ハンターはダンジョンの町の夢を見るか   作:ぬるっときたぜ

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第2話

「どこだ…。ここ」

 

 

目覚めた彼は真っ先に周りを見渡して自分の置かれている状況を把握しようとする。

 

そして今まで見たこともそれこそ噂ですら聞いたことのないような光景に驚くことになる。

 

石畳の街道。ハンターが見たことないような雰囲気の家。そして一番目立つのがとてつもなく高い塔。こんな塔があるならば少なくとも噂では聞くはずだが、ハンターは聞いたことがなかった。

 

 

「(そもそもどうやってここにきたのかすらわからない。起きた時に倒れていたならまだしも立っていたんだ。…あの黒い孔の影響で記憶が飛んでいる?)」

 

 

十分その可能性はあった。

実際ある村ではモンスターから必死に逃げきったものの疲弊して倒れた村人が目を覚ました時にはその時の一切の記憶がなく、何故自分が村にいるのかがわからなかったという。彼は思い出そうとしても孔に飲み込まれてからの記憶が全くなかった。

 

 

「よくわからない時は…ギルドの看板娘とかに事情を聞くのがいいか。どこにいるのかってのが問題だけど…どうせあの大きい塔だろ。というか本当に大きいな。あそこまで大きくする意味あるのか?」

 

 

そう考え彼はひとまずあの大きい塔目指して歩き出した。

 

 

「なんだあの装備。ギンギラギンだぞ」

「そもそもどこのファミリアなのかすらわからねぇな」

「というか今の時代フルフェイスの装備って珍しいな」

「「「怪しすぎる」」」

 

 

不審の目を向けられながら。

 

 

▼▼▼

 

 

「な、なんでしょうか?あの人。あんな装備なら覚えてて当然なのに全然知りません!」

「私も知らないわよ。というかここに来たってことは用事があるのよね。私に来ないで欲しいなー」

 

 

大きな塔に着き中に入ったハンターはやはりというか不審の目を向けられていた。

彼が知る由はないが、銀一色で光り輝くフルフェイスの装備なんてここでは考えられないことである。

それ故に警戒されて当然である。

それはさておき。

彼は困っていた。

クエストの受付嬢らしき人物もわかっているのだが、全員から不審もしくは警戒の目線を向けられている。そんな状態で話しかけにいってもまともに話をされるとは思えなかった。

 

 

「(どうしたもんかなー。さっさと自分がどういう状況なのか知りたいんだが)」

 

 

その時彼の視界に真っ白な髪のウサギのような雰囲気の少年が目に入る。

 

 

「(よし閃いた)」

 

 

何かを思いついたハンターはおもむろにその少年に近づいた。

近づかれていることに気づいた少年はそれこそウサギのように体を強張らせた。

そんな少年に対しハンターが行ったことは

 

 

「いやぁ!久しぶりだなぁ!」

 

 

知り合いを装うことだった。

 

彼が思いついた事というのは、この少年の知り合いを装う事で受付嬢の警戒を解こうという事だった。

ただし、この作戦は諸刃の剣。

この少年が誰ですか?と言ってしまえば終わり。受付嬢どころか周りから警戒されてしまいどうすることも出来なくなる。そんなことになればおしまいである。

 

 

「えっと、あなたd「本当に久しぶりだなぁ!」

 

 

ハンターは少年の肩に手を絡ませた。

少年はこの行為にさらに困惑したがすぐにその行動の意図を理解した。少しずーつ少しずーつ自分の肩に置かれた手の力が強くなっているのだ。

 

 

「(な、なんなんだこの人。急に絡んで来て。迷惑なんですけどってガツンと言ってやらないと!)」

 

 

そう考え、自分の肩に手を絡ませている人に向き直る。

口を開けようとした瞬間に顔を全て隠しているものの隙間から覗く目と目が合った。

 

 

「(い・ら・な・い・こ・と・を・い・う・な)」

 

 

目が語っていた。

とてつもない眼光である。それこそ自分が逃げることになったミノタウロスなんかとは比べものにならなかった。

 

 

「(ヒィぃぃぃ。無理無理無理!この人に対して強気に出るだなんて無理!)」

 

 

ハンターも彼の怯え具合には気づいており、少し目で訴えすぎたかもしれないと後悔していた。

このままでは怯えられていては元も子もない。なので、もう口で言って頼むことにした。

 

 

「すまん。少し俺にも事情があるんだ。この場所だけでいいから話を合わせてくれないか?」ボソボソ

 

「わ、わかりました。話を合わせればいいんですね」ボソボソ

 

 

少年は混乱していた。

さっきのとんでもない眼光然り急に話しかけられたこともあり、本来ならさすがに断っていたのだが、流されてしまった。

ハンターにそんなつもりはなかったとはいえ結果オーライとなる。

 

 

「あ、お久しぶりですね!今日はどうしたんですか?」

 

「いやぁ。ちょっと用事があってここに来たんだが、受付嬢に話しかけに行く前にお前を見つけたんでな。元気にしてたか?」

 

 

そう表面上は久しぶりにあった人同士を演じながら受付の方に向かっていった。

少年の方も受付に用事があったということに嘘はないのだろうと思い、自分の担当であるエイナという受付の人にこのひとをつれていこうとしていた。

 

そして、自分の担当であるベルという子が不信感MAXの人を自分のところに連れて来ているということに気づいたエイナ・チュールはというと

 

 

「(なんで私のところに連れてくるのよー!ベルくんのバカ!)」

 

 

焦っていた。

 

もちろんハンターは気づいていたがそんなことつゆ知らずのベルは満面の笑みで

 

 

「エイナさん!この人が用事があるみたいですよ!」

 

 

と言い放った。

 

 

▼▼▼

 

 

「つまりあなたはここ『オラリオ』に関する記憶が全くないと?」

 

「そういうことになる。この装備がここで浮いているのもわかったし、あのままでは多少手荒な手を使わざるを得なかった。すまん。ベル」

 

「い、いえ。気にしないでください!大変だったみたいですし」

 

 

ところ変わってギルドの個室。

さすがに記憶がないという話をあんな注目されている中で話すのは嫌だった。注目されたのは自業自得なのだが。

自分の置かれている状況を話し、エイナにはここに関することを教えてもらった。

 

迷宮都市『オラリオ』。それがここの名前らしい。神様がファミリアを作りそのファミリアがダンジョンを攻略するのを目的としているらしい。

もちろんハンターはそんなことを聞いたことも無論見たこともなかった。ある場所にはとてつもなく高い塔がありそこを守護している氷と毒を使うモンスターがいるとは聞いたことがあったが、それを元として街があるなんて来たこともなかったし、神様がいるなんてもってのほかだ。よって、ハンターは自分が記憶喪失であることは間違いがないと考えた。

 

 

「で、あなたはここに来て何がしたかったの?」

 

「自分がどういう状況のなっているのかの把握だな。それがわからないと自分がど動くべきなのかすらわからないままだからな。だけどどうしたらいいかがこれで決まった」

 

「どうするんですか?」

 

「ファミミリアに入d「大変よ!エイナ!」

 

ハンターが何かを言おうとした時にエイナの同僚らしき人が慌てた様子で部屋に入って来た。

 

 

「ちょ、ちょっと!ノックぐらいしてから入って来てよ」

 

「ごめん!でも緊急事態なのよ!13階層に新種のモンスターが出たのよ!13階層には釣り合わない強さで至急討伐をお願いしたいって。ギルドとしてはレベル3未満はダンジョンに入らせないつもりみたい。エイナもそれを説明するのを手伝って!」

 

「えぇ!ダンジョンに入っちゃダメなんですかぁ…」

 

 

新種のモンスターと聞いてハンターの脳裏に思い浮かぶのは空をジェット噴射で飛ぶ古龍である。あいつは初めて見たときは驚いたものだ。

 

 

「新種ののモンスターっていうのはどんな姿なんだ?」

 

「あ、あなたさっきの。えっと青色の大きな熊で〜、あとは腕が以上に発達してるとかだったかな。後蜂蜜が好きらしいわよ。冒険者がそのモンスターに遭遇した時蜂蜜を美味しそうに食べていたらしいわ」

 

 

そのことを聞いてハンターには一匹のモンスターしか思い浮かばなかった。

 

 

「そのモンスターアオアシラじゃないのか?」

 

 

青熊獣アオアシラ。名前の通り青色の熊であり腕が硬い甲殻で覆われている。蜂蜜が大好物であり、今回の新種のモンスターと一致している。

 

 

「「知ってるの!?」」

 

「お、おう。俺の住んでいた村ではメジャーなモンスターだぞ?てっきり各地方に広まったものだと思っていたのだが…」

 

「じゃあ!討伐してくれない?」

 

「ちょっと!」

 

「いいじゃない。というかそうするべきだと思わなない?エイナ。だってこの人はその新種のモンスターについて知ってるのよ?他の人にとっては初めてでもこの人は見たことがあるのよ。見た目は変だけど。それに装備からしてもレベル3以上はある!見た目は変だけど

 

「おい、聞こえてるぞ」

 

「お願い!そのアオアシラ?を狩って来てくれない?」

 

 

そう頼まれてハンターはアイテムポーチの中を確認する。回復薬に砥石。マ王と戦った後とはいえ多少は残っている。アオアシラ相手ならこれで問題ないだろう。無論油断はしないが

 

 

「まぁアオアシラぐらいなら手持ちのアイテムでも問題ないだろう。わかった。その依頼を受けよう!」

 

「き、気をつけてくださいね。…えーと」

 

「あぁ名前は名乗ってなかったか。悪いベル、エイナ。俺の名前はハンス・ケルヴィムだ。好きに呼んでくれ」

 

「改めて気をつけてくださいね!ケルヴィムさん!」

 

「あぁ、気をつけて行ってくる」

 

 

こうしてハンター、ハンス・ケルヴィムはダンジョン13階層にアオアシラ討伐のために向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん…」

「どうしたんですか?エイナさん」

「ベルくん。おかしいとは思わない?」

「何がですか?」

「あんな装備でしかもランク3以上なら有名になってるはずだし、私たちが知らないなんてことはないと思うのよ」

「言われてみればそうですね」

「そこらへん帰って来たら聞いてみようかしら」

 

 

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