魔弾使いのTS少女   作:黄金馬鹿

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一週間だけですけど更新します

いや、その、最初は全部完成してから投稿するつもりだったんですけどね? その、なんかモチベの問題だったリアビーで爆死したりマキオンで負けまくったりバーサスでダイブ縛りして練習したりペルソナ5やったりレポートだったりで年明けまで完成しそうになかったので今完成している分だけ投稿しちゃいます

い、一応三万文字くらいはあるから……(震え声)


第六十二魔弾

 ヴァルコラキの起こしたひなたへの恐喝、そしてそれを利用した思惑は失敗に終わった。それによって三人は再び平穏を手にし前と同じような日々を謳歌し始め、既に三か月の時が経過した。

 ひなたももうすぐ二十一歳の誕生日を迎える時であり、既にこの世界に来てから約一年半の経過していた。日本と比べれば少し不自由で娯楽も少ないこの世界での生活は半分以上が復讐に生きた黒い日々だったが、それ以外は明るく楽しい日々が大半だった。

 この世界に愛着が沸いた、という事ではないがシャーレイとミラという大切な人が出来た以上、彼女は完全に復讐を諦めた。恩人とこの世界で初めて知り合った人たちを野生のラスボスとも言えるブラッドフォードに殺されたが、痛感してしまったのだ。真祖と人間の差という物を。いや、ひなたと真祖の差を。

 真祖の中では比較的に弱いらしいヴァルコラキにすらひなたは勝てなかった。脅され、殺される所だった。なのに、ブラッドフォード相手に立ち回れるか、仇を取れるのかと聞かれたらそんな物は無理だと誰もが豪語する。それはひなた本人もそうだ。

 だから、諦めた。完全に復讐を諦めシャーレイとミラと共に生きていく事を選択した。

 しかし、だ。ヴァルコラキは気になる事を言っていた。

 ブラッドフォードへの下剋上。つまり、この付近にやってきたヴァルコラキとブラッドフォードの抗争。それがひなたの中で一つの懸念を生んだ。

 ブラッドフォードはこの付近に隠れ潜み、またひなたから大事な物を奪おうとしているのではないかと。

 それを懸念したひなたはミラから殴ってでも止められないように一人でこっそりと調査を始めていた。

 

「……街から五キロ、南の方角。ブラッドフォードの気配なしと」

 

 森の中でひなたは魔獣が消えていくのを目にしながらそう呟いた。チェッカーに倒した魔獣の名前が刻まれていくのを見届け、チェッカーをポーチに仕舞い再び起爆銃を手に持った。

 依存度が高くなりシャーレイとミラから離れられなくなったのがヴァルコラキの件の直後。それを数時間だけならどうにか出来るようになったのがつい先週の事だ。近所に引っ越してきたイヴァンがようやく離れられるようになったか、とひなたとの酒の席で笑い飛ばしていたが、その方法はかなりの荒療法だった。

 簡単に言えばシャーレイに一日の間に自分達を捕まえたら一日中シャーレイの言いなりになってあげるとミラと共に提案し全力で逃げるという犯されるか犯されないかが決まる究極の鬼ごっこを実施したからだ。そうしてひなたとミラは作戦通りに別方向へ逃げ、シャーレイがそれを追った。その結果ミラは捕まったがひなたは何とか逃げ切り三人は数時間程度なら離れ離れでも平気なようになった。ミラは翌日ずっとベッドの上で喘がされていたが。

 そんなミラの尊い犠牲を得て依存を抜け出したひなたは予め考えていたブラッドフォードの調査を依頼を受けるついでに行っていた。

 真祖の気配に二週間近く触れていたからか真祖が近くなれば自分も吸血鬼としての末端である以上すぐに分かると思っているからだ。勿論、それは相手にも伝わるだろうが、気付いたら後ろへ向かって全力疾走したら追ってこないだろう、追って来ても駆除連合が動いてくれるからこちらは受動的な動きで問題ないだろうと高を括っていた。

 それ故のワンマンでの調査だったが、北から始まり北東から回っていき既に南へ。五キロの範囲を調べていたが一向にブラッドフォードは見つからなかった。

 だが、見つからないなら見つからないでそれは良い事だ。もしも付近に居たのなら、それはシャーレイとミラにも危険が及ぶ可能性があると言う事。これはそれを未然に防ぐための調査であり見つからないなら見つからないで困る事など一切なく、逆に喜ぶべきなのだ。

 

「さて、帰ろうかな。もう帰ったらいい時間だし」

 

 起爆銃を片手に呟くとひなたは街の方角へ歩を進める。自分の足の代わりになってくれる乗り物なんて持っていないため勿論徒歩だ。

 バイクや車がこの世界にあればもっと遠くに行けたりもっと早く帰れたりするのだが、無い物ねだりは出来ない。煙草を吸いながら自然に囲まれて歩くしか、ひなたには移動手段が残っていなかった。ミラやイヴァンなら飛び跳ねたり人間を止めたとしか思えない高速移動で五キロ程度ならすぐに移動できるがひなたにあの親子の真似事は出来ない。大人しく歩く。

 一日で十キロの移動。中々にいい運動になる。既に慣れた移動距離だがそれでも歩き続ければ疲れるのは変わりないしそれに加えて魔獣とのガチンコの戦闘、駆除連合への報告も混ざれば帰ったころには結構ヘトヘトだ。だが、そうして稼いできた金は中々の物で後十年もこんな生活を続けていれば寿命まであの家で普通に暮らすぶんには問題ない位の資金が溜まるだろう。だが、毎日という訳ではなく自分の気分で休みの日は作るため四十後半までは駆除連合の世話になる事だろう。それまでにバイクや車が開発されればいいのだが。

 環境破壊防止と銘打って煙草の灰を持ってきた携帯灰皿に落とす。もう慣れきった動作を何度も行い、そして一本を吸いきると携帯灰皿に吸い殻を落とす。今日も元気だ煙が美味かった。

 そうして歩いている内にまた口元が恋しくなって新たな煙草を口にする。最近は煙草をよく吸うようになってしまったからか基本的に外に居る間は歩き煙草をして煙を吸っては吐いて。それを繰り返している。なのでシャーレイ達と出かけていると時々持ち合わせている煙草が切れてしまったりしてしまっているため最近は既に空けた箱と新たな箱の二つをポーチに入れて持ち歩いている。ライターは最近、ここまで吸うのならとちょっと高くていいライターを購入した。今まではかなり安物のライターを使っていたため煙草の箱に一緒に入れられるサイズだったが、大きくなってしまったためポーチに一緒に入っている。忘れたりしたら煙草が吸えないので地獄だ。

 ただ、火をつけるだけの道具にそれほどの価値があるかと言われれば無いので完全に金持ちの道楽のような感じになっている。

 そうして歩く事大体一時間半。ようやく街の近くまで戻ってきた。中々遠いが慣れてしまえば多少の疲労感を感じるだけだ。むしろ今まで筋トレすらサボり気味だったのでここまで歩けるのはかなり体力が落ちたとも言える。復讐に生きていた時は一日以上歩いていた時もあったからだ。

 ようやく見えた街に一息ついてもう何本目かの煙草を携帯灰皿に突っ込んで新たな煙草を用意する。それに火を付け新たな煙草の煙を肺一杯に吸い込み吐き出す。この心地よさだけはどうしても忘れられない、なんて思っていると目の前に見知った顔が見えた。

 

「ん? 嬢ちゃんじゃねぇか。奇遇だな」

「あ、どうもです、イヴァンさん」

 

 現れたのは近所に引っ越してきたミラの父、イヴァンだった。彼とは助けられ助けての仲だったが、ひなたが酒を飲めるのを知ってからは飲み友達にシフトチェンジした。大体一週間に一度のペースでイヴァンは酒を持参してひなたと飲み明かしている。最初はシャーレイがイヴァンはひなたを酔わせて襲う気なんじゃ、と怪しんでいたが、イヴァンは亡くなった妻、ミラの母親のマイ一筋な上にひなたのような幼児体系はお気に召さないらしく全く手は出さなかった。寧ろ、酒の席で時々漏らすひなたの弱音等を受け止めてやる人生相談役のようになっている。

 そのためかひなた的にはイヴァンは頼れる大人という枠に収まっており、イヴァン的には手のかかる二人目の娘みたいな枠に収まっている。そのためか仲は結構良好だ。その内ミラもひなたとイヴァンに混ざって飲むようになるのだろう。それをイヴァンは何気に楽しみにしている。

 

「ここに居るってことぁ……あれか。依頼か」

「はい、丁度帰りなんです」

「そうだったか。俺も今から依頼なんだ」

「珍しい」

「たっけぇ酒買いすぎたんだよ……ってな訳で二十キロ先に湧いたドラゴン狩ってくるが、着いてくるか?」

「ボクに死ねと」

「ははは、冗談だよ。じゃ、俺はとっとと狩って来るわ」

「頼みますからヘマして死なないでくださいよ? 遺骨とか集めにいけませんし」

「ドラゴン程度なら欠伸してても狩れるっての」

 

 そんな軽口を叩き合ってからイヴァンはんじゃ、とひなたに声をかけて霞に消えるようにしてその場から消えていった。どうやら体術の一種であるらしいそれは一回教えてもらったがとてもじゃないが習得できなかった。ミラも幼少期にやろうとして出来なかったらしい。

 そうして去っていったイヴァンだったが、ドラゴンを狩るという事は明日明後日辺りはイヴァンがドラゴンの肉をツマミとして持ってくることだろう。高級な牛肉みたいでとても美味しかったのを覚えている。

 ちなみにひなたがドラゴンとタイマンをすると大体一分くらいで胃の中に送り込まれるか潰されるか骨まで焼き尽くされる。つまり絶対に勝てない。それを一人で片手間程度に狩ってくるイヴァンはやはりミラの父親なんだな、と実感させられる。ちなみにミラが両足があった時に行ったイヴァンとの模擬戦は全戦全敗だったらしい。食人後の全力のひなたでも今のミラと互角に持ち込めるか怪しいのに万全だった頃のミラを圧倒するなんて頭可笑しい。

 それを成している脳内リミッターの解除だったが、ひなたがやった結果酷い目にあった。具体的には全身肉離れと筋肉痛と肋骨全骨折で無事に天に召されかけシャロンとルナと再開してきた。どうやらひなたの肋骨は定期的に折れる運命らしく直った直後にもう一回試したらもう一回折れた。もう一回シャロンとルナと会ってきた。もう来るなと言われた事は覚えていない。やはり文字通り血を吐く程の努力をしたイヴァンと生まれた頃からそうやって動けるように体を調整して完成させたミラの真似事は十年近くの時間が必要だと言う事を痛感した。

 というか十年程度であの二人の領域にたどり着ける技をそう簡単に教えてもいいのかと聞いたら別段隠す気もないらしく気にしていなかった。最近シャーレイが筋トレしているのは気のせいだと信じたい。シャーレイがアレを身につけたら確実に毎日犯される。もしかしたら孕まされるかもしれないなんて謎の電波も受信した。

 そんなちょっと前の惨劇とこれから来るかもしれない惨劇と謎電波の受信を思い出しながらもひなたはようやく街に到着。短くなった煙草の灰を携帯灰皿に落としながらひなたは駆除連合へと向かう。

 最初は主人公のつもりだった。だけど蓋を開ければ自分なんてこの世界で生きる人間の、その中で更に木っ端程度の存在で、今持ちうる過去の経歴なんて汚点以外の何物にもならなくて。だから自分がヒーローなんて思うのを止めてこうして自分達に降りかかるかもしれない脅威を最低限の被害と自衛だけを目標に察知する事を望んでいる。

 あんな能力やこんな能力が再現できればなんて思っていたがそんなのは勿論不可能で、あんな力やこんな力があればなんて思ってもそんな物が適当に作った小説のようにぽっと出で沸いてくる訳もなく、あんな漫画やこんな小説の能力があれば、なんて思って結局それは妄想のままで終わって。現実という物の残酷さとこの体の貧弱さと自分の精神の脆弱さを思い知らされるだけに留まって結局は自分でも自覚できるような情緒不安定な元男の出来上がり。そんな事を思い出してしまうのもあるし単にヤニカス化したというのもあるし悪い事を思い出したくないしで結局は煙草を手放せなくなっている。

 

「……あーやだやだ。これじゃあ何時か鬱になるよ」

 

 唯一の右手で髪の毛を掻き上げてそのまま癖で頭皮を掻きそうになったが、なんとかそれを理性で止めて髪の毛を握りつぶすだけで抑える。こうして頭を癇癪だけで掻きむしるのは前から治らない癖だ。

 新たな煙草で心の中を落ち着かせながら道を歩く。そして目の前にニヤニヤした大柄の男が現れる。あぁ、どっかの街から流れてきた当たり屋の類か、とひなたは溜め息を吐きながら右手をそっと起爆銃へ向ける。そうしながらも一応面倒は嫌なのでそっと道を斜めに歩くが男は当たり前と言わんばかりに向かう先へ追従してくる。

 外見だけは隻腕というのを除けば十分に美少女。それが煙草吸って歩いている物だからそれも一緒に使って脅せば何とか許してもらおうとひなたが下から出るとでも思ったか。しかも今はローブを羽織っているため隻腕も見えていなければ起爆銃は見えていないからひなたが荒事で生計を立てているとも思われていない。

 ここら辺に住んでいる人間はひなたに喧嘩売ったら病院送りも有り得るので喧嘩を売ってこないが別の街から来た人間はもう諦めるしかない。

 そうしてこんな外見じゃなければ、と煙草を吸いながら溜め息を吐いていると案の定ひなたの半身に相手の半身……というか体格の関係上肩から下の部分に当たる。一応煙草は逆側に咥えて本当に怪我させるというのは避ける。

 

「おっと、ごめんごめん」

 

 ひなたは適当に言葉を放って歩き去ろうとする。

 が、既に分かっていた恐喝がひなたを止める。

 

「おい待ちやがれ」

「黙れ下衆」

 

 その言葉にひなたは起爆銃から放たれる魔弾で返した。訳も分からずに魔弾で額を撃たれた男は気絶こそしなかったがその衝撃で地面に仰向けで倒れた。

 ひなたは起き上がられないように胸を足で踏みつけながらその額に起爆銃の銃口を向けながら煙草を吐き捨て魔弾を一つ噛み砕いて銃口に魔力の塊を作りながら口を開いた。

 

「ここでボクにこれ以上絡むか何でもありませんって一言言って何もされないか。Dead or alive?」

「な、何でもありません……」

「相手の力量も分からないのに喧嘩売るなよクソ虫が。あと、これでもボクは二十歳だ。そこら辺で恐喝しようったって無駄だからな」

 

 最大限の威圧とゴミを見る目で男を見てから舌打ちをしてから行き場を失ったジェノサイドバスターを吐き捨てた煙草に当てて蒸発させる。

 ちょっとマイナスな事を考えていたからか色々と荒っぽかったのは非として認めるが当たり屋をしてこようと思った相手が悪いのでこれはやり過ぎじゃないと自分に言い聞かせてから魔弾をリロードして新たな煙草を咥える。別に治安が悪いとか何とか言うつもりはないしあんな人間を寄せ付けない案を持っていない訳ではないが標的にされる人の気持ちにもなってほしい物である。あしらうのが面倒だ。

 右手でとうとう頭をガシガシ掻いてしまってからやっと駆除連合に辿り着きとっとと依頼の達成を伝える。それと引き換えに金を貰ってやっと帰れる。

 

「ようアカツキちゃん! 一杯やっていかねぇか!?」

「あー、遠慮するよ。一人だと潰れた時大変だしね」

「俺が介抱してやるっての!」

「うっせぇロリコン! 今度ミラ同伴で飲むから今日は帰る!」

 

 その帰りに駆除連合にくっ付いている酒場で顔見知りの男が飲みに誘ってきたがそれを断って駆除連合を出る。ちなみに声をかけてきた男は熟女趣味でひなたの事を性的な目で見てきた事は一度も無いため友人程度の付き合いはそこそこしている。本当に性的な目で見てきた人間とはひなたは付き合いを持たないのでひなたは結構ガードが堅いとか既に付き合っている男がいるとかレズだとか実は元男で今は女として生きている変態とか色んな噂がある。その内の一つは当たっているしもう一つは一部否定するが大体合っているので広めるのは止めてほしい。

 美少女も色々と大変だと溜め息を一つ吐きながら帰路を歩く。その最中で先ほどの当たり屋男とすれ違ったがイイエガオを浮かべて起爆銃を見せつけたら何も言わずに去ってくれた。そうして数分歩いて辿り着いた家のドアを開ける。

 

「ただいま~」

「あ、おかえり」

 

 ちょっと疲れているからか語尾が伸びてしまったがそれはご愛敬。夕飯の準備は済んでいるらしくシャーレイはソファに座って本を読んでいた。何だかシャーレイを見た瞬間に彼女に孕まされるぞとか変な電波を受信したが気のせいに過ぎないのでそのままローブを脱いで起爆銃を適当な場所に置いてからソファにダイブしシャーレイにそのまま抱き着く。

 

「ひゃっ!?」

「あぁ~……疲れたぁ……」

 

 抱き着いてからズルズルと身体を移動させて結局シャーレイの膝に顔を埋め、その心地よさに癒される。シャーレイはビックリこそしたが拒否せずに甘えてきたひなたの頭を撫でる。その心地よさに駄目になりそうになる。

 

「どうしたの? 何かあった?」

「いや、何も……ただちょっと疲れたから」

「そうなの? まぁ、それならいいけど」

 

 別に無かった事は無いのだが、当たり屋が絡んできた程度なら何も無かったという分類に十分入るので特に何も言わない。

 そうしてシャーレイに甘えながら猫のようにしているとふとシャーレイの首に目が行った。

 そういえば最近シャーレイから吸血していないなぁ、と最近の夜を思い出して考える。夜中は何時も吸血衝動が限界になって吸血する前にシャーレイから襲われるてそのままミラも寝ているのに襲われてるし幻肢痛が来ても吸血させてと言う前に胸を揉まれてそのまま行為に移行させられて気が付いたらミラも襲われてて幻肢痛は消えているし。あれ、最近襲われる頻度多すぎ? と思ったが前からこうだったと思い込んで吸血の事に戻る。

 最近血を吸ったのが何時だったかと思いだすと、直近の記憶がヴァルコラキの腕を食った時だけ。吸血鬼っぽいけど実は吸血鬼じゃない食人鬼寄りの吸血鬼なのに血を吸ったのがそこまで前って、とひなたは自分の構成要素である物の一つが最近薄い事に気が付き苦笑い。

 だが、今なら吸ってもそのまま行為に持ち込まれないんじゃないかと思いシャーレイに聞く。

 

「しゃーれいぃ……」

「んー?」

「血ぃ吸わせろぉ」

「え? 別にいいけど?」

「やったぜ」

 

 許可を貰ったのでひなたはシャーレイの体を這いあがってそのまま首筋に齧り付く。

 

「んっ……」

 

 なんだかシャーレイから色っぽい声が出た気がするが気にしない。そのままシャーレイの首筋に付けた傷から血を頂く。

 シャーレイの血は何だか、甘い。甘くて、美味しくて、病みつきになる味だ。ミラの血も一度だけ吸ったが、ミラの血も甘いがシャーレイ程ではなく、あっさりとした感じだった。ヴァルコラキの腕ごと吸った血は不味かった。鉄分オンリー。吐き気がした。しかも何だか蟹の食べられない所みたいな味がした。

 久しぶりのシャーレイの血の味に喉を潤しつつ自分の中の吸血衝動が満たされていく心地よさを感じシャーレイの味を楽しむ。あぁ、美味しい。美味しくて、甘くて、ずっと吸っていたい。だが、そのまま吸っているとシャーレイが干からびるのでシャーレイが貧血にならない程度で吸血を止める。

 

「ぷはっ……美味しかったよ、シャーレイ」

「ん……」

「……シャーレイ?」

 

 吸血を終えて顔を上げたが、シャーレイの様子が可笑しい。密着していた体を離してシャーレイの顔を見てみると、シャーレイの顔は真っ赤だった。

 あれ? と疑問に思うがすぐに思い出す。

 そういえば最初に関係を持ったとき……というかシャーレイからレ○プされた時、自分は何をしていたか。というかシャーレイに何をしたか。その時シャーレイから何を言われたか。

 確か、吸血される側って発情するんだった、と思いだしたが時すでに遅し。シャーレイは本を投げ捨ててひなたを抱きしめるとそのままソファの上にひなたを押し倒した。

 

「ぎゃぁぁ!!? 気づくの遅かったし逃げるのも遅かったぁぁぁ!!?」

「はぁ、はぁ……吸血してきたって事はそういう事だよね!? 誘ってるんだよね!?」

「ちょ、そういうコトは夜にして!? 吸血は単純にしたかっただけだから!!」

「え!? セッ○スしたかったから!?」

「突発性難聴止めようか!? そんでもって服脱がすな股に手を伸ばすな胸揉むなぁ!!」

 

 吸血によって発情したシャーレイがひなたを押し倒して服に手をかける。ひなたの目は吸血によって紅に染まっていたがシャーレイに押し倒されて涙目になっている。

 アカン、これ夕飯前に美味しく頂かれて明日まで気絶コースだ。そう確信したひなたはすぐに抜け出そうとするが勿論抜け出せない。シャーレイの方がひなたよりも力が上という残酷な現実は変えられなかった。

 

「ほ、本当にそういうのは夜寝る前じゃないと――あっ」

 

 そしてひなたはシャーレイに美味しく頂かれ、途中で帰ってきたミラがレ○プ目のひなたをどうにかして救出しましたとさ。




思い出したかのように吸血するひなた。なおその後は美味しく頂かれる模様

あ、一応これが最終章になります
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