「最近の成績は振るわないようだが、なに、心配するな。お前たちは一ヵ月で部隊最強に返り咲く。なにせ私が教えるのだからな。」
あの人は…織斑千冬はそう言った。そして事実その通りであった。何か特別な機材を使うのではなく、何か薬を投与されるのではなく。ただ、あの人が教えたことを忠実に実行していくうちに私はIS専門となった部隊にて最強の地位を取り戻した。
だが満足はしなかった。部隊内では自分が最強になったが、それを超える存在と邂逅してしまった。強烈に魅せられた。憧れた。追いつきたいと思った…。
「どうすれば、教官のように強くなれるのでしょうか。」
「強く、か。
…私には弟がいる。あいつを見ていると、時々分かるときがある。強さとは、その先にあるものとは…。いずれお前にも分かる時が来るだろう。そうだな、日本に来ることがあれば会ってみるといい。」
そう言って気恥ずかしそうな表情を浮かべる教官。…それは、その顔はいつも見ている凛々しい、強い顔ではなかった。私が憧れる強い教官の、弱い部分だった。当然、許容できるものではなかった。
(断たねばならない。教官を完璧でなくする存在を。)
それはもはや信仰だった。
授業開始。教官の弟はあろうことか一人遅れてきた。物凄くいい音をたてて教官の出席簿が降り注ぐ。自業自得である。続けて一発。今度は別の生徒に。腑抜けていれば当然である。さらに二発。英国と中国の代表候補生が餌食となる。代表候補生にもなって不注意で指導されるとは落ちたものである。これも当然だ。
(しかしまったくもって不甲斐ない。この数分間のやり取りだけでこの学園の生徒の程度が知れる。)
はやくも全生徒を見限ったラウラであった。
「くう、何かというと人の頭をポンポンと叩いて…!」
「一夏のせい一夏のせい一夏のせい…!」
代表候補生二人組はというとこの具合である。その後、何やら一夏と揉めたことに気付かれた鈴が模擬戦に駆り出される。…何故かセシリアと共に。完全なるとばっちりである。
お相手はなんとあの山田真耶先生。驚くべきことに元日本代表候補生だったらしい。鈴、セシリアペアはいいようにあしらわれていた。
「さて、これで皆にも教員の実力は伝わっただろう。以後は敬意をもって接するように。」
挙句の果てには、言い方は悪いが山田先生の評価上げのダシとなる。この二人、今日はツイていないようである。
「さて、専用機持ちは…織斑、オルコット、デュノア、凰、ボーデヴィッヒ、ルースの六人だな。では、七人グループになって実習を行う。各専用機持ちに付いて班分けをしろ。」
そうしてようやく始まる実習訓練。当然のことながら鈴、セシリア、ラウラは人気度が低かった。特にラウラ班など完璧にお通夜ムードであった。
細かいところですが原作では「五人の専用機持ちで八人グループ」です。本作では若干生徒数が増えてます。