リハビリ感覚で戦闘描写を入れていますが、原作ダイジェストですね。
戦闘はアニメか原作を御覧になるとカッコイイのが伝わります。
前半は迅を軸とした三人称
後半は八神の一人称
夕飯を食べて食器を2人で片付けると、迅は「ちょっと行ってくるね」と家を出て行った。
既に外は暗くて普通ならもう外に出る人間はいない。けれど、迅には何か視えたのだろうと結論して八神は何も訊かずに送り出した。
「さてさて、悠一が帰ってくる前に寝室の掃除でも終わらせないとね」
寝に帰ってきていただけの状態をお見通しの八神は、意気揚々と掃除道具を持ったのだった。
一方、迅は予知していた道路上にて遠征部隊と相対していた。
「てっきり家でゆっくりしてると思ったんだがな。八神も帰したし」
「さっきまでゆっくりしてたよ。玲の肉じゃがはやっぱり美味しいね」
「このリア充め! ……で、こんな所で待ち構えてたってことは、俺たちの目的もわかってるわけだな」
部隊の指揮を任された太刀川が迅に分かりきった問いを投げる。それに迅も変わらない調子で答えを返した。
迅は
対する遠征部隊は空閑の
迅は黒トリガーを所持するS級隊員だが、遠征部隊は『黒トリガーに対抗できる』と判断された合同部隊だ。更に三輪隊も加わっている。
如何に個人対複数の戦闘に慣れている迅と言えども、簡単に勝てる相手ではないのは明白。
だが、迅は余裕を崩さない。
冷静に迅を観察する風間は眉間に皺を寄せた。ある可能性が浮かんだからだ。
「もしや、八神を待機させているのか?」
八神が迅に味方していた場合、人数差はあまり意味がない。巧妙な罠たちがどこで牙を向いてくるのか、警戒心は一気に跳ね上がる。
罠を駆使してソロA級隊員になった八神の実力は、かつて同じ部隊だった風間でさえ舌を巻く程なのだ。
「え? いやいや玲は巻き込んでないよ。今頃部屋に散らかしてきたぼんち揚げの袋にビックリしてると思う」
心外です、と言わんばかりに手を振る迅に、同じ隊を組む当真は八神に同情した。他の隊員も冷たい視線を迅へ送る。
「何やってんだアンタ」
「リア充発言やめろ」
色々と言いたいことが風間にもあったが、会話の主導権を握られては堪らないと会話を続ける。
「……ならばその余裕は」
なんだ、と言いかけて風間は答えを知る。
「嵐山隊、現着した。忍田本部長の命により玉狛支部に加勢する!」
テレビのヒーローショーさながらに登場した嵐山隊。人数差は変わらず合同部隊が有利だが、S級隊員の迅にチームバランスの高いA級嵐山隊が加勢するとなれば撃破は難しい。
だが合同部隊も簡単に引き下がるわけにはいかない。そして、部隊を預かる太刀川が弧月を抜いたことで戦闘は始まった。
スナイパーたちが距離を取る為に走り出すと同時に、機動力を誇る風間隊が先攻する。
スコーピオンと風刃の攻防が一瞬、そして風間隊の陰にいた太刀川の弧月が迅を襲う。読んでいた迅が風刃で受けて下がり、太刀川の旋空弧月さえも避ける。嵐山隊も上手く牽制と回避に成功し、初手の攻防では誰も負傷をしていない。
一旦距離を置いた迅と嵐山隊は分かれ、迅が厄介な太刀川と風間隊とスナイパーを請け負った。狙撃が迅を襲うも経験と予知でなんなく回避。
近接戦闘を誇る太刀川と風間隊を相手に引けを取らない迅の実力は疑いようもない。
だからこそ誰一人欠けていないこと、風刃の本領を発揮しないことが風間に違和感を与える。
そして、迅の目的に風間は気づいた。
「こいつの狙いは俺たちをトリオン切れで撤退させることだ」
「あらら……」
バレてしまったことにというより、望んでいなかった未来分岐の発言に迅は唸る。途中まで上手く運んでいただけに残念な分岐だ。
「やれやれ……やっぱこうなるか」
風刃の刀身が揺らめき、分裂。
察知して防ぐよりも速く、刃が飛んだ。
「え……」
風間隊の菊地原の首が飛び、戦闘体が活動限界を迎えて
威圧するように光の帯が刃を取り巻き、不敵に構えた迅が太刀川たちを見据えた。
「申し訳ないが、太刀川さんたちにはきっちり負けて帰ってもらう」
迅には既に未来が視えている。
この戦闘の先さえ迅の未来視は示している。己の欲する未来がどれほど遠いか、残酷に、誠実に、教えてくれる。
それでも、迅に諦める選択肢はない。引き返す分岐点など疾うに過ぎた。
「俺の勝ちだよ」
未来に、宣戦布告。
共同寝室に入って驚いた。部屋の壁一面にぼんち揚げのダンボールが積まれ、床には丁寧にぼんち揚げの大袋が敷き詰められていたのだから。
「……嫌がらせ? でも、悠一の好物だし何かメッセージでもある、とか……?」
並び方やパッケージをジッと見てみたがわからない。ヒントを探そうにもこれ以上踏み入れると並びがズレてしまうだろう。
「………………わからん」
不明である。何の意図があるのかサッパリだ。
共同寝室にぼんち揚げダンボールを持ち込むなんていつもならしない。さらに丁寧に敷き詰めるとかもっとやらない。
悩みに悩んだ結果、部屋を写メって保存して床の大袋たちを片付けることにした。このままだと寝れないし。
それにしても悠一はこんなにぼんち揚げを買い溜めしていたのか、と思った所で恐ろしいことを考えてしまった。
もしかして、アイツご飯食べないで煎餅しか食べていないんじゃ…!? と。
私がいなかった間の食生活が不安になった。一応、悠一は料理が出来るのだが同棲を始めて料理をしている姿を片手の数しか見たことがない。最低限の食事は玉狛支部でお世話になっていたと思いたい。
「ゴミ箱は空っぽだね……ゴミ出しの日は、一昨日。証拠隠滅された?」
寝室に並べられた意図も不明だし、食生活も不安だし、アイツ大丈夫かな。ぼんち揚げ病とか新種の病気になってたりしないよね?
袋を腕いっぱいに抱えて耳の近くでガサガサと、袋と中の煎餅が摩擦する音を聞いていた。
そのせいで、私は掃除が終わって風呂から上がるまで、本部から連絡が来ていることに気づかなかったのだった。