「…どういうことだ」
時刻はお昼、場所は屋上。普通の学校では屋上開放などされていないがここIS学園は例外であった。
さて、端を発したのは篠ノ之箒。あの世界的に有名な迷惑博士の妹というそれはそれで有名な肩書を持った人物だが、現在はまた違った意味でも、学園内では有名である。
曰く、「織斑一夏に告白した/優勝したら付き合うと確約させた」人物である、と。本人としては断じて違うと言い張りたいが、噂が独り歩きして収まりのつかない状況である。
そこで、箒が打ち出した第二作戦。即ち、一歩でもリードしようという画策。授業中に鬼の目を掻い潜り取り付けた一夏との昼食の誘い。勿論二人きりの、である。が、
「なぜおまえたちまでここに居る!」
「え、皆で食べたほうがいいだろ?賑やかだし。」
現れたのは総勢五人の少年少女たち。想定の五倍である。しかも元凶は誘われた一夏である。
「そうではなくてだな…!」
「折角の昼食なんだし大勢で食った方がいいだろ?それにほら、シャルルが学食に一人で行ったら…」
「ん?なにかまずいのかな…?」
「…あぁ、それはまあ、確かにそうだが…」
はぁ、とため息をつく箒。そうだ、昔からこいつはこういうやつだった…と肩を落とす。その手の先には二人分のお弁当。聞けば一夏と自分用に作ったんだとか。一夏的にはグッと来たらしい。食費が浮いた、と。更にがっくり。流石に可哀そうである。
「あ、はい、一夏。あんたの分。」
そんな会話を繰り広げていると横からタッパーが伸びてくる。最新の便利グッズとかではなく、凰鈴音お手製の酢豚のようである。一夏的には以下略。
「一夏さん、本日はわたくしもこのようなものを偶々偶然何の因果か持ち合わせておりまして。よろしければおひとつどうぞ。」
「お、おう。あー…後でもらおうかな…?」
お次のアピールはセシリア・オルコット。『見た目には』すごく美味しそうなサンドイッチが彩り豊かに並んでいる。だが、騙されてはいけない。このセシリア嬢、実は料理の腕前は壊滅的なのである。不用意に手を出すと笑顔で気絶できる。見ていた鈴は見えないように顔をしかめ、箒は見向きもしない。
「まあまあそう遠慮なさらずに。わたくしとルイスで作った共同作ですから自信もありましてよ?」
「あ、じゃあいただきます。」
「どうぞ、こちらです、一夏様。」
しかし一夏、この変わり身。別に男気がどうこうではなく、これが安心して食べられるものだと判断したからである。ルイスが手伝ったことが要因である。
『む、色がおかしいですわ。…こちらなど入れてみましょうか。』
『セシリア様、それでしたらこちらのほうがよろしいかと。こちらにすることで香りも色合いもよくなります。』
『なるほど、分かりましたわ。ではそちらにしましょう。』
一見魔女の実験のように思える会話だが、ルイスはこのような誘導により常に味を正常に戻している。何をどのように入れるかによって味のバランスを取る、ぶっちゃけ神業である。これにより、「見た目は良いが味がおかしい料理」が「見た目も味も極上だが何が入っているか全く分からない料理」へとグレードアップ(?)している。
因みに、ルイスはこれらをストレートにおかしいと突きつけることは決してないため、セシリアの料理下手は治る見込みがない。この事情を知っているのは今のところは一夏、箒、鈴の三人だけである。
「「…」」
それはそうとしてやはり何が入っているのか全くの謎では気味も悪いというもの。箒も鈴も一様に微妙な顔をしていた。
味がいいなら大丈夫だと一夏は笑顔だった。これ美味しいねえ、と事情を知らないシャルルと共に。
ルイスくんにとって、料理とはボードゲームである。相手(セシリア)がどう指してくるか見極め、最善手でそれを返し、勝利(味の調整)をする。つまり、普段の料理ならば相手がいないため、最短の一手で勝利を収めるだけでいい。
…そんな感じでルイスくんは料理上手です。タイトルのウィッチは勿論魔術師と掛けております。(通常ならばウィッチは女性なのですが語感がいいので)
アンケートのお話です。正直これでいいのかかなり迷いましたが、1案にさせていただきます。コメントして下さった方々、本当にありがとうございました。