夢で、忘れた頃に   作:咲き人

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11.「また、平穏な頃に」

皆さんおはようございます(執筆時23時だけど)。今、俺氏は人里にいます。一昨日に話した慧音から何か情報を得たいなぁ……という、希望をしつつ、本命は紅魔館への訪問の二本でお送りします。

 

一昨日のうちにたくさん買い物をしたので本日は特に買いたい物はないかな、とお店を流し見しつつ、寺子屋に移動する。

 

「「「先生さようならー!」」」

 

数人の児童が寺子屋から出て来て中にいるのだろう先生に向かって挨拶をしてそれぞれ解散していく。ふむ、小学校の児童たちの光景がこれと同じように見えてくる。ふむ、微笑ましい光景なんだが、今俺が元の体だったら完全に不審者扱いされていたと思ってしまう。

 

「あ!化け物だ!逃げろー!」

 

俺(博麗霊夢)を指さして一人の子供が一目散に逃げ出す。それに釣られて他の児童たちも逃げていってしまった。

 

「ふ、化け物扱いか……」

 

勿論良い気はしない。マゾ+ショタコンorロリコンの人しか今のに快感を覚える人はいないだろう。この変態が!

だが、ある程度的を得ている話だ。博麗の巫女は人の世を離れ、人の世を救う……あんな場所に神社がある理由の一つはそれだろう。更に一歩でも間違えれば本物の化け物になりそうなほどの実力者でもある。そりゃ、非力な人間からすれば強者のすることは全て規模が理不尽に見えるし、それに自分たちも巻き込まれてしまうかもと恐れるだろう。

 

中からこちらを見てくる人物がいた。恐らく先程子供たちに挨拶をされていた先生だろう。よく見たら一昨日、寺子屋に来たときにいた先生だ。今日はあの時のような優しい顔はどこへやら……凄く不機嫌そうな顔をしている。周りの人達もこちらを見てくる。なんだ?皆、霊夢を化け物扱いですか。それとも早苗たちの影響か……まぁ、どうでもいい。俺はここで事実さえ知れればそれでいいんだからな……皆水の民なんて知らないだろうから今のネタ誰も知らないだろうなな。あ、心の声です。因みにCVは櫻井孝○

 

「慧音はいるかしら?」

 

「……今、休憩中だそうです。呼びに行きましょうか」

 

「あんたさっきまで授業してたんでしょ。私一人で充分だから休んどけば」

 

ぶっきらぼうにこちらにハイライトのない目で見ながら話してくる。ま、入らぬ心配だな。どいつもこいつも嫌な目をするしか出来ない。強者に対して弱者が出来ることと言えば一致団結するか、影で悪口を言うことしかできない。

 

「おお、霊夢か。すまないな、皆気が立っていて」

 

職員室……ではないな。慧音個人の部屋か。中々の広さで、盗み聞きはしづらい場所だ。慧音にいきなり謝られたのには少しびっくりしたが、まぁ、ハートはダイヤモンドなので大丈夫です。ダイヤモンドは砕けない。

 

「早苗を懲らしめた結果かなぁ」

 

「さぁ、それは分からない。だが、『世代交代』だと他の人は言っていた」

 

世代交代……うーん、霊夢と早苗はほぼ同い年だと思うんだけどなぁ。確かに外の世界でもよくある上位互換と常識への浸透化の賜物のお陰で我々は日々の暮らしが良くなって来ている。それが幻想郷でも起きるのは当然だ。同じ日本人ばかりだし、幕末からの西洋化なんて凄いことだったはずだ。そりゃ、そういう観点から物事を見れば確かに「博麗の巫女」や「博麗神社」は古いものだ。新システムである「現人神な巫女」と「守矢神社」は未来型にも見えてくるだろう。だからそれを賛同しているからと言って、「あの目」で見てくるか。子供に人を指さし、「化け物!」と言わせるか。いい大人が情けないことばかりしている。

 

「すまない、子供たちには後で言い付けておくから」

 

「そこまでしなくていいって。人は流れるもの……時代にも他人にも他の生き物にも誰にだって流されてしまう……簡単な生き物じゃない?」

 

「そ、そこまで言うか。まぁ、確かに……私も『人』というものは少しだけだが知っていると自負しているつもりだ。人とはその場の意見によって味方を作り、数で……大で小を殺す生き物だ」

 

大で小を殺す生き物……成程、評論文を書くのに向いてるよ慧音さん。

 

「まぁ、人の定義なんて今はどうでもいいのよ。議論している暇はないわ、どうだった?なんか事件はあったかしら?」

 

「ああ、五日ほど前に妖怪たちが人里の近くをうろついていたという情報があった。事件というほどのものではないが、何かを企んでいるのかも……とな」

 

事件発生の二日前……「人里の近くにいた」という噂があったってことは事件現場の近くにもいたということ。たった二日で霊夢を陥れる作戦があったかというのは疑わしいと思うが、五日前以降からも作戦を練っていたと考えるのが定石。そして作戦決行の日に近づいたために下見に来た……こういう推理で間違いはないだろう。

その目撃された妖怪たちが霊夢や俺を襲った犯人ならな。普通、事件を起こそうと考えている場所を下見するのならばれないようにコソコソとやるものだ。人里の近くなら尚更だ。しかも、俺や魔理沙の推測だと犯人、またはそれの協力者は変装・変身能力を持っている。人間に変装か変身すればバレる心配をしなくていい。

 

「成程ね。一応用心しておくに越したことはないわね」

 

「そうだな。ああ、それ以外にも妖怪絡みの事件が……って、お前も少しは知っていることだが、守矢神社の巫女が布教活動を始めてから妖怪たちがウロチョロするようになった。勿論、人里へ侵入することはないが安心して外に出られなくなっている人が多くなっている」

 

「……早苗の影響で妖怪たちも彼女たちを信仰しているとは聞いたけど、人里の近くまで来てるって?穏やかじゃなさそうね」

 

早苗……昨日の朝宣言した謝罪はどこへやら……君、とんでもないことやってくれましたね。これはもう……早苗には妖怪を退治する悦びを知ってもらうしかないな。何とかラバーズなんだ!

 

「私が聞いたのはそれだけだ。傷は結局大丈夫なのか?その……河童に付けてもらった腕は?」

 

「まぁね。でも、気にしなくていいわよ。これから永遠亭に行くつもりだから」

 

「それなら妹紅のところを訪ねるといい。きっと案内してくれるぞ」

 

誰だろう?妹紅?妹さんですか。でも、ここで「妹紅?」と聞き返すのはナンセンスだ。妹紅の現在地が分からないとドストレートに言ってしまった方がいいだろう。きっと妹紅はそこまで霊夢の友人という感じではなさそうだし。

 

「妹紅か……いや、でも家知らないし」

 

「そう言えば霊夢は妹紅が普段どこにいるか知らないんだったな。竹林の中の筍を取っている時間だろうから、そういうのが目印になると思うぞ」

 

すんげえアバウトなんですけど。まぁ、確かに筍が引っこ抜かれた後があったら分かりやすいし、探しやすいかもしれないな。うむ、そうと分かれば、いざさらば。

 

「結構いい話を聞けて良かったわ」

 

「ああ、他の人たちのことは気にしないでくれてありがとう」

 

「いいっていいって!人は言語を理解できても、言動やその意味を理解出来ないことが多いの。私は理解しないわ。だって、無意味ですもの……あ、でも最後に私が病気でこうなっていること秘密にしておいてね」

 

ちょっとウインクして左腕を見せながら慧音の部屋を後にする。結構悪役っぽかったかもしれないな今の俺氏。いや、悪い笑みが零れそうなのを堪えるので精一杯だ。だって、態々信頼できそうな相手に対して嘘をついてしまうほどの悪人だ。あくまで「信頼できそう」ってだけなんだから警戒するに越したことはないけど……

こんな実証がある。日本人犯罪者への尋問による自白率は世界でもトップクラスなのだそうだ。それは警察側の尋問には才があるから……というわけではなく、日本人犯罪者は口を滑らせやすいということだ。日本人そのものは自分だけが知っていることを口に出してしまう傾向がある。これは独り言という部類ではなく、他人へ教えてしまう。教えたくなってしまうというものだ。つまりだ。日本人は一人で解決できる問題……いや、己でしか解決できない問題を他人に提示し、他人に話してはいけないことを言ってしまうという外国人から見れば愚かにも愚かな欲求がある。

 

「……」

 

今、こちらを見ている人間たちもそういうことだ。言わなくていいことその人に対する悪口を他人その人に話してしまう。ボソッと、小声で俺に聞こえるか聞こえないかの瀬戸際辺りで

 

「消えろ化け物」

 

ふ、あはははは!面白おかしいとはまさにこのことだ。霊夢を化け物扱いにするのを俺が許すと思うか?勿論、許さない。今、発言した奴の顔は認識した。きっと一生忘れないぞ……ぶっ殺してやる……ぶっ殺してやるからな!お前!(テニスで)

 

「化け物」

 

「化け物」

 

ほらこれだ。単純に進化しただけの猿に成り下がっているじゃないか。旧人辺りが妥当か……その程度の知能レベルでの罵倒……ふむ、下らんし、相手にしているだけ無駄だな。永遠亭に急ごう……あ、紫からもう一冊ノートを借りれば良かった。ひらがなで「ふくしゅうちょう」って書いてある奴。書くとそれが現実になるやつだともっといい。完全に○来○記だけど。

 

「竹林……こりゃやばい量だな」

 

目にいいはずの緑色ですら気持ち悪く感じてしまうほど鬱蒼とした竹・竹・竹……正面や上を向いても目がチカチカする。ああ、さっきのイライラと今のチカチカの奴で忘れそうになったが、筍が目印なんだった。前を向こうが上を見ようが筍はないな。

 

「筍…筍……どこかに一本だけ光輝く竹があったりしないか……はあああ!」

 

あった……!マジであった!ピカピカ光ってる竹一つありけり!翁じゃないけど中身は見たい。斧がない……が、俺には針がある。刺突武器だが、横に抉るぐらいはできる。俺は中身を一人の女性だと思いながらその竹へと歩み寄る。

 

「ん!?」

 

ずり落ちるように一瞬で地面が消えた。一気にネットは取れる。落とし穴だ。煙と埃が舞い上がる。そこにしめしめと一匹の兎耳の薄いピンク色のワンピースを着た少女が悪そうな顔で近くの竹林から出てきた。

 

「ウシシシ!あの巫女が引っ掛かったウサ!ばーか!ばーか!金目のものがあるとでも思ったか!」

 

「どうりで幼稚な罠なわけね」

 

「へ?」

 

ゴゴゴと音がどこからか鳴りながら指をポキポキと鳴らす博麗の巫女。冷や汗が止まらない兎っ娘。すぐ「ギャー!」という悲鳴が聞こえたのは想像に難くないだろう。

 

 

 

「今日は兎鍋かしらね」

 

「ま、待つウサ!取り引きしようじゃないか」

 

「無償でしょ?当然よね(ニコッ)」

 

「は、はいィィ!」

 

兎ッ娘を代わりに案内役にすることに成功した。さっきの落とし穴に引っ掛かったんじゃないかって?いや、空飛べるもん俺……重力を利用した罠なんて通用しませんよ。ええ、引っ掛かった方が面白かったかもね!(逆ギレ)

 

「妹紅に案内してもらおうと思ってたけど手間が省けたわ」

 

「あの人なら今、永遠亭にいるウサ。私がいて良かったね!」

 

「いや、そんなに?」

 

兎ッ娘は黙る。いや、正確には「覚えとけよ」と小声でブツブツ言っていた。お馬鹿め、丸聞こえだ。しかし、空から見た時よりも広いように感じるなこの竹林。まさか、空間に異常でも起きているのか?

 

 

 

 

 

「ほ、ほら着いたウサ。目的は叶えたからもう離してウサ!」

 

「ああ、確かに。ほれ」

 

遠いところ目がけてポーイとぶん投げる。また戻ってきてイタズラされても困るだけだからな。絶対許さないからなーと言われても……うん。まぁ、そうだよねとしか返事できん。

 

「あ、霊夢じゃない!どうしたの?」

 

永遠亭の入り口からもう一人兎耳の今度は高校の制服に似た服を着た子が出迎えてくれた。偶然居合わせたともいうが……実際豊満なバストであった。お客様の中にニンジャ視力を持ってる人はいませんかー!

 

「ちょ、ちょっと用事があってね。中に入っていいかしら?」

 

「いいわよ、師匠も暇してるし……ねぇ、さっき『てゐ』の声が聞こえた気がするんだけど……」

 

「し~らない!お邪魔しまーす」

 

てゐね、覚えた。今度やってきたら叱ろう。そして、このJK兎ッ娘には師匠がいる。この三人はほぼ確実に霊夢の知り合いだろう。どこまで誤魔化せるか……後、妹紅っていう人もいるのか……別の意味で修羅場の予感。

 

「あら、意外と人いるのね」

 

こんな辺境のような場所にみたいなニュアンスを含んでしまったが、実際それに近い印象を受けた。案内が必要な程には、博麗神社よりも辿り着くことは困難な場所にこんなにも人が……妹紅さんって結構仕事大変なんじゃ?そういえば紫が俺の左腕の怪我を治すためにまずおすすめしたのが永遠亭だもんな。それほど腕が立つ医者がいて、かつ人間にフレンドリー(こんなに人がいるということは人気ということだし)。てか、これだけいるのに暇という部類に入るのかウサJK……っていなくなってた。

 

「おやおや、巫女様ではないですか」

 

「ん?」

 

突然呼び掛けられたのでそっちの方を見ると杖を支えにゆっくり歩くお爺さんが。翁?いやいや……

 

「巫女様も八意先生のところを訪れるとは……大丈夫ですかな?巫女様は儂らの安全を保証してくれる味方。病にかかってしまったら大変じゃ」

 

「あら、心配してくれてるの?でも、大丈夫よ。あなた達に迷惑をかけるほど私は柔じゃないから」

 

結構意外だ。霊夢を巫女様と呼び、気までかけてくれる人がいるとは。いや、早苗たちの布教活動で影響を受けたのはあくまで若者ばかりということか。それか、頼るものを見失った人ぐらいだろう。聞いたか早苗。これが信頼というものだ。

 

「最近の馬鹿者どもは新しい巫女が博麗の巫女様に代わる……いや、それ以上のものだと抜かしおる」

 

ぬかしおるww

 

「儂らがどれほど長き間、博麗の巫女様に守られてきたものか知りもせん」

 

お爺ちゃん・お婆ちゃん特有のすぐ怒りっぽくなるやつ。待ってる人達も気を悪くしている。変な空気になってしまう。

 

「いいのよ、お爺さん。賛否両論……これが常、そして絶対な常識なんてものもないのよ。私が病にかかることもあれば、守矢の巫女が人里を守るものになることもあるでしょう。多目に見なさい」

 

「巫女様……」

 

そのお爺さんだけでなく、その場にいた人達もこちらをずっと見つめてくる。なんか、恥ずかしい。事実を述べただけなのにここまで暖かい目で見られるのは、こう……来るものがあるよね。一発ギャグでもして空気を換気したくなったが、ここでそれをすると100%凍る。

 

「次の人どうぞ」

 

「はい」

 

奥の扉が開いて女性の声がする。多分、さっきのJKの声だったかな?仕方ないからお爺さんを近くの椅子に座らせた。だって椅子余ってるのに座らないのは勿体ないでしょうが。

俺は自分の番が来るまで静かに立っていることにした。

 

 

 

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