本当はAnotherエンド ひなた×ルナとしてR-18verに投稿する予定でしたが、酒の力を借りる事ができなかったので急遽最後を変えて全年齢版にしてこっちに投稿することにしました。
あと、流石にルナでR-18は色々とマズいかなって
ではどうぞ
ルナの体の中にいる水の魔獣。それはルナの体の中に巣食い、時が来たらルナの体を爆散させ、次の宿主へと移る。この世に存在する魔獣の中では、トップクラスに厄介であり、極悪な魔獣だった。
そして、その魔獣は宿主を守るために自身の体を構成する水を使い、宿主を守る。そんな光景を、ルナが転んだ際に見たひなたは、ふと思った。
「ねぇ。この水、全部吸い取ったらどうなるのかな?」
水は斬れない。水はルナの体の中に居て、ルナの体を常に守っている。
なら、ルナの体に針を刺して、それを迎撃してくる水を全て注射器で吸い取ってしまったらどうにかなってしまうのではないか? とひなたは提案した。
そんな馬鹿なとルナは言う。流石に無理だとミラは言う。しかし、やってみなきゃわからないとひなたがどこからか持ってきた注射器をルナに刺して。
「……ねぇ、水吸い取れたんだけど」
水は吸い取れてしまった。しかも、その水は自分の意識を持っているのか、うねうねと注射器の中でうごめいている。
その瞬間、四人が黙った。
え? こんな簡単な方法でいいの? と。対処のしようがないと思っていたこの魔獣の対処法って、こんな簡単な者でいいの? と。徐々に注射器を破壊しようと中で膨らむ魔獣を、注射器ごと魔法で凍らせたミラは、そっと自分の財布から大金を取り出し、シャーレイに手渡した。
「……えっと、シャーレイ? だっけ。この金でありったけの注射器買ってきて。大至急」
そして、ひなた&ミラ(注射器装備)VS水の魔獣という何ともシュールな戦闘が始まった。
約三時間もの長い戦闘を経て、なんとかルナの中にいる水の魔獣は全て吸いきる事が出来たが、ひなた達の足元には凍った注射器が大量に散乱していた。ずっと注射器で水を抽出していたひなたは疲労困憊。十数キロにまでなった注射器を運んできたシャーレイは現在進行形で凍った注射器に埋もれ、魔力を使いつくしたミラはうつ伏せでぶっ倒れ、何もしなかったルナは暇で寝てしまった。
そして、全部が終わってから三人は気が付いた。
適当なチューブを巨大な注射器に繋いで一気に吸い取ってしまえばこんなに疲れなくても良かったんじゃないかと。だが、そんな事は後の祭り。三人はそのまま力尽き、次の日まで気絶していたのだった。
****
そんなちょっと間抜けな事があってから早くも二年が経過した。
ひなたとシャーレイの家には流浪していたミラが二人の言葉によって住むことになり、ルナも親がいないためひなたとシャーレイ、そしてミラが引き取って育てる事になった。
そんなルナも十一歳になり、ひなたは二十二歳。ミラが二十歳でシャーレイも十六歳になった。少しだけ大人となったシャーレイと、晴れて成人になりちょっと成長した二人だが、ひなただけは二年前と変わらぬ合法ロリ状態だった。
そんなひなたはどこぞの平行世界同様、ほぼ毎晩シャーレイに抱かれ犯され、ミラも時々巻き込まれ、ルナだけは唯一汚れを知らない状態だ。ヴァルコラキとかいう輩が平穏を乱そうとかしてきた時もあったが、ルナを救ったという話を聞き、様子を見に来たイヴァンが見敵必殺で会ってから一時間ほどで殺したため特に印象には残っていない。
それ以降ひなた達は何か問題に巻き込まれるでもなく、平穏そのものの日々を過ごしていた。
そんなある日のルナ。
「じゃあひなたお姉ちゃん。遊びに行ってくるね」
「あいあい。楽しんでおいで~」
いつも通りひなたに遊びに行くと伝え、家を出ていく。
仕事の無い日は基本的に真昼間から酒を飲んでいるか煙草を吸いながら起爆銃のメンテナンスをしている。こうなったのは大体一年前からで、ミラが住ませてもらっている以上金は稼いでくると言って、時々二日三日家を空ければ一年は普通に暮らせそうな金を稼いできて、シャーレイは家事担当なので朝の早い時間帯は買い物に向かっている。
そしてひなたは何もすることがない。できないと言った方がいいか。金、家事。どっちも埋まっているためひなたは時々お小遣い稼ぎに依頼をこなすか家でボーっとしているかの二択だ。一応家主なのでローンの支払いはひなたがやっているのだが、それを差し引いてもひなたは今、暇な時間が多い。
一応、ひなたも何かやることを見つけるため家で小説を書いていたりするのだが、まだ実っていない。が、いい感じになってきているらしいので近々デビューするかもしれない。ひなたの書く、日本のような異世界の話はそこそこ人気があるようだった。
「ふっふふ~ん」
鼻歌を歌いながらルナが歩く。
二年前に命の危機を脱してから、ルナは明るくなった。母を失ったのは悲しかったが、いつまでも引き摺っていられない。折角生き残ったのだから、母の代わりに精一杯生きないと。そう、助かったその晩に決めてから、毎日を全力で楽しんでいる。
しかも、ルナは魔法の適性があった。まだ魔力は少しばかり少ないが、魔力を鍛えながら歳をとっていけば全盛期のひなた以上の魔力を得られる程度の素質があることが判明したため、今はひなたに魔弾と魔法の使い方を。ミラにも魔法と、それから剣の特訓を付けてもらっている。
ひなたは、あんな感じのニートになり、しかも弱い事には弱いが、魔弾使いの中では中堅以上には位置する程度の実力はある。そして、魔弾使いというのは魔法にも精通しているため、魔法もミラみたいな魔法剣士よりも分かりやすく教えることができる。ミラも魔法を嗜み、剣を主流としている魔法剣士だ。魔法も多少なら教えられるし、剣に関してはバッチリと教えられる。
そんな師に恵まれた彼女は恐らくこれから先、大物になるとミラは言う。イヴァンも、時々様子を見に来ては、ミラ以上になるかもな、とルナを褒めてくれている。
人生のどん底を乗り越えた彼女の今は、とても輝いていると言えた。
「ふんふふ~……あれ?」
そんな彼女が、近道にと通った路地裏で何かを見つけた。
路地裏を通ってガラの悪い男や人攫いに絡まれかけても、彼女はもういい意味でも悪い意味でも人類トップクラスの人外の一人、ミラの身内だと知られているので絡もうものなら後で死ぬよりも残酷なナニかが襲ってくるのは分かっている。だから、誰も絡みにいかない。
それ故にルナには路地裏で見つけたものを手に取ってみてしまう程度の余裕があった。余裕を持っていてしまった。その落ちている物は本で。その本は、俗にいうR-18な内容を多分に含んだ物で。
「えっと……わっ、こ、これ……」
丁度性的な事に興味を持ったルナにとっては大分危ない物で。しかも、その内容はノーマルなものではなくちょっとアブノーマルで。同性愛についてが書かれていて。
ついでに言えばそれがGL。ガールズラブに関しての濃厚な物が書いてあって。
「……こ、これ、ひなたお姉ちゃんとシャーレイお姉ちゃんがやってる事だよね」
本来なら、こんな歳の少女が見たらショックを受けたかもしれないが、彼女は九歳の頃にひなたがシャーレイに犯されて気絶している所を見ているし、こっちに来てからも何度か夜中に起きると見てしまうときがある。最初は、シャーレイがひなたを苛めているのかと思ったが、ひなたが気持ちいいとか言っているし普段から仲もかなりいいのでそんな事はないとは思ってた。ミラも時々拉致られてきて強制的に混ぜられていたし。
だが、その行為が一体何なのかは分からなかった。唯一分かったのは、あれは大人の人しかやっちゃダメな行為だという事。ボカして聞いてみたら動揺したひなたからそうやって言われたから。
「……え、えっちな事、なんだよね」
そんなエッチな行為ではあるが、この世界においてその知識を蓄える方法はあまり多くない。
偶々そういう事を小耳に挟むことや、小説などで知るか、親から聞いてしまうか、偶々その行為をやってしまいそこから色々と知ってしまうか。シャーレイは偶々触った結果知ってしまったタイプであり、ミラは小耳に挟んでから小説を読んで知ったタイプだ。ひなたは言わずがな。
そしてルナに関しては、未だに無知。しかし、ひなたとシャーレイ、時々ミラがやっていることが今の自分には早い事だという事だけは分かっている。
「…………」
そんな未知でありながら既知であるものだから思わずルナは読み進めてしまう。
どうしてそんな物が落ちているのかは分からないが、しかし好奇心旺盛でありながら未知の解読は楽しみとも言える年頃のルナはページを捲る手が止まらない。心臓が高鳴って自分が悪い事をしているという自覚を持ちながらも、手が止められずにいる。
そんな中でふと思う。そういえばひなたと最初に会った時。彼女に対して自分が何も知らずにやったことを。
「あっ……」
あの時の彼女の様子や自分のやったことを思い返して、そして赤面する。
ひなたは、ルナの行為で。
「ん?」
そうして顔を赤くしながらも本を読み進めていく中。彼女の後ろに近寄る一人の人影。ルナはそんな陰に気が付くことができずに本を読み進める。
人影はそっとルナに近づき、そして彼女の肩に手をかける。
「何してるのさ、ルナ」
「わぁ!!?」
ルナはいきなり声をかけられ、反射的に本を閉じて自分の背中で隠しながら振り返る。
そこに立っていたのは。
「ひなたお姉ちゃん……?」
「そだよ~」
もうルナとあまり身長の変わらなくなってきた成人済みの隻腕の女性、ひなたがそこには立っていた。どうやら部屋着から適当に着替えて来ただけのようで、この二年間で伸びて、三年前、彼女がこの世界に来たばかりの時と同じように膝下を超えて足首に届く寸前の綺麗な長髪は少しボサボサで、何となくあった方が知的に見えるし小説家としてそれっぽいからと家でだけかけ始めた伊達眼鏡もそのままだ。
ルナはそんな彼女を見て、先ほどの本と自分の記憶で恥ずかしくなり顔を赤くするも、なんとか平静を装う。
「ど、どうしてここに……?」
「本屋への近道だからね~。資料集めだよ、資料集め」
どうやらルナが出てすぐに家を出たらしい。ルナは笑いながらそれを聞き、ひなたに見つからないように本を適当な場所に置いて隠した。
「そ、そうなんだ~。じゃあわたしはもう行くから!」
「あいよ。沢山遊んでおいで~」
ルナは吐き捨てるようにそう告げると、そのまま走り去っていった。それをひなたは手を振って見送り、すぐにルナが立っていた場所に立った。
そしてすぐにルナが隠した本を見つけた。生憎、目の悪さが命取りとなる事を生業としてきた彼女にとっては子供の知恵程度の隠蔽はほぼ無意味であり、彼女が何を持っていたのかは分からなかったが、何かを隠したのだけはすぐに分かった。なのでそれをサッと発見したのだが……見て若干後悔した。
「うわ……エロ本。さてはどっかの子供が買ったけど、結局恥ずかしくなってここに捨てたか隠したか」
ひなたはどうしてここにそんな本があるのかを推測しながら中を読む。
読んで、後悔した。
「……これ、ルナの教育的に大丈夫か……? いや、年齢的には別にいいんだけどさ。ボクだってそんぐらいの時には知識はあったわけだし」
これでルナが性的な事に興味を持って誰かと適当に……なんてことは無いだろうが、それでも自分たちの行為がそういう事であり、更にそういう関係だというのはバレてしまっただろう。初回はルナに思いっきりバレていた訳だし。
溜め息一つ吐き、本を放り投げてから起爆銃を抜いてジェノサイドバスターで本を塵に返す。
これはちょっと悪い予感がする、ともう一度溜め息を吐いてから彼女はルナが走っていった道を通って本屋へ資料集めに向かうのだった。
****
夜中。ひなたは寝室ではなく、あまり使っていない自室で小説を書いていた。
資料を読んで試してみたい事。書いてみたい物が増えた彼女は今日は徹夜で小説を書こうと決め、シャーレイには後で寝るからと告げ、自室で一人ペンを握っていた。
隻腕故に文字が書きにくく、更にはかなり汚い文字にはなってしまっているが、文明の利器であるタイプライターは隻腕故にペンよりもかなり遅くでしか書くことができず、パソコンなんて便利な物は存在しないため結局手書きとなるのである。
しかし、それでも今日は良い感じだった。自分の中の妄想と、現代の知識がいい感じに混ざり合ってこの世界の創作でも滅多に見ない科学だけが発展した世界でのSFファンタジーが繰り広げられている。これはもしかしたらいい作品になるんじゃないか、なんて自画自賛しながら書いていると、急にドアから音が鳴った。
誰かのノックだ。それに気が付き、ひなたはすぐに書く手を止めた。
「誰? 入っていいよ」
まさか拒むわけがない。ひなたは扉の前で立っている人を招いた。
大方、何かを相談しに来たミラか、それとも夜食でも作ってきてくれた愛しのシャーレイか。どっちかを想像しながら一人でに扉が開くのを見て、そして驚いた。
そこに立っていたのはルナだったからだ。
「ルナ……? どうしたの、こんな遅くに」
一応置いてあるソファに座るようにルナに言い渡すと、彼女はどうしてか顔を赤くしながらソファに座り、その横にひなたが座った。
「どうしたのさ。誰かと一緒に寝たいのなら寝室に行けばいいのに」
ルナは自室を貰ってそこで寝ているが、怖い夢を見たり過去の事を思い出すと時々ひなたとシャーレイの寝室か、ミラの部屋に行って一緒に寝るときがある。だから、今日も怖い夢でも見たのかと思ったのだが、それならひなたの自室には来ないはずだ。そもそもルナがひなたとシャーレイの自室に訪れる事はほぼ無いため相当珍しい。
「そ、その……」
彼女はもじもじとしながら、顔を赤くしてひなたから視線を逸らす。
何かあったのか。よく分からないが、ひなたは一応眠気覚ましに淹れておいたコーヒーを飲みながらルナが話をするのを待つ。ルナは暫くして意を決したのか顔を赤くしながらも口を開いた。
「わ、わたしに、えっちな事してほしいの!!」
「ぶっ!!?」
そしてコーヒーを吹き出した。
ルナの言葉を聞いた瞬間、ひなたはすぐに開いたままだった自室のドアを全力で閉じ、コーヒーを机の上に置いてからタオルで自分の口を拭いた。
「ル、ルナ!? 一体どうしたの!? いやホントにどうした!?」
「わ、わたし、その……今日えっちな本読んじゃって……それで、その……興味が……」
「オーケーオーケー! それは分かった! 分かったから落ち着こう!! 落ち着いてさっきの言葉を撤回して寝よう!!」
落ち着くのはお前だ、とツッコミ役が居ればきっとそう言っただろう。それぐらいにひなたは焦っていた。
眼鏡を外し、赤くなった顔を隠そうともせずにルナの肩に手を置きながら説得するひなた。しかし、ルナの意見は変わらないようだった。
「だ、だって……ひなたお姉ちゃん、いつもシャーレイお姉ちゃんやミラお姉ちゃんとえっちな事してるし……」
「そういうのは好きな人とじゃなきゃしないの! 結婚してもいいって思う人と大人になってからしか!」
子供を産んでもいいと思った人、というのも付け足そうとしたが、流石にひなたは二人の子供と言えど孕みたくなんてないのでぐっと堪えた。
だが、ひなたの言葉はそれでもちゃんとしている。娼婦やサキュバスなら考えも違ってくるのだろうが、一般的な意見としては間違ってはいない。こういうのは大人になってから結婚してもいいと思うような好きな人とするのが普通だ。だから、ひなたの言っていることはこれと言って間違ってはいない。いないのだが。
「わ、わたしはひなたお姉ちゃんの事が大好きだし……それに、シャーレイお姉ちゃんといつもしてたじゃん!」
「ぐっ!?」
大人になってから、というのを言わなければよかったと思った。
シャーレイはああ見えてもまだ十六歳。ルナと会った時は十四歳だ。ひなたがロリコンのレズという中々に業の深い大人の烙印の一つを押されるには十分な年齢だし、ルナの言う通りシャーレイは大人という歳ではない。
だがそれでも。
「ルナ。ああいうのは本当は女の子同士じゃやらないの」
「でもひなたお姉ちゃんはしてるじゃん」
「それはボクが異常だからだよ。普通、女の子は男の子が好きになるものなの」
普通なら、男は女を好きになるし、女なら男を好きになる。それとは外れる事を異常とはなるべく言いたくはなかったが、しかしルナの性癖をこの歳から歪めるなんてできるわけがなくひなたは異常という言葉を使う。
彼女が恋人として男だろうと女だろうと連れてきたとしても、認める気はある。だが、それを自分たちにぶつけてくるのは流石に考えられなかったし、受け入れるには抵抗があった。何せ、ルナはまだ十一歳。ひなたとは二倍も歳の差が存在するのだ。そんな少女を手籠めにしたなんて、流石に業が深いにもほどがあるし天国の恩人の方々に申し訳が無い。ついでに別世界で今も生きているであろう両親にも申し訳ない。
ロリコンのレズという烙印がより一層深くなってしまう。
だからこそ、今はルナを一旦拒絶する。そのためにキツイ言葉も、普段言わない言葉も言わない。そのつもり……なのだが。
「いや! わたしは本気なの!」
「本気って……でもルナはまだ若いんだし、ちゃんと考えて」
「わたしはひなたお姉ちゃんが好きなの! あの時、ボロボロでミラお姉ちゃんに狙われて、助からないって言われたのに一生懸命わたしを助けようとしてくれたひなたお姉ちゃんが!」
ルナの記憶の中にあるひなた。背中を見せ、体も心もボロボロになっても、しかし最後まで一切諦めようとしなかった。そして、ミラとイヴァンという人外二人に狙われても自分の身よりルナの身の心配をして立ちはだかったひなた。当時の彼女の背中は今でもルナの脳裏に焼き付いているし、明らかに面倒の塊で会ったルナに対して辛そうな顔を見せなかった彼女は、ルナの心の中に火を付けるための着火剤としては十分な物だった。
こんな世界だからこそ、彼女の行動はどんな男よりもカッコよく、そして強く見えた。それをあの本を読んでから友達と遊ぶ間に自覚し、そして今のルナの行動に結びつけた。
「そ、んなこと言われても……」
だが、ひなたはシャーレイが好きだ。シャーレイに惚れている。
恋人、と呼べるのかは分からないがそれを証明するような行為はしているし、シャーレイもひなたが好きでそういう事をしている。告白と呼べる告白はしていないが、それでも実質恋人のような関係になっているのは事実だ。もしも同性婚ができるのなら、流れでしてしまう程度には二人の関係は深い。
だからこそ、ルナの言葉を素直に受け取れない。ルナを無理矢理突っぱねるか受け止めるか。その二択しかひなたにはない。
「ボクは……そんな、ルナに好きになってもらうような人間じゃ……」
「むぅ! えい!!」
「あだっ!?」
そんな二択の中、どちらかを決めあぐねる中、ルナは煮え切らないひなたに飛びかかり、そのままひなたを押し倒した。身長が同程度な二人だからこそ成立した押し倒し。急に押し倒されたひなたはそこまで積極的な行動に出たルナに驚き、ルナはひなたを押し倒してしっかりとひなたの手を押さえつけた。
「嫌でも無理にしちゃうもん。いつもひなたお姉ちゃんってこうやってシャーレイお姉ちゃんに押さえつけられてるし。ひなたお姉ちゃんが嫌でも無理矢理しちゃうもん!!」
「いやいや……まずルナには無理だよ。ほら」
「あっ」
だが、押し倒されたところで歳は二倍近く離れた子供と大人。それにひなただって鍛えているのだから子供のルナに手を押さえつけられても簡単に動かすことができた。例えこのままどこかを触られても適当に起き上がってルナから離れる事は可能だ。
故にひなたはこの状況には特に動じない。しかし、同時に困っている。
ここまで本気だとは思わなかった。この表情は、確かに一時の感情や何かで作れるような物じゃない。きっと、本気で自分の事を好いているのだと分かってしまう。
「はぁ……ルナ、落ち着こう? ルナは焦りすぎてるよ」
ひなたはそっとルナの頭に手をやって、自分の薄い胸板の上に彼女の頭を乗せてからゆっくりと彼女の頭を撫でる。
「どっちにしろ、こういう事はルナには早いよ」
「……でも、わたし、ひなたお姉ちゃんの事が好きだし」
ルナの言葉をだから、の一言で遮り、そして上半身を起こす。
そのままそっと首を動かしてルナの唇に唇を合わせた。ただそれだけの軽いキス。
「今はこれで我慢して、ね?」
ひなたの取った行動は、先延ばし。
一時の感情で決めるのではなく、ルナの決意を今は水に流して時間が経ってから。それを笑顔で告げる。
「へ? え、あ……う、うん」
そしてルナもキスに流されてそのままひなたの言葉に同意してしまう。同意してすぐに、キスされたのだと自覚して顔を真っ赤にしてひなたの胸板に顔をうずめた。
どうしてこうなったんだろう。ひなたはそう思いながら天井を仰ぎ、自分の胸を弄ろうとそっと手を動かし始めたルナの頭に手刀を落とした。果たしてこの選択は良い事だったのか悪い事だったのか。
きっと、十一歳の女の子にキスをしてそれっぽい事を言ってしまった時点でギルティなのだろうと、ひなたは一応自覚していた。
****
それからというもの。
「ひなたお姉ちゃん、行ってくるね!」
「あいあい。気を付けるんだよ」
ルナはあの時のようにひなたに迫ることはなくなった。
ただ、ちょっと困ったことが起きた。
「……ひなたお姉ちゃん、いつものしてよ」
「うっ……わ、わかったよ」
どこかへ出かけるときはいつもひなたにキスを迫るようになったことだ。一度拒否したらわんわん泣かれてしまったせいでもう断るにも断れなくなってしまった。
仕方なく彼女にキスをすると、彼女はいい笑顔でそのまま外へ出ていく。それを手を振って見送り、天井を見上げる。
どうしてこうなったと。そしてやっちまったと。そう思いながら。
「これはどういう事かな、ひなたちゃん?」
「……説明してもらおうかな、ロリコンさん」
そして後ろからいい笑顔で自分の肩に手を置いてきた二人にはどうやって説明すべきか。
少なくとも、いずれ大きな選択を迫られることになるのは目に見えているので、ひなたは過去の自分の行為を若干悔い、そしてルナの告白を突っぱねなかった自分を恨むのだった。
という事で実質ルナ√な話でした。それもこれも全部ルナの周りに頼りになる男性が居なかったのが悪いんや……
そしてひなたがこの先どんな選択を取るかは……みなさんのご想像にお任せします。シャーレイ一筋で行くのか、浮気してミラに行くのか、落とされてルナに行くのか、シャーレイにIFエンドみたいな事されるのかミラにIFエンドみたいな事されるのか。
さて、これで大体のキャラのIFエンドが終わったわけですが。本編のヴァルコラキ戦後から派生するAnotherエンドを考え中ではあります。自分が今平行して連載している溶けゆく雪となって、のキャラを出す事にはなりますがハッピーエンドな話を一応は構成していたのですが、流石にそれは読者の方々がついて行けない可能性があったので破棄しようかと考えています。
一応ハッピーエンドなAnotherルートを何とかして考えてはいますので、もしも構成が完了、プロットが完成したならば、投稿します。
それと、Afterに関してはちょっと続きが思いつかないというか、絶対に惰性になりそうなので、一応残してはおきますが恐らく続きは書かないかと。もしかしたら削除するかもしれません。Afterの続きを楽しみにしていた方々には本当に申し訳ございません