「起きて下さい!朝ですよ!」
「あ、あと5分・・・」
「起きて下さい~!」
「あいだだだだだ!左腕!腕が!」
「わっ!わわ!すみません!」
「んで、何か言う事は?」
「すみません・・・」
俺はアイルーの作ってくれた握り飯を食べながら向かい側に座るルエラに懺悔をさせる。
どうやら早く俺の答えを聞いて街に行きたいようで、いてもたってもいられないらしい。
まだ俺は行くなんて一言も言った覚えは無いが。
「でもこの前の狩り凄かったですね、右手でライトボウガンを持ったまま指で弾いて装填するなんて、人間ですか?」
「・・・人を人外みたいに言うな、意外と傷つくぞ俺は」
軽く顔をしかめつつ言った後、汁物を啜る。
あ、旨い。
「でも目つきが違いましたよ、今とあの時では別人と言っても過言ではないくらいに」
「そりゃ、それに近いかもしれないしな」
「どういう事ですか!?」
バン!と机を叩き立ち上がるルエラ、アイルーがその音にビクリと怯えるのと見てか、ゆっくりと座り直す。
礼儀正しいのか何なのか分からないヤツだ。
「この汁物おかわり」
「はいですニャ!」
素早いステップでお椀を回収し注ぎ、盆の上に置く、中々仕事ができるスコットだ。
俺がまた汁物を口に運ぼうとするとルエラが口出しをしてくる。
「何また食事に集中し直してるんですか!」
「お代わりしちゃだめなのかよ、朝飯はしっかり食べる派なんだ」
「ぐぬぬ・・・」
「ぐぬぬじゃねぇよ」
「また薬草ニャ?フンもぶれないニャね、じゃあ埋めておくニャ」
「ああ、よろしく」
「ちっがーう!!」
ポッケ農場、毎朝食事の後はここに来るようにしているのだが、昨日はなんやかんやあって来れなかったので昨日の分も兼ねての予定なのだが
「早く村長さんの所に行ってですね!」
「俺の毎朝の日課潰されるのは御免だ」
一言でルエラを大破させ轟沈、その後はいつものようにピッケルを振り回し虫網を振り回し釣り糸を振り回しアイルーと追いかけっこをしてポッケ農場を後にした。
「フェルニアさんってかなり自由人なんですね」
「お前にだけは言われたくないな」
「今度こそ集会所に」
「おーいフェルニアくーん」
「うぐ・・・」
俺に声をかけてきたのは鍛冶屋の受付のお兄さんロイス、話すと話題が絶えず、色々と気さくな人だ。
結構俺が静か系キャラで喋らないヤツというイメージをされていたのだが、この人のおかげで村の皆が話しかけてくるようになった、恩人である。
「ロイスさんどうかしましたか?」
「聞いたよ、轟竜ティガレックスを倒したんだって?凄いじゃないか!」
ニコニコと笑顔で褒めてくれる、正直言ってこういうのは恥ずかしい。
とりあえずルエラもいましたからと彼女を指差すがルエラ自信が俺一人で倒したと広めてしまっていたようで、べた褒めされるハメになってしまった。
「それじゃあねー」
軽く会釈をしてその場を離れる、このルエラめ。
「良い人ですね」
「ああそうだな全くそうだな」
「目の先まで!今度こそ集会」
「フェルニアー!調子はどうだー!」
「またしてもっ・・・」
俺の名を呼ぶのは教官、そう教官である。
見習いにも達してない俺達を鍛えてくれた教官で、面倒見のいい人だ。
二人して成長が早いと褒められていたが実際はどうなのだろうか。
「まさかティガレックスを倒すとはな!もう立派なハンターだ!」
背中をバンバン叩いてハハハと笑う教官、俺一応怪我人なんですがそれは。
正直な話教官は俺にとってとっつきずらいタイプなんで適当に話を合わせて終わらせた。
「今度こそ集会所ですね!」
「そうだな」
中に入るとそこには村長。
何か待っていましたと思わせるほどだ。
いやもしかして本当に待ってた?
「村長さん!フェルニアさんの件なんですが・・・」
ルエラは村長に話しかけ早速俺の事を話し始める、嗚呼、俺のポッケ人生もここまでか。
「んー、その事なんじゃがの・・・」
村長はチラリと俺の左腕を見て、再び口を開く。
「こいつの腕が治ってからにしてはくれんかの?」
「勝訴」
「うぅぅぅぅううううう・・・・明日帰るってお母さんに言ったのにぃ」
「はっは、世の中は甘くないんだ」
アイルーの握り飯を食べながら勝利の甘美さを味わう。
そしてこの汁物は安定して旨い。
「それでこれからどうするんだ?俺が腕治った所を見計らってこの村に来るのか?」
俺はニヤケつつルエラにそう語りかける、これで人ごみに行かなくていいと内心思っていたのだが、一筋縄ではいかなかったようで
「分かりました」
すっとルエラは立ち上がり何かを決心したように手を握る。
その表情は真剣そのものだ、何を考えてるんだ?
「お帰りはあちらだ」
俺は右手で扉を指差す、何かを言わす前に先手を撃ったつもりだったのだが、ルエラは俺を指差し言い放った。
「ここに住み込みます。貴方の左腕になります!」