「俺は、異世界へ行こうと思いますセリエルさん」
「そうですか。我々は、異世界へと向かわれる方が、直ぐに向こうの世界で死ぬことのないように所謂チート能力を授けています。お二人にもその権利はありますので……
「あの、ちょっと待ってもらえますか?」
ついにお楽しみのチート能力タイム!というところでセリエルさんの言葉は恵によって遮られた。
「話が良すぎる気がするんですよねこれ。何かとんでもない欠点を隠しているなんて、まさかないですよね」
言われて見ればそうだ、そもそも俺はまだ『チート能力を持って転移できる』としか聞かされていない。仮に転移場所がランダムだったら海の上に放り出されるかもしれない、向こうで死んでしまったらそのまま帰ってこれないのかもしれない。それにもしそうだったとしても「聞かれてない」と言われてしまえばどうにもならないのだ。
「安心してください、向こうへの転移は本来生きているお二人でしたら問題なく成功します。それにあちらで死んでしまったとしても元の世界へは無事帰ることができます。逆にお亡くなりになるまでは、呼び戻すことはしませんのでなんの気兼ねもなく楽しむことができますよ」
それなら問題ないだろう、向こうの世界を満喫しようじゃないか。
「でも」
恵はまだ何か言いたそうにしている。
「なあ恵、いいじゃないかセリエルさんもこう言っていることだし。それに向こうでお前を最高のメインヒロインにする何かが見つかるかもしれないぞ」
「なんだかなぁ……本当にその言葉は私に強制させる都合のいいものにされてるよね、まあいいけど」
「話はまとまったようですね。それではこちらのリストから好きなものを選んでください。載っていないものでも大丈夫ですがあまりオススメはしません」
そうして渡されたリストに目を通す。そこにあったは『魔力無限』『スキルポイント無限』『超筋力』といったものから『エクスカリバー』『ゲイボルグ』『干将・莫耶』などまさしくテンプレチートと呼べる代物だ。そんな中俺は気になるものを見つけた。
「すみませんこれなんですか?」
セリエルさんへ尋ねる
「『魔剣生成』ですか、これは文字通り魔力を消費して魔剣を作り出すものです。魔剣には任意の魔法属性を付与することができるので物理攻撃と魔法攻撃の両方を使うことができます。ただし一度に剣は一つだけしか生成できません」
「ありがとうございます、この能力でお願いします」
「了解しました、加藤さんは決まりましたか?」
「はい、私はこの筋力魔力強化でお願いします」
「承りました。お二人をこれから異世界へと送ります。お二人が異世界で良い生活を送ることをお祈りしています」
最後に決まりきった異世界生活始まりの言葉を聞くと、足元に魔法陣が現れ続いて視界が白く染まっていった。