? 一応、その姿の名前は既に決まっている。 是非ともカッコよく名前を名乗って決めてくれたまえ!』

 

リョーガのそんな声が光に聞こえ、光は頷くと立ち上がり、リザドギルティの方へと振り返る。

 

「僕は……テイルセイヴァーだ!!」

「むう……ごヴぁあ!!?」

「ってえぇ!? なにもしてないのに吐血したぁ!?」

 

そしてなぜかリザドギルティは光改め「テイルセイヴァー」を見ると吐血し、リザドギルティは片膝を突き、胸を手で押さえながら不気味な小さな笑いをあげていた。

 

「ふふふ……まさか、まさかこんな素晴らしい幼子に出会えるとはな!! 少し膨らみかけの胸が少々残念ではあるが……」

「……んっ?」

 

なにか今、聞き捨てならないキーワードが幾つかあったことにセイヴァーは気づいた。

 

(んっ? 幼子? 膨らみかけの胸……?)

 

なんとなく……テイルセイヴァーは自分の胸を触ってみると「ふにゅ」という柔らかい感触を感じ、恐る恐る股の辺りを触れてみると……。

 

「ひゃう!?」

 

可愛らしい声が出た。

 

(んっ? アレ……そう言えば僕の声もなにか変……。 それになんか頭が少し重いような……。 っていうか男として1番大事なものがなくなってるんですけどおおおおおおお!!!!?)

 

テイルセイヴァーは急いで車の窓に映る自分の姿を確認してみるとそこに映っていたのは身長は小学6年生くらいで白スクのようなボディスーツを着込んでおり、左右の腰部、肩部には銀色のアーマーのようなものが装着され、髪の色は黒から銀髪へと変化しており、その髪は機械のリボンによってツインテールに結ばれた「少女」が立っていた。

 

「……えっ、なにこれ……なにこれえええええええええええええ!!!!!?」

 

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