命蝕龍伝記   作:柴猫

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正月ボケがまだ響く…。

本編どうぞ


嵐の襲来

未知の樹海 深部

 

強大なモンスターがひしめき合うこの地域は上位ハンターですら足を踏み入れようとしない場所だ。おまけに今は嵐が吹き荒れていて、とても入ろうとする人はいないだろう。

 

そんな魔境とも化した森を歩いていたのは二人の少女だった。どちらも容姿端麗だが熟練のハンターとしての実力を持ち合わせていることは一般人ではわからないだろう。

 

歩いていた茶髪の少女、ラミスが言う。

 

「不気味な場所だねぇ。」

 

それに金髪の少女、アルアが返す。

 

「文句言わないの。あいつを狩れる絶好の機会なんだから。」

 

ラミスの冗談混じりの発言にまじめに返すアルア。

 

「……そう…だね。」

 

俯いたまま暗い声色で返すラミス。

 

「あんたがあいつを狩りたくないのは分かる。でも、あいつをほったらかして被害が出たらどうするのよ。狂竜化したモンスターが増え続けてるから早めに厄介な命蝕龍を狩る。ギルドはそう決めたんだから仕方ないわよ。」

 

「………」

 

アルアのもっともな言葉にラミスは黙って頷く。

 

「どうしても狩りたくないなら、援護に回って。私があいつを殺すから。」

 

狩るではなく殺すと言ったアルア。ラミスは黙って歩いていた。

 

 

 

 

 

 

その時だった。森の中から突然赤い影が飛び出してきた。反射的に後ろへ下がり、武器に手をかける二人。

 

 

飛び出してきた影は間違いなく命蝕龍 ディア・マガラだった。

 

「そっちから飛び出して来てくれるなんて好都合ね。」

 

背中の双剣を抜き、構えるアルア。ラミスも太刀を取りかけるがそこで気づく。

 

こちらめがけて突っ込んでくると思われたディア・マガラがすぐ隣を抜け、走り去っていったのだ。

 

「え?」

 

これは予想していなかったのかアルアが驚きの声を出す。が、すぐに武器をしまいディア・マガラを追う。

ラミスも急いで走り、アルアに追いつく。

 

「ねぇ、アルア」

 

「何?」

 

並走しながらディア・マガラを追いかける二人。

 

「ディア・マガラの様子、おかしくなかった?」

 

「どんな風に?」

 

「何か…こう…逃げてるみたいな感じで。」

 

「本当?でもそれだったら飛んで逃げればいいじゃない。」

 

「そうなんだけど…。」

 

原因がわからず悩むラミス。

走っているうちに開けた場所へ着き、ディア・マガラはそこで止まった。

 

武器を取り出し構えるアルアとラミス。

静かに獲物を睨む二人だがディア・マガラは空へ威嚇をしていた。

この期に及んで無視されるのが気に入らなかったのか、アルアが踏み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

直後、途轍もない突風が吹いた。アルアが姿勢を崩しかけ、ラミスは踏ん張るがふらつきかけている。

 

ディア・マガラが天に向かって咆哮する。気のせいかどこかおびえているようにも聞こえた。

 

そして、それに呼応するかのように嵐の空から何かが降りてきた。徐々にその姿がはっきりとしてくる。

 

紫黒色の甲殻に、二本あったであろう鮮やかな紫色の角は一本根元から折れている。

返り血に染まったような羽衣を身に纏うその姿は幼いころにあるハンターが討伐した龍にそっくりだった。

 

 

 

 

「アマツマガツチ……!??」

 

ラミスが絞り出すように出したその名。〈嵐龍〉と呼ばれる龍は高く神々しい、しかし禍々しくもある咆哮をひびかせた。

 




シャガルだと思った?
黒幕はアマツでした。予想していなかった読者もいたのではないでしょうか
次回から本格的に物語が動き始めます。乞うご期待!
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