あ、今回は説明が異様に長い回となっております。にしてはその半分が独自設定なので、読み飛ばしていただいても構いません。「~」で囲ってある部分です。
「…なんなんですの、あれは」
「…少なくとも今は触れないのが賢明かと」
あの話し合いの後、いくらかの打ち合わせを終えて第三アリーナへと向かったセシリア・ルイスペア。何やら騒がしいが原因は何かとロッカーを足早に過ぎ、ピットに集合、アリーナの方を見てみれば、
傷だらけの鈴と、
立ち去りかけのラウラと、
何やらビビりつつも焦り気味の一夏と、
やや表情の曇ったシャルルと、
「……」
ゴゴゴゴゴ…と覇気を携えつつこちらに歩み出した天下無双のSAMURAIが。
「…ああ、お前たちか。聞いていた…訳ではないようだな。追って通達するがこれから暫くはは生徒間の私闘を禁ずる。詳細は奴らに聞け。いいな?」
「「ハッ!」」
「よろしい。ではな。」
思わず気圧され最敬礼。そのまま見送る。
「…なんなんでしたの、今の。」
「…今後も触れない方が良さそうですね。」
「「…はぁ」」
何やら短時間でドッと疲れた二人であった。
因みに詳細を聞こうと振り返ればアリーナは蛻の殻であった。一夏たちは逆側のピットから出て行ったらしい。二重苦である。
「……」
保健室のベッドの一角。一夏とシャルルで見舞いに行くと、先ほど起きたらしい鈴はそっぽ向いてむすっとした顔をしていた。
痛々しい傷跡、腕を固定するギプス、全身に巻かれた包帯…なんてことは無く、ISスーツのまま、打撲の治療用に腕に少々包帯が巻かれている程度である。
~
このからくりこそ、今ではすべてのISに備わっている機能の一つ、『絶対防御』である。ISには装甲とは別に、薄く、感知できない、不可視の膜のようなものが全身を覆うように備わっており、操縦者への多大なダメージはそれを通して機体が肩代わりするようになっている。
また、当然のことながらこの機能の発動時は多大なシールドエネルギーを使用するため、IS同士の試合では如何にこの機能を相手に使用させるかがカギとなる場合が多い。
余談だが、白式の『バリアー無効化攻撃』は相手のISのありとあらゆる「絶対防御の発動を抑えるためのシールド及びバリア」を無効化できる。このため、相手ISは強制的に絶対防御を発動させられる事となり、一気にシールドエネルギーを減らされる事となる。これが零落白夜が一撃必殺を可能とする所以である。
さて、ではシールドエネルギーが底をつけばどうなるのか。答えはさっきまでの鈴に見られるように、『IS自身が操縦者を強制的に昏倒させる』。といっても無防備に眠ったまま転がされるかというとそういう訳ではない。
元々ISには表示上の数値以上のシールドエネルギーが蓄えられている。表示エネルギーが底をついた時、ISは残りのエネルギーで操縦者を守りつつ即座に昏倒させ、自身の機能も絶対防御と操縦者を生かす機能を除いて全てを停止させる。そうすることでエネルギーの自己回復を図り、一定値まで回復したところで(or誰かに回収されエネルギーの補充を受けたところで)復旧する。元々宇宙を舞台と想定するISならではの機能である。
~
「…別に助けてくれなくて良かったのに」
開口一番、この格好にも拘らずこれである。
「お前なぁ…でもまあ、怪我が大したことなくて安心したよ。」
「こ、こんなの怪我の内に入らな…~ッ!!」
強がりながら顔を顰める鈴。
「まあまあ…少し落ち着いた方がいいよ、はい、ウーロン茶。」
「む、ふん!いただくわ!」
態度に反し律義に受け取る鈴。ゴクゴクと音を鳴らしながら飲んでいる辺り相当喉が乾いていたのだろうか。
と、
鈴が置いたコップが振動し始める。…揺れは徐々に強くなっていく。
「な、なんだ、地震k」
バァンッ!!!
「「「織斑君!デュノア君!」」」
地震かと思ったら何てことはない(?)、多人数の足音だった。突然開かれた扉と突然呼ばれた驚きに硬直していると、一枚のチラシらしきものを目の前に突きつけられる。
それは、学年別個人トーナメントがタッグマッチトーナメントになったことを知らせる貼り紙だった。
「私と組もう!織斑君!」
「一緒に出よう!デュノア君!」
瞬く間に二桁を超える人数からペアの申し込みが。
「え、えっと…みんなごめん!俺はシャルルと組むから諦めてくれ!」
沈黙。そして再起動。
「そっかあ、男子同士じゃあ仕方ないよね~」
「まあそれなら先を越される訳でもないし…」
「寧ろそれはそれで…!」
すぐに散っていく一同。抜群の協調性である。
「あ、ルイスくんなら!」
「それならさっき第三アリーナで見かけた!セシリアと一緒に居るのを…」
「あっ…(察し)」
さて、大波が突如襲い掛かり、たちまち去った後の保健室では…
鈴が物凄い顔をしていた。見ろよ、あいつの目…(苦虫を噛み)殺した目をしてやがるぜ…!
というのも事前にトーナメントには出られぬ旨が伝えられていたからである。伝えられなくとも意識を刈り取られた時点で薄々自身のISの損傷具合を感じ取っては居たようだが。ままならぬものである。
シールドエネルギー云々は独自設定です。
感想にて意見をいただき、十五話の内容が原作の流れと嚙み合わないらしいことを知りました。ご指摘本当にありがとうございます。作者は原作八巻までの知識しかないため、違和感を感じた方も沢山居るかと思います。この作品にある程度区切りがつき次第原作を読了し、矛盾点を修正しようと考えています。それまでお待ちいただけると幸いです。
合わせて、作者自身が原作知識を半端にしか理解していないため、タグから「原作知識必須」を外しました。