ドラゴンクエストⅦ ~俺もエデンの戦士~   作:ユキユキさん

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うーむ…。


第3話 ~東の塔

ーユーキスー

 

何とも目覚めが悪い、…あの夢は一体何だったのか? あの戦士は…、あの小さな女の子は…。分からない、分からないが一つだけ確かなことがある。マチルダ…、あの小さな女の子の名がマチルダということ。…マチルダ、夢の中のマチルダはキミの小さな…。

 

キーファ達三人も目覚め、父親の様子が気になるってことでパトリックの下へ。ノックをして返事を貰ってから入ってみれば、パトリックと父親が俺達を迎えてくれた。パトリックは父親の怪我が治ったと大はしゃぎ、父親…名をハンクというらしいが、今回の件で礼を言ってきた。パトリックはマチルダにもお礼を言ってねとハンクさんに言う。助けてくれたこと、マチルダは強く…村を守ってくれたこと、それを一生懸命説明する。その説明を聞いたハンクさんは、何処で会った時は礼を言うと約束していた。

 

そして次は俺達のこと、何故この村を訪れたのかを聞かれた。なかなかに説明は難しいが、俺はこれまでの経緯をハンクさんに話した。…それを聞いたハンクさんは、力になりたいがどうすればいいのかと悩む。そして…、

 

「思い付くことがあるとすれば、この地に根付いた悪しき力を払えば活路が見出だせるやも。…それが正解かどうかは分かりませんが、魔物退治をやるとしましょうか!」

 

悩んでいても仕方がないか、ハンクさんの言うように…魔物退治をやってみよう。村も救えるし、もしかしたら帰る為の手段が見付かるかもしれん。キーファ達三人にも聞いてみると、俺に任せるとのことだ。…ならば魔物退治の為に東の塔へ行きますか! ハンクさんも手伝ってくれるようだしな、やれることをやってみよう。

 

 

 

 

 

 

ハンクさんの案内で東の塔へと辿り着いたわけだが、その門前には巨大な魔物…ゴーレムっぽい奴が。…キーファ達はややビビり気味だが、俺としては負ける要素が一つもない。自己評価が低いみたいだが、キーファ達の方が断然に強い。…そうだな、自信を付けさせる為にもキーファ達だけで戦ってみようか。そう伝えると、

 

「あ…兄貴ぃ~っ!」

 

「そんなの無理だよ…!」

 

キーファとアルスはめっちゃ嫌がっているが、何故かマリベルは、

 

「ほら二人共! ユーキスさんが期待してくれているんだから、ちゃっちゃとデカ物退治をするわよ! 危なくなったら助けてくれる筈だから! ……もうっ、男でしょ!!」

 

と気合バリバリでした。マリベルにそう言われ、渋々その後に続くキーファとアルス。ハンクさんは三人をサポートしてくれるようで、ありがたいことです。俺は見てるだけで…、俺が交ざったらほぼ一撃だぜ? それじゃあ意味がないでしょ。

 

────────────────────

 

ーキーファー

 

兄貴の暴挙というべき宣言により、俺達だけであのデカイ奴と戦わなければならなくなった。アルスも俺と同じく渋々と剣を構え、助っ人としてハンクさんが加勢をしてくれるのはありがたいぜ! 一番張り切っているマリベルは、既に魔力を高めていて準備万端といったところか。…兄貴に期待されてやる気を出すのはいいけどさ、俺達を巻き込まないで欲しいよな。

 

しかしまぁ、兄貴に期待されるっていうのは正直嬉しい。兄貴はめちゃめちゃ強いからな、エスタード島最強はダテじゃない。兄貴だったらあのデカイ奴、余裕の一撃で倒すんだろうな。俺には出来ないことだぜ、勿論アルスも出来ないけどな。…出来ないことだけどやらなきゃいけないんだろう、俺達だけで倒せると判断したんだろうし。一応俺達は兄貴に鍛えられている、だからそう簡単に負けることはないと思う。思うけどこんなデカイ奴…、不安だぜ。

 

恐る恐る近付いていくと、…あっさり気付かれちまった! …めっちゃ迫ってくる、ハンパねぇ~! その圧力にビビってしまうが、流石というかハンクさんが先に仕掛けた。デカイ奴の攻撃を掻い潜り、一撃一撃…確実にダメージを与えているっぽい。スゲーと素直に感心しつつ、俺も立ち向かわなければならないよな…。後ろへ振り向き兄貴を見れば、頷いてから親指をグッと立てている。…行けってことだよなぁ~、…チクショー! やるっきゃねぇか!

 

デカイ奴と戦うハンクさんに続き、俺も果敢に攻める。アルスも負けじと攻め立てて、戦況は俺達の有利か? デカイ奴の攻撃は大振りで避けるのは容易い、そして確実に蓄積されるダメージ。…後もう一押しか? そう考えていると、背後から魔力のほとばしりを感じる。…マリベルか!? そう思った瞬間、俺は直ぐ様この場から飛び退く。アルスも慌てて退き、戦士の勘か…ハンクさんも退く。

 

その直後、デカイ奴に大きな火球が直撃。それがトドメになったのか、デカイ奴は音を立てて崩れた。……わりと余裕で倒せたな、俺達って意外と強かったり? 兄貴を見ればいい笑顔で親指を立てている。…ってことは、俺達は強かったってことか。単純に自信がなかっただけだったのかもな、俺達。…うん、今度から自信を持って立ち向かえるかもしれないぜ!

 

とりあえず、倒せたから良かったけど…、

 

「ふふん、やっぱり私のメラミは最強ね!」

 

…マリベルの奴、やっぱりメラミを放ちやがったのか!? 俺達に当たったらどうするつもりだったんだ! お人好しのアルスも流石に怒っているぞ、勿論俺も怒っている。ハンクさんは…大人だ、でも俺達は! 胸を張って調子に乗っているマリベルに、俺とアルスは怒鳴り込んでケンカになった。

 

────────────────────

 

ーユーキスー

 

やはり俺の目に狂いはなかった、キーファ達だけで倒せると。ハンクさんもいい仕事をしてくれる、流石としか言いようがない。俺はハンクさんに礼を言うも、彼はそれほどのものでもと謙遜する。それよりも、止めなくていいのですかと指を差された。差された方を見てみれば、キーファ達がケンカをしていた。キーファの腕に噛み付くマリベル、マリベルを引き剥がそうとしているアルス、悲鳴を上げるキーファ。…何をやっているのかね? アイツ等は。

 

ケンカを仲裁した俺は三人を褒める、そして一応…マリベルに注意もした。キーファとアルスはざまぁって顔をしているし、マリベルは物凄く落ち込んだ。…で、軽く先程の戦闘についての良い所と悪い所を指摘し、次は頑張るように言い聞かせる。ハンクさんも一緒に戦闘談義、三人の戦闘知識は上がったことだろう。

 

門を守る魔物を倒した俺達は塔の中へ、先程の反省もふまえて戦う三人はなかなかに連携が取れている。俺とハンクさんは感心しながらも三人をサポート、途中で見付けた石板も忘れずに回収する。危なげなく塔を登っていくと、門を守っていた魔物よりも気配の強い奴と対峙した。今回は俺もちょっとは……ん? キーファ達でやるの? マジで? …そうか、ならば任せた! ハンクさん、最低限のサポートをお願いします!

 

 

 

 

 

 

相手の魔物…蟹みたいな奴は手強い、門を守っていた魔物よりも強い。ハサミによる一撃は重く、盾を構えたキーファを弾き飛ばす。隙を見てはメラを放つマリベル、しかしそれをギリギリで全て避ける。タイミングを見て攻めようとするアルスには、メラを放ってタイミングをずらし余裕で避ける。三人連携の一撃を繰り出そうものなら、防御に徹して最小限のダメージにとどめる。…この蟹野郎は強い、三人も攻めあぐねている。

 

ハンクさんのホイミで体力を回復する三人、…どう攻めるのか? 蟹野郎も調子に乗っている、………ぶった斬りてぇ! 俺は無意識に一瞬だけ、蟹野郎に対して殺気を飛ばしてしまった。それを敏感に感じ取った蟹野郎は硬直する、…手助けしちゃった。

 

俺の無意識サポートに気付かないキーファ達は、この好機を見逃さずに突撃する。蟹野郎もギリギリで勘づき動こうとするも鈍い、その結果…蟹野郎は三人の連携攻撃の前に破れ去った。キーファによる最後の一撃、俺の教えた火炎斬りがとても良かった。

 

 

 

 

 

 

…破れた蟹野郎はしぶとく生きていた、魔物だけにタフな奴だな。親方様がいればどうのと喚いているが、…そんな時に蟹野郎が急に元気になった。タフだな…本当に…と思いつつ、背後より近付いてくる気配に悲しくなる。だってさ…、この気配は…、

 

「…マチルダ。」

 

見知った彼女の登場にキーファ達は驚く、ハンクさんは彼女を元凶と言う。やはり彼女が…と思った矢先、仲間であろう蟹野郎を斬った。

 

斬った後で此方に振り向いた彼女は、…とても悲しそうな表情で、

 

「…ユーキスさん達を驚かせてしまいましたね。…その者の言う通り、私こそがこの災いの元凶。村の女が戻らぬよう、その鍵役を授かった魔物の一人…。もっとも、ユーキスさんは薄々勘づいていたようですが。」

 

そう言うと彼女の周囲に闇が集まり、四散した後に現れたのが骸骨戦士。これが…彼女の本当の姿、禍々しい姿ではあるが…邪気を感じない。その姿でも、彼女の心根は変わらないのだろう。そんな彼女は、

 

「…ユーキスさん達には、これだけは信じて欲しいのです。あの時の私が、あの墓に花を供えたいと思ったこと…。その心までも嘘だったわけではありません、人間だった頃の想いが自然と…。私はパトリックのお陰で、ユーキスさんのお陰で……。」

 

そう言う彼女の言葉を遮り、ハンクさんが怒りをぶつける。しかし彼女は、

 

「貴方を助ける為にたった一人でパトリックは…。幼かった頃、死んだ兄を追った私と同じように…。」

 

やはりマチルダはあの夢の中に出てきた女の子、…ハンクさんも気付いたようだ。

 

「兄を追った私は囚われ…、そして…いつしか兄を裏切った村の人間を恨むように…。その悪意はやがて私を魔物にし…、だから私と同じ運命をパトリックには……。」

 

ハンクさんは苦しそうだ、苦しそうではあるが…、

 

「英雄パルナの妹よ、息子との約束だ。お前に礼を言わねばならん、故に…一度だけ言おう。連れ去った女達を村に戻し、この島の全てを戻すんだ。そうすれば俺は、…お前を斬らずに済む。」

 

ハンクさんの譲歩であろう、彼もマチルダのことを斬りたくないのだ。…俺と同じようにね、…しかし彼女は、

 

「……………。それは叶いません、私を殺さぬ限り…全ては戻らないのです。…故に遠慮はいりません、私をお斬りなさい。…心が戻った時に覚悟は出来ています。」

 

この世は残酷だ、…思い通りにはいかない。




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