東京新星市奇譚   作:内原

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 もうひとつの未来
 もうひとつの世界
 地球は寒冷化し
 厚い氷の衣をまとっていた
 地軸はねじまがり
 かつての列強は氷の下で蒼い顔をしていた

 だが常春の地となった赤道直下で
 過去と変わらぬ
 いやそれ以上の繁栄を極めている街があった
 摩天楼には多国籍企業が君臨し
 ヤクザやストリート・ギャングが
 裏通りをうろついている
 鎖国した旧日本の唯一の出島
 それが災厄の街トーキョーN◎VA
      ―――トーキョーN◎VAより抜粋


ホットスタート

 扉を潜り抜けた先は爆走するトレーラーの上だった。

 当然ながらそんな事は想像もしていなかったので、見事に吹っ飛ばされる。

 

「登場即死亡ってなんなんだよ⁉」

 

 そのまま路上に叩きつけられるかと思ったら、誰か(守護神)に抱えてもらい、トレーラーを追いかけていたハーレータイプのバイク(Honky Talk)の後部座席に座らせてくれた。

 バイクもこちらを拾おうとしていたらしく、後部座席をこちらに向けて受け止めようとしてくれていたので、すぐに復帰することが出来たみたいだ。

 とは言え、減速や方向転換でトレーラーとは引き離されてしまっている。

 

「「カーロス! 追いついたという事には驚いたがここまでだ! 馬鹿をわざわざ拾って折角のチャンスを捨てるとはな!」」

 

 左右からわさわさと現れたこぶし大の昆虫型ドローンから同じ声が一斉に放たれる。

 

「はん。誰がてめえの予想通りに動いてやるもんか。ハイヴ、大体てめえから落っこちてこっちが拾ったのは(MOON)だ。これでそっちは運の尽きってな」

 

 バイクを運転する伊達男がサブマシンガン(トンプソン)で追いかけてくるドローンの群れを追い払っている。ついでに何処かから援護射撃(守護天使)が飛んで来ている。これがドローンたちへの良い足止めになっているようだ。

 何やら言い争いが起きているがこっちは今の現象を認識することで手一杯だった。今の不思議な動きはマヤカシの≪神業≫守護神(ガーディアン)だ。高次の意識体の助けとか、深層意識の予知なんてので誰か一人を助ける事が出来る神業だ。ただし、助ける事が出来るのはあくまで一人だ。例えば、ビルの崩壊に巻き込まれた人を助けようとしても指定した人物のみが助かることとなり、その他の人はそのまま巻き込まれることとなる。

 まあ、今回はあって良かったと思う事にしよう。勿体無いと思うところはあるが、命あっての物種だ。うん。

 守護天使(謎の援護射撃)はハイランダーのスタイル技能だ。自分の敵に対してどこからともなく攻撃が行われる。障害は強制的に排除が執行されるのだ。ただし自分が認識していないと攻撃は行われないが。まあ、便利なのは確かだ。

 

 さて。自分の状態を飲み込んだところで、いわゆる周りの現状を把握しようか。

 ドローンを操り、トレーラーに乗って逃走する悪役(ハイヴ)。それを追いかけつつ、その他のことも気に掛けることのできる伊達男(カーロス)

 

 どっちに付くかは明白だよね?拾ってもらった恩もあるし。

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