声優になりたいと言った。
みんなから無理だと笑われた。
『あんたなんか声優になれる声じゃないし演技力もそこまで上手くないし無理』
私は声優の夢を諦めた。
マンガ家になりたいと言った。
またみんなから無理だと笑われた。
『マンガ家になるにはもっと絵が上手くないといけない。あんたの画力じゃ無理無理』
私はマンガ家の夢を諦めた。
小説家になりたいと言った。
やっぱりみんなから無理だと笑われた。
『小説家になるにはもっと学力を鍛えて知識を身につけないといけない。あんたの学力じゃ無理』
私は小説家の夢を諦めた。
そのうち私は、夢をもたなくなった。
どうせ持っても無駄だと、思うようになった。
私には夢を叶える力などない。
どうせまたみんなに笑われるだけだと。
どうしてーーー
一言。一言だけでもいい。
『頑張って』と言ってくれなかったのですか?
私は、その言葉を言うに値する人間では無かったのですか?
ある日兄さんがサッカー選手になりたいと言った。
みんなは......笑顔で応援してた。
『頑張って!あなたならなれる、大丈夫...』
どうして。どうして...どうしてその言葉を私にもかけてくれないのですか...
私は...私には...最初からみんなは、なにも期待などしていなかったのですね。
それから私は何をやるにもダメになった。
絵を描こうとした。
母親に言われたことを思い出した。
『この子の絵は上手だけどあんたの絵はねー......』
私は絵を描こうとした手を止めた。
歌を歌おうとした。
父親に言われたことを思い出した。
『兄さんは上手なのにあんたはなんで音痴なの?』
私は歌おうとした口を閉ざした。
勉強しようとした。
兄さんに言われたことを思い出した。
『お前みたいな馬鹿はどんだけ勉強しても治んねーから無駄』
私はシャーペンを持つ手を止めた。
なにをやってもダメ。ダメ。ダメダメダメダメダメ。
じゃあ私は、一体何をして生きてゆけばいいのですか?
いっそ私は死んだ方が...楽になるのでしょうか?
そんなことを考えた時、自然と足が動いていた。
どこへ???
私はどこへ行こうとしてるの?
......もう分かってるくせに。
私は気づいたらリビングにきてキッチンから包丁を取り出していた。
「さよなら」
そのまま自分の体に包丁を突き刺した。
痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い...
ズキズキする。刺した場所が熱い。
けど怖くはなかった。
これで私は報われる。
もう誰も...私を否定したりなどしない。
あぁ...やっ...と...私......
次の日。とある家庭から警察へと通報があった。
少女がリビングにある包丁で自分を刺して自殺したらしい。
周りの人の証言によれば少女はあまり人と話すタイプでは無かったらしい。
学校でも一人でいたという。
「あの子...いつからあんなに暗くなっちゃったのかしら...昔はもっと明るくてよく話す子だったんだけどねぇ...」
そんな証言を聞いた。
私はその少女の家族を調査をした。
「知らないですよ...あの子が何考えるかなんて...いつも下向いてて何も話さないですし...」
少女の家族は皆口々にそう言った。
「この子は、昔はもっと明るかったと聞きますが。いつからこんな風に?」
「し、知らないですって...気づいたらあんなんでしたし...」
「そうですか。ありがとうございました。」
私は悟った。
家族は少女に対して無関心であると。
少女の死について何も思っていないと。
奥底から怒りが溢れでる。
それを必死に抑えつける。
その後、少女の部屋を調べたら引出しから日記がでてきた。
少女の日記には誰にも肯定されなかった辛さ、味方のいない寂しさや虚しさが綴られていた。
毎日の日記に必ず書かれていた言葉。
「だれでもいいから私を見て」
友達に否定されて。
家族にすら否定された少女。
暗闇の中をさまよい続けた少女。
そんな少女はある意味死ぬことで幸せを掴んだのかもしれない。
誰にも否定されない幸せを。
「辛かったよね...もう何も悩まなくてもいいよ......おやすみなさい。」
そう告げられた少女の顔がすこし微笑んでいた気がした。