魔弾使いのTS少女   作:黄金馬鹿

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ほぼ一か月振りの本編


第四十一魔弾

 ミラを家族として改めて迎えてから一か月程が経過した。ミラはシャーレイに作ってもらった杖を使いある程度は戦闘が出来るようになった。彼女の人外染みた身体能力はどうやら脳のリミッターを魔力で一時的に外す事で出しているようで、普段から怪力という訳ではなく普段はシャーレイと同じ程度の力しか無いためか、杖に関しても壊す事なく毎日を平和に過ごしていた。

 そしてこの日もそれは同じで、金は稼いだため何もすることのないひなたと家事をし終わって一時的に暇になったシャーレイとひなたと同じく金を無理に稼ぐ必要がないため何もする事がないミラがボーッと三人でソファの上に座って天井を見たり窓の外を見たり膝枕してもらったりとザ・暇人としか言えないような状態になっていた。

 三週間程前にミラもひなたと同じようにシャーレイの毒牙にかかって気絶とまではいかないが、色んな初めてを奪われ玩具にされたが、それに関してのトラウマは既に克服し、ミラはひなたの膝に頭を落としていた。なんやかんやでひなたと一緒に居るのが一番落ち着くとの事だ。ちなみにひなたは死ぬまで残して置くんだろうな、と思っておいた体の中のとある膜をシャーレイに無情にもぶち抜かれ数日間歩き方が変になったと同時にシャーレイから無意識に距離をとっていた。もうそんな事はないが、あの日を思い出すと色々と複雑な気持ちになる。

 

「暇だねぇ」

「何もする事ないねぇ……」

「…………」

 

 テレビも無ければゲームもない。読書の趣味も無いし仕事もない。そんな何もする事がない現状。口にそれを出したところで何か暇つぶしが出来る平和を乱さない程度の面白い事が降ってくる訳がなく、暑いから厚いと呟いたのと同じ程度の言葉だった。

 ひなたがシャーレイの肩に頭を預け、シャーレイはそれに何も言わずに呆然と。なんやかんやでシャーレイの事が好きなままのひなたにとっては幸せとも言える時間だ。もし口を滑らせたら確実にシャーレイの玩具になって気絶するまで犯される危険性はあるが。煙草を吸いたいが膝の上のミラに灰が落ちたらいけないので代わりにミラの頭を撫でて手持無沙汰をどうにかする。

 この世界にも季節の概念はあり、最近少し暑くなってきたから流石に三人でくっついていると暑い筈なのにこの三人は離れようとしない。

 

「何か暇つぶしの道具ってない?」

「何もないねぇ」

「………………すぅ」

「ミラ寝てんだけど」

「いいじゃんいいじゃん」

 

 静かに寝落ちしていたミラの頭を撫でながら呑気な子め、と軽く悪態突く。が、既に夢の世界に旅立ったミラにはそれが聞こえることなくこの暇な現状を共有する人間はひなたとシャーレイの二人だけになった。

 鍛えているのに筋肉で固くないひなたの子供のような膝はさぞかし気持ちがいいのだろうか。ミラの表情は今まで見たことがないレベルで緩んでいる。せめて涎だけは垂らさないでよ? と願うもののそれが叶うかどうかは神のみぞ知る。ひなたにはミラの頭を撫でるしか出来ない。

 体重をかけられているシャーレイも動けなければ膝枕状態のひなたも動けない。どちらも動けない現状で果たしてどうするか、と考える。

 

「……ミラちゃんをそっとここに寝かせて何かする?」

 

 が、考えてもどうにもならないと思ったのかシャーレイがひなたにそう告げた。何か視線がかなり怪しいというか獲物を見る目になっている気がするのは気のせいだろうか。

 

「何かって?」

 

 念のために聞いておく。そう、念のためだ。ひなたが若干恐る恐るといった感じで聞くと、シャーレイは少し黙った。そしてうんうんと唸って顎に手を置いて考えること数分。

 結局何も思いつかなかったのか、それともそれは演技だったのか。ひなたの予想通りの答えがシャーレイからは返ってきた。

 

「……セ○○ス?」

「予想通りのクッソ酷い回答ありがとう。お断りだ色ボケ娘」

 

 確かにこの三週間一度もしていないからひなたも溜まる物が溜まってきているが、それでもこんな真昼間から暇つぶし感覚でなんてお断りだ。確実に夜まで気絶コースが待っている。

 何だか息を荒くしながら体重をかけてくるシャーレイから体を逃がすように反対側に体を動かしながらミラを撫でていた手でシャーレイの体を押し返す。確かに十四歳ともなれば性関連の事に関しては目敏くなるというか興味津々というか。そんな感じの年頃だが、流石に時間と場所だけは考えてほしい。真昼間から裸は流石に見られたくはない。

 えー、と声を漏らすシャーレイを退けながらはてさてどうするかと外を見ながら迷う。このままじゃもしかしたらこの間のプレイで使われた生活費三日分以上もかかったとかいう手錠をかけられてベッドに直行させられるかもしれない。あの魔法の行使を不可能にする手錠をかけられたらひなたは勿論ミラすらシャーレイの好きなようにされてしまう。それだけは避けなければいけないが、そこまで強姦紛いの事はシャーレイもしないだろう。しないよね? そんな風にビクビクしながらも体を戻したシャーレイの肩に頭を置く。

 

「……じゃあ外でする?」

「青姦はもっとお断りだ」

 

 流石にシャーレイの性欲に直結した思考回路はどうにかしたほうがいいかもしれない。爆弾発言に対して頭を引っ叩いて拒否の意を示してから何だかドッと疲れた気分になってしまう。

 なんでこんな一分にも満たない会話で疲れているんだか。

 

「じゃ、じゃあキスだけでもぉ」

「なんでこんなに下半身に忠実になっちゃったかなぁ……」

 

 確実にひなたの欲求不満な物言いと吸血のセットのせい。それからひなたが夜は滅法弱い事が原因なのだが、本人はそれの五割程度しか理解していない。

 なんで暇になったらキスなのかなぁ、と溜め息を吐きながらもはいはい。と呟いてシャーレイの頭を抱くように寄せて己の唇と合わせる。これでまだ恋人の関係じゃないからなぁ、とシャーレイの口の中に舌をねじ込みながら思う。

 もうセフレとかそのレベルの関係になっている気がするのは気のせいだと信じたい。

 たっぷり十秒近くのディープキスをして唇を自然と離す。

 

「ぷはっ…………はい、おしまい」

「えー、なんか物足りない……」

「あーもう……」

 

 だがキス程度ではシャーレイは収まらないらしい。ひなたの方も若干ヘソの下辺りが疼いているが、気のせいだと割り切って右手で髪の毛をかき乱す。

 ここでじゃあ夜に続きをしようか、なんて言おう物なら確実に気絶コース。だが、このまま放置していたら確実に夜中に寝ている内に襲われて気絶コース。どちらにしろ気絶コースだ。

 あれ? これ、逃げ道無くね? と気が付いてももう遅い。性欲で思考回路が麻痺しているシャーレイはもうそういう事をしたいとしか思えていないだろう。ミラを今生贄に差し出すというのも有りだが、そうしたらただ犠牲者が一人増えるだけで終わってしまうだろう。

 だが、どうせならミラを生贄にして犠牲者増やしておくか。と謎の結論に至り寝ているミラを生贄にする事にした。

 

「我慢できないならミラで勘弁して。満足できないなら夜にシてあげるから」

 

 死なば諸共。バイ発言をしたミラが悪い。膝の上で安らかな顔で寝ているミラを生贄に差し出す事にした。

 

「うーん……じゃあ、それで」

 

 ミラ、南無。心の中で合掌しミラの冥福を祈る。

 シャーレイは懐から魔力封じの手錠を取り出すとミラの手に着け、両手を拘束した。もうこれでミラはシャーレイから逃げる事が出来ない。

 

「……んぁ? 変な音…………え゛っ」

 

 手錠をかけられた異音でミラが起きた。そして己の手が自由に動かないのを見てから己がこの後どうなるかを容易に想像して変な声を漏らした。次にシャーレイを見た。いい笑顔をしていやがる。今から犯してやると言わんばかりにいい笑顔だ。そしてひなたは目を逸らす。こいつ、売りやがったなと一発で分かった。

 

「…………後で気絶するまで犯してやる」

「やべぇ……」

 

 ミラの恨みやら怨念やらが籠った言葉を受けてひなたが思わず声を漏らす。しかも結構ボソッと低い声で言ったためか普通に怖かった。これはもしかしたらミラを生贄にするんじゃなくて二人で逃げた方が良かったかもしれない。だが、あの状況でそれを提案しても逃げる事は不可能だっただろう。あの手錠をシャーレイは三つ程持っているし。

 シャーレイに担がれてドナドナされていくミラを見送ってひなたはソファに座った状態で外を見る。あぁ、これは平和といえば平和だが、体が休まる事は無さそうだ。二階から聞こえるミラの嬌声に次は自分だという恐怖に煙草を咥えながらひなたはそっと家から出て行った。二時間もすればほとぼりは冷めるだろう。冷める筈。

 

 

****

 

 

「絶対帰ったら気まずいって……ミラに関しては絶対に許してくれないだろうし……」

 

 近くの喫煙者用の憩いの場で煙草を吸いながら溜め息をつくひなた。空に昇っていく煙には目もくれずに死んだ目で呆然と前を見るだけ。

 今戻ってもシャーレイがミラを犯している最中だろうしそんな場所に突入したら確実に巻き込まれる。が、どうせミラにヤられるのだから変わらないとは思う。

 

「祭られた後に犯されるかも……」

 

 その場合はミラの物理的な力で何度も空を舞う事になるかもしれないが考えても考えても悪いほうにしか思考回路が進まない。これからどうするかを考えても何も思いつかない。というかこの先の事を思いたくないから何もする気が起きない。煙草を吸っていても悪いことしか思い浮かばないのは逆に珍しいと言うべきか。

 スタンド灰皿に灰を落とし煙を吸ってからもう煙草の先が数センチもない事をようやく自覚して最後に煙を吸ってから煙草をスタンド灰皿に落とす。二本目、とも思ったが流石にそんなに何本も吸う気は起きない。吸っていても悪いことを考えてしまうから。

 何でこんな爛れたような関係になっちゃったかなぁ、なんて思いながら立ち上がる。ローブも羽織らず半袖の部屋着同然の恰好で出てきてしまったからかちょっと気恥ずかしい。こうなったら適当な茶店で夜まで粘るべきかとポケットの中に入っていた小銭を取り出す。

 

「…………駄菓子しか買えないんだけど」

 

 が、出てきたのは日本円の感覚に直すと一円玉や五円玉に近い硬貨が数枚だけ。確実に食材とか買った後に適当にポケットの中に突っ込んだお釣りだ。こんな小銭じゃ茶店で時間を潰すなんて出来るわけがない。小銭をズボンのポケットに再び突っ込む。レシートがあった。これでこの小銭がお釣りだということが確定した。物凄くどうでもいい。

 忘れ物がないかを簡単に確認してから喫煙所を出る。何となくの手持ち無沙汰を感じ煙草の箱を手に持って適当に弄りながら歩く。どこに行くかなんて決めていない。ただの散歩だ。何かあっても起爆銃だけはいつも持ってきているからどんな相手でも逃げる程度は――

 

「……起爆銃忘れた」

 

 いつも起爆銃がある場所を触ってようやく気付いた。ボーッと三人でソファに座っている状態のまま出てきたからか起爆銃を寝室に置いてきたままだ。こうなってしまうと魔弾使いの戦闘力は半減どころの問題じゃなくなる。一般人とあまり変わらないレベルだ。

 一応シューターとシールドはちゃんと丁寧に詠唱をして発動したら使えない事はないが魔弾にしたほうが何倍も強い。かといって魔弾にしたとしても撃つための手段がないし手で握り潰して発射するのも手が痛くて三発以上は使えないし。噛み割ったら口の中が大惨事だし。さっさと帰ったほうがいい。ものすごく帰りたくないけど。

 もう一回ポケットの中の小銭を確認する。やはり見間違いという事はない。

 

「はぁ……お財布くらい持ってこればよかった」

 

 とは言っても財布も起爆銃も寝室なので取りに行くことなんてできるわけがないが。

 これはとっとと帰って――

 

「すまない、そこのお嬢さん。少しいいかな?」

「はい?」

 

 家に向かって歩を進めようとしたとき。後ろから聞いたことのない男の声が聞こえた。しかも、その声はひなたにかけられた物らしく、横にも前にもひなた以外に人はいなかった。

 めんどくさいなぁ、と内心で思いながらも振り返ると、そこにはまるで二次元にしかいないようなイケメン従者だと思われる人間を引き連れてそこにいた。しかも、結構派手な服。まるで貴族だ。

 一応この世界にも貴族はあるがこの街には貴族なんて住んでいないのは覚えている。というか貴族と呼ばれる身分が高い金持ちはここよりも、王城がある王都にしか住んではいない。

 

「なんでしょうか?」

 

 もしも本当に貴族だったら厄介だ。だからなるべくのポーカーフェイスを作って下から出る。もう面倒ごとは勘弁してほしいと思いながら。

 

「この場所を探しているんだ。どこか分かるかな?」

 

 と言いながら男は従者から受け取った紙をひなたに渡した。まさか道を尋ねただけ? とキョトンとしながらも紙を受け取って内容を見る。そこには住所が書いてあり、それは今の場所とは正反対とも言える場所を指していた。この街は広い上に住所もややこしいから場所を勘違いしたのだろうか。道案内は面倒だからしたくないが、教える程度ならやぶさかではない。ちゃんと教える事にする。

 

「そうですね……こことは正反対の場所なのでまずここを真っ直ぐ行って――」

 

 わかりやすいように近くの目立つ建物を教えながら道を教えていく。そして一分程度で道を教え終わり、紙を男に返した。そして従者に何か言うと従者は一人で走り出した。どうやら、先に確認しに行ったのだろう。

 

「どうもありがとう、綺麗なお嬢さん」

「いえ。この程度なら」

 

 心にも思っていない世辞を、とひなたは内心で毒づく。隻腕の幼児体系の女なんて男からしたらそんなに魅力的ではないとわかっているから。

 

「ふむ……そうだな。礼と言ってはなんだが、近くの喫茶店で一つお茶でもしないか?」

 

 あぁ、面倒だ。面倒すぎる。なんでこんな見ず知らずの男と喫茶店に行かなければならないのか。ノーマルな夢見がちの少女なら受けるかもしれないが、生憎ひなたは外側だけを見たらレズで内側から見たら至ってノーマルな男。イケメンだからと言ってそんな誘いを受ける訳が――

 

「素敵な誘いですね。あまり時間はありませんが――」

 

 ――マテ。何を言っている。

 この男について行って何をされるか分からないのに何で口はこんな肯定の言葉を紡いでいる。というかこの気持ち悪い口調はなんだ。何で思考回路がついて行くこともやぶさかではないと思い込んでいる。

 マズい。何か分からないが精神的な何かが……あぁ、こうして考えている間にも段々と思考回路が麻痺して目の前の男が魅力的に見えてきてしまう。頭がクラクラとしてこの男になら何をされても全然いいという感覚が芽生えて……

 明らかに異常だ。いや、正常だ。これが暁ひなたという女としての思考回路としては正常で逆玉を狙う程度、女として普通だしこんな隻腕の女を貰ってくれる男なんて多分この人以外には――

 

「――い、いえ。なんでもありません」

 

 思考回路が桃色一色に支配されそうになったが、僅かに残った正常な思考回路が先ほどまでの言葉を撤回し手の中に魔弾を生み出す。それを握り潰す事で一瞬で思考回路が正常に戻る。

 握り潰したのはレジストの魔弾。つまり、己にかけられた魔法等の状態異常を解除するための魔弾。それを握りつぶしたことで思考回路がようやくマトモになったという事はこの男は……

 

「すみません。家で同居人が待っているので失礼します」

 

 何をされたのかは日本人としての、ファンタジー世界に対する創作の知識を頼る事で大体分かった。

 だから逃げる。これ以上この男と一緒になんていられない。この男は明らかに可笑しい。詠唱も魔法の発動のキーも口にせず魅了(チャーム)の効果を持つ魔法……またはそれに近い魔法を使用する男なんて、明らかに裏に何かあるにきまっている。

 処女はこの間シャーレイの手で散らされたが男に体を許すつもりなんて一切ない。だから帰る。シャーレイとミラが盛っているなんて知ったものか。

 

「――――そうかい。それなら仕方がないね」

 

 よかった。余りしつこくない男で。早口で失礼しますと捲し立てるとそのまま走って家へと向かう。

 後ろから誰もついてきていないのを確認しながら男の視界から完全に外れたのを把握する。

 

「……目を付けられてなきゃいいけど」

 

 権力を使われたらひなたも流石に乗り切るのはキツい。だから、もう二度と会いたくはない。また魅了に近い魔法を使われたらレジスト出来るかも分からないから、というのも一つの理由だ。ひなたは一時的に足を止めたがすぐに再び走り出して家へと向かった。

 だが、その懸念もすぐに忘れる事になる。何故なら。

 

「ただいまぁ……あぁ、酷い目に――」

「ひなたちゃん? どこに行ってたのかな?」

「ヒッ……!?」

 

 帰ってすぐに服が肌蹴たシャーレイに捕まったからだ。

 ここから先は子供が見てはいけない行為が行われたとしか言うことは出来ない。

 シャーレイとの行為は何とか耐えられたが直後のミラの報復で無事に気絶することとなる。現在、行為後の気絶率は百パーセントのままである。




今回からまた新しい話。今回の主役は、ひなた

この話のアフターはまた時間があれば書いて投稿します

ミラ×シャーレイとひなた×シャーレイのいつもの、それからひなた×ミラの三本立てなので、十八歳以上で興味のある方はどうぞ
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