三門市に引っ越しました   作:ライト/メモ

4 / 92
この小説では、本部基地設立時、旧ボーダー隊員たちは外部に人員アピールの為に本部基地で活動している設定です。
組織の人員が揃い始めたら、改めて玉狛"支部"として割り振られるという風に書いております。

※オリキャラ
円城寺(えんじょうじ)百恵(ももえ)


◇月、◎月

 

 

◇月●日

 

 

 新しいトリガーが発表された。中距離武器の拳銃型とアサルト銃型がメインだったけど、銃などの媒体を使用せずそのまま弾をキューブ型で撃ち出すタイプもあった。この中距離武器の弾には様々な種類が用意された。シンプルな攻撃方法のアタッカーとスナイパーに比べて、こちらは弾の種類を使い分けて戦う必要がありそうだ。拳銃型やアサルト銃型を使うポジションをガンナーとし、キューブ型の使い手をシューターとされた。

 

 銃、という括りにまず興味を示したのはスナイパー組で、私も例に漏れず。しかしガンナーとシューターの射程距離はどちらかというと近接寄りで、今まで遠距離に慣れていたスナイパーでは逆に扱いにくかった。同じ銃ならやはり狙撃銃だな、と結論に至ったのだがシューターの弾の変更は魅力的だった。

 

 ガンナーとシューターなら飛距離は媒体のあるガンナーが勝る。けれどシューターにはその場で弾の威力・速度を調整出来る強みがあった。数種類の弾と調整を上手く出来れば、撤退経路の確保に余裕が出来るはず。

 

 そうして私はスナイパーの訓練は怠らず、シューターの訓練を始めた。

 

 

 

◇月●日

 

 

 新入隊員がドンと増えた。アタッカー>ガンナー>シューター>スナイパーと偏りはあるものの仲間が増えるのは良いことだ。

 

 そんな中、また新しいトリガーが開発された。発案者はなんと迅。

 

 スコーピオンという近接武器で変幻自在の刃だ。手数とスピードを生かした武器だと思うが、ベテランの迅がなぜ今さら戦闘スタイルを変えるのか不思議だった。本人に訊いたところ渋い顔で「弧月で太刀川さんに勝てなくなってきたから」だそうだ。太刀川さんそんなに強くなってたんだ。成長率ハンパない。

 

 迅以外にも風間蒼也さんという方がスコーピオンを使い出した。風間さんは身体は子供、頭脳は大人という人だ。単純に低身長でベビーフェイスなだけで、木崎さんと同年代なんだけど。

 

 スコーピオンの戦闘を模擬戦モニタールームで見ていたけど、全身の至る所から刃が飛び出す瞬間を見た時はびっくりした。戦術の幅は広そうだ。

 

 

 

◇月●日

 

 

 さすがに休めと東さんに怒られたので今日は久しぶりに任務も訓練もなし。貯まった給料で買い物でも、と考えて学校帰りに復活したショッピングモールへ行った。

 

 私も女だから色々見て回るのは好きだ。でも衝動買いはしないように気をつけている。1人部屋ってちゃんと考えないとすぐに狭くなっちゃうからね。とりあえずスニーカーと室内用スリッパ、腕時計を買った。本当は本棚も買いたかったけど、学校帰りにそんな大金は持ち合わせていなかったから諦めた。通販でもいいかな。

 

 

 

◎月▼日

 

 

 ボーダーは私が入った頃よりずっと構成人数が増えた。それによって隊員はランク分けされることになったのだが、昇格ランク試験内容がとても厳しい。私は3回目でやっとCランクからBランクへ上がることが出来た。達成感はひとしおである。

 

 まだ上のランクがあるから出来ればそこを目指したいけど、求められる実力が桁違い過ぎて今は何も手がつかない。だからこそ、現在はBランクへ上がれたことだけを喜ぼう。

 

 

 

◎月▼日

 

 

 シューターの訓練をしていると視線を感じて、そっちを見れば木崎さん並みに表情筋が動かない男性がいた。睨んでいるわけじゃなさそうだったけど、あんなに見られたらやり難い。自意識過剰かと思うけど集中出来ない訓練は無駄だし、場所を変えて訓練を再開した。ら、また視線を感じた。仕方ないので、今日は訓練を止めて帰ってきた。

 

 でも良く考えたら視線から逃げて負けた気分。家でそれが悔しくてだんだん腹が立ってきたので今度からは無視して訓練してやる。

 

 

 

◎月▼日

 

 

 負けた。完璧に負けた。

 

 シューターの訓練室でやってたら模擬戦を申し込まれた。この前の視線を向けてきた男性、二宮匡貴さんだ。ポジションはもちろんシューター。

 

 結果は先に書いた通り、敗北。10戦中4勝6敗。私には想像出来なかった弾道設定にも苦戦したけど、二宮さんの強みはトリオン量の多さに物言わせる弾幕と火力。私が勝てた4勝は、弾幕を張る時に出来る隙を突いた奇襲だけ。シューター勝負なんて同じ土俵にも立てなかった。

 

 模擬戦が終わった後、二宮さんは「期待外れだった」と言って去って行った。同じ土俵に立てなかった私に言い返す資格はない。でも、この日記だけには正直に。

 

 悔しい! 悔しい! 悔しい!! 何が期待外れか!

 

 そんなのわかってる。私とあの人は凡人と天才だ。その差に納得出来るけど受け入れる心はない! 見返したいとは思わない。けど!

 

 いつか、有象無象の人間から1人の人間として認められたい。

 

 

 

◎月▼日

 

 

 迅がブラックトリガーという最上級の武器を手にして唯1人Sランクになった。なぜか律儀に報告してきた迅の顔は、嬉しさと興奮と悲しみと諦め、色々な感情を混ぜて最終的に達観していた。凄く思い入れのあるトリガーらしい。

 

 ボーダー本部の人員が増えたことにより、中央を本部基地にして三門市の数ヶ所に支部基地を作るらしい。私はそのまま本部所属だけど迅と木崎さんは玉狛支部へ行った。

 

 少しだけ寂しく思ったが木崎さんに至っては本部基地内で結構会えた。なんでもすべてのトリガーを使いこなすのを目標にしているとか。近距離と中距離武器を扱うポジションをオールラウンダーと称するけど、木崎さんはスナイパーという遠距離も使いこなしている為『パーフェクトオールラウンダー』と呼称されている。新しいトリガーが発表される度に本部基地で試運転して帰って行くんだよなあの人。

 

 それとチームを作ることを上から要請された。

 

 任務は単独より複数で担当する。単独同士の即席チームより、元から連携をある程度練習したチームメイトで取り組んだ方が良いとされたから。

 

 ポジションをバランス良く考えるなら、私のメインはスナイパーなのでアタッカーと組むべきだ。東さんには及ばないものの狙撃の腕を認められて色んな人に声を掛けられたのは嬉しかった。

 

 最終的に、同性の先輩でサッパリとした性格の沢村さんのチームに入った。私の他にはスコーピオン使いの風間さんとオペレーターの円城寺(えんじょうじ)百恵(ももえ)さん、計4人の沢村隊だ。風間さんも円城寺さんもグイグイ来る人ではなく冷静な部分が多い性格だから接しやすい。コミュ症の私でもなんとかやっていけそうだよ。

 

 

 

◎月▼日

 

 

 チームワークが上手く噛み合う時が凄く気持ちいい。ソロの時には出来ない、役割に徹し集中することが楽。たまの失敗も仲間がフォローを入れてくれる安心感。任務やチーム模擬戦の後にする反省会も楽しい。

 

 チームメイトの役に立つ為にする訓練も力が入って、私自身どんどん上達している自覚がある。

 

 いつかこの時間は終わってしまうだろうけど、今はずっとこの時間を味わっていたい。

 

 

 




円城寺百恵。
沢村さんの1つ上の年。
過去のオペレーター勢がはっきりしていないのと、公式キャラが少ないので急遽加入。
これからちょくちょく出てくる。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。