命蝕龍伝記   作:柴猫

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この世界の事

〈狂嵐龍異変のすべて〉という題名の厚い本を閉じ、壁に立てかけてある防具と双剣を見つめた。

 

 

天空山のふもとで発見された命蕾龍の脱皮した鱗や甲殻を、黒蝕竜の素材をベースに作ったディアリフシリーズと、双剣ライフofクロウだ。あのアマツマガツチを討伐したとして渡されたもので、何やら攻撃するたびにモンスターの体力を毒や爆破とは違う方法で削るらしい。

 

 

しばらく思い出に浸ると椅子から立ち上がり、自宅のドアを開ける。

清々しいそよ風が草原の草花を揺らし、アルアの頬を撫でる。

 

この草原は元々アルアが暮らしていた村だった所で、今は村の残骸は何一つないが野原を走っていた時に感じる風は変わらない。

 

 

 

 

あの事変が起きてから20年の月日がたった。

被害を受けた街は復興し、狂竜ウイルスの研究も進んだ。

アルアはギルドの幹部を辞め、ここでハンター生活を続けている。といってもたまに集会所に足を運ぶ程度だが。

ラミスはあの事変を境にハンターを引退し、今は剣道道場を開いている。時々会いに行くがてら弟子の修行見学をするが、皆かなりの腕でハンターでも十分やっていける腕だ。

リルルもラミスと同時期にハンターを引退、とある村でライダーというものをやっているらしい。かなり離れているため文通でしか向こうの状況を知れないが、シルスとマニーも元気にやっているらしい。

 

 

あれからディア・マガラ、もといリフィア・フィアラは今どこにいるかは分からない。最後に会ったのは事変から2年がたった時だった。

未知の樹海で遭遇し、あの龍が‶あの子‶を差し出した時は心底驚いたが、‶あの子‶の目を見た時とても放ってはいけないと思い、あの龍から受け取ったのだ。

 

今は二人であの子と暮らしている。思い返すと今では立派に成長したなと感じる。同時に不安も心に浮かんでしまう。

 

私とあの子の寿命は違う。彼が亡くなる時、私は今の姿のままだろう。あの子の死をこの目で見る、いや見てしまうと思うと辛い。

だから、あの子との思い出を沢山作っていこうと思う。あの子が楽しく旅立てるように。

 

 

 

あの子が帰ってきた。こちらに手を振りながら走ってきている。

腰を上げ、手を振る。

 

 

 

 

 

 

 

 

あの子が笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この世界は広い。

だからこそ、この世界を探求する研究者、そしてハンター達が未知の地へ踏み込み新たなモンスターを発見し続けている。

しかし、人類は未だこの世界を全て知れていない。新大陸の古龍渡りの謎は解明されたが、それは小さな発見でしかなく、いずれは人々の常識と化すだろう。

 

だが、ある人はこれを喜ばしいと言う者もいる。

 

 

なぜなら、探求の炎を永劫に消す必要がないからだ。

 

さあ、未知なる場所へ行こう。

 

そこに何があるかは誰にも分からない。

 

ならば我々が知ろう。

 

未曽有の災害か、

 

新たなる発見かを。




はい、これにて命触龍伝記終了です。
今まで読んでくださった読者様方ありがとうございます。
書きたいものただ書いてるだけなのにお気に入り者数が百超えた時はホントにびっくりしました。
今後は書き直しとかやって、落ち着いたころに続きを出そうと考えています。

それではこれまで見て下さった読者様方ありがとうございます。

ではまたいつか!
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