異世界で勇者やれって言われたと思ったらスライムが魔王で倒しても大魔王が居て魔界に向かうも実は神様がラスボスかと思いきや姫様が裏ボスと見せかけて急にSFかと思いきや「・・・夢か。」と言いたいだけなお話。 作:名は体を表す
オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル
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※(100文字タイトルは)初投稿です。
よう!俺の名前はヤマトってんだヨロシクな!
俺はいわゆる普通の大学生だったんだが、ある日急に足元から光に包まれたって思ったらいきなり周りの景色が変わったんだ!
よく分からないままオロオロしてたら超絶美女が現れて「貴方は勇者に選ばれました。」みたいな事を言ったかと思ったら急にお城みたいな所に転送された!
そしたら「貴方が神界より参られた勇者様なのですね!」ってTHE・お姫様的な娘が言った途端、あれよあれよとお祭り騒ぎ!
余りの展開について行けずに気を遠くに飛ばしていたらいつの間にかやたら格好良い服に着替えさせられて盛大なパレードが始まったと思いきや主役は俺だったんだ!
ディ○ニーランドか!って位の人に囲まれて見送られたはいいものの、こちとら殆ど着の身着のままで放り出された様なもの!
仕方ないからレベル上げじゃ!と意気込んでいつの間にか持ってたムダに煌めいてる剣を目の前に現れたスライムに向かって振り下ろす!(ちなみに俺の剣の腕前はスポーツチャンバラ位しかやった事が無い素人。)
特に意味の無い暴力が罪の無いスライムを襲う!すると突然オドロオドロしい叫び声が聞こえた!
「グワアアアア!!戦い慣れていない勇者を油断させて始末してやろうという計画がなぜバレたあああああ!!!」
スライムの癖に過剰なエフェクトをまき散らしながら爆発四散!悪は滅びた!
姫が「勇者様凄いです!まさか勇者初日にして魔王を倒してしまうなんて!」と言った!
しかし唐突に空が暗雲に包まれた!腰が90度に曲がって地面しか見えてないジジイが「こ、これは・・・!まさか大魔王が現れたのか・・・!だとしたらもうこの世の終わりじゃ!!」と言う!
「大魔王ってなんだ?」俺が聞く!
「大魔王・・・!それは魔王の中の魔王です・・・!かつて神が世界を造りだした時に生まれたと言われ、世界を憎み、全てを滅ぼそうと企む、魔王を遥かに上回る存在・・・!」急に現れたローブのオバサンが言う!
すると姫が悲痛な顔で「そ、そんな・・・!では私達は世界が滅ぶのを座して待つしかないのですか!」と嘆く。
「・・・魔王を倒した勇者様なら或いは・・・!」直角ジジイが言う!
超絶イケメン勇者(俺の事だ!)は当然の如く大魔王討伐を決意する!「俺に任せろ!大魔王ってのがどんな奴か知らないが、この剣のサビにしてやるぜ。」
「まあなんて頼もしいのでしょう!素敵!抱いて!」
「ふ。俺に惚れると火傷するぜ?」
「勇者様!もし・・・大魔王を討伐し、無事に帰ってきたのなら・・・私と結婚してください!」
「悪いが、俺には帰らなきゃいけない所がある。結婚は出来ない。」
それにローブオバサンとか不気味過ぎて無理!10代になって出直しな!
姫が言う!「勇者様!大魔王を倒すには魔界と呼ばれる世界に封印されてある『神剣・大魔王殺し』が必要です!魔界までの道を知る者に案内させましょう!」
俺の死角から突如現れた女騎士が言う!「よろしくお願いします勇者様!」
俺は「旅にお供は付けない主義なんだがな・・・まあ仕方ない。」と呟いた!
俺達の長い旅が始まった!
既に俺の脚は棒のように固まり、痛みを脳内に送り続けている!しかし事は一刻を争う!勇者は休んでいる暇はない!
女騎士が言う!「勇者様、到着しました!王都から歩いて約30分程度の距離ですが、この祠に魔界への門が隠されています!」
「ここか・・・。なんて禍々しい気だ・・・!」
俺達は祠の中に入る!
中は無機質で、生物の気配が全くしない場所だった!そして祠の祭壇の中央には禍々しい気を放つ門が鎮座していた!
「勇者様・・・!この門を潜れば、そこは魔物達が跋扈する世界です・・・!くれぐれも油断なさらぬよう!」
「問題ない。邪魔をするのなら切り捨てるまでの話だ!」
「何と頼もしいお言葉・・・!勇者様、短い間でしたが貴方の旅のお供が出来て光栄でした!それで・・・勇者様が良ければですが・・・これからも勇者様のお供を続けてもよろしいでしょうか・・・?」
「ふ。一人旅は退屈だと思っていた所だ。」
「勇者様・・・!」
「さあ行こう!ここはまだ旅の通過点に過ぎないのだから!」
「はい!どこまでもついて行きます!」
俺は魔界へ続く門(襖)を開けた!シャァーゴッ!
「な、なんと!押しても引いても開かなかった門がこうもあっさりと・・・!」
「どうした女騎士。早く着いて来い。」
「・・・ふ、ふふふ。女騎士?それはもしかして私の事か?」
「・・・何?」
女騎士は徐に兜を脱ぎ捨てる!すると隠れていた額には宝石のように輝く紅い神珠が!(神珠とは魔力が物質化するほどに凝縮された物だ。)
「ありがとう勇者様、魔界への道を拓いてくれて。」
「貴様・・・!騙していたのか!」
「騙される方が悪いだろう。さあ勇者よ、お前の旅は此処で終わりだ。魔界への門を開けた礼に、せめて苦しまずに殺してやろう。我が胸の中で安らかに息絶えるがいい!!」
「大魔王め!うおおおおおおお!」
「無駄だ!我を倒せるのは『神剣・大魔王殺し』のみ」ズバァ!「・・・な、馬鹿な・・・!」
元・女騎士の鎧ごと大魔王を切り裂く!我が剣に切れぬモノなど無い!
「な・・・何故我が・・・!」
「勇者の剣に不可能は無い!」
「・・・成程な・・・。その剣・・・『真神剣・魔界壊し』か・・・。我が目を欺くとは・・・やりおる・・・。」
「大魔王・・・。お前との旅、悪くはなかったぜ・・・。」
「ふ・・・。騙されていたというのに・・・呑気な奴よ・・・。」
大魔王の神珠に亀裂が入る!
「・・・我も・・・中々に・・・楽しかったぞ・・・。」
「大魔王!」
「ふ・・・はは・・・そんな顔するな・・・。勇者・・・お前が・・・女神の駒・・・なのが・・・惜しいな・・・。」
「・・・大魔王、お前とは・・・もっと違う形で会いたかった・・・!」
「ふ・・・戯け・・・。」
大魔王の身体が徐々に塵と化していく!
「次・・・産まれる時は・・・人間に・・・なりたいもの・・・だ・・・。」
「大魔王ー!!!」
神珠が粉々に砕け散った!
「よくやったわ勇者。これでもうこの世界に私の邪魔をする奴が居なくなった・・・。」
前触れも無く空間に響き渡る声!「誰だ!」俺が叫ぶ!
「あら。異世界から態々連れて来てやったというのに、もう忘れちゃったの?」
「お前は・・・神(自称)!」
「神(他称)よ!私にはちゃんと■■■■って名があるわ!」
なんて言ったか忘れた!まあどうでもいい事だ!
「・・・さて、勇者よ。貴方が大魔王というバグを修正してくれたお陰でようやく全てが思い通りに動かす事が出来るわ。ありがとう。」
「バグ・・・だと・・・?」
「そうよ。アレが私の言う事を聞かない所為で私の為の世界が滅茶苦茶よ。私のワールドシステムに不具合を起こして一部の生き物が好き勝手に生きているなんて、私の世界には相応しくないもの。」
「好き勝手に生きて何が悪い!どんな生き物だろうがソイツそのものの意志ってモンがあるんだ!それをどうにかしようなんて間違ってる!」
神はキョトンとした顔を見せた後笑い出す!心の底から可笑しいと感じてるように!
「アハハハハ!!何をバカげた事を言っているのかしら!私が、間違ってる?あは、アハハハハハ!!良い事を教えてあげるわ!この世界は私が善であり、法であり、理であり、良心であり、是であり、全なのよ!私を前にして何が間違いかなんて、何の意味も持たないわ!だって私だけが正しいのだから!」
「いーや!お前は間違っている!例えこの世界全てがお前のお人形遊びの舞台だったとしても、お前に抗う意志が在った!そこに生きる意志が在った!それをどうこうしようなんて、生みの親でもそんな権利なんて無いんだよ!」
「・・・ふ、フフフ。生意気ね!所詮異世界の塵如きが私に盾突くなんて・・・!いいわ、生まれて来た事を後悔させてあげる!」
「いくぞ神かぶれの独裁者ァァァァ!!!」
俺は大上段から剣を振り下ろす!ヤツは真っ二つに・・・ならなかった!
「馬鹿ね!その剣を造ったのは誰だと思ってるの!?私の造りだした武器が私を傷つける訳が無いでしょう!!」
「チクショウ!うおおおお!!」
「無駄だと言ってるのが・・・分かんないのかしら!」ヤツが腕を振るう!手の軌跡から大量の光弾が放たれた!まるで壁の様に光弾が押し寄せる!俺は生き残るために力の全てを剣気に込めて振り下ろす!
バシュゥゥゥ!光弾の壁に穴が開く!そこに自分の身体を転がり入れて攻撃を回避した!
「あら器用ね。でも次はどうかしら?」
再び腕を振るい、数える気すら起きない程の数の光弾が打ち出される!もう駄目か・・・そう諦めかけたその時!
「我を倒したくせに情けない姿を晒すな。」
「この声は・・・大魔王!?」
なんと、急に剣が喋り出したではないか!
「お前・・・なんで・・・」
「知らん。だが今の我は大魔王其の物に非ず、その残滓と言ったところか・・・。だがこうしてまた話せる事を嬉しく思う。」
「・・・ふ。数奇な運命だな。だが今はこの状況を何とかしよう!」
俺は剣を掲げて呪文を唱える。この世界において最も簡単な呪文であり全ての呪文の基礎となる呪文、力場呪文を!
力場呪文とは魔力を用いて何かを動かすだけの呪文である!動かすだけと侮るなかれ、力場呪文が無ければ鉄すら燃やし尽くす魔法の炎も相手に向かって飛ばずに留まるだけ。真空の刃を作る魔法も力場呪文が無ければ自身を傷つけるだけの魔法になる!
俺は何の因果か剣に宿ってしまった大魔王の魔力を用いて迫りくる光弾を全て弾いた!
「ちっ!斬った敵の魂を吸収する力が裏目に出るなんて・・・!」
「反撃だ!うおおおおおお!!」
俺は再び女神に向かって突っ込んでいった!
「無駄だと言うのが分からないの!?」
「無駄じゃないさ!なぜなら勇者に不可能は無いのだから!!」
女神に剣が効かないというのなら剣以外で攻撃するまで!通信空手で鍛えた技を見よ!
「必殺!『手刀・神威!』」
俺の必殺技は女神の月桂冠を斬り落とすまでに終わった。
だがそれこそが俺の狙いだった!
「っな!まさか貴方、私の力の源泉が私の月桂冠にあると見破ったって言うの・・・!?」
「終わりだ女神!自分の過ちを悔いろ!」
俺は剣を振り、女神を斬り払った!神殺し!
「ぐふっ!わ・・・私はこの世界のシステム其の物よ・・・私を殺したことを後悔するといいわ・・・!」
哀れ女神は爆発四散!派手にいったぜ!
「勇者様、流石ですわ!大魔王ワ・ルイコーを討伐するだけではなくワル・イー神まで倒してしまうとは・・・!感激しました!」
何の前触れも無く現れた姫はこちらに笑みを向けながら続ける!
「貴方のお陰でこの世界は永遠の平穏を得ることが出来ました・・・。そう・・・
この私が全てを無に還してしまうのですから!!」
大地が、否!世界が揺れ出した!
「お前っ!何をした!」
「大したことは何も。そう・・・言うなれば、ただ世界を支えている柱の一つを壊しただけですわ?」
姫は朗々と語りだす!
「実は私、貴方と同じ異世界人なのです。と言っても魂だけなのですが・・・ね。貴方に分かりますか?家に帰りたいのに帰れない苦しみが。家族に会いたいのに会えない痛みが。そして見ず知らずのジジイババアを両親と仰がなければならない悲しみが。もう疲れたんですよ、この世界に居るのは。」
「だから世界を壊すというのか!?」
「そうです。こんな気味の悪い世界なんて、存在しない方が良いと思いません?そうでしょう?呪文を唱えるだけで目の前に火の玉が生まれたり、どんな大怪我もみるみるうちに治っていったり、何も持たない人間が空を飛行したり・・・。世界に科学ってものが無いなんて不気味でしょうがないわ。まあそれもこれも全て気持ちの悪いシステムを作り上げた神が死んだ今、何もかもが狂い始めているけど。」
「だからといって何で世界を壊す必要がある!元の世界に帰りたいのなら帰る方法を模索しろよ!」
「言ったでしょう?疲れたのよ、私は。私はね、勇者様?こう見えてとても、とても長い時間を生き続けているのよ?ある日この世界に引きずり落とされ、女神の気まぐれで永遠に転生し続ける存在となった。魂に記憶を焼き付かせ、死んでも忘れることが出来なくなった。自分の死を覚えているって残酷なものよ?残虐な殺され方だって忘れられないもの。それでも始めの頃は帰る方法を諦めずに模索したのよ?でも無理だった。滝の水が逆流しない様に、一度この世界に落ちた魂は二度と元の世界に戻れない。私は絶望したわ。でも同時に生き続ける活力が湧いてきたの。私をこんな目に合わせた世界が憎い。だからこの世界を滅ぼす為に生きようって、そう・・・思ったの。」
「諦めるんじゃねえよ!お前は本当に全ての方法を探したのか!?まだ見つけてない方法だってあるんじゃねえのか!?絶望するには早過ぎるんじゃねえのかよ!それでも見つけられねえって言うんなら俺が手伝ってやる!!」
「・・・優しいのね。流石、勇者様なだけあるわ・・・。でもね、何度も言わせないで。私は、疲れたのよ。もう生きるのに疲れたの。もし貴方が世界の果てを見たのならきっと、私と同じ感情を抱くはずよ。」
「・・・!そこに・・・何があるってんだ・・・。」
「何も。」
「何も、何もかもが無いのよ。水も。空気も。海も。雲も。地平線も。水平線も。光も。影も。」
「この世界はね勇者様。一枚の四角い地図で事足りる世界なのよ。地図の外側に誰も見たことの無い大陸がある訳でもなく、地図の反対側に出るのでもなく、何もないのよ。想像がつくかしら?海は何もない空間に向かって流れ落ち続け、この世界の人は何もない事に何の疑問にも思わない。この世界は所詮、神の箱庭に過ぎないのよ。」
「だからね勇者様。私はこの世界を壊すの。この世界を壊すのになんの戸惑いも無いわ。この世界は所詮作り物。全部が空想の産物なの。だから壊すの。永遠と転生し続けると言うのなら、どんな存在も産まれないようにしてしまえばいい。そうすれば私はやっと休めるの、永遠に。」
「そうかよ・・・。言いたいことはそれだけか?じゃあ今度は俺からだ。どうやったら世界の崩壊が止まる?」
「・・・話を聞いていたのかしら?世界の崩壊は止めないし、もう止まらないわ。」
「やってみなきゃ分かんねえだろ!まだ何も試しちゃいねえってのに!まだ何も始まっちゃいねえってのに!!絶望なんかしてる暇ねえんだよ!!」
「良く言った勇者ァ!!もとい、過去の俺!!そうだ!世界が崩壊するなんてつまんねえ理由で俺は止まんねえ!」
「その通り!いい事言うじゃねえか勇者!もとい別の世界線の俺!世界の一つや二つ位笑いながら救ってやるのが俺だろう!」
「そういう事だぜ別次元の俺!どうすれば、なんか考える意味はねえ!大事なのは行動に移す事だ!」
「足りない所は俺等が補ってやる!お前は赴くままに動き出せ!!」
「・・・ふ。よお姫様、見てみろよ。世界を救う勇者がこんなに居るんだぜ?もう諦めるとか疲れたとか言わせねえ。全部。ぜんぶ救ってやるよ!勿論お前もな!」
「 勇者ポテトに不可能は無い!! 」
「いやポテトって誰だよ!!!」ガバァ!
目が覚めると、辺りは中世のありがちな城内の風景でもなく、一面草原でもなく、古びた祠の中でもなく、魔物が跋扈していそうな魔界でもなく、ましてや世界が崩壊しそうな程揺れているのでもなく、変哲もない見慣れた自分の部屋だった。
「・・・夢か。」
そりゃそうだろうよ。なんだよ急に異世界に呼ばれるとか。ねえよ。そういうのは中学生までにしておけっつーの。
こんな夢見たのは間違いなく昨日見た自分の黒歴史ノートの所為だ。決して今も病を患っているからではない。過去の自分に影響を受けたに過ぎないのだ・・・。
部屋のカーテンを開ける。既に外は明るく、太陽が主張を始める時間だ。今の時間帯こそ涼しいものの、これからさらに時間が過ぎるとアスファルトが爆発するんじゃないかというくらいに熱を持つようになるだろう。
枕元の時計を見れば、もう朝食の準備がされている頃だろう。早く起きてリビングに向かわないと・・・
「おい!起きろ!メシ出来てるぞ!!」
俺より出来た弟がこのように叩き起こしに来るのだ。このように。
「おはよう。それより今日見た夢の話なんだけど、お前がスライムで魔王だった夢を見たんだけどさ。」
「嘘乙。てかなんだよスライムで魔王って、出来の良いラノベか。」
そうだけどそうじゃない。
まあ夢の話は置いといてとっとと朝食を食べに行く。
リビングへの扉を開けると、腰が90度に曲がった父さんとワンピースタイプのゆったりとした地味なドレスの様な服装の母さんが居た。
「おはよう。もう朝食出来てるわよ。」
「やっと起きたかヤマト。お前は何時になったら兄らしくしっかりできるんだ?」
「そういう父さんは大人らしく胸張って席につけよ。」
「喧しい!腰痛で背筋伸ばせないんだから仕方ないだろ!」
「はいはい!さっさと食べて学校に行きなさい!」
「へいよ。頂きます!」
朝食を食べた後着替え、昨日の内に今日使う教科書やノート類を突っ込んでおいたカバンを取り外に出る。「いってきます。」
外に出ると隣の家からも出てくる人影が。
「おう
「おはよう盟友!今日もいい天気だな!」
此奴は俺の幼馴染の涙子。俺と同じ大学生だが未だに患ってる口調だ。
俺等はほぼ毎日同じ時間に家を出ては一緒に電車で大学に向かう。そして毎日、駅に向かう途中にある神社に立ち寄る。
「おはざっす神様。」「うむ、おはよう神様!」
「だから私は神じゃないって言ってるでしょ・・・。おはよう。」
彼女はこの神社の巫女さんなのだが、俺達二人は神様と呼んでいる。何故ならこの巫女さんの苗字が
なぜ毎日この神社に立ち寄るか。何のことは無い、ただの健康祈願だ。ただこの神社に通い続ける切っ掛けがあっただけで。
参拝を終え、駅で電車に乗り大学に向かう。今日も今日とて狭い車内に押し込められ、さながら腸詰される寸前の挽肉の気分を味わいながら大学までの30分程度を過ごす。
大学での講義が終わると俺の脚は部室棟の角部屋に向かい、立て付けが悪くなった扉を抉じ開ける。
「いつもありがとう。貴方が開けてくれないと、私の細腕じゃぁどうしようも出来ないのよ。」
「ならいい加減部室変えればいいと思うんだが・・・。」
「中の物を動かす手間を考えるとどうしてもね・・・。」
「毎日この部屋を開けるためにヒメに呼び出される俺の手間は?」
「ちゃんと手間賃として漫画貸してるじゃないの。」
彼女はヒメ。オタサー・・・ではないが、マイナーサークルの姫だ。ヒメは本名。
「それより前貸した物は持って来たでしょうね?」
「ああ、いま涙子の「あ”あ”?又貸ししたって言うのかしら!?」あー・・・んーとだな・・・」
ヒメは自分のコレクションを人に貸したがるが、又貸し許さないウーマンでもある。ただあまりにも面白い漫画だったから涙子がどうしてもとしつこかったので勘弁してほしい。
「・・・はぁ、まあいいわ。涙子ちゃんとも知らない仲じゃないし。但し人の物を勝手に貸した罪は重いわよ?」
「・・・コンビニアイスで勘弁してください・・・。」
「ま、いいでしょう。次は無いわよ?」
「ははー。」
そうして今日のサークル活動が始まる。まあ活動なんて大した事はしていない。精々が部室の中に置いてある漫画を読んだり、ボードゲームをしたり、携帯ゲームを持ち寄って遊んだりと様々な事をして時間を潰す程度だ。
俺の名前はヤマト。異世界から召喚された勇者でも無ければ、前世で世界を救った英雄でもない。ただの大学生だ。
これはそんな至って普通の大学生の、何の変哲もない日常物語だ。
(兄貴に、前世でいきなり斬りかかられたスライムですって言ったらどんな反応すんだろうな?)
(ヤマト・・・お前と我が嘗ての世界で争い合った仲だと言ったらどう思う?)
(もしヤマト君に、私実は別世界で神様的な事してたわーって言ったらなんて返すのかしらね?)
(元の世界に帰って来れたのに、ヤマトの奴にはあの世界の記憶が無いみたいだし・・・。この感謝の気持ちはどうすればいいのよ?)
・・・これはそんな(周りが普通じゃないが)至って普通の大学生(但し元勇者)の、(一見すると)何の変哲もない日常(というには余りにもかけ離れている)物語だ。