ケジメの付け方
はぁ……あの試合からあっという間に1ヶ月が経ち、ようやく試合後のごたごたが落ち着いたので今現在かほさんの出頭命令に従い西住家本家へと向かっていますが。
……聖グロリアーナ女学院の戦車道OGの方々が同窓会と称して各地で戦車道の試合を開催し、チャーチル・クロコダイルで“たまたま偶然”牟田元大臣や文科省の上層部の方達の家々やら別荘やらを焼いてしまったり。
懇意にしていた記者がどこから入手したのか、大洗廃校の裏事情を記事にして暴露してくれたお陰で私が聖人の如く持ち上げられてしまっていたり。
みほちゃん達の勧誘競争が身の危険(意味深)を感じる程激化したり。
口には出せないような出来事があったりと試合後のゴタゴタは本当に大変な事ばかりでした。
「……このまま帰っちゃダメですかね」
さて、過去に思いを馳せている間に西住家の前に到着したのですが……この立派な門が私には魔王城か何かの入り口にしか思えません。
何故なら私はこの後、島田流への移籍を仮とは言え承諾していた事についてかほさんからお叱りを受けねばならないのですから。
……うん。少し周りを散歩して心を落ち着けてからまた来ま――
「ようこそいらっしゃいました。辻様。かほ様がお待ちです。どうぞ中へ」
「……」
菊代さん。貴女はエスパーか何かですか?
「さて、早速だけれど私に黙って島田流への移籍を賭けていた事について何か申し開きはあるかしら?」
「……いえ、ありません」
かほさんが住まう西住家の離れの広間に通され、断罪の時を待つ罪人のようにかほさんの前で正座している訳ですが。
……かほさんの笑みが恐いです。抵抗する術を持たずただ震えるしかない無力な獲物をどう嬲ってやろうかという獰猛なその笑みが恐いです。
「そう。申し開きは無い。つまり……覚悟はもう出来ているという事でいいのかしら?」
「はい。どのような罰でも謹んでお受け致します」
しかし、どんな処罰を言い渡されるんでしょうかね。
……小刀を渡されて腹を切れとか言われなければいいんですけど。
「はぁ……全く。貴方ときたらいつもそう。少しくらい言い訳をしたらどうなの?これじゃあちっとも苛め甲斐がないじゃない」
「そ、そう言われましても……」
やっぱり苛める気だったんですね……。
「ま、いいわ。今回の件はおとがめ無しよ」
「え?」
「だって、みほの為に動いていた貴方を罰したんじゃ可愛い孫に嫌われてしまうもの。それに色々と面白いモノを見せてもらったし今回は特別に許してあげるわ」
「……」
これは……夢ですか?いや、一度安心させておいてから地獄へ突き落とすつもりですね!?
「あら。鳩が戦車砲食らったような顔してるわよ。そんなに意外かしら?」
「恐れながら」
あれ?もしかして本当に助かりましたかこれ?
「貴方は私をなんだと思っているの?でも、まぁ……無罪放免とはいえ何事にも“ケジメ”を付ける事は必要よね?」
やっぱりそうなるんですか!?
……はぁ、一体どんなケジメを付けさせられるんでしょうか。