命蝕龍伝記   作:柴猫

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咲きほこる命華

天廻龍シャガルマガラという古龍を知っているだろうか。

 

黒蝕竜ゴア・マガラの成体である。その姿は黒蝕竜とは正反対であり、ゴア・マガラを闇とするならばシャガルマガラは光だろう。

 

 

 

 

ならば、今天に滞空するあの龍はなんなのだろうか。

 

姿は遷悠期のシャガルマガラの真・狂竜化時に似ているが、体色は薄い青色。胸部のみ他より濃い色合いをしている。花弁のように見える翼は鳥のような羽毛で形成されており、透けてしまいそうな薄い青色だ。角は咲いた一輪の青い華のようであり柔らかな青白い光を放っている。

 

その龍はこちらを睨むわけでもなくただ見つめているだけだ。

 

 

 

龍の目がこちらとあったような気がした。

 

 

 

直後、禍々しく鋭い咆哮が響いた。光が弱まり、黒い嵐が再び吹き荒れる。

 

アマツマガツチはこちらを見下ろす龍を睨みつけ、水弾を発射する。これまでより早いそれは、龍に向けて一直線に向かっていく。

 

 

が、龍が力を溜めるように身を丸くした。そして勢いよく翼を広げた。すると光が再び辺りを包み込み、水弾の威力が見る見るうちに弱まっていく。

やがて水弾は龍に届く前に水となって地面に落ちた。

龍がこちらへ迫り、着地し、アマツマガツチを見据える。

 

 

 

 

 

その姿を見て、ふと思い出した。

 

初めてあの龍と邂逅した時の目。

こちらを静かに見据えたあの目。

姿が変わっても、変わらないあの目。

 

 

「………ディア・マガラ………?」

 

意識せずに呟いたその時だった。

 

「……う…っ」

 

親友の指が少しだけ動いた。

 

「…ラミス!」

 

傷だらけの親友に駆け寄り、体を起こす。

 

「…ア……ルア………」

 

「……ラミス…」

 

少しだけ瞳が滲んだ。

 

「…アル……アさん……」

 

声が聞こえた。見るとリルルが立ち上がろうとしていた。

 

「リルル!」

 

水色の髪の少女にも駆け寄り、体を支える。

 

「あの……龍は…」

 

リルルの視線には青い華の如き龍が、黒き嵐を纏う龍と睨み合っていた。

 

「分からないけど、多分ディア・マガラだと思う。」

 

「あれが…………」

 

「ディア……マガラ…?」

 

二人とも目の前の龍へ疑問の視線を投げかける。

 

アマツマガツチが再び上空へ飛ぶ。再度レーザーを撃つ気だ。阻止しようと走ろうとするが体に激痛が走る。その間にもアマツマガツチは更に上空へ上がる。

 

 

 

 

突然アマツマガツチに火球が直撃した。その衝撃でアマツマガツチが墜落する。

 

火球を放った飛竜がこちらに降り立った。

 

「…シルス!」

 

リルルが掠れた声で叫んだ。その背にはリルルのオトモのマニーが乗っていた。恐らくシルスを呼んだのは彼だろう。

 

元ディア・マガラが翼を広げ、戦闘体制に入る。

 

「じゃあ、行くわよ!」

 

「「「おう!」」ニャ!」

 

シルスが咆哮し、白い龍が咆哮した。

 

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