三門市に引っ越しました   作:ライト/メモ

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オリジナル改造トリガー&オリジナルトリガーを出します。



/月、〆月

 

/月‡日

 

 

 年末年始は帰省できた。年越しそばを食べながら年越し番組を見て笑って、寝た。正月、親戚に新年の挨拶をすると彼氏が出来たことを知られており、さらに迅の顔まで広がってた。母に修学旅行の写真を送ったことを激しく後悔した時だった。けれどよく考えてみると、いずれ知られることだ。それが早くなっただけ、と言い聞かせなければやってけない。

 父は親戚と一緒にグイグイ酒を呑んでた。普段なら飲まない焼酎も口をつけてたので、どうも母から結婚うんぬんを聞いてたっぽい。母よ、さすがにそこは黙ってて欲しかった。

 

 三門市に帰ってくると、迅と初詣に行った。着物ではなく洋服だ。お詣りして帰り道に帰省した時のどんちゃん騒ぎを迅に言えば「玲の家族は賑やかであったかいな」とにこにこ笑顔。

 迅を実家に連れて行くと家族だけでなく親戚一同も騒ぎそう。そういえば迅の写真を見たアイドル好きの従姉妹が「かっこいい」と評価してたな。最初に惚れたのって中身で、見た目はどちらかと言えば付属だったのであまり気にしたことなかった。うん、迅はかっこいい。

 

 

 

/月‡日

 

 

 新年の初防衛任務。新年の任務は防衛というより補導任務のような。テンションが上がってる若者とか酔っ払い達が警戒区域に侵入してくるのでそっちの対処が主だ。それにトリオン兵が出現すると悲鳴を上げて逃げようと必死になるから保護するのも大変。記憶操作部署もてんてこ舞いだよ。

 

 冬島隊の任務とは別に、即席チームやソロでの夜間任務に入るようになった。まだ学生だけど今年で卒業だ。就職したら夜間任務も入るらしいので研修も含めて参加した。

 基本的に学生組がほとんど入れない平日の昼間に入る予定だが、夜間任務だってある。近界遠征でも夜間活動はあるしね。

 

 

 

/月‡日

 

 

 当真くんが冬休みの課題が終わらないとカラカラ笑ってるのを聞いて真木ちゃんが冷たい目を向けていた。それを見て迅も課題をしてないのでは、とも考えたがアイツなら留年や赤点を取るようなヘマはしないだろうと思い直した。

 

 

 

/月‡日

 

 

 A級チームはトリガー改造特権がある。今まで特に思いつかなかったので利用してなかったけど、使ってみた。

 

 改造したのはスパイダーだ。元はトリオン消費が少なく、キューブから色が変えられる糸が飛び出して張るだけの機能。

 これに強度と太さを変更出来るようにした。極細の絹糸から注連縄の太さまで。強度はシャボン玉からシールドトリガーまで。

 それとそのスパイダーのオプショントリガーも作った。裁縫の指貫っぽいのを作り、両方の中指・薬指・小指の第1関節に装着。スパイダーのオプショントリガーとして『繰糸(そうし)』と命名。文字通りスパイダーを操れる。鞭にもできるけど、私の目的は近くのスパイダーに接続することだ。

 一度張ったスパイダーは己のコントロールから離れる。例えば太さ4mmでシャボン玉強度の設定で張ったら、以降に変更が出来ないのだ。その変更を『繰糸』で可能にする。太さや強度も変えられて『繰糸』にくっつけたまま伸ばすことも出来る。

 

 練習次第では漫画で見た人形師にもなれそう、とか思ってしまった。さすがにそんな器用には出来ない。

 

 人差し指と親指には『繰糸』を着けてない。狙撃の時に邪魔になるし。ちなみにこの改造スパイダー、通常スパイダーの倍トリオンを消費する。それでもシュータートリガーよりは少ないけど。

 『繰糸』は戦闘体に常時装着している状態にした。弧月みたいなオンオフ動作だ。

 

 私のトリオン量は平均より多めなのでトリオン切れの心配は少ないが、継戦能力は格段に落ちた。そこは自覚しておかないとね。

 

 

 

〆月/日

 

 

 仮免を取ったぞー!

 やっと教官のウザイお喋りから解放された。本免は卒業してからマークシートテストなのでもうちょっと先。それまでは自主学習だ。1発合格を目指しますとも!

 

 卒業したら引っ越しをしないと。今はボーダーの学生優遇寮だから、学生ではない人間は住めない。ボーダー提携のアパートやマンションがあるのでそちらに移ろうかな。玉狛支部に近いところが良いなぁ。

 支部に行って陽太郎くんの相手も出来るし、それに、迅が来やすいように。

 

 だって迅は意外に忙しいから学生じゃなくなったら今よりも会えないかもしれないんだ。それもふまえて明日迅に相談してみようかな。

 

 

 

〆月/日

 

 

 学校で会えなかったが、ボーダー本部で──変な表現だが──迅に見つけられた。迅は相談されることを知ってたようで、資料をポンと出してきた。

 

 迅が渡してきたのは2LDKや3LDKに4DKなど明らかに一人暮らし用ではない物件だ。

 

 戸惑った。戸惑って迅を見れば、手を取られて「卒業したら俺と住んでほしい。玲のご飯を毎日食べたい」と真剣な顔で言われた。なんかプロポーズみたい、と顔が熱くなって頷くとガバッと抱きしめられた。

 

 コホン、と咳払いが聞こえてハッと顔を上げると城戸司令がいて、一気に体温が下がりました。グッピーなら死んでた。

 迅がのんきに挨拶すると城戸司令はため息を吐いて、持ってた紙束を渡してきて「これからも苦労するだろうが、迅とボーダーをよろしく頼む」と優しい目で言ったあとスマートに去って行った。体温は元通り。さらに格好良い城戸司令の優しい目に胸がキュンとしてたら迅が尻を触ってきた。おい。

 

 城戸司令から渡された紙束は迅と同じく家の資料だったのだが、一戸建て住宅で持ち主の名前が城戸司令。それが3軒。

 つまり持ってるけど放置中の家を候補に挙げてくれたのだ。ほぼ売り家みたいで普通に買うよりも格安で立地も玉狛支部に近く……迅がベテランだからこその優遇だと思うけど、こんなに好条件を揃えられているなんて凄い。

 

 しっかり計画を練ったローンなら無理なく払えるし、迅と私の給料なら日々の暮らしも余裕だと思う。よし、まずは迅と下見兼見学に行こう。

 

 

 

〆月/日

 

 

 バレンタインデー。本命チョコを手作りして迅に渡すと、私にもチョコをくれた。最近流行りの"逆チョコ"に乗っかったらしい。

 市販チョコレートの山で、量は私より多い。お返しをどうしようか悩んでたらチョコレート味のキスを受けた。足りない分はキスを強請られた。

 

 お互いにチョコを贈ったのでホワイトデーは無しにした。イベント多いもんね。

 

 

 

〆月/日

 

 

 家を見に行ってきた。迅が持ってきた分と城戸司令が持ってきた分を見て回る強行軍だった。

 

 私としては重要なキッチンスペースと、洗濯物に大事な日当たりと、風呂場やトイレなどの水回りを主に確認。迅は特にこだわりはないらしい。

 

 吟味した結果、城戸司令が持ってきた物件の一つに決めた。3LDKの一戸建て住宅。広いキッチンスペースとスーパーに近く、ご近所さんに陽太郎くんの友人宅があって親しみやすかったなどの理由があるけど、一番の理由は迅がどこか懐かしそうな顔をしたからだ。

 その家に決めた時もなんか嬉しそうにしてた。なんとなく最上さん関係かなと思ってる。

 

 迅は過去のことを語らない。尋ねたらきっと答えてくれるだろうけど、そんなに急いで知る必要もない。だってこれからまだまだ時間があるんだから。

 

 

 

〆月/日

 

 

 荷物の整理は結構進んだ。先月の下旬頃から少しずつ進めていたから残りもあと少し。

 

 新居の家具を迅と見に行ってきた。リビングに置く予定のソファーを真剣に選ぶ迅が面白かった。対する私も冷蔵庫を選ぶ際に笑われた。お揃いの食器も選んだりしてショッピングを楽しんだ。

 

 

 




 ・改造スパイダー
色に加えて強度と太さも変更可能。シャボン玉からシールドトリガー強度まで。極細の絹糸から注連縄の太さまで。
通常スパイダーの倍のトリオンを消費する。


 ・スパイダーのオプショントリガー『繰糸(そうし)
戦闘体に常時装着で、指貫(リング)。両手の中指・薬指・小指の第1関節。

コマンドワード『介入(アクセス)
既に手元から離れたスパイダーに触れるまたは無線LANっぽく繋ぐことで、強度と太さを変更可能。触れた方が消費トリオンは少ない。

コマンドワード『接続(コネクト)
リングにスパイダーをくっつける。そのまま自在に伸縮させ、鞭のように振ることも出来るが技術が必要。

コマンドワード『停止(ドロップ)
繰糸を段階を踏まず、急停止または機能を強制的に解除する。繰糸はトリオン体に付属しているので、トリオンの供給を無くすなどの緊急時に使用。イメージはWi-Fiを切る感じ。


城戸さんの持ち家について。
旧ボーダー時代にいなくなってしまった人員の家を城戸さんが管理してました。城戸さんにとっても大事な仲間のものだった家々でしたが、昔からの付き合いある迅が一緒なので候補に挙げてくれた設定です。

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