IS‐涙なくして瞳輝かず‐   作:三三三 三雲

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十三話「波乱の予感」

「じゃあ、改めてよろしくな、シャルル。」

 

「うん、よろしくね、一夏、ルイス。」

 

「こちらこそ。よろしくお願いいたします。」

 

放課後、授業も終わって下校時刻。いつかのように山田真耶教諭より部屋割りについての話ということで呼び出された。告げられた内容は

 

「取り敢えず少しの間三人でお部屋を使ってください。」

 

とのこと。流石に短期間で受け入れすぎたらしく、生徒同士の配置に手間取っているのだとか。当然ながらここIS学園には多国籍かつ多数の生徒が入り乱れており、部屋割りなど特に気を使わなくては諍いが起きる。が、それにはやはり時間がかかる。故にこうして期間を設けて万が一の時の不平不満を抑え、同時に生徒同士の相性も確認しているのだろう。

 

そうして帰宅後、本日はルイスのコーヒーで一息入れつつの冒頭会話である。ベッドの位置や(三つ均等に左、中、右と配置されていた)、シャワーの順番など最低限のことを話し合った。

同性とはいえ中性的なシャルルの素直な笑顔に一夏が少し照れ、それが余りに分かりやすいので他二人とも微笑むというほのぼのした一幕が展開されたりもした。

 

「そういえばさっき一夏は放課後にISの特訓してるって聞いたけど、本当?」

 

「ん?ああ、俺は他の皆から遅れてるから、少しでも追いつきたいと思ってな。」

 

因みに普段は毎日だが、今日はシャルルのお引越しの事もあり休みである。

 

「ルイスも?」

 

「ええ、少し前からご一緒しています。」

 

セシリアの邪魔はすまいと遠慮してきたルイスだが、先日遂に折れた。一夏に直接「せめてセシリアの言ってることだけでも分かりやすくならないか」と相談された為である。

 

「ふうん、そうなんだ。それじゃあ僕も行っていいかな?ここまで良くしてもらったお礼もしたいし、専用機もあるから何かの役には立つと思うんだ。」

 

「おお!それはありがたい話だ、ぜひ頼むよ。」

 

一夏待望の二人目の『話が分かるコーチ』である。この日は快眠であったという。

 

 

 

 

そうしてシャルルを加えた放課後特訓を続けること五日。

 

「うーん、だからね、一夏が射撃武装に弱いのはその特性を理解してないからなんだよ。」

 

と、笑顔でシャルルが事も無げに言う。橙色の装甲をした、バランスのいいISである。名をラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡというらしい。

 

「おぉう、中々直球…一応分かってるつもりだったんだが…」

 

「そうですね、例えば実弾とビームでは速度、範囲、威力、影響等様々に違ってくるのです。」

 

と、今度は反対側からエメラルド色の、リヴァイヴと比べるとかなり重そうな機体に乗ったルイスが補足説明をする。本日はいつものスターライトにプラスして大きめのシールドを右肩部に搭載していた。

 

「その辺りは理解しているかと思いますが、一夏様はどうも直感で避けてしまう癖がおありで、総じて動きに無駄が生まれ、また回避先が読みやすくなってしまっているのです。

無論、肉眼では捉えることなどほぼ不可能ですがハイパーセンサーを活用すれば…」

 

「そうそう。ああ、試しに一度撃ってみる?何か掴めるかも…」

 

男子サイド、非常に順調なようである。対して、

 

「一夏…あれほど教えてやったというのに理解していなかったのか…!」

 

「あんなに楽しそうにしちゃって…!」

 

「全くですわ…!」

 

女子サイド、ダークサイドに。妙な連帯感により入り込みにくく、苛立ちが募る一方である。

 

そうして一夏が初めて銃を手に取り、ちょうど一マガジン分撃ちきったところで、反対側のピットから見慣れぬ機体が出てきた。黒い装甲に大きな実弾砲を備えた威圧感のある機体である。そこかしこから「第三世代…」「ドイツの…」とざわめきが聞こえる。パイロットは『あの』ラウラ・ボーデヴィッヒだった。

 

「貴様も専用機持ちだそうだな。ちょうどいい。私と戦え。」

 

「…俺か?嫌だよ、理由がない。」

 

「貴様には無くとも私にはある。」

 

「…また今度な。」

 

「ほう…ならば、戦わざるを得ないようにしてやろう。」

 

そう言うが早いか左肩部の大型実弾砲が火を噴いた。一直線に、まだ身構えてもいない一夏に砲弾が飛んで行き…

 

ゴギャァン!

 

と音をたてて弾かれた。偶々射線の近くに居たからこそ間に合ったルイスのシールドである。

 

「いきなり砲弾で挨拶なんてドイツの人はビールも頭もホットなんだね?」

 

なんだか物凄い皮肉を言いつつ、反対側からシャルルが一瞬でライフルを実体化させ、同時に構える。瞬間の早業であった。

 

「ふん、この私に第二世代型(アンティーク)を差し向けるとはフランスもよほど余裕がないのだな?」

 

「ご心配どうも。未だ量産化の目途が立たない第三世代型(ルーキー)さん?」

 

互いに涼しい顔して毒を吐きまくっている。

 

『そこの生徒!何をしている!学年、クラス、出席番号を言え!』

 

と、救いの福音であるかのように担当の教師が呼びかける。流石に二度も横やりを入れられては興が削がれたのか、

 

「…フン、今日は引こう。」

 

といって去っていった。残されたのは妙な静寂と波乱の予感だった…。




唐突ですが作者はセラヴィーガンダムが大好きです。ゴツゴツとしていながら細部が細かくブロック分けされているあの質感がたまりません。ということでルイスのIS「エメラルド・ピュープル」はイメージ的にはそれです。
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