「では行きますよ」
「了解」
さて、後続が来る前にささっと終わらせてしまいましょう。
『相手はあのコーチ』
『チマチマ出し惜しみしてる余裕は無いわ』
『だから最初から全力のバミューダアタック!!』
まずは真正面から突っ込んで来るアズミ君とメグミ君とルミ君のお相手からですね。
2手に分かれて左右からの挟撃を狙っているミカ君達は後回しです。
「発煙弾装填。目標12時方向、距離2500……撃っ!!」
とりあえず在りし日の勘を頼りに撃ってみましたが……どうでしょうか?
『ッ!?そんなッ!?……こちらメグミ、照準器損傷!!戦闘続行不能!!』
『メグミ!?嘘でしょ!?』
『この距離で照準口の小さい穴を的確に撃ち抜いてくるなんて……流石はコーチ』
おぉ、上手い具合に狙った場所に命中しました。発煙弾なので撃破は出来ませんが、これで照準器の修理が終わるまでメグミ君は戦力外です。
「まずは1輌……」
『脱落したメグミの為にも何としてもここで仕留めるわよ!!撃てー!!』
『分かってる!!当たれーッ!!』
『ちょっと!!私はまだ撃破された(リタイアした)訳じゃないんだけど!?』
おやおや。メグミ君を一時的に失った事で焦ったのかアズミ君とルミ君が撃ちまくってきます。
しかし、数撃ちゃ当たるの戦法では私を仕留められませんよ。お二人さん。
「単調な攻撃は無意味です」
そーれそれそれー。
『クッ、相変わらず機動が読めない!!』
『えぇい!!くるくるくるくるちょこまかと!!』
フハハハッ、どうですか。ナポリターンの連続技――別名、無限機動。
独楽のように回転しつつ不規則に前進しているおかげでアズミ君とルミ君が放つ砲弾は全て見当違いの場所に着弾しています。
これも完全な固定砲であるが故に精度の高い左右旋回が可能で、また履帯の接地部分が少ないが故に早い速度での超信地旋回が可能なSタンクならではの機動です。
「あああああッ!!……うっぷ」
あ、常夫の事をすっかり忘れていました。
リバースされる前に終わらせましょう。
「せーの……そいや」
『な!?砲身が!?』
『ッ、嘘!?跳弾でやられたの!?』
よしよし、狙い通りにいきましたね。
着発ではなく遅延信管で設定しておいた発煙弾をアズミ君のセンチュリオンの砲身に当てて跳弾させ、そして跳弾した発煙弾でルミ君のセンチュリオンのマズルブレーキを破壊しました。
これでアズミ君は砲身の歪みを確認せねば砲撃が出来なくなり、ルミ君もマズルブレーキの交換をしなければ砲撃は不可能です。
「一丁上がりです」
「止めろと言ったのによくも……気持ち悪い……」
「あぁ、すみません。すっかり忘れていました」
やはり戦車道となると熱くなってしまいますね、アハハ。
「……」
見なくても分かるので振り返りませんが、背後から常夫の恨みがましい視線が飛んで来ています。
『はぁ……また負けた』
『今回もかすり傷さえ付けられなかったわね』
『何を終わったような気でいるの!!さっさと修理と点検を済ませてもう一度挑むわよ!!』
おや?アズミ君がメグミ君とルミ君に叱咤激励を飛ばしています。
うんうん。敗北を糧にして更なる成長を目指すのはいい事で――おっと!?
『今のを避けるなんてね……』
『よ、避けられちゃったよ!!ミカ!!どうするの!?』
アズミ君達を一時戦闘不能にして一息ついていたら左右からの奇襲が……ミカ君達です。
危うく被弾する所でしたよ……危ない危ない。
「なぁ……前々から思っていたんだが、飛んで来る砲弾をどうやって避けてるんだ?」
「それはですね、簡単に言えば勘です」
「……か、勘?」
「えぇ、何と言いましょうか……かほさんの地獄のような扱きを乗り越えたら何となく砲弾がどこに飛んでくるのか分かるようになったんですよ」
「……すまん」
先程とは一転して申し訳なさげになった――かほさんの扱きを私が受ける事になった原因である――常夫から謝罪されましたが……今は恩着せがましい顔で常夫を弄る前にミカ君達の相手をしましょう。
『逃げるよ、ミッコ』
『了解!!』
『早く早く!!わっ!?こっちに来た!!』
逃がしません。君達もここでアズミ君達と共に修理に励んで頂きます。
『ミカ達が不味い!!私達が囮に――』
「それ」
ミカ君を追い掛けると見せ掛けてのナポリターン。
『わっ!?こっちに!?ッ!!嘘!!』
からの履帯破壊。
『ミ、ミカ!!BT-5が履帯切られちゃったよ!!』
『これは不味いね』
さぁ、これで残るはミカ君達だけです。
BT-42が前方の斜面を登りきった瞬間にBT-5と同じ様に履帯を片方だけ破壊してしまいましょう。
『――うわー……あちこちでなんか凄い事になってるみたいだよ、みぽりん』
「え?」
いや、まさか……斜面の向こうから複数のエンジン音が聞こえ……そんな……!?
『あはは……これぐらいだと多分まだまだ序の口なんじゃないかな?あ、麻子さん。斜面を登りきったら一度止まって下さい』
『分かった……わっ、今のは継続高校の――うん?廉太さん?』
『おや、形勢逆転かな』
ミカ君達のBT-42と入れ替わるようにヘッツァーやB1 bis、ポルシェティーガー、そしてⅣ号戦車が――大洗女子学園代表が現れました。
『え、あれ?おじ……さん?』
……非常に不味いです。
「……」
『……』
「……」
『見 つ け た』
神様……。