Shadow Princess   コズミックプリキュア After Story   作:k-suke

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Scene.2  疑惑の姫君

 

 

 

 

 

「ゼツボーグ!!」

 

 

巨大なパフェのようなゼツボーグが雄叫びと共に暴れており、人々は突如出現した怪物に悲鳴と共に逃げ惑っていた。

 

ロック「ふっ、さぁ行くんだね。ゼツボーグ」

 

 

その様子を見ながら、ロックは実に気分良くゼツボーグを煽っていた。

 

 

 

「やめなさい!!」

 

 

そんな中、姫と呼ぶにふさわしいドレスに身を包んだ四人の少女たちが駆けつけた。

 

 

キュア・フローラ、キュア・マーメイド、キュア・トゥインクル、キュア・スカーレット。

 

以上四人のプリキュア、プリンセスプリキュアである。

 

 

 

そんな彼女たちの姿を認めた、パフェゼツボーグはロックの命令を受けて巨大なスプーンやフォークを振り回して攻撃してきた。

 

 

 

フローラ「ハァッ!!」

 

しかし、四人はその攻撃を大きくジャンプしてかわした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カチリ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スカーレット「ん?」

 

 

 

 

 

「ゼツボーグ!!」

 

そしてパフェゼツボーグもまた、そんな彼女たちを追って大ジャンプし、空中で手にしたスプーンやフォークを鞭のように伸ばし、体を回転させて変幻自在の軌道で攻撃を仕掛けてきた。

 

 

トゥインクル・スカーレット「「うあっ!!」」

 

そんなゼツボーグの伸ばしたフォークにトゥインクルとスカーレットは絡め取られてしまい、締め上げられた。

 

 

 

フローラ「トゥインクル!!」

 

マーメイド「スカーレット!!」

 

 

着地したフローラとマーメイドは仲間の危機に思わず声を上げたが、慌てることなくクリスタルプリンセスロッドを取り出し、ドレスアップキーを差し込んだ。

 

フローラ「リリィ!!  プリキュア・リィストルビヨン!!」

 

その掛け声とともに、ロッドの先端から巨大な百合の花が出現し、風で散るかのように花びらがゼツボーグに向かって発射された。

 

 

「ゼツボーグ!!」

 

その攻撃はゼツボーグの手にした巨大スプーンに防がれてしまったが、間髪入れずマーメイドが、攻撃を繰り出した。

 

 

マーメイド「バブル!! プリキュア・バブルリップル!!」

 

ロッドの先端から放たれた大きな水の泡は、トゥインクルとスカーレットを締め上げていた巨大なフォークを固めてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カチリ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マーメイド「何?」

 

 

 

 

マーメイドの攻撃がゼツボーグに効果があったと判断したフローラは大きく飛び上がり、トゥインクルとスカーレットを締め上げていた巨大なフォークを気合を込めたパンチで破壊した。

 

 

それによりゼツボーグから解放された二人は、力を込めて拘束を弾き飛ばした。

 

 

トゥインクル・スカーレット「「〜!! ヤァッ!!」」

 

 

 

 

「ゼツボーグ!!」

 

捕まえていた二人を取り逃がしたゼツボーグは、イラついたように巨大なスプーンを一振りしてフローラを地面に向けて叩きつけた。

 

 

フローラ「キャアア!!」

 

マーメイド「フローラ!!」

 

しかしすんでのところでマーメイドに助けられ、事なきを得た。

 

 

 

トゥインクル「ほっ、よかった」

 

スカーレット「よくも!!」

 

フローラを攻撃したゼツボーグを一睨みすると、スカーレットはハナビキーを取り出しスカーレットバイオリンにセットした。

 

 

スカーレット「ハナビ!! プリキュア・スカーレットスパーク!!」

 

バイオリンの弓から吹き出した炎は一直線にゼツボーグに向かっていき、ゼツボーグの方も先ほどフローラの攻撃を防いだようにスプーンを構えた。

 

 

 

が、同じようには行かずスカーレットの攻撃は盾にしたスプーンを破壊してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カチリ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スカーレット「また!? この感覚は?」

 

 

 

 

チャンスと見たトゥインクルはプリンセスパフュームにドレスアップキーを差し込んだ。

 

 

トゥインクル「エクスチェンジ!! モードエレガント!!」

 

トゥインクルのコスチュームはかなりのボリュームがあるドレスとなり、腰に有る星形から星状の光を取り出した。

 

 

トゥインクル「キラキラ、星よ!! プリキュア・トゥインクル・ハミング!!」

 

 

そのままその星状の光を投げつけ、ゼツボーグを浄化した。

 

「ゼツボーグ…」

 

 

トゥインクル「ごきげんよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カチリ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トゥインクル「!! 今のって…」

 

 

 

 

ロック「チッ!!」

 

ゼツボーグが倒されたことに舌打ちをしながら、鍵穴のような空間を作ってロックは引き上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フローラ「やったね。トゥインクル」

 

ゼツボーグが浄化されたことを確認したフローラは、ドレスアップキーで絶望の檻に囚われた人を解放するとトゥインクルのもとに駆け寄り、にっこりと笑って褒め称えた。

 

 

 

トゥインクル「あ、うん…」

 

だが、トゥインクルは怪訝な顔をしながら辺りを見回していた。

 

 

フローラ「どうしたの?」

 

トゥインクル「いや、ね。なんか撮影の時みたいにカメラが向けられてたような感じがしてさ」

 

 

マーメイド「トゥインクルも!? 私も戦っている最中にロックとは違う視線を感じたわ」

 

スカーレット「お二人もですか? 私もですわ。まるでこちらを観察しているような…」

 

 

トゥインクル「そうそう。オーディションの時みたいに私らを値踏みしてるみたいな… 今はもう感じないけど…」

 

 

疑惑の表情を浮かべていた三人だが、フローラはキョトンとしていた。

 

フローラ「? そんなのあったかなぁ? それより早く帰らないと門限が…」

 

 

すでに陽が傾きかけており、今からでは寮の門限ギリギリだろう。

 

 

 

それに気がついた四人は変身を解除し、慌てて帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、一連の戦闘が終わったのを確認するように、近くのビルの屋上で少女が一人立ち去っていた。

 

 

「戦闘データ確認完了。あの木偶の坊程度の相手ならば、奴らの全力の20%程度を出したと見積もれるか…ならば…」

 

プラチナブロンドの髪を風になびかせて、そんなことを呟きながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私立 ノーブル学園 女子寮

 

 

 

「ふう〜っ… 間に合ったぁ〜」

 

栗色の髪をお団子ヘアーにまとめている少女 春野はるかが大きく息を吐き出しながら安心したような声を出した。

 

 

 

「やれやれね」

 

「いやぁ、ギリギリだったね〜」

 

一部を三つ編みにして垂らした青いロングヘアの少女 海藤みなみと、茶色いロングヘアーに多少つり目気味の少女 天ノ川きららもまた同じく門限に間に合ったことに安堵の表情をしていた。

 

 

「プリンセスともあろうものが、規則を破るようなことがあってはいけませんものね。よかったですわ」

 

高貴な生まれを感じさせる口調でそう呟いた、赤色の髪を縦ロールにした赤い瞳の少女 紅城トワ。

 

 

こ存じの通り、以上の四人がこの全寮制私立校のノーブル学園の生徒にして、先ほど戦っていたプリンセスプリキュアの面々である。

 

「みなさんおかえりなさい。お疲れさまです」

 

そんな四人を出迎えたおさげ髪にメガネをかけた少女。

 

はるかのルームメイトにしてプリンセスプリキュアの正体を知っている彼女の名は七瀬ゆい。

 

 

はるか「あっ、ゆいちゃん。ただいま」

 

息切れしながらも笑顔を向けたはるかだが、出迎えたゆいは少し申し訳なさそうな顔をした。

 

 

 

ゆい「あの、帰ってきて早々すみませんがちょっといいですか? パフちゃん達がずっと悩んでて…」

 

 

きらら「? パフやアロマが?」

 

 

 

小首をかしげながら、はるかとゆいの部屋に入った一同は、そこで一枚の手紙とにらめっこしている犬とインコ… パフとアロマを見つけた。

 

 

 

はるか「どうしたのアロマ? 難しい顔しちゃって」

 

みなみ「その手紙なんなのかしら?」

 

 

パフ「…プリキュアに対してのお礼の手紙パフ。 お兄ちゃんとパフ宛にプリキュアに伝えて欲しいって…」

 

 

きらら「? お礼? いったいどこから?」

 

アロマ「…パンプキン王国ロマ」

 

 

トワ「? どこですかそれは? そんな国があるのですか?」

 

みなみ「いえ、私も聞いたことが…」

 

 

 

みなみとトワの会話を聞いて、アロマはさらに不信感を強めていった。

 

アロマ「じゃあどう考えてもおかしいロマ。いったいどうなってるロマ?」

 

 

はるか「なんて書いてあるの? その手紙?」

 

ゆい「それが… 私も読ませてもらったんだけど… どうも…」

 

 

歯切れの悪い言葉に、一同の頭の上には大きなクエッションマークが浮かんでいた。

 

 

ロマ「…まぁとりあえず読むロマ。えーっと、拝啓プリキュア様。先だっては大変お世話になりました。おかげさまで母も父も以前のような優しさを取り戻し、パンプキン王国も明るさを取り戻しました」

 

 

きらら「…はい?」

 

みなみ「えっ?」

 

 

アロマ「つきましては、皆様に正式なお礼をいたしたいと思っております。お口汚しかもしれませんが、当王国自慢のパンプキンプリンをご馳走いたしますので、同封いたしました地図に記載しております店に招待状持参の上来ていただきたく存じます。敬具  パンプキン王国 王女 パンプルル」

 

 

アロマが手紙を読み終えると、一同の頭はさらに疑念が渦巻いていた。

 

 

 

トワ「…あの、私には心当たりが全くないのですが、私がみなさんと出会う前のお話なのでしょうか?」

 

きらら「…いや、うちらも全然知らないんだけど」

 

はるか「うん…」

 

 

みなみ「だとすると、他にプリキュアがいるということかしら? もしくは何かの罠…」

 

 

真剣な顔で考え込んでしまったみなみに、アロマが同封していた地図を取り出して話を続けた。

 

 

アロマ「パフュームはトワ様の4個目があっただけでも十分驚くことなのに、5個目があるとは思えないロマ。 ひとまず、招待された日は明日だから行ってみるしかないロマ」

 

 

 

みなみ「場所は… 夢ヶ浜ね。それほど遠くはなさそうだし、明日は休日… 行ってみましょうか」

 

きらら「確かに気になるしね。ゆいゆいはどうする?」

 

 

きららから話を振られたゆいだが、申し訳なさそうに頭を下げた。

 

ゆい「すいません。明日は別の用事で… 頼んでいた画材が届くらしいので受け取りに行かないと…」

 

 

トワ「そうですか… その方がいいかもしれません。何があるかわかりませんから…」

 

 

はるか「でも、この手紙… 本当にお礼を言いたいだけみたいだよ。文章も地図も手書きだし、感謝の気持ちで溢れてる気がする…」

 

 

どうにも釈然としなかった一同だが、実際に行って確認するしかないと判断したため、明日に指定された店に行くということでこの日は解散となった。

 

 

 

 

 

 

翌日 夢ヶ浜

 

 

 

手紙に同封してあった地図を頼りに、はるか達は指定された店に向かっていた。

 

 

はるか「昨日は気がつかなかったけど、この店最近有名なとこだよ。パンプキンカフェって言ってさ、一度行ってみたかったんだ〜」

 

トワ「パンプキンカフェ…かぼちゃを食べながらお茶を飲むのですか?」

 

 

相変わらずどこかずれたようなトワに呆れたようにきららが笑った。

 

 

きらら「トワっち〜… パンプキンプリンが名物なんだよ。トッピングのドーナツ楽しみ〜」

 

 

アロマ「何を食べに行くんだロマ」

 

パフ「みんな甘いもの大好きパフ」

 

 

 

みなみ「みんな、あまり浮かれちゃダメよ。何が起きるかわからないんだから気を抜かないで」

 

 

警戒心を解こうともせず真剣な顔でみなみはたしなめ、それを聞いた皆の顔には緊張が浮かんだ。

 

 

 

 

 

しかしそれもつかの間、指定された店が見えた途端みなみをはじめとして全員の顔には笑顔が浮かんだ。

 

 

「うわぁ〜♪」

 

 

遠くからでもわかる甘い匂いに、先ほどの緊張感は何処へやら皆は喜び勇んで店に向かって駆け出していった。

 

 

 

 

 

その背後に、一陣の風が通り抜けたことにも気がつかずに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パンプキンカフェ

 

 

店内には所狭しとトッピングのフルーツやドーナツの入ったショーケースが並べられ、店内の客も皆笑みを浮かべていた。

 

 

 

はるか「うわぁ〜 美味しそう♪」

 

オープンカフェでプリンを食べている人を見て、はるかは今にもよだれを垂らしそうだった。

 

 

みなみ「はるか、はしたないわよ。えーっと… あっ、すみません」

 

 

辺りを見回し、店員らしき人を見つけたみなみは送られてきた招待状を見せて尋ねた。

 

 

みなみ「私たち招待状を受け取っているのですが、どなたか話のわかる方は…」

 

 

差し出された招待状を見た店員は、にっこりと笑って案内を始めた。

 

店員「はい、承っております。VIPルームへどうぞ」

 

 

はるか「えっ!?」

 

きらら「VIPルーム!?」

 

 

 

 

 

わけもわからぬまま店員に通された、いかにも王族の応接間というような豪勢な作りの部屋に、はるかは落ち着かないようにキョロキョロしていた。

 

 

はるか「ふぁ〜あ… す、すごいところ。こ、こんな服でよかったのかな?」

 

 

まさかこんな部屋に案内されるとは夢にも思わず、普段着に毛の生えたような服を着ていたため、はるかは完全に挙動不審に陥っていた。

 

 

 

 

 

みなみ「落ち着きなさい、はるか。キョロキョロしたのでは不謹慎よ」

 

トワ「そうですわ。プリンセスたるもの、この程度でうろたえるわけには参りません」

 

だが慣れているのか、みなみとトワは落ち着き払った様子で椅子に腰掛けていた。

 

きらら「さすがだね〜。みなみんもトワっちも…」

 

そういうきららも、いつものペースを崩さないところを見ると思ったより動揺していなかったのかもしれない。

 

 

はるか「う〜すごいなぁみんな… ねぇ、アロマ… あれ? パフとアロマは?」

 

少しは気を紛らそうとアロマに話しかけたはるかだが、アロマもパフも姿が見えないことに気がつき、辺りを見回した。

 

 

きらら「ん? そういえば…」

 

みなみ「さっきから姿が…」

 

 

 

 

皆でキョロキョロとアロマたちを探していると、奥の扉が開き、オレンジ色のパンプキンをモチーフにしたドレスに大きいパンプキン型のスカートを着用した少女が優雅に姿を現した。

 

 

「プリンセスの皆様、ようこそお越しくださいましてありがとうございます」

 

 

みなみ「あなたがパンプルルさんかしら?」

 

パンプルル「はい。先だっては大変お世話になりまし… あら?」

 

 

ゆっくりと顔を上げたパンプルルだったが、ふと疑問の声を上げた。

 

 

パンプルル「あの… ゆう様はどちらでしょうか?」

 

きらら「ゆう… って、ゆいゆいのこと? ちょっと今日は用事があって…」

 

 

その言葉を聞いたパンプルルは露骨に残念そうな顔をした。

 

 

 

パンプルル「そうですか… 是非ともゆう様には来ていただきたかったのですが…」

 

 

はるか「? ねぇ、ゆいちゃんが何をしたの? 大変お世話になったって手紙に書いてあったけど…」

 

はるかの質問にパンプルルは目を輝かせた。

 

パンプルル「はい。おかげでパンプキン王国も以前のような… いえ、以前よりももっと暖かく明るい国となりました。父も母もそして私も一番大切なものが家族なのだと改めて理解することができました。 あの方にはどれほど感謝してもしきれないほどです」

 

 

大切な思い出を語るように、胸に手を当てながら話をしたパンプルルだったが、みなみとトワの疑念は膨れあがっていった。

 

みなみ「…どうも話がわからないわ。 プリキュアでもないのに、ゆいがそれほどの事ができるとは… パンプルルさん、あなた誰かと勘違いしてないかしら」

 

トワ「…申しわけありませんが、その方のお名前をお聞かせ願えませんか?

七瀬ゆい… で間違い無いのでしょうか?」

 

 

 

その質問にパンプルルは目をパチパチとさせた。

 

パンプルル「? いえ? 四季ゆう様です。れっきとしたプリキュアだったのですが…?」

 

 

その名前を聞いて、はるか達は顔を見合わせた。

 

 

トワ「…四季ゆう。みなさんご存知ですか?」

 

きらら「ううん。はるはるやみなみんは?」

 

みなみ「いえ、私も…」

 

はるか「別のプリキュアってこと? アロマは何か知ってるかな… どこ行っちゃったんだろう?」

 

首を傾げている中、猛烈なスピードでアロマが飛び込んできた。

 

 

アロマ「た、大変ロマー!!」

 

 

はるか「あ、アロマ。どこ行ってたの?」

 

きらら「ちょうどいいや。ねぇ、聞きたいことがあんだけど…」

 

 

いいタイミングだと、四季ゆうという人間のことを知らないか尋ねようとしたきららだが、それどころではないとばかりにアロマが息も絶え絶えに叫んだ。

 

 

アロマ「そ、そんな場合じゃないロマ… パ、パフが…」

 

みなみ「パフがどうしたの? 一緒じゃなかったの?」

 

 

ただならぬ様子のアロマに、みなみは真剣な顔つきで尋ねた。

 

 

アロマ「攫われたロマー!!!」

 

 

はるか・きらら・みなみ・トワ「「「「えーっ!!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遡ること十数分前

 

 

 

はるか達が喜び勇んでパンプキンカフェに向かって駆け出していく様を見て、アロマは呆れたような声を出していた。

 

アロマ「全く、プリンセスともあろうものがプリンごときに心奪われるとは情けないロマ」

 

 

すると、何か風のようなものが駆け抜けていきアロマは軽く飛ばされた。

 

 

アロマ「うわっ!! ペッペッ、ひどい風ロマ。 パフは大丈夫ロマ」

 

口に入った砂埃を吐き出しつつ、パフに呼びかけたアロマだったが返事がなかった。

 

 

アロマ「パフ? どこに行ったロマ?」

 

 

キョロキョロと周りを見回すも、先ほどまでそばにいたはずのパフの姿が一瞬のうちにかき消えていた。

 

 

 

アロマ「パフ? パフー!!」

 

 

これはただ事ではないと、周囲を気にする余裕もなく大声でパフを呼び回ったアロマだったが、どこにも見当たらなかった。

 

 

アロマ「どうなってるロマ? そんなに遠くに行くはずがないロマ…」

 

 

必死にパフを探していたアロマだったが、そこにどこからともなく淡々とした声が響いてきた。

 

 

「確認する。鳥よ、この犬とお前はプリンセスプリキュアの関係者だな」

 

 

アロマ「だ、誰ロマ?」

 

その声に驚き周りを見回したが、声はすれども姿は見えず、淡々とした声だけが響いてきた。

 

 

「肯定したと判断する。伝達しろ、この犬を返して欲しくば至急夢ヶ浜公園まで来いと」

 

 

それを最後に、何度叫んでも声が聞こえてくることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アロマ「…と、いうわけだロマ」

 

アロマの話を聞き、皆は真剣な顔になった。

 

 

みなみ「私たちに伝えろと、そう言ったのね」

 

きらら「ディスダークのやつ。汚ったない真似するね」

 

吐き捨てるように言ったきららだが、アロマは首を振った。

 

 

アロマ「違う気がするロマ。大体聞いたことのない声だったロマ…」

 

きらら「なこと言ったって、他に誰がこんなことするのよ」

 

トワ「もしかしたら新しい幹部かもしれませんわ」

 

 

 

はるか「でも本当にパフがさらわれたなら、今はこんなことしてる場合じゃないよ」

 

みなみ「そうね。パンプルルさん、せっかくのお誘い、申し訳ありませんが…」

 

申し訳なさそうに詫びたみなみに、状況を理解したパンプルルも残念そうに告げた。

 

 

パンプルル「いえ、かまいません。どうかお気をつけて…」

 

 

パンプルルに見送られながら、一同はパフを救うべく夢ヶ浜公園へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢ヶ浜公園

 

 

 

〜♪〜♫〜♪〜〜♪〜♫〜♪〜♫〜♫〜♪〜♪〜♪〜

 

 

 

 

公園の広場にあるベンチに、一人の少女が腰掛け小さなハープを弾いていた。

 

プラチナブロンドのロングヘアをそよ風になびかせ、優雅という言葉がぴったりくるその姿は、一枚の絵になるほど美しいものだった。

 

事実その少女の肩には、一匹の蝶がなんの敵意も感じないように自然に止まっていた。

 

 

そんな少女の膝の上で、気絶していたパフは目を覚ました。

 

 

パフ「う〜ん… ここはどこパフ?」

 

 

「確認する。気がついたようだな」

 

聞き覚えのない淡々とした声に、自分がしゃべってしまったことに気がついたパフは真っ青になり、必死に犬の真似をしようとした。

 

 

しかしその少女は、そんなパフを微笑ましげに優しく撫でた。

 

「推奨する。案ずるな、お前がプリキュアの関係者だということは承知している。そしてお前を傷つけるつもりもない。間もなく迎えが来るはずだ」

 

 

自分のことを知っているようではあるが、まるで悪意を感じないその少女の態度にパフは警戒心を解き、ホッとしたようなため息をついた。

 

パフ(パフ〜… 全然嫌な感じがしないパフ。きっとプリキュアみたいにいい人パフ)

 

 

 

 

パフを膝の上に乗せながら少女は再び優雅にハープを弾き始め、パフもしばしその音に聞き入っていた。

 

 

パフ「冷たい感じだけど、綺麗な曲パフ。 何を思って弾いてるパフ?」

 

「回答する。特に行動をする必要がない場合に、簡易的な動作を行うためのものだ。それ以上のものはない」

 

 

パフ「パフ? それじゃいけないパフ。ちゃんと心を込めて弾くパフ。 そうすれば心に届く演奏ができるパフ」

 

以前、はるかがバイオリンを弾き始めた時のことを思い出し、受け売りながらもそう伝えたパフだったが

 

 

「拒否する。私には意味のないものだ。意味があるのは動作そのものである」

 

 

無表情に淡々と語る少女に、パフは少し悲しげな顔をした。

 

 

 

そんな中少女は演奏を止め、パフをそっと抱きかかえて立ち上がった。

 

 

「熱源確認。来たようだな、プリンセスプリキュア」

 

 

抱きかかえられたパフの目には、息を切らせて駆けつけてきたはるか達と、無表情ながらも待ち望んだ相手が来たというようにどこか嬉しそうに微笑む少女の顔が目に入った。

 

 

 

 

To be continued…

 

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