三門市に引っ越しました   作:ライト/メモ

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ー月、:月

 

 

ー月=日

 

 

 卒業式も終わり、3年生になった。クラスはそのまま繰り上がり。

 

 クラス新聞ならぬ料理新聞と名付けられたレシピプリントは何故か全校クラスに配布されている。私は原本を1枚作るだけで良いけど、なんか精神的疲労が強い。どうしてそうなった。まぁ、みんなのお袋の味と料理開拓に役立てるなら良いさ。嫌いじゃない忙しさだよ。いつの間にか料理開拓部部長にされてたけど。

 

 ボーダーはまた新人さんが増えて東さんが忙しそうに面倒を見てた。来月からボーダーの顔になった嵐山隊も新人研修に携わるらしい。嵐山隊の忙しさを苦とも思わず笑顔で引き受ける度量には感服する。

 

 ランク戦もなんだか入れ替わりが激しい。風間さんのチームが破竹の勢いで上に昇っているし、二宮さんもチームを組んでA級を目指し、圧倒的な強さを全面に出した太刀川さんと出水くんのコンビも侮れない。影浦くんと北添くんコンビも他と比べるとゆっくりだけど順調な戦績だ。

 そういえば鳩原ちゃんは二宮さんのチームらしい。意外とも思うけど納得もする。鳩原ちゃんの精密射撃は職人技だからね。

 

 ランク戦が始まると私のソロ任務が増えたが、あんな長時間の鬼畜任務じゃないので余裕はある。これで鬼畜任務だったら料理新聞なんて書く元気がなくなるから良かった。

 

 

 

ー月=日

 

 

 迅の誕生日だったが任務が入ったので、朝に玉狛支部へ向かって祝いの言葉とお菓子詰め合わせをプレゼントしてお弁当を作って渡した。

 

 迅が「愛妻弁当みたいで照れる」とか茶化してきたのでノリに合わせて「行ってらっしゃいハニー」と言ったら聞いてた林藤支部長が大爆笑してくれた。

 

 任務は太刀川さんとだった。太刀川隊のオペレーターと出水くんは高校生で成績が危ないらしいので休めなかったようだ。

 相変わらずどんどん前に行く太刀川さんだけど、以前のようにこちらを無視した個人技戦闘ではなかったのでサポートに遅れることはなかった。

 

 ランク戦のログでも思ってたけど、太刀川さんはチーム戦をちゃんと勉強したらしい。朝から夕方までの任務だったが太刀川さんという頼もしい前衛がいるから最低限のトリオン消費で済んだ。

 

 任務が終わるとチームに勧誘されたけどお断りした。太刀川さんの隊だと私の撤退戦術は活かせない上に罠も連携の邪魔になりそうだから。

 

 

 

ー月=日

 

 

 模擬戦のログを見てると槍を使う隊員を見つけた。弧月の一種らしいが初めて見る身のこなしで、その隊員のログを遡った。

 

 突く・払うが基本動作。手首のしなやかさより肩と腕の力が必要で、足運びも注意が必要だ。槍だと刀以上に懐へ入られると対処が難しいだろうし間合いの絶妙さをこの隊員は解っているらしい。なんとなく太刀川さんみたいな戦闘狂っぽい。

 

 三輪くんの隊に入ったようだしいつか連携する時が来る。連携ミスが出ないように出来るだけ槍の隊員のログは見ることにした。

 

 

 

:月ー日

 

 

 驚きの任務が与えられた。近界に遠征しに行くらしい。

 

 今までも限られた数人しか選ばれていないが、長期休暇の時は近界に行って新しいトリガー技術を探しに行っていたようだ。平和的に交渉したり、あちらは戦争ばかりなので戦場跡で拾ったりする。しかし最悪の場合は戦闘になることも危惧されるので実力者しか向かわせないとのこと。

 

 それに私が選ばれた。大変名誉なことだけど、もしもの為に遺書を書くことを促された。気を引き締めよう。

 

 メンバーの中に迅がいたのには正直ホッとした。メンバーは全員任務を組んだことがあるベテランばかりだけど、迅ほど頻繁に組んでたわけじゃないから。

 

 明日、行ってきます。

 

 

 

:月ー日

 

 

 ただいま。無事に帰ってこれたよ。

 

 中世ヨーロッパみたいな国だった。言語は日本語でびっくりした。

 近接武器が充実してたけど遠距離はトリオン兵任せの国で私としては目を惹かれるものはなかった。戦闘もなく交渉で済んだ。

 

 国の内情を軽く探るために街を散策してたら人攫いに遭ったけど、迅がトリオン体でぶちのめしたら国から報奨としてトリガーを貰えた。人攫いは敵国の密偵だったらしい。トリガー使いじゃなくて良かった。

 

 さて、溜まった課題でも片付けますかね……

 

 

 


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