命蝕龍伝記   作:柴猫

37 / 51
舞い開く命の花

戦闘開始から一時間後。

 

アルアは頭の中でアマツマガツチの特徴を整理していた。

 

まず、肉質変化。

大竜巻の予備動作中と怒りから我に返った時に肉質が変わるらしい。弱点が硬化し、元々固い部位が柔らかくなる。

 

次に狂竜ウイルス。

嵐や攻撃に狂竜ウイルスが付着している。が、逆に克服しさえすればいい。リルルがウチケシの実を大量に持っていたため克服は楽だ。

 

後は通常個体と変わらないのでその二つに気を付けてさえいれば問題ない。が、アルアは一瞬たりとも警戒を怠らなかった。

 

既にアマツマガツチの体にはかなりの傷が刻まれている。アルアとラミスの連続攻撃とリルルの封龍剣による攻撃がかなり効いてきているのだろう。

しかし、アマツマガツチの眼光の鋭さは変わらない。というより更に鋭くなっている。

 

ラミスが横に回り、腕の翼膜を斬りつける。アマツマガツチが尻尾で大きく前方を薙ぎ払う。ラミスはそれを見切り、斬る。そこから気刃大回転切りを放つ。尻尾に当たり、傷をつける。

 

 

 

 

 

その時、

アマツマガツチがこれまでとは違う禍々しい咆哮を響かせた。それに呼応するかのように嵐がより強く吹き荒れる。三人が仰け反り、マニーが吹き飛ぶ。

 

そして、アマツマガツチが上空に飛び上がる。こちらを狙うように見て、アマツマガツチの口に水蒸気が集まる。

 

 

 

 

アマツマガツチが水のレーザーを放った。衝撃で地面が割れ、隆起する。

リルルとマニーが隆起した地面に吹き飛ばされ宙に飛んだ。

 

「リルル!」

 

助けようと走るラミスにアマツマガツチが狙いをつける。

 

「ラミス避けて!」

 

親友に叫びかける。ラミスが咄嗟に地面を蹴り、横に飛ぶ。しかし、そう来る事を予想していたかのようにレーザーの軌道がずれラミスを直撃する。

 

「ラミス!」

 

吹き飛ぶ親友に声をかけるが返事はない。代わりにレーザーを発射するアマツマガツチの姿が見えた。

 

「………っ!」

 

回避しようとするが間に合わなかった。

レーザーがかすり、隆起した地面に真正面から吹き飛ばされた。

 

 

全身が雷に打たれたかのような衝撃と激痛が走った。立とうと足に力を入れるが、足先が僅かに動いただけだった。

 

アマツマガツチが目の前に降り立ち、アルアを見据えた。

 

そうだ。ここであきらめては駄目だ。私はもう二度とあのような惨劇を繰り返さない為にこいつに戦いを挑んだのだ。せめて、私だけは戦わなければならない。

根性と決意で何とか立ち上がり、アマツマガツチと正面から睨み合う。

既に防具はボロボロになっており、武器も片方に多くのひびが入ってしまっている。それでもアルアは睨み続けた。

 

尻尾を振り上げようとするアマツマガツチ。覚悟を決め、武器を構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、途轍もなく眩しい光が一人の少女と龍を照らした。

 

アルアは降りそそぐ光に目を凝らし、その姿を捉えた。

 

 

青と純白が混じった鱗、全身に生える花弁のような棘、鋭くかつ美しい爪を持つ翼脚、それに生える青みがかった羽毛。

 

角は一本になり開いた花のような形状になっていた。

 

 

 

青い華のような龍が、力強いかつ天使の歌声のような咆哮を響かせた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。