「ぅ、ぁ、ぐぅぅ……!」
苦痛に呻きながらも、ミラは己のかけた魔法を完遂させる。
己の肉体を肉と血ごと完全に凍らせて魔獣を体に行かせないようにしながら魔獣を氷の中に閉じ込めるというその場で思いついた即席の荒業。ひなたを守るために咄嗟に行ったそれは成功をしたようで、足に感じていた異物が入り込んでくるという感覚は体には無く、魔獣もこの状態なら魔法を内側から破壊する力がないのか凍り付いたままだった。
だが、体の一部が凍るという苦痛。足付近の血液は止まり、魔法を解除してもきっと右足が使い物にならないというのは直感的に理解できてしまった。
後ろへ向かって投げ飛ばしたひなたはどうやら助かったらしく、シャーレイに大丈夫だとだけ呟いてひなたを回収しに行ってもらっている。それはどうやら一分程度で終わったらしく、シャーレイはひなたに肩を貸した状態でミラの元に戻ってきた。
ひなたはミラの右足を見て思わず目を背けてしまった。それも仕方ない、とミラはその行為を咎めることなく、剣を地面から抜いて座り込む。
「ミラ……足が……」
「……体は、無事だから」
少なくとも死にはしない。無理をして微笑みながらミラは己のポーチから小さな瓶を取り出した。
多少の荒事では壊れないという素材で出来た瓶の中には緑色の液体……ひなたにも飲ませたミラと、彼女の父親しか調合方法を知らない秘薬が詰められていた。それを取り出したミラは、座った状態で剣を己の足に向かって構えた。
「ミ、ミラ……まさか!!」
「……ッ!!」
ひなたが何をするのかを悟り、止めるために手を伸ばす。が、ミラはそれを聞こうとはせずに剣が己の右足を斬れるように足と剣の位置を整えてから一息にそれを振り下ろし、己の右足を、無事な部分から切断した。
斬られた断面から血が噴き出し、ミラの右足が完全に切り離される。それにミラの顔が歪むが、すぐに彼女は秘薬を一気に煽る。それだけで徐々に右足の断面から噴き出す血は収まっていき、断面は塞がった。が、切り離された右足は再生する事無く、本当に断面から血が噴き出さないようになり、血がちゃんと体を循環するように体がそれに合った再生を行う。
回復魔法に加えてリジェネを加える秘薬はしっかりと体を生存可能な領域へと持っていき、苦痛も収まった。
「あ、足を……」
「……こうするしか、なかった」
切り飛ばした右足を更に魔法の氷で覆い、万が一にも魔獣が脱出しないように強固な氷でそれを固める。後は、この右足は地中深くにでも埋めておけばこの魔獣は外に出てくることはないだろう。
ミラはそれを片手に鞘に納めた剣を杖代わりに立ち上がった。
「……それより、ルナを…………」
ミラは片足で跳ねながら近くの木に寄りかかり、視線をルナのいた場所へ投げた。
一瞬。正に一瞬で砕け、この世の物とは思えない死に方をした彼女の肉体の痕跡は、この一帯に微塵となって散らばった。彼女の亡骸と呼べる物は存在せず、赤に染まった三人と林が悲しさを漂わせる。
死ぬことは分かっていた。彼女がもう明日の太陽を見ることはないというのは分かっていた。だが、こんなの。こんな死に方、惨すぎる。シャロンの時よりも酷い。人の……たった九歳の子供の死に方ではない。それを頭の中で理解し、悲しんでしまうから、遅れて涙が出てきてしまう。
惨くて悲しくて、辛くて悲痛な一瞬の別れ。断末魔すら上げる暇もなく体が内側から爆ぜる。そんな死に方、まともじゃない。だけれども、それを迎えてしまった彼女を。優しかった少女の亡骸とも言えない亡骸が散らばるこの場で出来ることは。
「……せめて、拾えるだけの肉片を集めよう。それで、埋めてあげよう。それくらいしか、出来ないから」
悲しみを押し殺してひなたは呟いた。シャーレイから離れて近くに飛び散った肉片と骨と内臓だった物を手で摘み取っていき、一か所に纏める。
最早どれがどの部位だったのかも分からない。ただ、人だった物がひなたとシャーレイ。そして、這ってでも動くミラの手によってルナが最後に立っていた場所に積まれていく。三人とも、その肉片を決して汚いとも思わず、グロイとも思わず。吐き気を感じる事もなく……そんな心の余裕なんて持つことも出来ず、髪の毛がついたままの頭皮や目玉や歯すら、見つけれる限りのルナの体を見つけ、集めた。
吐くことなんて、言われなくても許さなかった。許せなかった。許されなかった。最大限の配慮と尊敬を持ち、ルナの遺体を積んでいく。
積み終わったのは一時間後の事だった。それでも、全ての部位を集めることなんて出来ず、多分内側から爆ぜた時に数センチ以下の肉片になった場所も何百か所もあるのを知っているから、自然と三人は手を止めた。集ってくる虫を払いながら、三人は無言でルナだった物を集めるのをやめ、血と肉がこびり付いた手でミラが剣で土を掘った。
そして掘られた場所に肉と骨を埋めて。土を被せて近くにあった大き目の石を刺した。
彼女の母親も彼女と同じ道を辿ったのは知っている。だが、その人の亡骸がどこにあるのか、それとも埋められたのかすら分からない。だから、たった一人だけど、一人しかいない場所だけど、せめて空の上では休めるように。親子揃って休めるように。安らかな眠りを願い、墓を作った。
「……ルナの父親は、蒸発した。母親が一人でルナを育てた」
ずっと考えていたのか。それとも脊髄反射で喋っているのか。剣を杖に立つミラが饒舌に喋りだした。それは、ルナの家庭環境の事だった。
きっと、彼女の母親から依頼を受けたミラが、どちらかから先に聞いていたのだろう。彼女の目は伏せられていて見えないが、水滴のような物が見えた。きっと、泣いている。泣きながら……ルナの手前、それを見せたくないからそれを隠すために顔を伏せて、饒舌に喋る事で誤魔化している。それが声色から分かってしまったから、ひなたとシャーレイは何も言えなかった。
「…………」
「きっと、その父親はルナが死んだことに気づかないまま生きていく……だから、覚えていてあげて。この子の事を、死ぬまで」
それしか、死んでしまったルナに出来る手向けはないから。死んだことすら気付かれずに時が過ぎるよりは、覚えている人間がいたほうが、まだマシだからと。
ハッピーエンドなんてほど遠い、吐き気のするバッドエンドだけど。せめて、それが彼女への手向けになると信じて。そうするしかない。
「……じゃあ」
ミラはそのまま顔を上げることなく一言だけ告げると、歩き始めた。それを見て、ひなたは声をかけようか一瞬だけ迷ったが、これは迷っては駄目だと決心して声をかけた。
「待って。どこに行く気?」
振り返る事すら一苦労なのか、ミラは振り向かなかった。
何をする気なのか。それが分かるひなただから言えた言葉に、ミラは暫く何を言うべきか迷い、そして己の凍った右足を掴む手がわなわなと震え、そして彼女は目に涙を溜めた状態で振り返り、呟いた。
「……足がないと、生きられない」
その言葉には、様々な意味が込められていた。
まず、前提としてミラは駆除連合での仕事で金を稼いで生きている。そして、戦闘スタイルは魔法使いではなく剣を使った剣士でありながら、補助として魔法を使う魔法剣士だ。そんな彼女が足を無くしたらどうなるか。まず、彼女のあの驚異的な速度での移動は出来なくなり、更に剣を振るうときに力を籠める事すら困難になるだろう。そんな状態で戦えるのか、と言われたら無理だとしか言えない。
踏ん張る事も出来ず、移動する事すら出来ず、出来るのは腕力だけで剣を振るうこと。振り向くことも出来ないため、挟撃されようものなら成す術もないだろう。だからといって荒事以外で稼ぐ事はミラには出来ず、口下手で、足も無いのならどこもミラを雇ってはくれない。と、なると最早稼げるのは内職か体を売る事だけ。だが、それでも限界はいつか来る。
と、なると今死ぬか後で死ぬかの問題になってしまう。
それなら、後で命に意地汚くなる位なら、今のうちにひっそりと死んでしまいたい。それが、今のミラの心情だった。
勿論、それはひなたが一番分かっている。ひなたも最初は腕を無くして生き残ったときはこれから先どうすればいいのかと途方に暮れ、死んだほうがいいんじゃ、とも思った。だが、復讐心と旧式の起爆銃があったから生きることを選択できた。ミラの戦い方的に、また戦うことを選択する事はできないかもしれない。けれども……
「……ルナにもう会う気?」
この言葉なら、ミラをこの世に押しとどめておくことが出来る。
ミラはひなたの言葉を聞いて動きを止めた。こんな早くにルナの後を追ってしまったら、ルナがどう思うか。あの世でこうも簡単に出会って彼女は笑って迎えてくれるだろうか。
いや、そんな訳がない。泣いて悲しむ筈だ。何で来ちゃったの、と。そして、ごめんなさいと泣いて自分が生まれたことすら後悔してしまう筈だ。
そんな事は分かっている。分かっているが……
「……じゃあ、どうしたら」
足を失って、自分で金を稼ぐことも、下手したら生きていく事すら出来ないのに、どうしたらいい。
体を売るなんて嫌だ。内職なんて限界が来る。だというのに、どうやって生きたらいい。どうやって、これから先ルナにあの世で会って、胸を張って生きてきたと言えばいい。
「ボク達と一緒に来て。一緒に、暮らそう」
一緒に、生きる。
だが、それは……
「……全部、頼りきりに…………」
家事も、稼ぎも、何もかも。ひなたとシャーレイに頼り切りになってしまう。
そんな彼女達がいつミラを捨てるかなんて分からないのに。いつ絶望に落とされるのか分からないのに、彼女達に頼りきりの生活をしてしまうなんて。そんなの、心の奥底でどうしても受け入れる事が出来なかった。
「大丈夫だよ、ミラちゃん。ミラちゃんが出来ない事は、私が肩を貸して手伝うから」
それが分かっているから、シャーレイのかけた言葉は全部任せて。ではなく、手伝うから、だった。
出来ないことを手伝って、二人三脚で生きていこうと。一緒に悩み、一緒に生きていこうと。全てを引き受けるのではなく、一緒にやっていこうと。そう言った。
「ボクだって。片手しかないけど、肩なら貸せるから」
一人で生きていけないのなら、二人で。それでも不安なら、三人で。片手しかないから人に出来る当たり前の事の中にも出来ないことがあるひなただから、片足しかなくて当たり前の事が出来ないミラの気持ちは、少しだけど分かった。
それなら、頼ってもいい? そう言いかけた。だが、それは迷惑になると。彼女たちに多大な迷惑をかけると、そう思ったから、手を伸ばすことはできなかった。
「……約束、したよね? 一緒に暮らそうって」
「……そ、れは」
「約束破ったら、許さないよ」
言葉だけなら、怒っているようにも聞こえる。だが、それを口にした表情は、笑っていた。いいんだよ、と。この程度、負担にもならないから、気にしなくてもいいんだよ、と。表情で語る彼女に思わず心を惹かれてしまう。
「私はまだ余り話せてないけど……ミラちゃんは優しいって知ってるから。だから、私も一緒に生きていきたいって思うよ」
「それに、ミラが家にいるんなら最強の自宅警備員が雇えたって事になるし」
「もう、どうしてこういう場でふざけるの?」
「まぁまぁ」
優しい彼女たちの言葉に心が惹かれかける。
傷ついてしまった心が……もう死ぬしかないと思っていた砕けかけた心が、彼女達の言葉に依存しかけてしまう。彼女達を頼れば、もう自分一人の力では生きていく事なんて出来ないと直感で分かってしまうから。ここが命の分かれ道だと分かっているから。
優しい言葉に延命をするかどうか、それを悩まされる。手を取れば、生きていける。だが、迷惑をかけてしまう。手を取らなければ、死ぬ。そこで終わり。
人に迷惑をかけてまで生きたいのか。それが頭の中で反響を続け、最後の一歩を踏み出す事が出来ない。
「……ルナもそう願ってたから。ミラと一緒に居てあげてって」
「……ルナ、が?」
「うん、昨日ね。ミラはルナが死んだあと、きっと心が壊れかけちゃうから、一緒に居てあげてって」
それは、きっとルナの願いの一つでもあって……
「自分を諦めないでって、ルナは言ってたよ」
「……自分を、諦めない……?」
「今のミラなら、分かるよね?」
自分を諦めない。
あぁ、分かるとも。今この場で、死を選ばずに強く生きろという意味をそれが持っている事くらい、分かるとも。だけど、それを成すためにひなたとシャーレイに頼りきりでもいいのか、と思ってしまう。
「ミラちゃん。きっと、ミラちゃんが生きるのをルナちゃんは望んでいるから……だから、生きよう?」
「……」
「私もね、ひなたちゃんに拾われなかったらスラムの片隅で死んでたと思う。けどね、死んでいた方がよかったなんて、私は少しも思ってないから」
シャロンが死んで。あの場で自暴自棄になって、犯されていたら確実にシャーレイは今、ヤり捨てられて死んでいただろう。あの場で声を出して、ひなたに拾ってもらえたから、シャーレイはここにいる。それを、後悔なんてしたことはない。こうして辛い事はあったけど、それを嫌な思い出とは割り切っていない。シャロンの事も、バネにして生きている。
「大丈夫だよ。ここには、死んだほうがいいかもしれないって一度は考えた女しかいないからさ」
腕を失い、全てを失って。死んだほうがいいかもしれないと思ったが意地汚く生きて今この場に。十年以上の時を一緒に生きてきた家族同然の少女を殺され。全てに捨てられかけ、死んでもいいと思ったが拾われ、今を生きてこの場へ。
なら、足を失い、生きる術を失って。それでも、手を伸ばされたのだとしたら。その手を掴むことが死んでいった少女の頼みなのだとしたら。それを、望んでくれて背中を押してくれるのだとしたら。
「……なら、私に肩を貸してくれる?」
それを受け入れ、手を掴む事が。きっと、一番の選択肢なのだろう。
『もちろん』
こちらから伸ばした手を、強引にでも引いてくれる少女達の肩を借りる事が、きっと最善の選択肢なのだろう。
だから、これが依存なのだとしても。二人に捨てられれば生きていけないから、依存して生きていくという事とイコールになるのだとしても、構わない。それを望み、望まれているのだから。
今は剣を置いて。二人に肩を借りて生きていこう。生きていれば、きっといい事はあるから。
自分を諦めず、生きていこう。
****
あれから。林を三人で出てから、ミラは一旦自分の泊まっている宿へ戻り、荷物を纏めて後日合流するために一旦別れた。目を離したらミラがそのまま野垂れ死んでしまうんじゃ、と思ったが、ミラは絶対にそんなことしないから、と断言して二人に宿まで送ってもらい、そのまま別れた。
そして二人は部屋に戻り。ルナの私物が死んだときに着ていた私服だけだったのを思い出して悲しくなりながらも。温泉に入ってからこの宿での最後の夜を送る事にした。
宿の人からは夕飯時にルナはどうしたのか、と聞かれたが、彼女の親が迎えに来たから帰した。と嘘をついた。それに納得してくれたため、言及はされなかったが、その夕飯は半分程度も喉を通らなかった。いや、食事そのものを体が拒否していたが、食わないと駄目だと無理をしてそれを食った。空の上から見ているかもしれないルナに心配はかけられないから、と。
「……寂しいね」
「……うん」
そして、就寝時。二人っきりの部屋は、本来二人っきりで泊まる筈だったのに、とても寂しく、広く感じた。ルナがいないだけでこんなに寂しくなるものなのか、と思うと二人の瞳には涙が浮かんで。
煙草でも、酒でも消しきれないその悲しみは大きく、二人で抱き合いながらその悲しさを人の温もりを埋めようとして。それでもルナがいない悲しみはどうしても拭いきれなかった。
「…………こんな悲しい時に場違いかもしれないけど」
ひなたが呟いた。
「……慰め方、一つだけ知ってるんだ」
シャーレイを強く抱きしめ、自分の体を寄せる。それが、体を動かして一時的にそれ以外考えられないようにする、という意味を持っているのは、何となくシャーレイも分かった。でなければ、その前に場違いかもしれないなんて言わないから。
シャーレイもひなたを抱きしめ、己の体を寄せ……頷いた。
「……また気絶しない?」
「多分、大丈夫だから」
「なら、お願いしようかな。じゃないと、眠れそうにもないから」
「……ボクもだ」
そして、二人はどちらからともなく顔を近づけ、唇を重ねる。
一度重ねた体だからか、抵抗感は無く。むしろ依存しあっている関係だから体の関係すら理性を持った状態で持つ事に違和感すら感じず、男を怖いものだと蓋をして生きてきた少女と元男だから男と関係を持つ事を嫌い、女と関係を持ちたい少女だからこそ。そこに抵抗感も何も感じる事がなく。
むしろ、恋人がするように、互いに愛情を持って。互いに愛し合って。体を重ね、夜は更ける。
悲しみを慰めあう夜は、きっとこの日だけでは終わらないだろうと、互いに変な確信を持ちながら。性欲に身を任せ悲しみを忘れ、慰めあう。
****
温泉旅行での一幕はバッドエンドにて幕を下ろした。
しかし、それは決して悪い思い出ではなく、いい思い出を生みつつも終わった。だから、この事件に嫌な思いなんて抱かず、ひなたとシャーレイは無事に家へと戻った。
その翌日。二人の住む街の馬車の停留所で。
「やぁ、ミラ」
「……うん」
ひなたとシャーレイは片足の無いミラを迎えた。本当はひなたとシャーレイの乗る馬車で帰ろうとしていたが、それは本来予約制でルナを乗せて温泉街へ行ったときはイレギュラーだった、という事もあり、結局ミラは同じ日にひなたとシャーレイの家に行くことが出来ず、翌日の到着となった。
着替えと私物を詰め込んだのにも関わらずバック一つで済んでしまう彼女の荷物はどうかも思えたが、思えばひなたもシャーレイも私物なんて出会ったときは全然持っていなかったのを思い出し、何も言うことが出来なかった。
そして、ミラを連れて家に着き。ミラの部屋として使っていなかった既に掃除済みの部屋を割り当てて荷物だけ下してから改めて三人は居間で向き合って座っていた。
「……足がないけど、よろしくね」
「こちらこそ。腕がないけどよろしく」
「腕も足もあるけど、よろしくね。ミラちゃん」
「……うん」
ミラの表情は初対面の時よりも何処か分かりやすくてどこか可愛らしかった。
ルナは助けることは出来なかったけど、彼女の最後に残した願いはこうして叶えられている。同じ傷を持つ者三人。その傷を舐め合って生きていく事になるが、それでも構わない。両側に矢印のある棒が二本に増えるだけだ。それを人は共依存だと言うのかもしれないが、それで満足に生きていけるのなら構わない。異常だと言われてもねじ伏せる。
だから、今は。こうして三人で笑いあう時間を大切にしていく。きっと、この時間はずっと続いていくから。
三人での歪んでいるようでただ依存しあっているだけの関係は、きっと。死ぬまで、ずっと続いていくから。
これにて温泉街編……ではなく、ルナ編は終わりです
最初からルナが死ぬことは決定事項でしたが、最初のプロットではミラも死ぬ予定でした。ですが、それは流石に後味が悪すぎたのでミラだけ生存するプロットに変えました。その代償は足一本ですけどね
これで三人は老後まで笑いあって生きていました、という終わり方もありですが、まだ終わりません。最初がシャーレイにまつわる話。次がミラとルナの話。だとすると、次の話は……
次の本編の更新は十話近く書き溜めが出来てから。それまでは短編一つとR-18短編一つでお茶を濁すつもりではあります
それと、この話の幕間の話(R-18)も投稿予定です。そちらは完成し次第、日付変更と同時に投稿予定です