うーん。ロケット弾による開幕直後の砲撃によって切れてしまった左右の履帯を常夫に20分という短時間で繋ぎ直してもらってから大急ぎで市街地へと向かっているのですが……間に合いますかね?
「イテッ!?おいおい、もう少し安全運転で頼む。車体が跳ねた勢いで頭を打ったぞ」
「時間が無いんですから無理ですよ、それにもう少しで市街地なんですから我慢して下さ――おぅ……」
「うん?どうしたんだ?今度は急に止まったりして」
「……12時方向、距離3000」
「前?……あちゃー」
これは少々厄介な状況です。よりにもよって市街地の前に広がるだだっ広い平原で5輌の戦車に捕捉されてしまいました。
『コーチ発見!!私達が一番乗りよ!!』
『絶好のチャンス!!』
『ここで確実に撃破してやるわ!!』
『本当に居た……何で辻さんがここに居るって分かったの?ミカ』
『フフッ、風が教えてくれたのさ』
5輌の内訳は大学選抜代表のセンチュリオンが3輌と継続高校代表のBT-42とBT-5の2輌。
つまりアズミ君、メグミ君、ルミ君、ミカ君に見付かってしまいました。
「もう見付かったか……この辺りに隠れられる場所なんか無いけど、どうするんだ?」
「どうもこうも……立ち塞がるというのであれば排除するしかないでしょう。西住流に退くという文字は無いんですし」
というか、ここで退いたりなんかしたらかほさんとしほさんに何をされるか(ガクブル)
「それもそうか。あ、やるのは構わないが出来るだけ安全運転で頼む。特にお前の得意な無幻機動はくれぐれも勘弁してくれ。やったら吐くからな」
「分かっていますよ」
さてさて、それでは予定を変更して一戦交えましょうかね。
……それはそうとこの場に居ない愛里寿君や継続高校の他の2輌――T-34/76やティーガーIIは今頃何をしているんでしょう?
「なぁ、そう言えば1つ気になる事があるんだが」
「何ですか?」
「市街地を挟んだ向こうの方から撃ち合っているような砲声が聞こえないか?」
「……」
空耳だと思いたかったのですが常夫も聞こえているとなるとこれは……。
『ここは通さない。勝つのは私達』
『強豪校の足止めしろなんて……ミカも無茶を言ってくれるね』
やっぱり市街地の向こうにある森の中で仁義なき戦い――バトルロワイヤルが始まっているようです。
本試合における特別ルールでは他チームの妨害を禁止するとは定められていなかったのでルール違反ではないですけど……まさか本当にやるとは。
しかし、状況から見て大学選抜代表(愛里寿君)と継続高校代表(ミカ君)は島田流同盟のようなものでも結んだんですかね?
まぁ、従姉妹の間柄である2人なら一時的に同盟を組んでいたりしても不思議ではありませんし、共闘するのも禁止されていないのでルール的には問題はないのですが。
『シット!!市街地を盾に遅滞戦闘とはやってくれるわね!!――ナオミ!!援護して頂戴!!アリサ達は私に続きなさい!!』
『分かった』
『『了解!!』』
『うぐぐ……前に進めないぞ!!』
『どうします、姐さん?』
『しょうがない。コンパス作戦だ!!』
『了解っす!!』
『ノンナ!!クラーラ!!何としても突破するのよ!!』
『分かっています』
『ダー!!』
『守りが固いな……エリカ、頼めるか?』
『っ!!はい!!隊長!!』
『流石は島田流の次期後継者なだけあるわね。ペコ、トータスはまだ来ないのかしら?』
『まだ暫く時間が掛かるそうです』
『そう……やっぱり機動戦重視にすれば良かったかしら。まぁいいわ。ローズヒップ、貴女の出番よ』
『お任せ下さいませ!!ダージリン様!!』
おっと向こうの戦いが動くみたいですし、こちらもそろそろ動きますか。