ドラゴンクエストⅦ ~俺もエデンの戦士~   作:ユキユキさん

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ひっそり。


第2話 ~ウッドパルナの村/カラーストーン採掘場

ーユーキスー

 

…光が収まると、俺達は見知らぬ森の中にいた。キーファにアルス、そしてマリベルも無事のようで安心した。…しかし何なのかね? この場所は。エスタード島にこんな場所なんざ無い筈なんだが、色んな可能性を考えていると、

 

「空が暗いわっ!?」

 

マリベルが大声を上げてそんなことを言う。俺も見上げてみると、確かに暗い…気味の悪い空だ。夜…とは違う、何とも言えない。

 

…気付くとあの三人がいなくなっている、先にでも行ったのか? 一声掛けてくれてもいいじゃないか、…ちょっとだけショックを受ける俺。アイツ等が行ったであろう道を進むと、

 

「キャアアアアアアッ!!」

 

マリベルの悲鳴が! 俺は腰の木剣を抜き、悲鳴のした方へと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

そして辿り着いた先では、魔物に襲われている三人が! キーファとアルスが、マリベルを守る為に頑張ってはいるが多勢に無勢。俺は慌てて乱入し、何とか三人を無事に救出する。マリベルは家に帰りたいと駄々を捏ね、キーファとアルスは魔物に興奮している。ワクワクが止まらないようだ、…勿論俺もワクワクしている。

 

…が、マリベルを無事に家へと送らなければならない。そしてこの場所は何処なのか、まずはそれを調べぬことには先へと進めない。なんていったって魔物がいるからである、即ち危険。三人を無事に家へと送る為、俺が頑張らなければならない。そういうわけで、俺から離れぬよう三人に言い聞かせてから先へと進んだ。

 

 

 

 

 

 

魔物の襲撃を警戒しながら進んでいくと、少し拓けた場所に出た。そこで一人の女性に出会う、彼女の名はマチルダというらしい。この場所にある墓に用があったみたいだ、…花の代わりに草を供えるか、…花が咲かないからというが何か悲しい。俺と同じ気持ちになったのだろう、マリベルがたまたま持っていた花の種をマチルダにあげた。それを受け取ったマチルダは、嬉しそうに墓の周りへと種を埋めていた。少しでも死んだ者の魂が安らげばと、…マチルダは心優しい女性のようだ。

 

俺は間を置き、彼女に事情を話した。すると…、

 

「申し上げにくいのですが…。」

 

どうやら俺達はまだ戻ることが出来ないらしい、…まだ? ……それはさておき、じゃあどうするかと考えていると、

 

「森を抜けた先に村があります、まずはそこをお目指しになったら如何でしょう?」

 

マチルダがそう提案してきた。それはありがたいな、先のことは村で考えればいい。魔物が出るような場所では、ゆっくり考えられんからな。…その村までマチルダが案内をしてくれるらしい、…それはとても助かる。

 

 

 

 

 

 

魔物を倒しながら進み、やっとこ村へと辿り着いた。マチルダはなかなかの手練れで、道中は楽であったと言っておこう。故にキーファとアルスに戦いながら、色々と教えたよ…戦いについてね。村に着いたのだから、他のことも教えなければな。そう思っていたら、

 

「…あら? マチルダさんの姿が見えないわ。」

 

マリベルが気付き、俺達も周囲を見渡すが…いない。村にあると思われる自宅にでも戻ったのだろう、俺達はそう考えた。その内会うだろう、…その時に礼を言えば。

 

せっかく村へ来たのだ、休める場所を探さねば。そう思って散策するも違和感、男性しかいない、無気力、自らの手で村を壊し続ける村人達。…この村で一体何が起きている? 帰る手段を考え、そして探さなければならない俺達はその前に、この現状を把握しておかなければならない。石橋を叩いて何とやら…だ。

 

…で情報収集の結果、突然現れた魔物達により女性達は拐われ、魔物達の命令によって男性達は破壊を続けているとのこと。全ては女性を助ける為…、何ということだろうか! 魔物達の行動とは何と恐ろしいことか、そして許せぬことか!キーファ達も怒りを滲ませている。これは俺達で何とかするしかないのでは? 不思議と使命感に燃えている自分にちょっと戸惑う。しかし俺だけではなく、キーファ達三人も燃えているから良しとしよう。…更に情報収集だ!

 

 

 

 

 

 

村を散策し情報収集をしていると、村の奥に小屋を見付けた。人目を避けるように建つこの小屋が怪しい、そう思い中へと入ってみるとベッドで眠る男性と小さな男の子が。小屋に入ってきた俺達に男の子は驚くも歓迎してくれた、…良い子のようだ。

 

そして話を聞くに男の子の名はパトリックといい、マチルダを知っているかと聞かれた。この村まで案内をしてくれたのは彼女だ、当然知っている。そのことをパトリックに言うと、安堵の息を吐く。彼曰く、この村を魔物から守ってくれているのは彼女らしい。…なるほど、姿を消したのは見廻りの為か。…彼女は本当に良い人のようだ、手練れなのも頷ける。

 

…で、ベッドで眠る男性はパトリックの父親で怪我をしているらしい。彼は村の戦士で、女性を助ける為に戦い怪我を負ったとのこと。そしてこの怪我を治すには、緑色の宝玉の輝きが必要だという。それがあるのは南東の鉱山、されど魔物が多くいる為に誰も行けないという。故に、マチルダに頼んで取ってきて貰おうと考えていたようだ。それと同時にマチルダを心配している、…本当に良い子だな。

 

この話を聞いてキーファが、

 

「なぁ兄貴、アルスにマリベル。その緑色の宝玉ってヤツ、俺達で取りに行かないか?」

 

そう提案してきた。それに賛成したのがアルス、反対がマリベルだ。因みに俺は賛成で、

 

「マリベル、もしかしたら鉱山で何か見付かるかもしれない。そう…帰る手掛かりがあるかもしれないのだ、ジッとしているより動いた方がいい。故に俺は行く、反対ならばここで大人しく…「行くわ!」…そうか。」

 

…何かマリベルが前のめりでそう言ってきた、…さっきは反対していたのにね? …やはりキーファとアルスはニヤついている、…解せぬ。

 

とにかく俺達が探しに行く、そのことをパトリックに伝えた。パトリックはそれに大喜び、そこまで喜ばれると是が非でも手に入れなければと思う。

 

 

 

 

 

 

村を出て襲い掛かってくる魔物を蹴散らす俺達、装備を新調した俺達の敵ではない。キーファとアルスは強いからな、…俺が鍛え上げたからなんだけど。覚悟を決めた二人に前衛を任せ、俺は後衛にてマリベルを守りつつ呪文で援護。特に苦労をすることもなく、カラーストーン採掘場へと辿り着くことが出来た。

 

採掘場内へと入って直ぐにマチルダと出会った、何故こんな所に…? と思ったが向こうも同じようで、

 

「ユーキスさん達、こんな所でお会いするとは…。奥に行くのでしたらお気を付けください、魔物の気配を多く感じますので。」

 

俺達とこの場で会ったことに驚きつつも、採掘場内の情報を教えてくれた。ついでなので、パトリックからのお願いと心配していたことを伝える。そして良ければ一緒に行かないか? と聞くも、

 

「この先にあるとは思いますが、緑色の物は数がありませんので…。それと申し訳ありません、私は急ぐ身ですのでお手伝いをすることが出来ません。…冷たいとお思いでしょうが、私はパトリックだけに構ってはいられないのです。」

 

…ごもっともな言葉ですな、じゃあ予定通り俺達だけで探すか。俺達はマチルダに別れを告げ、魔物の巣食う奥へと進む。

 

先程と同じようにキーファとアルスに前衛を任せて進むと、カラーストーンが道を塞ぐ場面に多く当たった。そこを知恵で乗り切り先へ進むと、最深部にて目的の緑色のカラーストーンを見付けた。キーファとアルスは大はしゃぎするも疑問が一つ、…これをどうやって持ち帰れば? うーむ…と悩んでいたら、

 

「ユーキスさん!」

 

背後から声を掛けられたので、振り向いてみればそこにマチルダが。どうしてここにいるのかと聞いてみると、心配になって戻ってきたとのこと。だが心配無用、コイツ等はなかなかに強いし俺もいる。まぁでも、心配してくれたのは嬉しかったり。素直に礼を言えばマチルダは照れ、マリベルはムッとする。何故そこでムッとするのかは俺には分からない、…マリベルは反抗期にでも入ったんか?

 

それはさておき、この緑色のカラーストーンをどうするかで悩んでいたことを伝える。それを聞いたマチルダは緑色のカラーストーンの前に立ち、手をかざして集中し始める。するとどうだろう、緑色のカラーストーンから一つの破片が。…丸ごと運ぼうと考えていた俺達が馬鹿みたいである、…破片でいいわけね。落ちた破片を拾い、俺に渡してくるマチルダ。

 

「これをパトリックにお渡しください。私が直接渡せばいいのでしょうが、急ぐ身であることは変わりませんので。…すみませんが私はここで失礼しますわ、ユーキスさん…それに皆さん、お気を付けてお帰りください。」

 

そう言って立ち去ろうとしたマチルダだが、何を思ったか立ち止まり…戻ってきた。そして…、

 

「忘れるところでしたわ。ユーキスさん達にこれを貰って頂きたいのです。」

 

渡されたのは木の人形、出来は良くないが…心が籠っているような気がする。この木の人形は一体…、

 

「その人形は…、私がまだ少女の頃に兄から貰った物です。ずっとお守りとして大事にしてきたのですが…、今の私には似合いませんから…。」

 

悲しそうな、そして寂しそうな表情のマチルダ。俺の手の中にある木の人形を一撫でした後、今度こそこの場から立ち去った。

 

…マチルダから貰った木の人形を大事に仕舞い、緑色の宝玉も同じく仕舞う。何とも言えない空気になってしまったが、パトリックの待つ村へと戻ろう。

 

 

 

 

 

 

村に戻った俺達は直ぐ様パトリックの下へ、手に入れた緑色の宝玉を渡す。それとマチルダとも出会い、手伝ってくれたことも伝えた。緑色の宝玉にマチルダのこと、パトリックはとても嬉しそうだ。パトリックは緑色の宝玉を、眠る父親の枕元に置いた。これで怪我が治るというが、…本当だろうか? 心配である。

 

一先ず安心というわけで、パトリックはマチルダとの出会いを話してくれた。マチルダは、パトリックと父親の命の恩人らしい。父親が戦いに行った後、心配になって魔物のアジトである東の塔へ行ったとのこと。そこには塔の入り口に倒れる父親と、その隣にマチルダの姿。…マチルダは父親を助ける為に魔物と戦ってくれた、マチルダのお陰で父親の命が救われた。…それがマチルダとパトリックの関係、マチルダを慕う理由であった。

 

その後、パトリックの厚意で宿屋へ泊まることに。宿屋に着き部屋へと行くと、俺以外の三人は直ぐに眠ってしまった。…だが俺は眠れずに考える、…マチルダのことを。彼女は不思議だ、色々と…。何より、何故東の塔にいたのか? 本当にパトリックの父親を救ったのか? 実はその逆で、彼女がパトリックの父親を…。そう考えていると、自然に眠気が…………。

 

────────────────────

 

ー???ー

 

「待ってよぉ、お兄ちゃん! 一人は危ないよ? 行くならみんなと一緒に行くべきよ。」

 

「そうしたいのはやまやまなんだがな、早く行かなければあの魔物を見失ってしまうかもしれない。まずは俺が足止めをし、その後村のみんなが加勢をしてくれる手筈だ。力を合わせて戦うんだ、だから大丈夫だよ。」

 

 

 

 

 

 

「そう心配するな〇〇〇〇、お守りにこれをやるから。…お前にやろうと思って作ったのだ、ほら。…見てくれは悪いけど頑張って作ったんだ、大切にしてくれよ。」

 

「…ありがとうお兄ちゃん! 大切にするね! …だから無事に帰ってきてね?」

 

「分かっているさ、良い子にしているんだぞ…マチルダ。ではな、…行ってくる!」




ひっそりひっそり。
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