後日談は一気に更新、ではなく書きあがったらその日の十九時に投稿していく、という事にします
あの剣と魔法のファンタジー世界からこの魔法が無い世界に戻ってきてから約数時間。新たな家、というよりも明らかにあっちの世界から持ってこられた家に辿り着き、家具の配置は殆ど変わらず、しかしそのどれもが現代風になっているのを確認し私服の類も現代日本で着られる物になっているのも確認した。
そして家に入り、机の上をふと確認して見つけたのは三台の携帯端末、スマートフォンだった。
銀、金、青の三色の端末の内、銀の端末を触ってみると、それはロックがかかっておらず、プロフィール欄を見てみれば自分の名前で登録されているのを確認した。今現在テレビを見て興奮しているシャーレイとミラの分は、恐らく金色と青色の端末だろうかと確認してみれば予想通りで金色がシャーレイ。青色がミラだった。
「シャーレイ、ミラ」
二人に声をかけ、二人の端末を投げ渡す。
二人ともそれを落とすという事は無く普通にキャッチし、スマホをまじまじと観察している。ひなたはそれを見て少し笑いながらマッサージチェアに座ってスマホを見る事にした。見た所、スマホは見た事が無い型だったが、小さく端末側に彫ってある端末名を調べてみればひなたが異世界に行っている間に発売された最新型らしく、性能はかつてひなたが使っていた端末よりも遥かに上だった。
一年半離れただけでこれかぁ、と少し感心しながら一年半前はよく見ていた動画サイトを覗いてみると、昔見ていた動画の続きが一気に更新されていたり自分の好きなアニメの二期が始まっていたり逆に完結していたり。中々変わっている事が沢山あって目新しさが沢山だった。対してシャーレイとミラはひなたの真似をしてスマホの電源を入れ、小さな液晶が光った事に驚いて端末を落としかけている。何だか面白い。
しかし、右手だけ。しかもかつての手よりも遥かに小さい手でスマホを操作するのは少し疲れる。具体的には画面端まで指が届かない。これはスマホの音ゲーも出来ない可能性もある。
少し日本の楽しみが失われた事に溜め息を吐いてからひなたはマッサージチェアから立ち上がった。
「……さて、二人にテレビとかスマホの使い方教えないと」
取り敢えず、二人が最近の若者のように簡単に端末の使い方を覚えてくれるのを期待する事にする。
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二人にスマホの使い方を教えたりテレビを見る方法だったり何故テレビの中に人が入っているのかとかテンプレ的な事を聞かれたり何故かこっちの世界に来てから行方不明だったミラの剣だけ物置にぶっ刺さってたりとかあり、結局この日の就寝は十二時を軽く超えた。
そして翌日は七時に起き、この辺の地理を得るために三人で出かける事にした。
「……剣を持たないのが違和感」
「そりゃ、こっちの世界じゃ銃刀法違反になるし……」
「武器を持って歩けないって不安だよね」
「そこまで治安は悪くない……筈」
勿論、ミラは剣を置いて、だ。彼女は出かける時は大抵剣を腰に吊っていたので剣を持って出歩かないのに少し違和感を感じているようだった。
対してひなたは部屋の中にあったロングスカートを履いて足に起爆銃入りホルスターを見えないように巻いてからシャツの上に上着を羽織り、一応腕が無い事がすぐに分からないようにしてから家を出る。ちなみにシャーレイは特に違和感なく着替えた。やはりミラのような人間が一番違和感を感じれるようだ。
それに、自分達なら日本人であろうと外国人であろうと襲ってきた所で撃退できる自信はあるので違和感こそあれど危機感は持っていないが。ミラもそこら辺聞いているのでサブウェポンのBナイフを持ちだす等もしてない。
そして三人で駄弁りながら歩く事数分。三人はまだ少し騒がしい中学校に辿り着いた。
「ここは?」
「明日からボク達が行く事になる学校。で、合ってるよね……? うん、合ってる」
「すっごい大きい……」
あっちの世界では学校程大きな建物はそれこそ城や何かしらの組織の本部程度だったのでシャーレイは圧巻としている。ミラは城を何度か見たことがあるらしく特に驚いてはいない。が、ここが学び舎だと言う事には驚いているらしい。
さて、これからどうしようかと思っているとふと視線を感じる。どうやら、今は休み時間らしく学校の窓からこっちを見ている数人の生徒が見えた。やはり金髪はともかく銀髪はそこそこ目立つらしい。あまり視線を向けられたくないので携帯で次に行きたいところを調べてから二人に声をかける。
「行こ。なんか視線感じるし」
「え、あ、うん」
「……珍しいらしい?」
「金髪はそこそこ見るけど銀髪なんてそうそう見ないからね」
それに、シャーレイとミラが可愛いから、というのも……いや、無いだろう。自分達は遠くの物を見るためにそこそこ視界を遠方に合わせる訓練だったりをしているため相手の顔も服装もそこそこ細かく分かるが、相手からは三人の人間が居る。その中で一人は銀髪と言う事しか分からないだろう。
取り敢えず携帯を使って写真を撮られる前に退散する。この学校に来るのは明日からだ。
欠伸をしながらひなたは二人を連れて比較的家から近いスーパーに向かう。今日の昼食夕食の買い物のためだ。朝食は抜いた。
「……誰も武装してない」
「そりゃ犯罪だし」
「……不思議」
何度か人とすれ違ったがその誰もが武器を持っていない。それに対してやはりどうしても違和感を感じてしまうミラ。ついでに二人はすれ違う人が老人だったりそこそこ若い程度の男女ばかりなのが疑問らしい。
「まぁ、こんな平日の昼間に出歩いているのなんてそれこそ暇な大学生か定年後のご老人程度だよ。イヴァンさん位の人は全員働いてる」
じゃあ魔獣はどうしているんだ、とミラが聞いてきたが居ないと一蹴するととても驚いていた。やはりあっちの世界からこっちに来ると色々な違いに混乱してしまうらしい。ひなたもあっちに初めて行った時は混乱しまくったので少し面白そうに笑いながら混乱しているミラを観察する。ちなみにシャーレイはあっちへフラフラこっちへフラフラしているためつ先ほどからひなたが手を掴んで何処かへ行かないようにしている。
そして学校から離れて歩く事数分。
「そういえば、ひなたちゃん。髪の毛伸びてない?」
「え? あぁ、そういえば。まぁ、去年まではボクの髪はこんなんだったし」
「そうだったの?」
「まぁ、焼けて焦げちゃったからちょっと切ったんだけどね」
昨日の風呂でも感じたが、ひなたの髪の毛が実はこっちに来てからかなり伸びている。具体的にはあっちの世界で目覚めた時と同じように膝下まで銀色の髪が伸びている。正直に言ってかなり長くて重い。が、前から髪の毛は結構長い方だったので今さらだ。
髪の毛は長くなったのに身長は少し縮んだ。若返ったと思えば仕方ない事だが納得いかない。一応魔法を使えば自分の外見程度誤魔化せそうなので文句は言わないが。魔弾使いナメるな。弱いけど。
「で、取り敢えずここがこっちのスーパーね」
「……あまり変わらない?」
「そだね。そこまで変わんないよ」
こっちのスーパーもあっちのスーパーも大した違いはない。ビニール袋があちらには無いがこっちでは貰える、程度の違いだろうか。後は売っている物の違いだったり。そこら辺は家事担当のシャーレイに慣れてもらうほかない。
シャーレイとミラを連れてスーパーをぐるっと回ったり適当に何か買ってみたりしてこっちでの買い物の一連の動作を軽く覚えてもらってから三人はスーパーを後にする。と、そこでふとあっちの世界から引き続き使っている自分の財布の中身が結構軽くなっているのに気が付いた。
昨日の夜、そして今朝の朝食はコンビニの物で済ませ、そして今もスーパーで買い物したので昨日下した五千円がもう二千円前後しか残ってない。
「あ、金が溶けてる……取り敢えずコンビニ行っていいかな?」
「コンビニ? あぁ、昨日の」
「……何するの?」
「お金をもうちょっと多めに下してくるのと、お昼買ってくる」
少し手数料がかかってしまうが、ひなたの通帳にはかなりの量の金が入っている。それこそ億単位で。
もしかしたら高校卒業までに消え去ってしまうかもしれないが、ひなたとミラはどうやら事故で手と足を失ったと言う経緯になっているらしく障害年金が二十歳以上で確約されているので、まぁそれまでに金を使い切らなければ働くだろうしどうにかなるだろう。ちなみに義手義足も作ってくれるようにはなっているらしい。ひなたの端末にそこら辺の事が大体書いてあった。
それはさておき、三人はコンビニへ移動した。
「着いてくる?」
「……じゃあそうする」
「中も見てみたいし」
昨日見たく外で待っているかと聞いたが、二人ともついてくるようだった。
じゃあ、とひなたは周りに人の目が無いのを確認し、更に監視カメラなどが無いのを確認してから起爆銃を足のホルスターから抜いた。
「……起爆銃?」
「実は昨日、こっちでも煙草が買えるようにするために新魔弾を作りましてね」
そう言ってひなたは何度か起爆銃を空撃ちすると空へ銃口を向けて引き金を引いた。
すると、起爆銃の銃口から銀色の魔力が広がっていき、ひなたの体を包んだ。それから数秒も経たないうちにひなたの体が見えなくなるほどの銀色の魔力が晴れていき、ひなたがその中から姿を現した。
十九歳の頃のミラよりも大きくなって。
「成長した!?」
「……合法ロリじゃなくなった、だと……?」
「誰が合法ロリだおい。あと、これただの幻影。ボクの体に魔力で膜を作って成人女性っぽく見せているだけだから触られると簡単にバレる。ってか魔力持ってる人なら何となく分かる筈」
「……ほんとだ」
「へぇ……あ、触れない」
これがひなたがこっちでも煙草を買うために編み出した魔弾、幻影魔弾だった。
十四歳の姿では煙草を買う事が出来ない。すると必然的に禁煙を強いられる事となり、そんなの許容できるか! と憤慨したひなたが寝る前と今朝で必死に構築して完成させた新たな魔弾だった。
だが、その幻影は薄っぺらく、触る事すら出来ない視界だけを誤魔化すだけの物であり、自分の上に違う姿を被せる事しか出来ない欠陥魔法だ。しかも魔力を持ってる人なら感覚で分かってしまう。
そんな魔法でもこっちでは十分に効力を発揮する。完璧な作戦だった。
「そんな訳でコンビニへゴー」
幻影魔弾によって成長したひなたが二人を引き連れてコンビニへ向かう。
入店し、店員の少しやる気のない声を聞きながらひなたは二人を連れてATMの元へ向かう。そしてキャッシュカードをシャーレイに渡して彼女をATMの前に立たせる。
「ほら、やってみて」
「え、あ、うん。えっと、確か……」
シャーレイにはATMの使い方を一通り教えている。何せ彼女は家事担当。ついでに財布の管理も彼女に任せる気満々なのでATMの操作も覚えてもらわないとならなかった。なので、今朝の内にシャーレイにはATMの使い方を口頭で説明している。実践は今からだ。
シャーレイがATMと格闘している間にひなたは三人分の食料をミラと共に買いに行く。ミラに荷物を持たせてしまう事に対して心が痛くなるが、今この場で幻影魔法を解除する訳にはいかないのでミラに買い物かごを任せて自分は誰も見てないのを確認して幻影魔法が不自然に発動していないかをミラに見てもらいながら商品をかごに入れていく。一応、幻影魔弾の効果は本体の動きに合わせて違和感ないように動く、という風にしているがやはり人前で使うのは初めてなので結構冷や汗ダラダラだ。
ミラに買い物かごに商品を入れる仕草は特に不自然じゃないと言ってもらい、ホッとしながらレジの前へ向かいかごをミラから受け取ってレジの前に置く。
「あ、あと……あー、百十番を五つ」
「では年齢確認のご協力をお願いします」
お決まりの台詞と共にレジの画面が切り替わる。貴方は二十歳以上ですか云々と書かれているが、ひなたは迷わず画面のボタンをタッチ。そして無事に煙草の購入に成功した。
店員が袋の中に煙草を入れている所を見ながら一息吐き、袋の回収をミラに任せてひなたはシャーレイの様子を見に行くことにした。シャーレイはどうにか金を下ろせたようで金とカードを片手に胸を撫で下ろしていた。
「シャーレイ。出来た?」
「わっ!? び、びっくりした……」
そのびっくりした、というのはいきなり声をかけられた事に対してなのか今のひなたの姿に慣れていないからなのか。どちらにしろ触られたら色々とマズいので触られなかっただけよかった。
「で、どう? 覚えれた?」
「うん、大体は。結構簡単なんだね」
「まぁ、指示通りにしたらいいだけだしね。じゃ、ミラが袋受け取ってくるまで待とうか」
ひなたとシャーレイが並んで歩く。シャーレイは今のひなたの姿に慣れていないのか何度もひなたの方を見ていたが、それを気にせずに丁度袋を受け取ったばかりのミラと合流する。どうやらあちらも難なく終わったらしい。まぁ、ここらへんで何か問題があったらそれこそこれから先不安しか残らないので少しホッとした。
片手だけにいくつかビニール袋を持ち少しバランスを崩しかけている彼女を見てすぐに袋を一つひったくる。
「あっ」
「少し重かった?」
「……ちょっと袋が手に食い込んで痛かっただけ」
あー、とひなたは声を出して同感する。
重いものを入れた袋を持った時の袋が指や手に食い込んで発生する痛みはどうやらミラも痛いと感じるレベルだったらしい。だが、もう既に慣れたらしく、すぐにバランスよく杖を使って歩き始めた。
ひなたとミラを見て店員が少し不安そうな目を向けているが、今更なので気にしない。それに、あっちに居た頃はひなたもミラももっと重いものを持ち上げたりしていた。
そうして少し手間のかかった買い物を終えてひなたとミラは入り口付近の雑誌や漫画、それとPOSAカードを物珍しそうに眺めているシャーレイと合流する。
「何か気になるものでもあった?」
「いや、本が安いなぁって。あと、このカードは何なのかってのも……」
「そのカードは……まぁ、そのうち」
POSAカード。つまりは携帯やパソコンに金を突っ込むために使うカードだが、ひなたにとってあれはゲームの課金に使うためのカードなのであまりいい印象がない。何度あのカードを買いに走ったことか。
シャーレイもこっちで生きていくのだとしたらその内知ることになるだろう。それを大量に使うような子にはなってほしくないが。
「さて、一旦家に帰ってお昼食べようか」
「あ、その前にこの……えっと、漫画? 買ってみていい?」
「別にいいけど……渋いの選んだね……」
シャーレイが手に取ったのはひなたが生まれる前から人気な鼻が長いキャラが金を稼ぐために博打やビルとビルの間の鉄筋を渡ったりする漫画だった。どうやら、最近また一番最初からコンビニで一気に話を纏めた本を出しているらしく、シャーレイが手に取ってのはその中で一番最初の物だった。
中々渋い物を手に取るなぁ、と思いながらシャーレイに金を渡してレジへと向かわせる。
それと同時に一人の客が来店する。ふとひなたはそっちへ視線を向け、少しその客に違和感を感じた。なんだか、落ち着いていない。あっちの世界で少しは感覚が鋭利になったからこそ分かったことだが、気のせいかもしれない。そう思いながらミラの方を見ると、彼女はそっとひなたに起爆銃を抜けるように合図していた。どうやら、ミラにもあの客は怪しいと思われているらしい。と、なれば黒だろう。きっと、コンビニ強盗かなにかだ。
こんな真昼間からよくやる、と思う。いや、昼だからこそやるのか。下手したら深夜よりも若い世代が少ない昼間を狙って。
ひなたはそっと起爆銃を抜く……事はせず、そっと男の後ろを着いていく。察したミラも。
そしてシャーレイがレジで本の入った袋を受け取って男の横を通り過ぎ……ようとした時、男がシャーレイの首に手を回し、そのままシャーレイを拘束すると男はレジの店員へ向けて懐に仕舞っていたらしいナイフを向けた。と、同時にひなたが走り出した。
「おいお前! とっとと金を……」
「黙れオラァ!!」
男が何か言う前にひなたの飛び蹴りが顔に突き刺さる。そして男は吹っ飛び、ナイフがどっかへ飛んでいく。
その瞬間に男の拘束を抜け出している何気に反応速度やらが人並みを超えているシャーレイ。追撃に杖をぶん投げるミラ。倒れたところに顔に杖が突き刺さった男。
「あー、なんでいきなりトラブルに巻き込まれるんだろう」
ひなたは右手で髪の毛を握り潰すように掻き乱しながら男を何度も踏みつけてそのまま気絶までもっていく。
そしてひなたが杖を回収して。
「よし逃げよう」
「……合点承知」
「え、えぇ!?」
逃げ出すひなたとひなたよりも速く杖でシャカシャカ移動するミラ。そしてシャーレイも困惑しながらもダッシュで二人に着いていく。
明らかに面倒ごとを引き起こすというのがわかっていたための逃亡だった。絶対にこの後警察の事情徴収が待っているためそんな面倒なことに巻き込まれないように逃げ出したのだった。
が、数時間後に監視カメラの映像からミラの身元が即判明し、芋づる式で被害者のシャーレイも見つかり、ひなただけは身長が明らかに違ったためそっくりさんという事で見逃され、ミラは厳重注意、シャーレイはどういうことがあってあんなことになったのかを聞かされ、結局この日は昼に何もできなかった。
「……解せぬ」
「仕方ないね」
「もう、二人とも。明日の準備するよ?」
そしてこの世界にやって来てから三日目。ようやく三人は学校へ通うこととなった。
こんな感じでダラダラやっていきます。それと、完成し次第R-18verにひなた×ミラのIFエンドを投稿します。一応、ひなた×シャーレイよりも後味が良く……というか一番マシなエンドになると思います。真・最終魔弾を見てない方にとってはこの話が一番マシなエンドですけど
それと、最終話のIFストーリーなどは現在考えていません。IFストーリー、というかIFエンドはR-18で投稿する物で全て、と考えています
次回は三人娘の学校転入です
ちょっとこの間ノートを片手で書いてみようと思ってやってみたら凄い書きにくかったです