魔弾使いのTS少女   作:黄金馬鹿

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最終章なんだしラスボス出てこないといけないよね……?

という訳でラスボスが誰か当ててみよう()


第六十三魔弾

 何とか吸血からの行為を気絶寸前に終わらせ夜中にまた頂かれ結局気絶した日の次の日。つまりイヴァンが暇つぶし感覚でドラゴン狩りに向かった翌日。朝から腰が痛かったり疲労感を感じたりと結構キツイ朝を迎えたひなたはこの日は狩りにもブラッドフォードの調査にも向かわずに家でゆっくりと疲れを取る事にした。

 だが、そういう名目で家で待機しているのは何だかニートをしているみたいで落ち着かなかったので適当に散歩しつつも街の中でブラッドフォードの情報を集め続ける事にした。

 とは言っても街の中で集めれる情報なんて高が知れているためひなたは疲れた体と痛い腰と下半身に鞭を打ってスラムへと向かった。何故ここでスラムかと言えばそれは情報屋が存在するからで情報屋なら何かしらの情報を掴めるかもしれない、と思ったからだ。何もないなら何も無いでいいのだが、何かあった場合はその場で即避難計画を練って隣国までイヴァン同伴で亡命する事も考えなければならない。

 イヴァンならブラッドフォード相手でも何とかなる、と普通なら思うかもしれないが、一度ブラッドフォードの相手をしたひなたなら分かる。アレはどうしようもない。倒せるとか倒せないとかの次元を超えている。野生のラスボス、なんて言葉じゃ生ぬるい。野生の裏ボス。そこまで言えるのだ、あの真祖は。

 だから、早めに逃げる算段を付けるためにブラッドフォードの情報を何かされる前に集める必要があった、のだが。

 

「……すまんな、ソイツの情報はこっちでも入ってねぇ。いや、仕入れようとしたら無理だったって言うべきか」

「あー……ごめん、こっちも無茶言ったのは分かってる。でも何か情報が入ったら教えてほしい」

「それなら問題ない。一応、金は先払いになるけどな」

「大丈夫。これに関しては金に糸目をつける気はないからね」

 

 大事な人達と自分の命を金で買えるのなら安い方だ。そう頭の中で結論付け今回のために用意していた自分の小遣いを払う。その額はやはりと言うべきか、あの家を買える位の金だった。

 それを渡すと情報屋は満足そうに頷いてそれを受け取った。これを持ち逃げされる可能性は無いと断言できるが、情報が入ってこなかった場合はこの金は意味を成さないが、それでも保険のような物だと割り切れば何の気兼ねもなく払う事が出来る。

 こうして金を払った以上、情報屋は絶対に依頼を守る。だから、ブラッドフォードの情報が入ればその一時間後には家のポストに手紙が入る事だろう。その手紙の中身を確認したらすぐに逃げれるようにしておけば後は何も問題はない。

 

「じゃあ、この依頼は内密に。その口止め料もその中に入っているから」

「それは勿論。お客の信頼こそが俺達の生きる道なんでね」

「信用しているよ、情報屋」

「今後もご贔屓に、嬢ちゃん」

 

 勿論、これからも使っていくつもりだ。

 使える物は遠慮なく使う。それが金を使う物だったとしたら、そのための金は何の遠慮も無く小遣いから捻り出す。それで命をどうにか出来るのなら安い物だ。なんて言ってみるが既に小遣いが底を尽きかけているためどうにかしてまた金を溜めていかなければならない。暫くは駆除連合漬けの日々が続きそうだった。

 情報屋の隠れ家を出てスラム特有の性欲塗れの男共の視線に晒されながら溜め息を吐きつつ歩いていく。そうして歩いてスラムから出てやっとあのウザったい視線の群れを抜ける事が出来たとホッと一息を着いて右肩を回しながら家に煙草を咥えて煙を吸っては吐いてを繰り返しながら向かう。

 歩き煙草を日本でしていたら外見もあって絶対に何か言われるだろうけど、そうした煩わしいのがないのはこの世界の良い点だな、と考えながらこのパワーバランスがぶっ壊れた世界の良い点を探し当てる。

 生きるだけならこの世界は本当に理不尽が多すぎる。具体的には真祖とか真祖とか真祖とか真祖とか。それはひなただけだと各方面から言われそうだが、今のところ命を失いかけた事件が九割程真祖に関連しているのでひなた的には真祖がキツイとしか言えない。

 そんなどうでもいい事をボーっとしながら考えていると丁度イヴァンが引っ越してきた近所の家の前をすれ違った。一人暮らしだと言うのに家が広い。一回だけお邪魔したが一人暮らしなのにひなたの買った家位広かった。稼ぎの差を見て自分って本当に矮小な存在だなぁ、なんて思ったのは仕方の無い事だろうか。

 ちょっと嫌な事を思い出して憂鬱になりながらイヴァンの家の前を通り過ぎようとすると、丁度そこでイヴァンが家から出てきた。

 

「あっ」

「ん? おっ、嬢ちゃんか」

「ども」

 

 家から出てきたイヴァンの手には袋が握られていた。昨日の事から察すると、恐らくその中はおすそ分けのドラゴンの肉だろう。ちなみにドラゴンの肉は出回らない貴重な肉なので今からでも涎が止まらない。

 

「丁度昨日狩ってきたドラゴンの肉を分けに行くつもりだったんだが」

「有り難く頂きます」

「そうしてくれ。俺だけじゃ腐らせちまう位あるからな」

 

 そう言ってイヴァンは手に持っていた袋をひなたに渡してきた。それを片手だけで受け取るとそれはどっしりと重い。片手だけだと思わず落としてしまいそうになった。

 大体十キロ前後だろうか。確かに三人いるからそこそこ量を食うが、それでも女三人が食う量なんてイヴァン一人と半分程度の物だ。ミラがそこそこ食べるがそれでも年頃の少女より少し多い程度しか食べないためこれだけあると消費しきるには腐らせるギリギリまでかかるだろう。もしも本当にギリギリになったら残りは干し肉行きだ。この世界に冷蔵庫があって本当によかった。

 

「んじゃ、渡すモン渡したし俺は用事済ませに行くかな」

「何かあるんですか?」

「いやな? なんか駆除連合の上から変な招集をされちまって。俺なんかしたかなぁ……」

 

 駆除連合の上層部からの招集。そう聞くと嫌な予感しかしないが、ひなたもかつて魔獣をジェノサイドバスターでオーバーキルしてちょっと近くの街の家の屋根を削るという事をやらかしお説教目的で招集された事もあったので特に身構えはしない。

 

「街一個滅ぼしでもしました?」

「いや、俺もそこまで人外じゃねぇからな?」

「えぇっ!?」

「おいオーバーリアクションすぎ……おい、何だよその顔。冗談だよな? 冗談で言ったんだよな?」

 

 勿論、冗談なのだが余りにもひなたが迫真の演技をしたため本気でひなたがそう思っているように受け取られた様子。ひなたは笑って冗談ですよ、と告げるとかなり訝しい目で見られた。本当に冗談だってば。

 何だか元は同性だったからかイヴァンとは結構話が合う。流石に下の話には付いて行けない風な事を言ってはいるけども大体の話にはついて行けるため時々シャーレイにイヴァンとの関係を怪しまれている。本当に本命はシャーレイだけだ。ミラも大好きだが。

 後、まだミラとの体の関係はイヴァンにバレていない、筈。時々イヴァンが責任取れとか言ってくるが本当に気が付いていないと思う。思いたい。バレたら殺されるかもしれない。一人娘がレズの毒牙にかかったと知ったらイヴァンが何してくるかなんて想像できないからだ。

 

「じゃあ、ボクは帰りますね。お説教、頑張って耐えてください」

「うへぇ……五十近くなってお説教とか勘弁してくれよ……」

 

 ひなたはその言葉に苦笑で返してから最後に肉の礼を改めて言って家に帰った。

 家に帰るとシャーレイがすぐに出迎えてくれた。

 

「おかえり~」

「ただいま。あ、途中でイヴァンさんからドラゴンの肉貰ってきたよ」

「あ、そうなの? じゃあ今日の夕飯はこれかな……って、当たり前のようにドラゴン狩ってくるよね、あの人……」

「そりゃあの人、人類トップクラスですし」

 

 最初は驚いていたが、今じゃお裾分けのドラゴン肉と聞いてもあまり驚いていない。ミラですらもう狩るのには十分な準備が必要なのにそれを片手間で狩ってくる。やはり人類トップクラスは元男の隻腕魔弾使いとは訳が違う。

 自分もアレくらい強かったらなぁ、と妄想はするが魔弾使いがあそこまで強くなれるなんて前例が一切ないため諦めるしかない。前例が無いけど努力次第で、とか言えるほどひなたは歴代トップクラスの魔弾使いになった覚えはない。

 

「ミラちゃんのお父さんだもんね……いいなぁ、あんなお父さんが居てくれて。私のお父さんは産まれてすぐの幼女をスラムに捨てるド畜生のクソ野郎だったからね!!」

「物凄いいい笑顔で酷い自虐は止めて。どんな顔してどんな言葉を返せばいいか分からなくなる」

 

 そして良い笑顔で放たれたシャーレイの自虐にひなたは微妙な顔をするしかない。シャーレイは本当に気にしていないが、ひなた達のようなその当時の心情を把握しきれない人からしたら笑えない言葉だ。

 しかし、ひなたももう自分を産んで育ててくれた母親と父親にはもう会う事が出来ない。いや、もう肉体すら変わってしまい両親が育ててくれた要素は精神しかないのだが。それでも育ててくれた両親ともう会えないと、辛いから忘れていた事を思い出すと軽くホームシックになってくる。

 最近はちょっとずつ女らしくなってきてしまっているひなただが、まさか両親も知らぬところで息子が娘になって年下の少女に処女まで奪われているなんて予想だにしていないだろう。自分ですら聞いただけじゃ信じられない事ではあるのだし。

 

「はぁ、実家に帰りたい……」

「実家とかもう覚えてすらないよ!」

「だから自虐止めろや!」

 

 ちょっとホームシックになってふと思った。

 こうして異世界に強制的に転移させられたはいいものの、日本での今の自分は一体どんな状況になっているのだろうか。

 行方不明だろうか。多分行方不明だろう。それはそれでいいのだが自分のPCはどうなっただろうか。友人達はふざけて言ったHDD内のデータ全消去をしてくれただろうか。ついでにあっちの世界に忘れていったスマホの画像フォルダとか整理しておいてくれただろうか。

 こうなると分かっていたらPCもスマホもデータを全削除しておいたのに、と溜め息を吐く。どうせ暁陽太という男はもうどの世界にも存在していないのだし、削除して困る物でもない。日本でつるんでいた友人達に真実を告げても信じてくれないし信じてくれた所でどうせヤらせてくれとかふざけて言ってくるに違いない。

 日本の事を思い出しただけで憂鬱になってきた。だから情緒不安定とか言われるのだが。

 

「取り敢えず、ドラゴン肉の保管とかお願い。ボク、ちょっとアルコールと煙キメてくるから」

「言い方!」

 

 多少の仕返しも込めて酒飲んで煙草吸ってくるだけの事ををかなり酷い言い方で告げてから冷蔵庫から果実酒を取り出してついでにつまみとして前に作ったドラゴン肉の干し肉の余りを右手にソファに座る。

 

「はぁ……至福の一時」

 

 最早駄目人間を極めているとしか言えない真昼間からの酒と煙草。その贅沢を味わいながらひなたはふと考える。

 イヴァンが説教されに行ったわけだが、ここ最近は何だか色々と不穏な事が続いている。シャロンの事もそうだし、ルナの時に見た未だに情報が無い水の魔獣。そして、ヴァルコラキ。真祖繋がりが二つに明らかに前例のない事件が一つ。

 何か裏で動いているのでは? そんな想像を働かせた結果、ひなたの第六感が何かを告げ、悪寒が走ったが、きっと気のせいだろう。今までの第六感の働きっぷりを考慮しこれは気のせいだと結論付けそのままひなたは嫌な想像を酒と共に飲み込んだ。




もうひなたの第六感とか腐り切ってるんじゃないですかねぇ……

最近、肺に煙を入れた状態で走るとどれだけ苦しいか調べるためにニコチンもタールも入っていない電子タバコを買おうかなと思っているこの頃
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