N◎VAの破滅を願うテロ組織。
邪悪な毒蜘蛛がN◎VAに陰謀の糸を張り巡らせ、致死の毒を注入しようとする。
陰謀は、N◎VAに生きる人々の理性を、運命を歪ませて―――。
離れた娘を思い、酒に溺れる男を。
過去の悪夢に苦しむ、若き猟犬を。
毒の滴る糸が絡め取っていく。
けれど、陰謀の闇の中でも。
ほんの少しの良心が、微かに光る星のように、運命の先を照らし出す。
「見上げてごらん、夜空の星を」
かくて運命の扉は開かれた。
―――アクトトレーラーより抜粋
オープニング
ヤロールに入ろうとした時にポケットロンの呼び出し音が鳴る。相手はカーロスだ。
「ヤロールに行く用事がつぶれてしまったんでな。悪いがこっちに来てくれないか?」
「まあ、入る前だからいいけど。合流場所は?」
「ちょっと明るいクラブだよ。暗いどっしりした所は性に合わなくてね」
確かに、あの明るいラテン系のノリにはヤロールの落ち着いた暗闇というものは似合わないだろう。となると、呼び出し先の場所がどれほど騒々しいか予想がつくものだ。朝っぱらからなのにね。もしかして、24時間営業とか?
改めて呼び出された場所は、騒々しいナイトクラブだった。騒音のようなBGM、目を眩ませるストロボライトの中で、扇情的な服装をした男女が影絵のように踊っている。
奥の席で
「よう、
「全くだよ。けどまあ、先にお仕事のお話をしようか。どんな用件なんだい?」
僕の返答を聞くとカーロスはニヤリと笑いながら
「浄化派のテロ計画を阻止して欲しい。簡単な仕事だろ?」
こんなことを言ってくる。まだ続きがある筈だから、黙って先を促す。
「昨日、タタラ街で、
「いや。引っ越してから一週間、引きこもっていたからね。時事情報は薄いよ」
「そうか。なら、その相手が浄化派のテロリストだ。だが、肝心の指揮官だった幹部―――ブラックウィドウはそこに居なかった」
「よくそこまで知ってるね。やっぱり伝手ってやつ? それとも噂かな?」
僕が水を向けてやると、自慢にもならないとばかりに続けてくる。
「……でだ、恐らくブラックウィドウはまだN◎VAに居る。そして計画をあきらめちゃいない」
「妙に自信満々だけど、
僕の切り返しには、ニヤリと笑い、親指で自分を指さしながら、
「火星人の勘さ」
と、得意満面の笑み。半分あきれながらジト目を向けると
「ついでに言えば、
「まあ、
と、至極真っ当な疑問をぶつけてみる。帰ってきた返答は頭の痛い事態だった。
「
「了解。全く頭の痛い話だよ。で、相手の顔とかは判ってるの?」
これにもカーロスは顔をしかめて返事をする。
「あいにく
「本当に無茶を言うねぇ。コードネームしか判らない女を探し出せなんて。ついでに荒事もかい?」
愚痴を言ってみるが、カーロスは真面目な顔をして
「それでも、あんたならこの都市を救うヒーローになれると思うぜ。俺が言うんだから間違いないさ」
そう言うと、ウェイトレスが持ってきた
「じゃ、頼んだぜ、異世界人!」
言うと同時にグラスをテーブルに叩きつけると、グラスの酒を一気に飲み干した。
本当にこの陽気さにはかなわない。了承の印としてゴールドを受け取り、ナイトクラブを出ることにした。
「ああ、そうだ。本来ヤロールで話すはずだった内容って?」
「ん?
何か巻き込まれ始めたなぁ……。